バラの専門用語「シュート」について。「シュート」とはなにか?その見分け方と役割について、初心者向けに分かりやすく紹介しています。
バラの専門用語で「シュート」って言葉を良く聞くけれど、そもそも「シュート」ってなに? どれが「シュート」かその見分け方や、「シュート」の役割を教えて!
バラの専門用語「シュート」って何?
▲株元から発生する「ベイサルシュート」
バラの専門用語に「シュート」という言葉があります。これは春の花後に新しく勢いよく伸びる枝のことです。まるでアスパラガスのように太く瑞々しい枝で、短期間でぐんぐん伸びます。
シュートは発生する場所により、2通りの呼び方がされます。
ベイサルシュート(ベーサルシュート)
▲「ベイサルシュート」は株元から発生する
上の写真のように株元から発生するシュートを「ベイサルシュート」、もしくは「ベーサルシュート」と呼びます。
サイドシュート
▲木立ちバラの「サイドシュート」
主幹の途中から発生するシュートは「サイドシュート」と呼ばれます。上の写真は木立ちバラの「サイドシュート」です。
▲つるバラの「サイドシュート」
つるバラの主幹からたくさんの「サイドシュート」が伸びた姿は、なかなか壮観です。
「シュート」は春花の後に伸びる新しい枝のことなのね。でも、新しい枝が全部「シュート」なわけではないよね? どれが「シュート」で、どれが「シュートじゃない」のか、その見分け方は?
「シュート」の見分け方ポイントは発生している場所と勢い
株元から発生する
▲株元から発生するのが「ベイサルシュート」
どの枝がシュートかを見分けるには、発生している場所を確認すると分かりやすいです。
「ベイサルシュート」は、株元から出てきます。瑞々しくてツルンとした、まるでアスパラガスを思わせる姿で、勢いのいい枝が株元から出ていれば、それは「ベイサルシュート」です。
主幹から発生する
▲主幹から発生するのが「サイドシュート」
「サイドシュート」は、主幹から直接、発生します。やはり瑞々しくて太くて勢いがあります。
▲花を咲かせた枝から出た芽はサイドシュートではない
上の写真は、春花が終わった後に切り戻しておいたところから発生した芽です。主幹から発生している「サイドシュート」と比べると、太さも勢いも弱いのが分かります。これは「サイドシュート」ではありません。
これは花を咲かせる枝、つまり「花枝」です。
花の咲き方の違い
▲花を切り戻したところから伸びた枝先に蕾
シュートとほかの枝は、花の咲き方でも見分けることができます。
上の写真は、花後剪定の後から伸びた枝(つまり「花枝」)の先に2番花の蕾がついたものです。それぞれの枝先に1~3輪の蕾がついています。これらの枝はシュートではありません。
▲ほうき状に咲いたシュートの花
それに比べ、シュートの先に花が咲いたら上の図のようになります。
やたら勢いの良い枝が他の枝より高く伸び出し、その先にたくさんの花が咲きます。「ほうき状」と表現される、大きな房咲きになるのがシュートの花の特徴です。
こんな枝が出てきたら、それは間違いなく「シュート」です。
*ちなみに、シュートには花を咲かせない方が良い管理です。上の図のようになってしまう前に先端をピンチして蕾を取り除きます。シュート枝の管理については、別のページで紹介します。
▼シュート枝の管理のしかたは、こちらのページをご覧ください
なるほど。見分け方はだいたい分かったわ。それで、この枝をわざわざ「シュート」と呼んで、ほかの枝と区別しているのはどうして? 「シュート」にはどんな役割があるの?
「シュート」は、来年以降の主幹になる大事な枝!
▲左の主幹が調子悪い
シュートは、来年以降の主幹になる大事な枝です。
たとえばこの株には3本の主幹がありますが、左側の主幹は枝が伸びていないし色も悪い弱った主幹です。春の生長を見守りましたが、やはり上手く生長できなかったので、付け根から切り取りました。
これで主幹は2本になったので、来年以降の花数を増やすため、新しい主幹が欲しいところです。
▲春花後に株元から伸びたベイサルシュート
そう思っていたところ、春花後に株元から4本のベイサルシュートが発生しました。これらが来年以降の主幹に育っていく枝です。大事に育てたいものです。
ちなみに右側に向かっている2つの芽は、隣の主幹にぶつかってしまうので取り除きました。
シュートは、ただ花を咲かせる枝じゃなくて、来年以降の主幹に育つ枝なのね。ということは、シュートが発生するって、すごく良いことなのね!
そうよ! とくにベイサルシュートが発生したら、わたしなんて小躍りしちゃうほど嬉しいわ! シュートがどれだけ重要な枝か、分かってもらえたかな?
まとめ
今回は、バラの専門用語「シュート」の意味と、その見分け方、さらに「シュート」の役割について紹介しました。
数ある枝のなかでも「シュート」は、とくに重要な枝です。来年以降の主幹になる枝なので、「シュート」を出し、しっかり育てることは、バラ栽培の重要なポイントです。
シュートの重要性を理解し、どの枝がシュートか分かるようになれば、この後の作業にスムーズにつなげられます^^
「シュート」を出やすくする手入れや「シュート」が出たらやるべき作業については、また別のページで紹介します。
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