バラを鉢植えで育てる方法を、木立ち樹形のバラを大苗から育てる方法で紹介します。それぞれの月に必要な手入れを写真やイラストつきで説明しているので、初心者さんにもかなり分かりやすいと思います。この育て方をひととおり覚えれば、他の樹形のバラを育てたり、庭で育てたりも気軽に取り組めるようになりますよ!


CONTENTS

木立ち樹形(ブッシュ樹形)のバラを、大苗から鉢で育てる方法

▲大鉢をアクセントにしたローズガーデン

ラの育て方の基本を、初心者にも分かりやすいよう、樹形別にていねいに紹介します。今回は木立ち樹形のバラを、大苗(おおなえ)から鉢植えで育てる方法です。ここでは基本の育て方を紹介していますので、さらに細かく知りたい方は、それぞれについて詳しく書いているページを参照してください。

 

木立ち樹形のバラはほとんどが四季咲きで、春~秋まで年に3~4回も花を咲かせてくれる嬉しいバラです。しかも樹高1mちょいにおさえて育てることができるので、鉢植えで育てやすいというメリットがあります。

 

しかし年に何度も花を咲かせるということは、それだけ何度も手入れしなければいけなくて、年間作業が多いということでもあります。初めてバラを育てる方には、ちょっと敷居が高いかも知れません。

 

少し大変ですが、これを覚えてしまえば、基本的なバラの作業をしっかり理解することができます。植物栽培に慣れている方や、1季咲きのバラを育てた経験のある方、少し大変でもしっかりバラの育て方を学びたいという方にチャレンジしてもらいたいのが、四季咲きバラの栽培です。

 

大苗は、秋から冬に(10月~2月いっぱい)流通する、時間をかけてしっかり育てられた大人の苗です。今回はとくに初心者におすすめの冬(12月~2月いっぱい)から育てる方法を紹介していきます。

 

▼大苗が分からない方や、苗の種類について詳しくは、こちらをご覧ください

 

木立ち樹形(ブッシュ樹形)のバラとは、こんなバラ

▲木立ち樹形のバラ「ブルーフォーユー」(F)

ラはさまざまな原種をもとに交配を繰り返して作られています。数万種類もあるといわれるバラの品種は、その樹形から「木立ち樹形(またはブッシュ樹形)」「半つる樹形(またはシュラブ樹形)」「つる樹形(クライミング樹形とランブラー樹形)」の4タイプに分けられます。

 

それぞれに管理のしかたが違うので、自分の育てるバラがどんなバラなのか、その特徴を知ることから始めましょう。

 

▼バラの樹形について詳しくは、こちらをご覧ください。

木立ち樹形は、四季咲きバラの樹形

▲ブッシュ(木立ち)樹形

立ち樹形は、ブッシュ樹形とも呼ばれる樹形です。枝が硬く、上に上にと伸びていく性質があり、支柱などがなくても自立することができるタイプです。どれくらい横に広がるかにより、さらに細かく「直立タイプ」「半横張りタイプ(または半直立タイプ)」「横張りタイプ」に分けている場合もあります。

 

木立ち樹形のバラは、今年伸びた新しい枝に花を咲かせます。ほとんどの木立ち樹形のバラは、1年に何度も花を咲かせる四季咲き性のバラです。

 

系統でいえば、ハイブリッド・ティー系統【HT】、グランディフロラ系統【Gr】、フロリバンダ系統【F】が木立ち樹形のバラです。(グランディフロラ系統は独立した系統と認められず、性質が近いハイブリッド・ティー系統と表記されることが多いバラです)。ほとんどのミニバラ【Min】や一部のポリアンサ系統【Pol】も木立ち樹形ですが、育て方がやや特殊なので、別のページをもうけて説明します。

 

と、いうことで。今回は、ハイブリッド・ティー系統(含グランディフロラ系統)またはフロリバンダ系統のバラを、鉢植えで育てる方法を紹介していきます。

▲シュラブ樹形

 

最近ではシュラブ系統のバラがとても多くなっています。シュラブ系統のバラは、シュラブ樹形をしています。シュラブ樹形は、枝先が長いタイプだと自立できず支柱が必要です。枝先が短いタイプだと花がややうつむき加減に咲くていどで、ブッシュ樹形のバラとあまり変わりません。枝先の短いタイプなら、今回、紹介するブッシュ樹形の育て方とほぼ同じ方法で育てられます。

 

鉢植えで育てる木立ち樹形の、初心者向けバラ品種を選ぼう!

▲フロリバンダの名花「アイスバーグ」

立ち樹形のバラは、主にハイブリッド・ティー系統とフロリバンダ系統のバラです。ハイブリッド・ティー系統のバラは、花数は少ないものの花径10cmを超える大輪で色鮮やかなインパクトの強い花を咲かせるバラ品種が豊富です。大型の株に育つものが多いのですが、剪定でコンパクトに管理することで、鉢で育てることができます。

 

フロリバンダ系統のバラは、花径7~8cmの中輪の花を房咲きにする特徴があります。ハイブリッド・ティー系統のバラよりも1株あたりの花数が多く、コンパクトに育つものが多いので鉢栽培にはぴったりです。

 

バラは品種により耐病性の強いものや弱いもの、樹勢の強いものや弱いものがあります。初心者は、耐病性が強く、樹勢の強い品種のなかから好みの花を選びましょう。初心者におすすめの育てやすいバラを一覧にまとめていますので参考にしてください!

 

▼初心者向けのバラ・花色別一覧

 

▼初心者向けのバラを選ぶポイントをまとめています

 

バラのプロがおすすめする品種から選ぶのも賢い方法です^^

 

▼バラのプロがすすめる品種はこちらからご覧ください。

 

良い大苗の選び方

▲熟枝(左)と、未熟枝(右)

ラの苗をお店で購入する場合は、バラの苗を多く扱っている店で、良い苗を選ぶことがだいじです。悪い苗を購入してしまうと、きちんと管理しても上手く育たなかったり枯れこんだりすることがあるので注意しましょう。

 

大苗は葉がついていないので、枝の状態をよく観察して良い苗を選びます。充実した太い枝が2~3本あるのが理想的な大苗です。充実した枝とは、木質部が厚く発達して堅くしまった枝で、「熟枝」とも呼ばれます。逆に木質部が未発達な枝は「未熟枝」と呼ばれます。

 

「熟枝」は、全体的に乾いた感じで、枝に縦の線が入るのが特徴です。枝の切り口を見ると、中心に小さな髄があります。一方、「未熟枝」は全体的にみずみずしく、切り口を見ると、木質部が未発達で髄が大きいのが特徴です。

 

太い「未熟枝」がある大苗よりも、やや細くても「熟枝」がある大苗の方が良い苗です。

 

ネットで購入する場合は、苗選びはお店まかせになってしまいますので、専門知識のあるバラの専門店で購入するのが安全です。

 

あいびーあいびー

万一、状態の良くない苗が送られてきた場合には、購入したお店に相談してください。お店によりさまざまですが、2日以内、1週間以内などの期限を設けて返品・交換に応じてもらえます。苗の状態をスマートフォンやデジタルカメラで撮影してメールで送付すれば、相談しやすいですよ!

バラを育てる鉢を選ぼう

▲バラには直径と高さが同じくらいの形の植木鉢(左または中央)が適します

苗を植える植木鉢は、8号または10号の鉢を用意します。1号が約3cmなので、8号なら直径24cmくらい、10号なら直径30cmくらいの植木鉢です。バラを育てるための鉢は、直径と高さが同じくらいの形の植木鉢が適しています。浅い鉢や、細長い鉢は適しません。

 

植木鉢の素材はテラコッタ(素焼き)またはプラスチックが多く、それぞれにメリット・デメリットがあります。

 

テラコッタ鉢(テラ鉢)の表面には細かい穴が開いていて、ここから空気や水が出入りするので、根腐れしにくく暑い夏も鉢土の温度を上げ過ぎないというメリットがあります。もともと土素材なので自然になじみやすくおしゃれな演出がしやすい利点もあります。その反面、重くて移動させにくい、衝撃で割れたり欠けたりすることがあるというデメリットがあります。

 

プラスチック鉢(プラ鉢)は、軽くて移動させやすい、衝撃で簡単に割れたりしない、さらにテラコッタ鉢に比べて安価というメリットがありますただしテラコッタ鉢に比べて根腐れしやすく、夏の暑さで鉢の中が高温になりやすいというデメリットがあります。安価なものはそれ相応にチープに見えやすいところもありますね。

 

どちらの素材を選んでも構いませんが、ベランダにたくさん並べるならテラコッタ鉢では重量が重くなりすぎて気になりますし、とても日当たりの良いテラスなどではプラスチック鉢ではとくに夏の暑さ対策が必要になります。

 


苗木部スリット鉢 紺色(10号)【資材】

 

スリット鉢という、鉢底から側面にかけて細長い切れ目が入っている鉢もあります。ほとんどはプラスチック製です。この細長い切れ目から日光が入り、とても根張りが良くなるということで、多くの生産農家が使っているそうです。スリット鉢を愛用しているロザリアンさんもいますね。

 

▼植木鉢についてさらに詳しくは、こちらをご覧ください。

 

12月~2月の作業/大苗を鉢に植えつける方法

ここからは、1年間の作業を順に説明していきます。まず植えつけから。育てる品種を選び大苗を入手し、植木鉢を用意したら、さっそく鉢に植えつけしましょう。大苗を植えつける適期は12月~2月いっぱい(関東以西基準)です。大苗を購入したら、または届いたら、なるべく早く植えつけましょう!

 

準備するもの

バラの大苗(接ぎ木のテープは取っておく)

植木鉢(8号または10号)

培養土(元肥入り)

鉢底ネット

鉢底石

土入れ(深型シャベル)

水やり用のバケツ(またはジョウロ)

 

▼初心者のための培養土と肥料の選び方は、こちらをご覧ください

 

植え方1、鉢底ネットと鉢底石を入れる

植木鉢の底穴に鉢底ネットをかぶせ、その上に鉢底石を1層入れます。

 

植え方2、土を少し入れてから大苗を置く

まず鉢に半分ほど培養土を入れ、その上に大苗の根を広げるようにして置きます。この後、鉢の縁から1~2cm(ウォータースペース分)下まで培養土を入れるのですが、バラの接ぎ口がこの位置より少し上にくるように調整します。

 

植え方3、培養土を足し、手のひらで軽く押さえる

培養土を鉢の縁から1~2cm(ウォータースペース分)下まで入れ、手のひらで軽く押さえて培養土を落ち着かせます。

 

植え方4、水やりして完了

最後に、鉢の底からしっかり水が流れ出るまで水やりして、植えつけは完了です。水やりのときに、発根を促すために活力剤(マイローズバラの活力剤、メネデール、HB-101、リキダス、土母など)を混ぜてもいいですね。

 

植えつけ後の管理

き場所は、霜の当たらない場所に。

 

土の表面がしっかり乾いたら水やりします。やりかたは、「植えつけ4」で説明したように、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりします。12月~2月、バラは休眠している時期なので、あまり水やりする必要はないはずです。鉢のサイズや置き場所の陽当たり具合にもよりますが、5日~1週間に1度くらいの水やり頻度だと思います。

 

3月~4月の手入れ/新芽が出てから、開花までの手入れのしかた「病虫害対策」「芽出し肥」「芽かき」「つぼみがつかない枝の処理」

▲3月になるとどんどん芽吹いてくる!

3月下旬になると、ほとんどのバラが新芽を伸ばし始めます。冬に植えつけたときには枝しかなかった大苗が、無事に芽吹いてほっと一息といったところですね。この時期に行う手入れは、「病虫害対策」「芽かき」、そして「つぼみがつかない枝(出開きとブラインド)の処理」です。順番に説明していきます。「芽出し肥」についても紹介します。

 

3月~4月の手入れ1、新芽が芽吹いてきたら「病虫害対策」の開始!

▲バラの株元に「オルトランDX」を散布して害虫を防除

の休眠期を終え、春の気配を感じてバラたちは目を覚ましました。新芽が出てきたら、まず病虫害の防除を始めましょう。木立ち樹形のバラの病虫害対策には、基本的に3本の農薬を使います。

 

害虫予防の基本は「オルトランDX」

萌え出たばかりの柔らかい新芽は、アブラムシがつきやすいので、3月下旬に害虫予防のために「オルトランDX」を株元にばら撒きます。「オルトランDX」は約1ヵ月間、効果が長く持続する農薬です。「オルトランDX」は、年間の使用回数が5回以内と決められているので、年間計画を立てて散布するようにしてください。

 


マイローズ オルトランDX粒剤(300g)【マイローズ】

 

病気予防の基本は「マイローズ殺菌スプレー」

病気予防の基本になるのは「マイローズ殺菌スプレー」です。バラにかかる代表的な病気に「ウドンコ病」と「黒点病」(=黒星病)があります。「マイローズ殺菌スプレー」は、「ウドンコ病」と「黒点病」予防に、さらに、発症してしまってからの治療にも効果的な農薬です。

 

「マイローズ殺菌スプレー」は使用回数制限の表記がなく、気軽に使えるところが魅力です。

 


殺虫殺菌剤:マイローズ 殺菌スプレー950ml

 

発生してしまった害虫や病気の駆除に「ベニカXファインスプレー」

それでも害虫や病気をみつけたら、スプレータイプの殺虫殺菌剤「ベニカXファインスプレー」で駆除しましょう。「ベニカXファインスプレー」は、病気にも害虫駆除にも効果を発揮する農薬です。「オルトランDX」「マイローズ殺菌スプレー」「ベニカXファインスプレー」は、木立ち樹形のバラの病虫害対策の基本になる農薬です。最低でも、この3種類はそろえておきましょう。

 

「ベニカXファインスプレー」は、とても効果の高い農薬ですが、より確実に病気を治療し害虫を駆除するためには、見つけたらすぐに使うことが大事です。蔓延した病気を治すにはたくさんの農薬が必要になりますし、育ちすぎた害虫には効果が薄くなってしまいます。

 

「ベニカXファインスプレー」の年間の総使用回数は4回以内と決められています。よく効くからといって、むやみに使わないよう注意してください。

 


マイローズ ベニカXファインスプレー(950mL)【マイローズ】

 

「ベニカXファインスプレー」には、バラの絵のついたボトルの他に真っ赤なボトルの商品もあります。どちらの商品も内容は同じです。

 

▼バラに使う基本的な農薬と使い方はこちらをご覧ください。

 

あいびーあいびー

農薬を使うのは、初心者にはちょっと抵抗があると思いますが、適切な使用でバラをじょうぶに育てましょう!

3月~4月の手入れ2、「芽出し肥」は与える?

植え栽培のばあいバラの根が肥料分を探しに行ける範囲が鉢の中だけと狭いので、適切に肥料を追加することで早く株を大きくしたりたくさんの花を咲かせることができます。このため多くの育て方紹介では、この時期に「芽出し肥」と称して肥料を追加するように書かれています。

 

でも、初心者は「芽出し肥」を与えない方がいいと思います。理由は、「芽出し肥」を与えなくてもちゃんと芽が出るからです。さらに肥料が少なくてもバラはめったに枯れないけれど、肥料が多すぎればバラは簡単に枯れるからです。

 

もしどうしても「芽出し肥」を与えたいなら、緩効性肥料(緩効性化成肥料または有機質配合肥料)を規定量の半分ていど与えるにとどめた方がいいと思います。液体肥料を薄くつくって1週間あけて3回ていど水やりの水がわりに与えてもいいと思います。いずれにせよ、肥料の与えすぎに注意です!

 

▼初心者のための肥料の選び方や使い方は、こちらをご覧ください

3月~4月の手入れ3、「芽かき」で、太くてじょうぶな枝を育てよう!

▲同じ場所から2本の細い芽が出ている

え出た芽をよく観察すると、同じ場所から2本以上の芽が出ていることがあります。このまま育てるとエネルギーが分散して、どちらも花を咲かせることができない貧弱な枝になってしまいます。1つの芽だけを残して他の芽を指で根元から折り取ってしまいましょう。この作業を「芽かき」といいます。

 

▲外芽を残して他をかき取る

このとき、バラの株の外側についている芽(外芽)を残すのが基本です。こうすると枝が育ったときに、株全体の形が上に向かって広がる形になり、バランスが良くなります。内芽(株の内側に向かって伸びている芽)を残すと内側に枝が混みあって、見た目のバランスが悪いだけでなく、風通しや日当たりが悪くなり病虫害が発生しやすくなります。

 

3月~4月の手入れ4、つぼみがつかない枝(「出開き」と「ブラインド」)の処理をしよう!

▲ブラインド枝の先端

先に萌え出た芽が順調に育っていれば、4月中旬以降に枝先につぼみが見えてくるはずですが、いつまでたってもつぼみが出ない枝が現れることがあります。こうした枝は、その枝の形状により「出開き」または「ブラインド」と呼ばれます。

▲出開き(左)とブラインド(右)

出開きは、数枚の葉が枝に張り付くように開いて、そのまま生長が止まってしまった芽です(図の左側の状態)。ブラインドは、あるていどの長さまで育っている枝の先端が細くなって生長が止まってしまった花枝です(図の右側の状態)。ブラインドの先端(赤い矢印の部分)には、本来ならあるはずの芽がなく、空っぽです。

 

どちらも、このまま放置すればぜったいに花は咲きません。

 

原因は、花枝が伸びるときに冷害にあったり、日照不足だったり、根に問題があったりと、なにかトラブルを抱えていると、出開きやブラインドになりやすいようです。要するに株に体力がないので、この枝を伸ばして花を咲かせられないとバラ自身が判断して開花調整しているのです。

 

出開きを咲かせることはできないので、そのまま放置してもいいし、あまり葉が混みあっているようならつけ根から切り落としても構いません。ブラインドは、5枚葉のところまで切り戻しておけば、上手くいけば次に伸びた花枝の先につぼみがつくかもしれません。何度やってもブラインドになるようならムリさせず、バラの判断にまかせてそのまま見守りましょう。

 

5月の手入れ/つぼみが膨らんでから、春の花後までの手入れのしかた「摘蕾(てきらい)」「花がら切り」「ベイサルシュート処理その1」「病虫害対策」

▲株いっぱいに咲く「ロザリーラ・モリエール」【F】

5月の中旬ごろになると、待望の春の花が咲きます。一番最初に咲くこの花を「1番花」と呼びます。1番花は、みずみずしく大輪に咲くのが特徴です。花数も一年で一番多くなります。冬からの手入れの成果が出る、ロザリアンにとって一番嬉しい季節ですね!

 

5月の手入れには、「摘蕾(てきらい)」「花がら切り」「ベイサルシュート処理」があります。「病虫害対策」も引き続き必要です。5月の手入れについて順番に説明しましょう。

 

5月の手入れ1、大輪に咲かせたいバラは「摘蕾(てきらい)」で、つぼみを減らす

▲状態の良い大きなつぼみ以外を摘み取る「摘蕾」

輪の花を咲かせられる品種では、すべてのつぼみを咲かせてしまうと、開花のエネルギーが分散してあまり大きな花になりません。花数は少なくなってもいいから大輪の花を咲かせたいというときには、1本の花枝の先に1~2個のつぼみだけを残し、脇のつぼみは摘んでしまいます。この手入れを「摘蕾(てきらい)」といいます。

 

それほど花の大きさにはこだわらず、そこそこの大きさの花がたくさん咲く方がいいという場合は、「摘蕾」しません。「摘蕾」は、大輪の花を咲かせる品種が多いハイブリッド・ティー系統のバラで、主に行われる手入れです。花数が多いのが持ち味のフロリバンダ系統のバラでは行いません。

 

あいびーあいびー

近年、ハイブリッド・ティー系統とフロリバンダ系統のバラの境界があいまいになってきています。大輪の花を数輪ずつ咲かせるフロリバンダも見られるようになりました。こういうバラは、フロリバンダでも摘蕾して構いません。そこは好みで対応してくださいね!

5月の手入れ2、基本の「花がら切り」のしかたを覚えよう!

 

▲花がら切りの基本は、花枝の半分の位置にある5枚葉の上で切る

っかく咲いたバラの花。長く楽しみたいところですが、咲き終わった花(花がら)をいつまでも枝先につけておくよりも、早いめに花がらを切った方が、次に咲く花(2番花)が早く咲いてくれます。花が満開を過ぎたら、さっそく花がら切りをしましょう。(人によっては8分咲きや、もっと早く切るという方もいます!)。

 

基本的な花がら切りのやり方は、その花が咲いている枝(花枝)の半分の位置にある5枚葉の上で切ります。切ったところからやがて芽が伸びてきて、約40日後には次の花(2番花)が咲きます。これよりも浅く(もっと花に近いところで)切れば早く2番花が咲きますが小さな花になり、これよりも深く(もっと株元に近いところで)切れば2番花が咲くまで時間がかかります。

 

5月の手入れ3、「ベイサルシュートの処理」を開始!

▲ベイサルシュートが【HT】なら30cm【F】なら20cmになったら最初のピンチ!

イサルシュートとは、株元から伸びてくる太い枝のことで、1番花が終わると出てくることが多いものです。放っておけばすぐに花を咲かせようとしますが、春は咲かせず、秋まで枝先をピンチ(指で折り取ること)して、エネルギーを枝を太らせる方に回します。

 

ベイサルシュートの高さが、ハイブリッド・ティー系統のバラなら30cmほどになったら、フロリバンダ系統のバラなら20cmほどになったら最初のピンチをします。

 

▲最初のピンチのしかた1、ベイサルシュートの枝先を5枚葉の上でぐいっとつかんで

 

▲最初のピンチのしかた2、ポキリと折り取る

 

折り取る場所は、わたしは若葉(写真では赤い葉)のすぐ下にある5枚葉の上で折ります。しばらくすると、葉の付け根から新芽が1~2本伸びてきます。

 

あいびーあいびー

枝先をピンチで折り取るのは、ハサミで切るよりも枝に負担がかからない方法です。バラの栽培ではよく使われるテクニックなので、覚えておきましょう!

5月の手入れ4、5月の「病虫害対策」の注意!

▲ウドンコ病で真っ白になったつぼみ

温が上がるにつれ、病虫害も増えてきます。病気ではウドンコ病や黒点病、害虫ではアブラムシやバラゾウムシなどが発生しやすくなってきます。3月~4月の手入れのところで紹介した「オルトランDX」「マイローズ殺菌スプレー」「ベニカXファインスプレー」だけで防げなくなってきたら、それぞれの病気や害虫に合わせた薬剤散布を行いましょう。

 

6月の手入れ/1番花の後、梅雨時期の手入れのしかた「お礼肥え」「黒点病の防除」「ベイサルシュートの処理その2」「2番花の花がら切り」

▲1番花の花がら切りから約40日で、2番花が咲く

6月初旬から7月にかけて、北海道以外の地域は梅雨に入ります。この時期は、どんどんバラが生長し2番花が咲く楽しみもありますが、とにかく病虫害がひどくなりやすい時期です。病虫害からバラを守り、美しい葉をたくさん残すよう努めましょう!

 

6月のバラの手入れでは、「お礼肥え」「黒点病対策」「ベイサルシュートの処理その2」「2番花の花がら切り」のしかたを紹介します。

 

6月の手入れ1、春の1番花が終わったら「お礼肥え」を施す

▲有機質配合肥料を土の上に置いておくとカビることも!

季咲き性のバラは、年間を通じて良い花を咲かせるために、3回の肥料やりが必要です。肥料やりのタイミングは、冬の「元肥(もとひ)」、1番花が終わった後の「お礼肥え(おれいごえ)」、秋花のために9月初旬に施す「追肥(ついひ)」の3回です。

 

春にたくさんのきれいな花を咲かせてくれたお礼に施す「お礼肥え」は、1番花を咲かせるために使ってしまったエネルギーを補給し、2番花もまたきれいに咲かせるための肥料です。

 

「お礼肥え」では、すぐに効果が表れる速効性化成肥料が適しています。代表的な速効性化成肥料は液体肥料です。規定量に薄めて与えます。規定量より薄くつくった液体肥料を、1週間おきに3回くらい与えるのもいい方法です。

 


マイローズ ばらの液体肥料(800mL)【マイローズ】

▲速効性の液体肥料の定番「マイローズばらの液体肥料」

 

または、効果期間が2か月前後の固形の化成肥料を使っても構いません。

 

▼初心者のための固形の化成肥料について詳しくはこちらをどうぞ

 

固形の化成肥料のうち、有機質配合肥料は土の上にばら撒いておくと梅雨時にカビることがあります。これは肥料が分解される初期に起きることで、特に問題はありません。でも見た目が悪いので、気になるなら土に穴を掘り、そこに肥料を埋めておけば大丈夫です。

 

どんな肥料を選んでどう使うかは、とても重要です。たくさん肥料を与えれば、早く生長してたくさん花を咲かせてくれそうなイメージがありますが、そんなことはありません。肥料が少なくてもバラは滅多に枯れないけれど、肥料が多すぎると簡単に枯れてしまうことがあるので、肥料のやり過ぎには注意しましょう。

 

初心者は、少ない目に与えることから始めた方がいいと思います!

 

6月の手入れ2、梅雨時期の病虫害対策は、多湿で発生しやすい「黒点病の予防」を!

▲黒点病は雨にあたると、一気に広がるので梅雨時はとくに注意!

点病(「黒星病」ともいいます)は、ウドンコ病と並ぶバラの2大疾病です。葉に黒い斑点が出てきたと思ったら、あっというまに広がり、葉が黄色くなって落ちてしまいます。葉がなくなるので光合成できなくなったバラは、生長することができません。最悪の場合は枯れてしまうこともあるやっかいな病気です。

 

黒点病は、土の中にいる病原菌が雨や水やりの跳ね返りで葉につくことから発生しやすい病気です。鉢植えなら場所移動できるので、なるべく雨の当たらない場所に移動することでほぼ完全に黒点病を防ぐことができます。それでも気になるなら、土の上にマルチングしましょう。

 

マルチング材料はいろいろありますが、バーク材、ヤシガラマットなどがよく使われています。

 

6月の手入れ3、「ベイサルシュートの処理その2」つぼみが見えるか見えないかでピンチ

 

▲HTのベイサルシュートの太さが1cm以上あれば、2本の枝を伸ばしてもよい

5月に枝先をピンチしたベイサルシュートから新しい枝が伸びています。枝先をよく観察して、小さなつぼみのようなものが見えてきたら2回目のピンチをします。

 

▲枝先につぼみが見えてきたらピンチを!

 

2回目以降のピンチはこの繰り返しです。枝先につぼみのようなものが見えたら即、摘み取ります。9月まで、このつぼみピンチを続けます。

 

ハイブリッド・ティー系統のバラの場合、地面から出ているベイサルシュートの太さが1cm以上あるなら、新しい枝を2本残してもいいのですが、1cmない細いベーサルシュートの場合は枝を1本だけにして、他の枝は切り取ります。(芽のうちに折り取っておくといいですね)。細いベーサルシュートに2本の枝を伸ばしても、どちらもよい花を咲かせることができない貧弱な枝に育ってしまいます。

 

フロリバンダ系統のバラの場合は、地面から出ているベイサルシュートの太さが1cm以上あるなら、新しい枝を3本残してもだいじょうぶです。7mm以上で2本残してもよく、それ以下なら1本だけにしましょう。

 

6月の手入れ4、「2番花の花がら切り」のしかた

▲2番花の花がら切りは、1番花と同じ要領で

2番花が咲き終わったら、花がら切りをします。要領は1番花の花がら切りと同じです。その花が咲いている枝(花枝)の半分のところにある5枚葉の上で切ります。

 

ただしこの後の3番花を咲かせないときには、生長のためなるべくたくさん葉を残したいので、花首のすぐ下で切っておきます。まだ若い株や、あまり調子が良くない株は、3番花を咲かせない方がいいですね。

 

7月~8月の手入れ/暑い夏の手入れ「夏場の鉢の置き場所」「ベイサルシュートの処理その3」「3番花と4番花の処理のしかた」

雨明けとともに暑い夏の到来です。この時期、バラは旺盛に生育しています。この夏の時期に夏バテさせずに、なるべくたくさんの葉を茂らせて、しっかり光合成を促すことが、バラをじょうぶに育てるコツです。

 

7月~8月の手入れでは、「夏場の鉢の置き場所」「土の温度管理」「ベイサルシュートの処理その3」「3番花と4番花の処理のしかた」について説明します。

 

7月~8月の手入れその1、「夏場の鉢の置き場所」

▲夏はできれば半日陰で管理を

とんどのバラにとって、高温多湿の日本の夏は過ごしにくくて苦手です。強すぎる直射日光で葉が日焼けしたり、鉢土の温度が高くなりすぎて根を傷めたりしがちです。このため、あまりに陽当たりの良い場所はさけ、1日3時間ていどの日照がある場所(半日陰)に鉢を移動させるか、遮光ネットを使って陽ざしを和らげてあげるといいですね。

 

水やりにも注意が必要です。鉢土がよく乾く環境にあるなら、朝夕2回の水やりが必要になるでしょう。

 

7月~8月の手入れその2、「鉢土の温度管理」のしかた

木鉢の土の温度が高くなりすぎると根を傷めてしまうので、夏場は鉢土の温度管理が大切です。鉢土の温度管理のしかたをいくつか紹介します。

 

鉢土の温度管理のしかた1、ポットフィートにのせる


スペイン製 ポットフット 5〜6cm テラコッタ 陶器製 素焼き どんな植物とも相性よく、通気性もバツグン。 ポットフィート 園芸 ガーデニング プランター

ットフィートは、鉢と床との間に隙間をつくるための小さな台です。とくにヨーロッパの植木鉢は底穴が極端に小さかったり横についていたりして水はけが悪いものが多いので、ポットフィートに載せることで水はけをよくして根腐れを防止する役割があります。

 

さらに、夏場の床からの輻射熱で鉢土が高温になりすぎるのを防ぐ効果もあります。通常3~4個1セットで使うので複数形の「ポットフィート」(potfeet)と呼ばれますが、単数形の「ポットフット」(potfoot)と表記されることもあります。

 

鉢土の温度管理のしかた2、マルチングする


花ごころ バラ専用マルチングチップ(10L)

の上をなにかで覆うことをマルチングといいます。畑だとビニールでマルチングしていることが多いのですが、観賞用のバラにはもう少し見栄えのいい材料を使います。よく使われるのがバークチップヤシガラマットです。

 

マルチングすることで、雑草が生えるのを防いだり、鉢土が乾きすぎるのを防いだり、鉢土の跳ね返りから病原菌がバラの葉につくのを防いだり、さまざまな効果が期待できます。鉢土の温度が上がりすぎるのも防げます。

 

鉢土の温度管理のしかた3、二重鉢にする、または分厚いテラコッタ鉢を使う

▲鉢を二重にする「二重鉢」

ラスチック鉢は薄いので外気温の影響を受けやすく、土の温度が高くなりがちです。一回り大きな鉢に入れ子にして二重鉢にすると鉢内の温度が高くなりすぎるのを防げます。

 

我が家ではあまりプラスチック鉢を使わないので、写真ではテラコッタ鉢を使用しています。外側の鉢はもう少し大きい方が理想ですね。鉢と鉢の間に土を詰めれば、さらに遮断効果が高くなります。

 

または、どうしても暑い場所に置かなければいけないなら、最初からプラスチック鉢ではなく分厚いテラコッタ鉢に植えこんでおけばだいぶマシです。テラコッタは水分を通すので、水やりのたびに鉢の側面から微量の水が染みだし、鉢土の温度が高くなりすぎるのを防ぎます。

 

7月~8月の手入れその3、「ベイサルシュートの処理その3」

▲花を咲かせないようピンチを繰り返す

イサルシュートは引き続き、枝先につぼみが見えるかどうかのタイミングでピンチします。こうして、花を咲かせるエネルギーを枝を充実させる方に回すのです。

 

7月~8月の手入れその4、「3番花と4番花の処理」のしかた

▲3番花の花がらは、花のすぐ下で切る

2番花の花がら切りをした後、8月になってから3番花が咲きます。3番花を咲かせた後の花がら切りは、なるべく葉をたくさん残すために花首だけを切ります。

 

さらに4番花のつぼみが上がることがありますが、これは秋の開花にそなえて咲かせず、つぼみをピンチしましょう。(ここでは標準的な開花周期を書いています。品種や環境により、開花周期は異なります)。

 

あいびーあいびー

梅雨と夏をどう乗り越えたくさんの良い葉を残せるか、さらにベイサルシュートを適切に管理できるかが、バラをじょうぶに育てるカギです。ていねいな観察と適切な手入れで乗り切りましょう!

9月の手入れ/日本独自の手入れ「追肥」「夏剪定」は9月10日までに行う!

だ残暑厳しい9月初旬は、秋に良い花を咲かせるために行いたい手入れがあります。すべての枝にハサミを入れる「夏剪定」です。そして「夏剪定」の後にスムーズに芽吹くようにあらかじめ施しておくのが「追肥」です。

 

9月の手入れは「追肥」「夏剪定」「鉢の置き場所」について紹介します。

 

9月の手入れその1、「夏剪定」の1週間前に行いたい「追肥」のしかた

▲使用する肥料の効果の持続期間を確認!

い花が見込めるほど気温が下がる10月中旬に、一斉に秋花を咲かせるために行うのが「夏剪定」です。そして、夏剪定を行ってからの芽吹きがスムーズになるようにあらかじめ施しておくのが「追肥」です。

 

「追肥」を行うのは「夏剪定」の1週間前が適しています。夏剪定は9月1日~10日が適期なので、追肥は8月下旬~9月に入ったらすぐに与えます。

 

追肥には、効果の持続期間が1~2ヵ月の固形の化成肥料を使います。

 

固形の化成肥料にはさまざまなタイプがあります。「1ヵ月間効果が持続する」というタイプが多いのですが、なかには5~6カ月、場合によっては2年も効果が長く続くタイプもあります。こういう効果の持続期間が長いタイプの肥料をこのタイミングで使ってしまうと、冬の休眠期までずっと肥料効果が続いてしまい、バラがすっきり休眠に入ることができなくなります。使用する肥料の効果の持続期間を確認してください。持続期間が1~2ヵ月ていどなら問題なく使えます。

 

上の写真の右端は、「花ごころばらの肥料」の裏書きです。「月1回」施肥するという表示から、この肥料の効果期間が1ヵ月だと分かります。(ちょっと分かりにくい表示のしかたですね!)

 

9月の手入れその2、秋に良い花を咲かせるための開花調整「夏剪定」は9月10日までに行う(シュートも同じように剪定します)

▲「夏剪定」では2番花の花枝すべてにハサミを入れる

ラは暑さが苦手で、夏に良い花を咲かせることができませんが、涼しくなる秋にはまた良い花を咲かせることができるようになります。このため、ちょうど良い花を咲かせやすい10月中旬に開花させるよう開花調整する目的で行うのが「夏剪定」です。

 

「夏剪定」の方法は、2番花を咲かせた花枝の半分よりやや上の方で枝を切ります。ポイントは、ベイサルシュートも含めすべての枝にハサミを入れることです。やがて新しい芽が伸び、10月中旬にそろって花が咲きます。

 

9月1日~10日の間に剪定すれば、ちょうど10月中旬に開花させることができます。この作業は、四季がはっきりしている日本独自の作業です。

 

9月の手入れその3、鉢の置き場所

の間、強すぎる陽ざしを避けて半日陰に移動していた鉢は、天気と相談しながらじょじょに日向にもどします。

 

10月~11月の手入れ/秋バラが開花してから

▲「桃花」【HT】の秋花

10月中旬、秋バラがそろって開花します。秋バラは、春に比べて時間をかけて開花するので、花をよい状態で観られる期間が長いのが特徴です。香りの質が良いともいわれますね。

 

気温もぐっと涼しくなり、病虫害の被害も少なくなる季節です。3月の芽吹きからちょっと忙しい毎日でしたが、10月~11月はホッと一息つけます。

 

ただし、ホソオビアシブトクチバなどの蛾の幼虫(イモムシ)が出るので、オルトランDXの効果が切れていないか、前回散布した日を確認しておきましょう。

 

咲いた秋花は枝先に咲かせたままにしておいてもいいし、花がらを1番上の5枚葉の上で切っておけば、気温や置き場所、品種次第ですが、冬までにもう一度花を咲かせてくれるかもしれません。

 

あいびーあいびー

この頃には、また大苗が出回ります。次はどんなバラを育てようか、バラの専門店からカタログを取り寄せたり、ネット検索で好みのバラを選んだり、楽しく過ごしてください!

12月~2月の手入れ/バラの休眠期の手入れ「植え替え」「冬剪定」

▲冬の間、バラは生長をやめ休眠中

12月に入ると、バラは生長を止めて休眠に入ります。この時期はたしょうバラに無理をさせてもだいじょうぶなので、植えつけや移植を行う適期です。初心者が植えつけを行うにはもっとも失敗のない時期なので、今回の記事では大苗を冬に植えつける方法を紹介してきたのです。

 

植えつけから1年たった株には、翌春にまた美しい花を咲かせてくれるよう、「植え替え(土替え)」と「冬剪定」を行います。

 

12月~2月の手入れその1、植え替え(土替え)

年の冬に大苗を植えつけてから約1年。木立ち樹形のバラは四季咲きなので、春~秋まで3~4回の花を楽しませてくれました。とちゅうで肥料を追加してなんとかもたせてきましたが、もう土の肥料分はスッカラカンになっているはずです。

 

そこでバラが休眠しているこの時期に、次の1年しっかり育てるよう土を総取り換えする植え替え(土替え)作業をします。同時に、根に病気が発生していないか土に害虫がもぐりこんでいないかなどのチェックもします。植え替えは、これからの1年間、しっかりバラが育つために重要な作業です。寒い時期ですが、必ず毎年行いましょう!

 

木立ちバラの植え替え手順を順に説明します。

 

木立ちバラの植え替え方その1、準備するもの

▲1年たったバラの鉢植え、培養土、鉢底石などを準備

備するものは、植え替える前の鉢植え、培養土(肥料入り)、鉢底石、鉢底ネットです。鉢底石は、通常のものでも、赤玉土(中粒または大粒)で代用しても構いません。肥料入りの培養土を使うなら、さらに肥料をプラスする必要はありません。肥料なしの培養土や古土をリサイクルする場合は、適宜、肥料をプラスしてください。

 

これ以外に、適宜、ガーデングローブ、水やり用のバケツ、土入れ、シャベルなどを用意してください。1~2鉢の植え替えなら、わたしは使い捨てのビニール手袋を使っています。

 

植え替える鉢植えは、できれば2日ほど水やりしてない方が、土離れが良く作業がしやすいです。

 

木立ちバラの植え替え方その2、鉢植えからバラを引き抜く

▲鉢に沿ってシャベルで1週する

さいめの鉢や、しっかり根が張っているバラは、うまく鉢から抜けないことが多いので、シャベルで鉢と土の間をつつきながら1週すると、抜きやすくなります。

 

▲拳で鉢を叩いて1週する

 

それでも上手く抜けないときは、鉢の周りを拳でトントン叩いて1週すると、上手く抜けてくれます。

 

木立ちバラの植え替え方その3、根をほぐして害虫や病気がないかチェック!

▲根についた土を落として状態をチェックしよう

からバラの株が抜けたら、根をほぐして、根にがん腫がないか、土の中に害虫が侵入していないか、根が伸びすぎていないかなどをチェックします。

 

▲バラの根を食い荒らすコガネムシの幼虫

 

もしもコガネムシの幼虫を見つけたら、殺します。コガネムシの幼虫は、バラの根を食い荒らす、とても厄介な害虫です!

 

以前わたしは白い鉢底石を使っていたのですが、白い鉢底石とコガネムシの幼虫が見分けにくいので、最近では鉢底石のかわりに大粒や中粒の赤玉土を使っています。

 

バラの根頭がん腫病は、バラの株元や根に芋のような塊(コブ)ができる病気です。がん腫はバラの養分を吸い、弱らせ、いずれ枯らしてしまいます。がん腫を見つけたら、初心者さんは、そのバラも、そのバラが植わっていた土もすべて廃棄処分してください。鉢や、そのバラが植わっていた土を掘ったシャベルなどはしっかり洗ってから消毒を! そのままにしておくと、細菌感染で広がるので、他のバラにもうつってしまいます。

 

中級以上の方は、がん腫を切り取り経過観察でもいいと思います。ただし、切り取ったナイフや土を触ったシャベルなど、しっかり消毒してから他のバラに使ってください。がん腫を切り取ったバラでもちゃんと咲いてくれますが、がん腫は完治することはなく治ったように見えても再発しやすいようです。他のバラが被害に遭わないよう、細心の注意を払ってください! 自信がないなら迷わず処分を(涙

 

どうしても処分したくないがん腫発症バラには、専用活力剤を利用するという手もあります。

 

▼活力剤については、こちらのページをご覧ください。

 

木立ちバラの植え替え方その4、根の整理!

▲伸びすぎた根はカット

く伸びすぎているひげ根(ひげのように細い根)は、鉢におさまるよう切り詰めます。ここまで根を触っていいのは、バラの休眠期だからこそです。この時期なら、多少、根に負担のかかる作業をしても枯れる心配はありません。

 

木立ちバラの植え替え方その5、鉢底ネットと鉢底石を!

▲細かい排水用の穴が開いたプラスチック鉢の底

え替える新しい鉢がプラスチック鉢で、底穴が細かいタイプなら、鉢底ネットはいりません。

 

▲大きな底穴には、鉢底ネットを!

 

底穴が大きなタイプの鉢なら、なめくじなどの害虫が侵入するのを防ぐために、鉢底ネットをかぶせます。

 

▲鉢底石か、代用品の大粒または中粒の赤玉土を入れる

 

さらに鉢底石または、鉢底石がわりに赤玉土(大粒または中粒)を2cmほど入れます。

 

木立ちバラの植え替え方その6、バラの木の高さを調節しながら培養土を入れる

▲接ぎ口が鉢の縁から2cm下になるよう調節して培養土を入れる

底石の上に培養土を5~6cm入れたら、バラの木を置き、バラの接ぎ口が鉢の縁から1~2cm下になるように高さを調節して培養土を足します。

 

木立ちバラの植え替え方その7、葉やつぼみをすべて摘んで水やりして完了

▲まだしっかりついている葉はハサミでカット!

後に、バラの葉をすべて摘み取り、たっぷり水やりして作業は完了です。つぼみがついていたら、つぼみもカットしておきます。

 

葉をすべて摘み取るのは、葉に付着している病原菌を翌春に持ち越さないためです。また、葉を摘むことで強制的に光合成できなくし、すっきり休眠に入るのを促す効果もあります。

 

12月~2月の手入れその2、冬剪定(適期は2月)

▲冬剪定のしかた

え替えと同時に冬剪定を行ってもいいのですが、できれば冬剪定は、バラが休眠から目を覚ます直前の2月に行うのが適期です。

 

冬剪定のしかたは、

 

赤い線A/まず細すぎる枝や枯れ枝をつけ根から切り取ります。

 

青い線B/ハイブリッドティー系統のバラは、この位置でカット。春から伸びた枝の1/3の高さで切ります。剪定した後は、春から伸びた枝が10~15cm残っている状態になります。パティオローズやミニバラもこの方法で剪定します。

 

紫色の線C/フロリバンダ系統のバラは、この位置でカット。春から伸びた枝の1/2の高さで切ります。もっと長く枝を残し、2/3の高さで切っても構いません。なるべく1番花が咲いた花枝で切ります。

 

シュラブ樹形のバラ/イングリッシュローズなどのシュラブ樹形のバラは、フロリバンダ系統のバラと同じ剪定(紫色の線C)ができます。2/3の高さを目安に、枝をやや長く残します。細枝でもよく咲くので、あるていど細いものも残します。

 

あいびーあいびー

枝を切る場所は、株の外側についている芽(外芽)の上5ミリの場所です。枝に対してナナメではなく真っ直ぐ切ってくださいね!

まとめ

バラの育て方のページをなんとか分かりやすくできないかと、ずっと考えていました。その結果、樹形別に、一連の流れが分かるように書くのがいいと思い、このようにまとめました。かなり長いページになってしまいましたが、写真やイラストを多く使って分かりやすくしたつもりです。

 

今回は、「木立ち樹形のバラを鉢植えで育てる方法」に絞ってまとめています。別記事の「木立ち樹形のバラを庭で育てる方法」とかぶっている部分も多くありますが、鉢植え特有の注意点などを盛り込んでいますので、参考になさってください。

 

基本だけでもこれだけ長くなってしまったので、もっと細かいこと、たとえば肥料や病虫害、農薬などについては、別のページをつくっています。詳しくは、それぞれのページを参考にしてください。

 

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