大切なバラに「根頭がん腫病」が発症してしまったら! どうすればいいか、実際の対処のしかたを紹介します。初心者には廃棄処分と消毒のしかたを、中級以上の方向けに治療のしかたをまとめています。


対処1、購入したバラ苗に「根頭がん腫病」があったら! まず販売店に相談を!

▲バラ苗が届いたら、「根頭がん腫病」のコブがないかチェック! 写真提供/天女の舞子

ームセンターやネットでバラ苗を購入したら、早速、株元や根に「根頭がん腫病」のコブがないか確認しましょう! もし「根頭がん腫病」のコブを発見してしまったら・・・。

 

すぐにスマホなどで写真を撮って、購入店に相談しましょう。返品可能期間のうちなら、代替品を送ってもらえたり返金に応じてもらえたりします。返品可能期間はお店によりまちまちですが、1週間ていどと短いケースが多いので、早めのチェックが大事です。

 

▲接ぎ口にできたカルス

 

「根頭がん腫病」のコブは、文字通り「根の頭」つまり株元にできることが多く、この場所にできたコブは巨大化しやすいのですが、バラの枝の傷ついたところにできる「カルス」と紛らわしいときがあります。「カルス」は、傷ついた枝を修復しようとする「かさぶた」のようなものです。たとえば上の写真は接ぎ口にできた「カルス」です。ちょっとがん腫のコブのようにも見えますが、これは正常です。

 

▲つるバラの折れ曲がったところにできた「カルス」

 

「カルス」は、枝の折れ曲がったところにもできます。枝を包むような感じでできるので、「がん腫」と区別がつきます。「がん腫」の場合は指でもぎ取ることができますが、「カルス」は指で取ることができません。

 

「がん腫」か「カルス」か分からないときにも、販売店に相談してみるといいと思います。

 

対処2、「根頭がん腫病」のバラは、初心者なら迷わず廃棄処分に!

▲土は廃棄、鉢やシャベル、ハサミは消毒を!

回の記事「バラの「根頭がん腫病」とは?「根頭がん腫病」の知識と予防のしかた!」でも書きましたが、「根頭がん腫病」は厳密には完治することができず、しかも感染力の強い病気です。対処のしかたが面倒なので、初心者なら迷わず廃棄処分をおすすめします。

 

罹患しているバラ苗と土は廃棄処分。鉢、シャベル、もし枝を切っているならハサミも消毒してから再利用します。罹患しているバラが植わっていた土を靴底で踏んでしまっていたら──念のため、靴底も消毒しておくと安心です。

 

鉢やシャベル、ハサミなどの消毒(殺菌)のしかた

▲「ハイター」は「次亜塩素酸ナトリウム」6%溶液

やシャベル、ハサミなどは、「次亜塩素酸ナトリウム」0.1%(1000ppm)溶液に漬けておけば、安全に消毒(殺菌)できます。「次亜塩素酸ナトリウム」というと分かりにくいのですが、衣類の除菌や漂白に使われる「ハイター」が「次亜塩素酸ナトリウム」6%溶液、赤ちゃんの哺乳びん消毒に使われる「ミルトン」で約1%溶液です。

 

1リットルの水に20ml(ハイターのキャップ8分目)のハイターを入れて混ぜれば、だいたい「次亜塩素酸ナトリウム」0.1%溶液ができます。この消毒液に器具を2~3分漬けこんでおけば殺菌できます。

 

消毒液をつくるさいは、原液が指などの皮ふにつかないよう、使い捨て手袋を使うなど注意してください。また、次亜塩素酸ナトリウムは金属の腐食作用があります。ハサミや金属製シャベルを消毒したあとは、水洗いしてから使ってください。鉢を漬け込むのは難しいので、霧吹きに入れて噴霧するとやりやすいです。

 

ウイルスは熱で殺菌することもできます。たとえば剪定ばさみを鍋で煮沸消毒したり、刃にライターの火を当てることで殺菌することができます。切り花生産農家ではウイルスの感染対策のため、1株切るごとにライターで熱消毒を心がけていると聞きます。

 

対処3、どうしても廃棄処分したくないバラの治療方法

▲失ってしまえば二度と手に入らない、あいびーのお気に入り(名前不肖)

頭がん腫病の株は廃棄処分が基本とはいえ──たとえばお気に入りの品種だったり、既に廃版で入手不可能なものだったり、とても思い入れのあるバラのこともあります。こんなときには、他のバラに感染しないよう消毒液や熱消毒で器具をしっかり殺菌しながら、バラの治療を試みることもできます。

 

管理が面倒になるので初心者にはおすすめしませんが、中級以上の方ならチャレンジしてもいいと思います。その方法を紹介します。

 

治療のしかた1、がん腫を取り除く


OPINEL | 草刈りナイフNo.8 |オピネル | フォールディングナイフ

元にできたがん腫は、がん腫の周りをガーデンナイフやカッターナイフを使い削り取ります。根頭がん腫病の細菌は、がん腫のある部分から6cm離れたところでも確認できたという研究例もあります。がん腫だけでなく、その周りも削り取るのが大切です。

 

根にできたがん腫は、その根ごとつけ根から切り取ります。さらにがん腫の周りの根にも広がっていることが多いので、周りの根も減らします。

 

がん腫の切り取りに使ったナイフやハサミは、使用後に殺菌しておきましょう。

 

治療のしかた2、切り口に木酢液の原液を塗る


天然木酢液1.5L原液赤ラベル(国産品)

酢液は、木炭をつくる際に生じる水蒸気を冷やして集めた液体です。有機酸やアルコール、フェノール類、ビタミン、ミネラルなど200種類以上の成分が含まれていて、さらに木酢液の原液はpH2.8~3.2と強酸性のため、殺菌・殺虫能力にすぐれる液体です。

 

全体散布をする場合は原液を100倍以上に薄めて使うのですが、根頭がん腫病の治療には、がん腫を取ったところに原液のまま筆などで塗ります。これは、傷口からがん腫病菌が入り込まないようにするためです。

 

▲傷口の癒着を促進する「トップジンMペースト」 写真提供/天女の舞子

 

傷口からの細菌の侵入を防ぐ効果は、「トップジンMペースト」でも得られます。

 

治療のしかた3、殺菌した鉢と新しい培養土で植え直す

頭がん腫病が発生した株が植わっていた鉢は洗ってから消毒液で殺菌、それまでの土は廃棄処分して新しい培養土で植え直します。

 

治療のしかた4、再発するたびに1~3の工程を繰り返す

▲「根頭がん腫病」はくり返し発症する 写真提供/天女の舞子

度処置をしても、「根頭がん腫病」はくり返し発症することがあります。そのたびに1~3の工程をくり返します。

 

ピーキャット流の治療のしかた/体内洗浄

▲次亜塩素酸水を生成するキット

うきの園芸ショップピーキャットは、次亜塩素酸水(人体にも植物にも安全な消毒薬)をバラ栽培に取り入れ、バラの無農薬栽培とくに根頭がん腫病の予防と改善に力を入れている園芸店です。

 

上記1~2の工程(がん腫を削り取った後に木酢液塗布)を行った後、「ゆうきの園芸ショップピーキャット」の製品「ピキャットクリア」(次亜塩素酸水)の100~150ppm溶液にバラの根を3時間ほど漬け込むと、がん腫病菌を体内から除菌できます。体内洗浄のあと、除菌した鉢と新しい培養土で植えれば完璧です。

 

▼「ゆうきの園芸ショップ」ピーキャット店はこちら

 

厳密には「根頭がん腫病」を根治することはできない!

回の「バラの「根頭がん腫病」とは?「根頭がん腫病」の知識と予防のしかた!」の記事でも書きましたが、じつは「根頭がん腫病」を根治することはできません。「ピキャットクリア」で体内洗浄してすらがん腫ができることがあります。

 

根頭がん腫病を引き起こす「Agrobacterium tumefaciens」(アグロバクテリウム ツメファシエンス)という細菌は、バラの遺伝子に入り込み、遺伝子操作をしてしまう能力があります。遺伝子操作されたバラは、たとえ体内に「Agrobacterium tumefaciens」(アグロバクテリウム ツメファシエンス)がなくなっても、がん腫をつくることができます。このため、「根頭がん腫病を根治することはできない」と言われるのです。

 

▼前回の記事はこちらです

 

がん腫を取り続けることで、やがてがん腫ができなくなることも!

ん腫を取り除いて木酢液を塗る方法でも、さらにピキャットクリアを使って体内洗浄しても、がん腫が再発してしまうことはあります。でも根気よく取り続けることで、やがてがん腫ができなくなることがあります。こうなればしめたもの。根頭がん腫病を克服したといえるでしょう。

 

根頭がん腫病菌「Agrobacterium tumefaciens」(アグロバクテリウム ツメファシエンス)が、バラのどこまで広がっているかは分かりません。つるバラの枝の折れ曲がったところにコブができることがあるので、株すべてに行き渡ってしまうこともあるようです。

 

まだ初期の段階で遺伝子操作された部分もしっかり削り取れていれば、克服できる可能性は高いです。とはいえ、必ず克服できるとは限りません。遺伝子操作された細胞が広範囲に広がっていては、手の施しようがありません。根頭がん腫病を克服できるのは、発症株の30%くらいというデータも見かけました。

 

根頭がん腫病の治療に取り組むなら、ダメ元の心意気で! また、もし克服できたとしても発症していないキャリア株の可能性があるので、この株の枝を切った後は、他のバラへの感染を防ぐため剪定バサミの消毒を習慣づけた方がいいと思われます。

 

根頭がん腫病があっても、問題なく花が咲く

てもやっかいな根頭がん腫病ですが、じつは根頭がん腫病があっても問題なく花が咲きます。根頭がん腫病菌は遺伝子操作で植物を活性化させるので、一時的にバラがすごく元気になったように見えることすらあります。

 

ただし上で紹介したような治療を施さなければ、やがて感染株は衰弱し、花数も減り、ついに枯れてしまうこともあります。

 

挿し木でスペア苗をつくろう!

▲枝挿しで、スペア株を確保!

頭がん腫病の株は、いずれ枯れてしまう可能性があります。枯れないまでも、キャリア株の扱いはとても面倒です。根頭がん腫病を見つけてしまったら、その枝を挿し木して、スペア苗を確保しておくのも手です。

 

これまで見てきたように、根頭がん腫病の原因菌がどこまで広がっているかはその株の浸食され具合によりけりです。株全体に広がっていれば、いくら挿し木苗をつくっても、けっきょくその苗も根頭がん腫病のキャリア苗になってしまいます。でもうまく行けば、つまりうまく浸食されていない枝を挿し木できれば、根頭がん腫病のない健康な苗を確保できます。どこまで感染が広がっているか一般人には分からないので、運しだいですけどね。

 

まとめ

今回は、根頭がん腫病の治療のしかたについて紹介しました。──治療というか、根治できない病気なので対処のしかたと言ったほうが適切ですが。感染力が強い病気なので他のバラにうつさないよう、剪定ばさみなどの器具の消毒をしっかり行わなければいけないし、隔離管理が必要なので、初心者さんなら迷わず廃棄処分を。

 

どうしても廃棄処分したくない中級以上の方なら、治療を試みてもいいと思います。必ず克服できるわけではありませんが、早い段階で処置すれば、克服できる可能性は高いです。

 

根頭がん腫病は近年とても流行していて、バラ業界では大きな問題になっています。バラ園のバラは、そのほとんどが根頭がん腫病にかかっているとすら言われています。今のところ治療薬はなく、ピキャットクリアでの体内洗浄がもっとも効果的な方法だと思います。早く確実な治療薬ができるといいですよね!

 

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