プロが育てたバラと我が家のバラが全然違う!?その原因はテクニックやプロ仕様の肥料ではありません。主な原因は、日照なことが多いです。半日陰のバラ栽培を考えるシリーズ第1回は、日向と半日陰のバラはどう違うのかご紹介!

YOUYOU

初心者ロザリアンYOUです。プロの育てたバラと我が家のバラが違いすぎて凹んでいます。やっぱり初心者だから仕方ないのかなぁ?


プロのバラと我が家のバラが全然違う!その原因は?

▲専門家:「4月1日。そろそろ蕾が上がってきていますね~!」

年では多くのバラの専門家が動画を出しています。それを参考にしている方も多いでしょう。でも、専門家が紹介するバラの状態と我が家のバラの状態が違いすぎて悩んでいる方もいるのでは?

 

どうやらYOUちゃんもその一人のようです。

 

YOUYOU

ううーん・・・。

あいびーあいびー

YOUちゃん難しい顔してどうしたの?

YOUYOU

あいびーさん、いいところに。ちょっとコレ見て!うちのバラ変じゃない?

▲4月1日のバラの様子

あいびーあいびー

新芽が芽吹いてきたわね。ちゃんと芽かきもしてあって、いい感じだと思うけれど。何が変だと思うの?

YOUYOU

動画の先生によると、4月1日だともう蕾が出てきているらしいんだけど、うちのバラはまだ全然蕾なんてないの。もしかして調子が悪いのかな? それとも、やっぱりプロがやると育ち方が違うのかな?

あいびーあいびー

なるほど。それで心配になったのね。それじゃYOUちゃん、バラのプロとアマチュアの違いはどこだと思う?

▲適切な薬剤散布はバラ栽培の重要なテクニック 写真提供/天女の舞子

YOUYOU

やっぱりテクニックが違うわよね! 水やりのしかたひとつでも違うって聞くもの! あと、土とか肥料とか薬剤とか、ぜんぶプロ仕様の、アマチュアには入手できないスペシャルなアイテムを使ってるんじゃないかな?

あいびーあいびー

そうね、プロとアマチュアの違いは経験からくるテクニックの差ね。適切な管理や適切な資材の使い方、タイミングってのは、経験豊富なプロならでは! でもね、プロ仕様のアイテムはそんなに問題じゃない。それより一番大きな差は日照量だと思うわよ

バラ園と我が家のバラ栽培、最大の差は日当たり!

▲どこのバラ園も日当たり抜群!

ラは、日向を好む「陽性植物」です。バラ園を思い出してほしいのですが、どこのバラ園もとにかく日向が続きます。

 

たとえば上の写真は京成バラ園です。遮るもののない広大な日向に、バラが美しく咲き誇っていますね。でも、住宅地ではこうはいきません。

 

▲都会の住宅地

 

とくに都会では、そもそも庭がないことも多いし、たとえあっても外からの視線を遮るために常緑樹やブロック塀で囲まれています。

 

狭い道路を挟んで背の高い建物があることも多く、バラ園のように1日じゅう日の当たる環境なんて夢のまた夢。

 

▲あいびー&YOU家は東向きのベランダ栽培

 

あいびー家とYOU家は同じマンションの東向きのベランダでバラを育てています。ベランダの前は木立ちになっているので、1年を通して午前中に3時間ていどしか直射日光が当たりません。

 

1日じゅう日の当たる環境で育てている専門家と、1日3時間しか日の当たらない環境のあいびー&YOU家。バラの育ち方が違うのは当然です!

 

YOUYOU

そうか! プロはバラ園みたいに日当たり抜群の環境でバラを育てているし、わたしは1日3時間しか日の当たらない半日陰。同じように育つわけないわね! 日向と半日陰のバラって、具体的にどう違うの?

日向と半日陰の育ち方の違い

1、半日陰は徒長する

▲半日陰のチューリップはひょろりと徒長している

の写真は左が半日陰の我が家のチューリップ、右が隣の公園のチューリップです。

 

品種が違うことを差し引いても、我が家のチューリップはひょろりと草丈が長く、風にあおられ茎が曲がってしまっています。葉も細いですね。それに比べて花壇のチューリップはガッシリしています。

 

このように節(葉の付け根)と節の間が長く、全体に間延びした状態を「徒長」といいます。日照が足りないと、どんな植物も徒長します。もちろんバラも徒長します。

 

2、半日陰は病虫害に遭いやすい

▲軟弱に育ちやすい半日陰は病虫害が多い

ラは日向でも病虫害の多い植物ですが、日照が少ない環境だと余計に被害がひどくなります。

 

理由は、半日陰では日照不足から十分な光合成ができないため軟弱に育ってしまうから。弱った植物ほど病虫害にかかりやすくなります。

 

3、半日陰は花数が少ない

▲半日陰は日向より花数が減ってしまう

の写真の株は、それなりたくさん花が咲いているように見えますが、主幹の数に比べて花数が少ないです。日向ならこの3倍は咲いてもおかしくない。

 

この品種は房咲きするはずなのに、ほとんどの枝が1輪咲きになってしまっているから花数が少ないのです。半日陰では光合成が十分ではないので、房咲きすることができなかったのですね。

 

4、半日陰は花色が薄い

▲一般的に半日陰の方が花色が薄くなりやすい

般的に半日陰の花は、日向の花よりも花色が薄くなりがちです。

 

上の写真は左が半日陰の「ノヴァーリス」、右が日向の「ノヴァーリス」です。言われてみれば花弁の重なったあたりの花色が日向の方が濃いけれど、この品種ではそう差はありませんね。

 

花色に差がでやすい品種もあるようです。

 

あいびーあいびー

さらに、花弁の枚数も少なくなりがちです。

5、半日陰は返り咲きしづらい

▲返り咲きする品種でも1季咲きになりやすい

れは、半日陰で育てている我が家の「紅玉」です。じつは「紅玉」は返り咲きする品種です。日向で育てれば、秋にかなりまとまって咲きます。

 

しかし、我が家で秋に咲いたことはありません。

 

6、半日陰はシュートが出にくい

▲日向は圧倒的にシュートが出やすい

は半日陰の我が家でのバラのベイサルシュート、右はバラ園でのベイサルシュート。

 

もちろん鉢栽培よりも地植えの方がシュートは出やすいという違いはあるけれど、それでもここまでベイサルシュートの数に差が出ます。

 

ベイサルシュートが出やすいということは、病虫害でバラが弱ってもリカバリーが早いということです。少しの失敗も難なく乗り越えてくれるのが日向のバラ。反対に、少しの失敗が大きく響いてしまうのが半日陰のバラと言えます。

 

7、半日陰は生長が遅い

▲半日陰は芽吹きも生長も遅い 右写真提供/アスタルティ

の写真は左が4月1日の我が家(半日陰)のバラ、右が3月30日のアスタルティ家(日向)のバラです。

 

アスタルティ家のバラの方が葉が大きく、芽がぐっと伸びだしているのが分かります。コメ粒大の蕾もあるようです。

 

半日陰は、芽吹きもその後の生長も遅いし、花が咲くまでの日数も長くかかります。

 

8、半日陰は根が貧弱

▲日向育ちのバラは根もしっかりしている 写真提供/天女の舞子

ラは、地面ラインを境に根と地上部分(幹や葉)の状態は比例していると言われます。根がよく張っていれば、地上部分は健康に状態よく育っているし、根が貧弱なら地上部分も貧弱です。

 

十分な光合成が得られないバラは、どうしても地上部分が貧弱になりがちです。それはそのまま貧弱な根に直結します。

 

つまり半日陰のバラの根は、貧弱になりがちなのです。

 

半日陰でのバラ栽培は難易度が高い!

YOUYOU

徒長するし、病気や害虫被害に遭いやすいし、花は少ないし、花色は薄いし、返り咲きはしないし、シュートは出にくいし、生長は遅いし、根は貧弱だし・・・。半日陰って、悪いことだらけなのね!

あいびーあいびー

そうね。もともとバラはそんなに弱い植物じゃないんだけど、日当たりが悪い環境だと、一気に栽培難易度が上がると思うわ。バラの先生や栽培マニュアル本は、1日じゅう日の当たる環境での育て方しか教えてくれないし、日照不足が原因なのによく分からないまま失敗してしまう初心者さんは多いんじゃないかな。

日照不足が分からなかった、天女の舞子さんの経験

▲日照不足で株が弱っている 写真提供/天女の舞子

照不足で失敗してしまった例をひとつ紹介します。

 

これは応援レポーターの天女の舞子さんが住宅地の庭でバラを育てていた、まだまだ初心者のころの写真です。日照不足でかなり状態が悪いのですが、栽培経験の浅い当時の舞子さんはどうしてバラが弱っていくのか分かりませんでした。

 

天女の舞子天女の舞子

それまで植物を育てた経験もなかったし、家の南側の庭に鉢を置いていたので、大丈夫だと思い込んでいたんです。でも実際は、大きな常緑樹が茂る、ブロック塀で囲まれた庭なので、完全に日照不足だったんですね。

この株は日照不足で弱っているのに、舞子さんは肥料パッケージに書かれた通りたっぷり肥料やりをしてしまい、ついに多肥で枯れる寸前までいってしまいました。

 

その後、肥料分を抜いたり少しでも日の当たる場所に鉢を移動したりして2年かけてリカバリーしましたが、初心者の舞子さんにはなかなかハードな経験だったことでしょう。

 

天女の舞子天女の舞子

はい。この経験から多肥は怖いと学びました。なのでこれ以降、肥料は少ない目を心掛けてきました。

▲今は日当たり抜群の環境でバラ栽培 写真提供/天女の舞子

 

天女の舞子さんは、今では日当たりの良い農園の一角でバラを育てています。以前と今ではバラの様子が全然違っていますね。

 

天女の舞子天女の舞子

どのバラも見違えるほど大きくなりました。花もたくさん咲くし、根もしっかりしているので、10号鉢で育てている株が多いです。以前は6号鉢でも余るくらい根が貧弱だったんですが──。

 

以前は怖くてあまり思い切った剪定ができなかったけれど、今ではバシバシ切っています。すぐに伸びてくるのが分かっていますから!

天女の舞子さんのエピソードから、日当たりの差でどれだけバラの状態が変わるかよく分かりますね。

 

日向には日向の、半日陰には半日陰のバラの育て方がある!

▲半日陰ならではの育て方のコツがある!

日陰でもバラは育ちます。午前中の直射日光が3時間ていど当たる環境なら、じゅうぶんバラを楽しむことができます。

 

でも半日陰のバラは、日向のバラと育ち方が違います。育ち方が違うということは、管理のしかたも変わります。日向と同じ管理をしても上手く行かないことも多くあります。

 

日当りに難のある環境なら、半日陰ならではのコツをおさえて、バラ栽培を楽しみましょう!

 

▼日向、半日陰、日陰の条件は、こちらで確認してください。

まとめ

バラの先生やバラの本は、バラ園のように1日じゅう日の当たる環境での育て方を教えてくれますが、実際は、そんな日向で育てられる人ばかりではありません。

 

ほとんどの方が半日しか日が差さないとか、西日しか当たらないなど、日照に難のある場所でバラを育てているでしょう。もしかしたら、わたしのように1日に3時間ていどしか日が差さない環境の方もいるかもしれません。

 

半日陰でも──条件が良ければほぼ日の差さない北側の庭でもバラを育てることはできます。でも、やはり日向と同じ管理というわけには行きません。気をつけるべきポイントはいくつもあります。

 

これから「半日陰のバラ栽培」をテーマに記事を考えたいと思います。よろしくお願いします^^

 

▼バラ初心者YOUのQ&A一覧は、こちらからどうぞ

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