バラは品種や栽培環境によって、かなり違った育ち方をします。だから「我が家の」「わたしの」育て方を見極めるのがとっても大事!そのためゼヒおすすめしたいのが「バラの栽培ノート」。わたしのやり方を紹介するので参考にして!
バラ栽培の年間作業は多くて覚えるのが大変!
▲バラはステキだけど育てるのが難しいイメージがある
可愛らしい容姿に甘い香り、しかも年に何度も花が楽しめるバラ。ステキな品種が多いのでコレクションする楽しみもあれば、バラを庭に仕立てるガーデニングの楽しみもある。
でも、初心者が育てるにはなかなか敷居が高い。
春の芽吹きから冬の植え替えまで、1年にわたってすべき作業がとても多いから、育てるのが大変なイメージが強いのです。
▲草花類に比べて、確かにバラ栽培は年間作業が多い
いやイメージじゃなくて、実際、覚えるべき知識は多いし年間作業も多いです。近年に作出されたバラは、従来のバラより育てやすいものが増えているのは確かですが、それでも花が終わったら処分する1年草の草花と同じような気軽さでは扱えません。
でも、だからこその面白さもあります。掘っても掘っても尽きぬ疑問に頭を悩まし、トライアンドエラーを繰り返すことで、少しずつバラ栽培の腕も上達していきます。手軽に育てられないからこそ、素晴らしい花が咲いたときには、格別のうれしさがあります^^
少しの難しさはあるけれど、上手に育てれば10年以上も花を咲かせ続けてくれる、楽しみの多い花。それがバラです。
栽培上達への近道は「そだレポ」!
▲各品種の「そだレポ」は、情報の宝庫!
当サイトには、さまざまなバラの「そだレポ」があります。春の芽吹きの様子、1番花の様子、2番花の様子。病害に虫害。施肥や薬剤散布の時期や使用した商品などなど。
「そだレポ」は、超優秀なデータの宝庫です! 品種を選ぶ際のリアルな情報としてはもちろん、実際に育て始めてからも自分の苗との違いを比較できる現実的な指標になります。経験豊富なプロではなく、素人が育てたものだからこそ、リアルな現状を知ることができます。
夏剪定情報はとくに貴重!
▲シュラブ系統の夏剪定は迷いどころ!
とくに参考にしてほしいのが夏(秋)剪定について。夏剪定の基本は全体の2/3ていどの長さにカットするというものですが、シュラブ系統の品種に限ってはこれで上手くいくバラと行かないバラがあります。
上の写真はイングリッシュローズの「デスデモーナ」の夏剪定の項目です。イングリッシュローズはシュラブ系統のバラなので、基本通りに2/3の長さにカットすると失敗しやすいのですが試しにやってみたところ──やはり失敗しました。この経験から、「デスデモーナ」の夏剪定はナシにするか、もっと軽く1/4ていどの軽い剪定に留めるかの方が良いと分かりました。これも失敗して初めて分かることです。
現代の新しいバラはほとんどがシュラブ系統のバラです。夏剪定をどうすればいいか、悩んでしまう品種ばかりです。だからこそ「そだレポ」が、とっても貴重なんです!
──とはいえ、当サイトのそだレポも限界があります。すべての品種を網羅するなんて無理です。だったらどうすればいいか──!?
「そだレポ」を簡略化した「バラの栽培ノート」をつくろう!
▲自分だけの「バラの栽培ノート」がおすすめ
そこでオススメなのが我が家の「バラの栽培ノート」をつくることです。もちろんキチンとした「そだレポ」をつくるのが一番なんですが、やはり大変なので──「そだレポ」を簡略化した「バラの栽培ノート」我が家バージョンをつくりましょう。
普通のノートでも、記入欄の大きなカレンダーやスケジュール帳を利用しても構いません。わたしは100円均一(ダイソー)で購入したルーズリーフを利用しています。
公開!わたし(あいびー)の栽培ノート
▲見開きで1か月分になっている
バラの栽培ノートは、ご自分の使いやすいように作ればどんな形式でもいいのですが、ここでは、わたしの方法を紹介します。どうぞ参考にしてください。
ノートはB5判のバインダーとルーズリーフを使っています。
見開きで1か月分として、基本的に右のページだけにバラの情報を記入します。
右ページの一番上に年と月を大きく見出しとして記入します。
見出しの下に本文A。ここには、だいたいの日付、気になる天気、施肥、薬剤散布、ピンチなどのメインとなる手入れを記入します。たとえば、2024年7月のAの記述内容は以下の通り。
Aの記述内容
日付 | 天気 | 作業 |
初旬 |
雨続き 晴れると酷暑 35度以上になる |
水やりのたびにストレスブロック(活力剤)を薄めて散布(日照不足解消のため)。 微粉ハイポネックス(液肥)は10日に1回散布。
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7/20ごろ |
梅雨明け |
ハダニ被害が気になるので、毎日、午後に葉水を散布。(直射日光が射さなくなってから)。 葉水には、木酢液少々を入れてみる。 花は日焼けでキレイに咲かない→摘蕾するか開く直前にカットする ハマキムシ被害があったので、ネクストスプレーで駆除。 |
月末 |
35度以上の酷暑続き |
ベランダのリラの主幹が黄変→1本カット。もう1本も動きない。先月出たベイサルシュートの付け根付近から新しい枝が伸びてきた。ベイサルシュートになりそう。 |
このデータを利用するのは早くても数か月後~1年後以降なので、ちょっと分かりやすく書くのがコツです。とくに「だいたいの日付」「酷暑や梅雨明けなどのこの時期に特徴的な天気」「肥料や薬剤名」は、省略せずに必ず書きましょう。
本文AとBの間はマスキングテープを貼って仕切りにしています。
Bには、病虫害など心配なことや気になることを書きます。たとえば、2024年7月のBの記述内容は以下の通り。
Bの記述内容
我が家ではじめてハマキムシの被害があった。ネクストスプレーで駆除成功。 ハマキムシにはベニカXガード効かない?薬効が切れただけかな? ハダニにカダンセーフが効果的?(byガーデンちゃんねる) |
今年、我が家で初めてハマキムシが発生したのでその情報を。来年同じ時期にまた発生する可能性があるので、注意喚起になります。YOU TUBEで得た気になる情報も記入しています。
バラのデータは基本的にAとBに記入します。スペースが足りない場合は、Cの部分にもはみ出して記入します。
Cには、一緒に育てているほかの植物や、植物以外のことについて書きます。たとえば、2024年7月のCの記述内容は以下の通り。
Cの記述内容
7月に入ってから、エアコンの24時間つけっぱなし開始。室外機の熱風除けを2か所設置。 青アジサイ(エンドレスサマー)にミョウバン+木酢液を数回散布(蕾が上がってから) 水道水だけでは青アジサイは紫~ピンクになってしまう。 エンドレスサマーが何度も咲くのでピンチ。 アジサイにニームオイルは葉がボロボロになるのでNG アジサイにもハダニがつくので、葉水を葉裏から散布する シソにもハダニがつくので、葉裏に葉水を欠かさないこと バジルとローズマリーに2~3日に1回ニームオイル散布(害虫知らずでとてもいい!) |
「バラの栽培ノート」書き方のコツ4選!
▲カラフルなステーショナリーで見やすくデコろう!
コツ1、日付・天気・使用薬剤はなるべく正確に!
毎日お世話していると、分かり切ったことだからと、つい簡単なメモ書きでいいように感じます。でも、このデータを活用するのは数か月後~1年後・2年後です。そのときも今と同じお世話を続けているならいいのですが、使っている薬剤が変わっている可能性もあるし、1年前にどんなお世話をしていたか忘れてしまっているかもしれません。
だから、短いメモ書きではなく、なるべく詳しく記述しましょう。
とくに重要なのは、日付(上旬など、だいたいでも大丈夫)、天気(その日だけの天気ではなく、10日とか半月ほどのスパンでの傾向が重要)、肥料や薬剤散布したのなら品名をしっかり明記。「薬剤散布」なんてざっくりしたメモ書きでは、1年後に読み返したとき、何を使ったか分からなくて困ります。
コツ2、試した結果や疑問に思うことを書きとめる
上の項目の「Bの記述内容」にあるように、通常の管理以外に感じたことを書くのはとても重要です。
わたしは害虫防除に土に撒くタイプの「ベニカXガード」をメインに使っています。が、初めてハマキムシが発生しました。「ベニカXガード」がハマキムシに効果がないのか、単に薬効が切れてしまったのか、この時点では判断がつかなかったので、そう記述しています。
ハマキムシにはピンポイントで「ベニカXネクストスプレー」を散布しました。これは効果があったので、それも記述しています。
病気や害虫情報はとても重要なので、書き漏れのないようにしましょう。
現時点で困っていることや、どこかで聞きかじった情報で後日詳しく調べたり試してみたいものも書き留めます。
コツ3、毎日じゃなくていい。続けることが重要!
日記のように毎日、その日に行った手入れを書き留めていってもいいのですが、それではなかなか長続きしません。気がついたときに、10日単位で振り返って書くくらいでも大丈夫。
大事なのは、続けることです!
コツ4、楽しく続けられる工夫を!
日本の文房具はとても優秀で、楽しくデコレーションできる文房具がたくさんあります。楽しく続けられるように、そして、後で見返しやすくするためにも、カラフルな文房具を利用しましょう。
シールやマスキングテープ、蛍光マーカーなど、アイデア満載で自分だけの「バラの栽培ノート」をつくりましょう!
「バラの栽培ノート」の活用のしかた実例5選!
▲年間4回まで使用できる農薬
ここでは、せっかく作った「バラの栽培ノート」をどう活用していくかを、代表的な5つの例で紹介します。活用のしかたが分かれば、どんな情報を記入すべきか分かりやすくなりますよ!
1、農薬をいつ散布したか分かるので、次の散布時期で困らない
わたしは病虫害防除のメイン農薬として「ベニカXガード」を使っています。この農薬はとても優秀なんですが、年間4回までしか使うことができません。なので、いつ散布したか覚えておくことはとても重要です。
わたしの場合、3月下旬~4月初旬に最初の1回目を散布します。それ以降は虫害の様子をみながら散布しますが、「栽培ノート」に前回いつ散布したか記述があれば、散布時期を迷わなくて済みます。
このことから、いつどんな薬剤を使ったか、具体的に記入することが重要だと分かります。
2、いつどんな病虫害があるか分かるので予防しやすくなる
バラを育てているそれぞれの環境で、発生しやすい病気や害虫は決まっています。
たとえば我が家の場合、軒のあるベランダ栽培なのでウドンコ病は発生するけれど黒星病は発生しません。害虫でいえばヨトウムシやチュウレンジバチも出ますが、とにかくクシヒゲハバチの幼虫が大量発生します。そして、ハダニも毎年必ず発生します。とくにハダニは5月下旬から梅雨入りまでが要注意。
昨年の「バラの栽培ノート」に、こういう「我が家に特化した情報」が書き残されていたら──病気も害虫も予防ができます。しかもどうすればいいかも、「バラの栽培ノート」が教えてくれます。
このことから、いつどんな病虫害があるか、我が家での実情を記述しておくのが重要と分かります。
3、薬害など失敗したことから学べる
多くの農薬は夏の高温期に薬害が出ます。薬害で葉がボロボロになってしまったら、次にどう使えばいいのか、その失敗から学べます。
このことから、いつどんな農薬を使ったのか、具体的に記述するのが重要と分かります。とくに失敗した場合の情報が重要。このデータがあれば、同じ失敗を繰り返しません。
4、疑問に思うことを、詳しく調べることでスキルアップにつながる
バラ栽培をしていると、疑問に思うことは無限にあります。この虫はなんだろう? どんな農薬が効果があるんだろう? バラの葉が黄色くなったけど大丈夫かな? ネットで聞きかじったアレって、我が家でも効果があるのかな?
疑問に思ったときがチャンスです。調べましょう! そして、調べて分かったことも書き残していきましょう。
ネットで聞きかじった気になる情報も、実際に調べたり取り入れてみた感想を書き残していきましょう。
いずれ「バラの栽培ノート」が何冊にもなれば、疑問に思うことも減っていきます。そのころには、きっと自分の成長を実感できるはずです。
5、我が家にぴったりの夏剪定時期が分かる!
8月下旬~9月上旬は、秋バラをキレイに咲かせる手入れ「夏剪定」を行う時期です。ところがこの「夏剪定」、いつ行うのが最適解か、その時期を判断するのがとても難しい。
「夏剪定」とは、要するに秋バラが美しく咲く気温になる10月中旬にそろって咲かせることを目標に、逆算して剪定時期を決めるものです。ところが、ドンピシャで上手く咲くこともあれば、早く咲きすぎたり、下手をするとまったく咲かなかったりもします。
なにしろバラの品種によっても、育てている環境によっても、さらにその年の気候によっても、剪定してから咲くまでの日数はそれぞれなので、先生のマネをすれば上手く行く──というわけには行きません。栽培している人が、それぞれに判断するしかない難しさがあります。
毎年のデータを残すことで、我が家にぴったりな夏剪定の時期ややり方を探す手助けになります。
このことから、夏剪定についてはどの品種にどんな夏剪定をいつ行ったか──それぞれ詳しく書き残していく必要があることが分かります。
「バラの栽培ノート」の最終目標は「自分流のバラの育て方」を見つけること!
▲ロザリアンそれぞれに、育て方の「正解」がある 写真提供/天女の舞子
当サイトの「そだレポ」では、さまざまな応援レポーターさんに協力していただいています。応援レポーターさんは、それぞれ異なる環境で、それぞれ異なるバラとの向き合い方でバラを育てていらっしゃいます。
基本的なバラの育て方はみんな同じなのに、結果として何を使いどう育てるかは人それぞれです。バラを枯らしてしまえばそれは「不正解」ですが、ちゃんと咲かせて楽しめている限り、どんな育て方でも「正解」といえます。
つまり、ロザリアンそれぞれに「正解」があるのです。
たとえば「天女の舞子」さんは、とても「咲かせたがり」です。夏はもちろん、真冬でも可能なかぎり咲かせたいという考えです。
「アスタルティ」さんは、株の生長を重視しています。機能性に優れた大きな素焼き鉢を使い、有機質肥料を取り入れ、花をたくさん咲かせるよりも良い株に育てることを大事にしています。
「ありんぼ」さんは、自身の体調で管理しやすい方法を取っています。持病があったり膝に痛みがあったりで、庭いっぱいに育てているバラの細かい対応が難しい状態です。そんななか、ご自分の体調でも管理しやすい方法を探して実践しています。
どの育て方も「正解」です。
「バラの栽培ノート」を通じて、いずれ「自分流のバラの育て方」を見つけること、それが最終目標といえます。自分流のやり方が定まってきたら、バラ育てはぐっと楽になります。
「自分流」に落ち着くまでの試行錯誤が楽しい!
▲その日咲いた夏花を摘んでテーブルフラワーに
もしかしたら、これはわたしだけかも知れませんが・・・。わたしは試行錯誤がかなり好きです。
わたしは半日陰の集合住宅のベランダ栽培という、バラを育てるにはかなり特殊な環境のため、バラの専門家が教えてくれる方法では上手くいかないことが多くあります。そこで、自分なりの育て方を模索する必要があるのですが、その試行錯誤がけっこう楽しいのです。
たとえばこれまで、夏花の蕾はピンチで取り除いていたのですが、今年は咲かせました。日照不足を補う活力剤を使ったことで株の状態が格段に良くなったので、試験的に咲かせてみたのです。
▲咲く花は毎日変わるので、毎日違ったテーブルフラワーに
ちょっと伸びてすぐ咲く夏の花なので、どれもミニバラサイズの花径5cmほどですが、コップに挿した状態で3~4日楽しめます。現在9月中旬ですが、7月下旬~現在までテーブルに花が絶えたことがありません。
ただし、これが秋花にどう影響するか分かりません。夏の間咲かせ続けたために株が疲れて、秋に良い花が咲かないかもしれません。それを「バラの栽培ノート」に書き留めて、来年以降の手入れを決める判断材料にしようと思っています。
こういう試行錯誤はとても楽しいです^^
始める適期は「冬の植え替え時期」または「夏剪定時期」
▲夏剪定時期は、始めるのにいいタイミング
バラの栽培ノートを始めるなら、冬の植え替えからが一番です。古い土から新しい土へリセットする、バラ栽培の大きな区切りになる時期なので、冬の植え替えをスタートとするのがもっとも適しています。
でも、もうひとつのオススメ時期が夏剪定のタイミングです。夏剪定は住んでいる地域や日照、品種、さらに株の状態によっても、上手く行くタイミングは違います。あなたのバラに最適な夏剪定の時期やどれくらいカットするかは、あなたにしか分かりません。
「バラの栽培ノート」に今年の夏剪定について書き残しておけば、来年以降に必ず役立ちますよ!
まとめ
今回は「バラの栽培ノート」のすすめについて紹介しました。
バラを育てていると「あれ?この薬剤って前回いつ散布したんだっけ?」「去年、薬害が出たはずだけど、どの農薬だったっけ?」「去年の夏剪定はあまり上手く行かなかったけれど、今年はどうしようー?」と、手入れに迷ってしまうことが必ずあります。
バラの手入れはたくさんあるからこそ、記憶まかせでは上手く行かないことが多いもの。きちんとデータを残すことで将来、手入れに迷いがなくなるし、上手く行った方法を繰り返し続けることで栽培上達への近道になります。
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、とてもメリットの大きい「バラの栽培ノート」。この機会に、ぜひ取り入れてみてください!
じつはこの記事、夏剪定前の8月下旬に投稿しようと思っていたんですが、暑さにダウンして投稿が遅くなってしまいました。今からでも構わないので、今年の夏剪定を振り返って書き記すことから、始めてみてください!
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