バラのシュートに咲いた花はとても立派ですが、これは咲かせない方が良い管理です。とにかく花を咲かせたいと思いがちな初心者さんに、ぜひ知ってほしい内容です!

YOUYOU

梅雨に、我が家のバラが大きな房になってたくさん咲いたの! なにも手入れしていないのに、すごく元気に咲いたのよ^^ なのにバラ友が「それは咲かせちゃダメらしいよ」って言うの。どうして?


梅雨ごろに咲く、ひときわ大きな房になって咲くバラ──それはシュート枝に咲いている花かも!?

▲梅雨ごろに大きな房咲きする花は、シュートの花のことが多い

の花が一段落した少し後、ほとんどのバラから他の枝より明らかに勢いの良い枝が伸びてきます。そんな枝のことをバラの専門用語で「シュート」と呼びます。

 

▲株元から生えてくる「ベイサルシュート」 写真提供/天女の舞子

 

シュートは株元から生えているなら「ベイサルシュート」、幹の途中から生えているなら「サイドシュート」と呼び分けていますが、どちらも来年たくさんの花を咲かせる主幹になる大事な枝です。

 

▲「ほうき状」に咲いたベイサルシュートの花

 

シュートはとても勢いが良くすぐ伸びるので「気づいたら、もう花を咲かせていた!」なんていうことが起こりやすい枝です。お勤めしているなどで、あまりこまめにバラの手入れができない方なら、よくあることです。

 

シュートはほかの枝よりも高くなり、花も勢いよくたくさん咲きます。上の写真がベイサルシュートに咲いた花です。こういう状態をよく「ほうき状」と表現されます。

 

YOUYOU

たしかに花が咲いたのは、すごく太くて勢いの良い枝だったから「シュート」なんだと思うわ。それに咲き方もこの写真とそっくりで、たくさん咲いたの。たくさん咲いて嬉しかったんだけど・・・コレ咲かせちゃダメなの?

シュートは来年以降の主幹になる枝。枝を充実させる手入れが必要!

▲シュートを充実させるための大切な手入れ「ピンチ」

ュートは来年以降の主幹になるために生えてきた枝なので、主幹としての役割を担えるように、充実した枝に育てる手入れが必要です。

 

具体的には、ほかの枝より長く伸びすぎないよう、花を咲かせないよう、枝先を摘みます。これをバラの専門用語で「ピンチ」といいます。

 

バラは花を咲かせるために大きなエネルギーを消費するので、蕾を摘んでそのエネルギーを枝を充実させる方にあてるのです。

 

だからシュートにたくさんの花を咲かせるのは、エネルギーの無駄遣いとなり、株のためにはあまり良くないことと言えます。

 

これがとても日当たりの良い場所に地植えしている健康状態の良いバラなら、そんなに大きな問題になりません。でもあまり日照条件の良くない場所で育てていたり、鉢栽培しているバラなら絶対にシュートの花は咲かせない方がいいです。

 

▼シュートの具体的な手入れのしかたはこちらをどうぞ

 

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それじゃわたしったら、知らずにたくさん花が咲いたって喜んでいたのね・・・

あいびーあいびー

バラを育てるのは花を咲かせるのが目的だから、花が咲いて嬉しいのはだれでも同じよ。初心者にはよくあることだから、落ち込まないで。それじゃ花を咲かせたシュートをどうしたらいいかを、次に紹介するね。

シュートの花や蕾は、気づいたらすぐカットする!

▲シュートに蕾や花を見つけたら、すぐにカット!

を咲かせたシュート枝は、気づいたらすぐ、ほかの枝より少し低い位置でカットします。花が終わったらカットするのではなく、気づいたらすぐにカットしましょう。

 

▲ほうき状のベイサルシュートの蕾

 

まだ花が咲く前のほうき状の蕾を見つけたら、その時点でカットします。花を咲かせるエネルギーを節約し、枝を充実する方に向けるのです。

 

YOUYOU

花を咲かせない方がいいのは分かったけど、花を咲かせたシュートと咲かせなかったシュートとでは、なにか違いが出てくるの?

花を咲かせたシュートは空っぽの器のようなもの!状態の悪い枝!

▲シュートについてホワイトボードで説明する小山内健さん 出展/you tube

とえば京阪園芸の小山内健さんは、「出ただけのバラのシュートは空っぽの器、シリンダーのようなもの」と表現しています。

 

だから、きちんとシュート処理をして来年以降の主幹になれるよう育てることが大事なのです。空っぽの器のままのシュートは病気にも害虫にも弱い軟弱な枝とも話しています。

 

つまり花を咲かせたシュートは、空っぽの器のまま育ってしまった枝ということです。

 

▼小山内健さんの四季咲きバラのシュート管理の動画はこちら。11:30~注目してください!

 

▲シュートに咲いた大きな房咲きの花をカットする木村卓功さん 出展/you tube

 

ロサ・オリエンティスの育種家・バラの家の木村卓功さんは、花を咲かせたシュートは「翌年以降いい株にならない」と、動画内ではっきり話しています。

 

さらに「冬剪定のときにほうき状にした枝が嫌いだったら大元まで切り戻して、しっかりした株にしてあげる」とも。

 

▼木村卓功さんのベーサルシュートの処理と管理についての動画はこちら。7:50~注目してください!

 

つまり花を咲かせてしまったシュート枝を残しても、病虫害に遭いやすい上に花つきも良くない状態の悪い株になってしまいます。だから、ほかにもっと状態の良いシュート枝があるなら、花を咲かせたシュート枝は冬剪定で付け根から切り取ってもいいくらいなのです。

 

YOUYOU

花を咲かせたシュートは、冬剪定で付け根から切り取ってもいいくらい状態が良くないのかぁ。知らなかったとはいえ、ちょっとショック・・・。

あいびーあいびー

ほかにもっと状態の良いシュートがなければ、残してもいいけれどね。来年は失敗しないよう、シュート枝の管理のしかたを覚えてね!

まとめ

だいたい梅雨ごろに咲く大きな房咲きのバラ。たくさん咲いたと喜んでしまいがちなこの花は、じつはシュートの花のことが多いです。

 

シュートは来年以降の主幹になるため、大切に育てなければいけない枝です。花を咲かせてしまっては、良い主幹になれません。だから、基本的に咲かせてはいけないのです。

 

そういえばウチのバラも・・・と、YOUちゃんのように心当たりのある初心者さんいませんか? でも大丈夫。ロザリアンならだれしも一度はやってしまう勘違いですから。

 

来年から失敗しないよう、シュート枝を見分けるコツやシュート処理のしかたなど、しっかり覚えてくださいね^^

 

今回の記事は、一度もシュート処理(ピンチ)せずに咲かせてしまうのはダメという意味で、ピンチを繰り返して適切な管理をしたシュート枝なら、咲かせても大丈夫です。詳しくは、下記・関連記事の「【鉢植え編】バラのシュート処理・シュートの手入れのしかた」をご覧ください。

 

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