根頭癌腫病は「コブを削っておけば大丈夫」と、よく言われます。それは本当か? それじゃ、購入したバラ苗が根頭癌腫病だったとしても廃棄する必要はないのか? そのあたりについて説明しています。

YOUYOU

初心者ロザリアンYOUです。冬の植え替えをしたら、去年買ったバラに根頭癌腫病のコブができていたの!「コブを削っておけば大丈夫」とか「癌腫があってもバラは咲きます」って言う人もいるから、これ削って育てようと思うんだけど──。

根頭癌腫病があってもバラは咲く!

▲美しく咲いた根頭癌腫病の「アジュール」

ずこの写真をご覧ください。なかなかデリケートと聞く河本純子さんのバラが1つ欲しくて、悩んだ末に選んだ「アジュール」の春花です。

 

繊細なつくりと可憐な花色、しかも素晴らしい芳香をもつ、とてもステキなバラです。

 

▲冬の植え替えで根頭癌腫病が発覚

 

ところがこの株、根頭癌腫病にかかっていました。冬の植え替えで発覚したのですが、根のあちこちにグロテスクな癌腫のコブができていました。

 

YOUYOU

──っていうことは。やっぱり根頭癌腫病でもバラの花は咲くのね!?

あいびーあいびー

そう、根頭癌腫病の罹患株でも花は咲きます!

YOUYOU

なぁんだ、そうなのね。それじゃ、このバラは今もあいびーさんちのベランダにあるってことね?

あいびーあいびー

ないわよ。廃棄処分したわ。

YOUYOU

えぇ? どうして?

根頭癌腫病のバラ苗は、購入から1年以内なら、だいたい代品がもらえる

▲購入から1年以内なら、どこでも代品がもらえるはず 写真提供/アスタルティ

店により対応は少しずつ違うかもしれませんが、ほとんどの場合、根頭癌腫病のバラ苗は1年以内なら代品がもらえます。

 

根頭癌腫病が分かるのがほぼ冬の植え替え時なので、たとえば春に購入した株が冬に根頭癌腫病が発覚したというケースでも保証範囲内です。

 

昨今はバラ苗の根頭癌腫病罹患率がとても高いので、必ずその店舗で購入したという証拠になるネット購入や実店舗でも予約購入の方が無難かもしれません。

 

実店舗の店頭購入する場合は、根頭癌腫病の場合の保証がどうなっているか、しっかり確認した方がいいと思います。

 

あいびーあいびー

わたしの場合は実店舗の予約購入だったから、お店に連絡して新しい苗を代品としてもらったの。だから、病気の罹患株は廃棄処分よ。かなり状態悪かったしね。去年購入した苗ならYOUちゃんもそうしたら?

YOUYOU

うぅん・・・それもちょっと面倒くさいかなぁって。根頭癌腫病があっても咲くのなら、別にそこまでやる必要もないような気がしてるんだけど・・・。

根頭癌腫病のバラは、弱りやすく枯れやすい

▲根頭癌腫病の「リュシオール」の秋花

れは、やっぱり冬の植え替えで根頭癌腫病が発覚したロサ・オリエンティスの「リュシオール」です。生長状態は良く、シュートが何本も出て、可憐な花をたくさん咲かせてくれました。

 

まさか根頭癌腫病とは思えませんでした。

 

▲「アジュール」は、最初から状態が悪かった

 

こちらは、先ほどの「アジュール」です。最初から株の状態が悪く、すべての枝先が枯れていました。ひどく枯れこんでいる2本の主幹を切り取り、5本の主幹を残しているのが上の写真です。

 

株元から赤いベイサルシュートが出てきたので、ABCの状態の悪い3本の主幹を切り取りました。ところが──。

 

このベイサルシュートは立派に育って間もなく、しなしな萎れて枯れてしまいました。ベイサルシュートがこんな枯れ方をするなんて初めての経験です!

 

根頭癌腫病の株は、品種により問題なく育つこともあるけれど、驚くような調子の崩し方から枯れてしまうことも多いです。

 

あいびーあいびー

根頭癌腫病があっても耐えられる成長力をもった品種や、日照条件などが整った場所で栽培経験豊かな人が育てるなら、あるていど問題なく育てられると思う。けど、弱ったり枯れたりする確率はぐんと上がるから、初心者だと難しいでしょうね。すぐには枯れないけど、じょじょに弱っていくはず。

YOUYOU

そっかぁ~あいびーさんでも枯らしてしまうのね。わたしはバッチリ初心者だからとくに難しいかも。──でも「根頭癌腫病は、コブを削っておけば大丈夫」って聞いたんだけど、それじゃ、あれはウソ?

根頭癌腫病は、コブを削っただけでは治らない!

▲癌腫菌は導管を伝って株全体に広がる

頭癌腫病の感染から発症のメカニズムを簡単に説明します。

 

根頭癌腫病は、「Agrobacterium tumefaciens」(アグロバクテリウム ツメファシエンス)という細菌にバラが感染することで引き起こされます。長いので、ここでは「癌腫菌」と呼びますね。

 

上図のピンク色の●は、癌腫菌です。癌腫菌は土の中にいる細菌で、それがバラの根を切ったところや接ぎ木したときの傷口(どちらも赤矢印)から侵入して導管を伝い、バラ全体に広がります。

 

▲根の先に二段構えでできた癌腫のコブ

 

その後、癌腫菌は菌が侵入したあたりを中心にコブをつくります。このため、癌腫のコブは根の先や根の頭、つまり株元に多く発生します。

 

一説によると、癌腫のコブは癌腫菌が養分を取る貯蔵庫で、そこに癌腫菌はいないと言われています。

 

YOUYOU

えっ!? 癌腫菌は導管を伝ってバラ全体に行きわたっているの? しかもコブに癌腫菌はいないの? それじゃコブを削っても絶対に治らないじゃない!

あいびーあいびー

そう、治らない。削っても削っても、何度も何度も再発するわよ。

YOUYOU

ひぇ~・・・。それじゃ「コブを削っておけば大丈夫」ってのは、やっぱりウソなのね?

「コブを削っておけば大丈夫」は、愛着を持って育て続けているバラに対して使う言葉

▲たわわに花咲く「アンジェラ」の大株

く言われる「コブを削っておけば大丈夫」というのは、もう何年も育てている大切なバラに対して使う言葉だと思います。

 

上の写真は我が家のベランダでもう何年も育ててきた「アンジェラ」です。今は義実家の庭で、たっぷり花を咲かせています。たとえばこのバラに癌腫ができても、そう簡単に廃棄できません。

 

これまで紹介してきたように、根頭癌腫病にかかってもすぐに枯れるわけじゃないし、上手に管理すればその後長く花を咲かせ続けることも可能です。もちろん弱ったり枯れてしまうリスクはあるけれど、なんとか長生きしてくれるかも知れない。

 

だから、そう悲観しなくてもいいですよ! っていう慰めの言葉なんだと思います。けっして「コブを削っておけば病気が治る」ではないのです。

 

YOUYOU

たしかにわたしは「削っておけば大丈夫」を「削っておけば病気が治る」と、勘違いしちゃってたかも。「病気は病気だけど、上手く管理すればこの先も花を咲かせ続けてくれるから頑張って!」って意味合いだったのね。

あいびーあいびー

そうそう。愛着のあるバラを今すぐ捨てろって言われても困るもんね。ただ、根頭癌腫病のバラを管理するのは、けっこう大変。剪定バサミから簡単にほかの株に感染しちゃうから、器具の使いまわしに常に気を配り、枝がこすれて感染しないよう、ほかのバラと離して置かないとね。それが難しい初心者さんには「迷わず廃棄を!」ってわたしはオススメしています。

YOUYOU

そうね、たしかに管理が大変そう。うちのベランダは狭いし、隔離栽培とかムリだし。・・・まだ買ってから1年以内のこの苗、面倒くさいけどやっぱりお店に相談して交換してもらおうかな。

あいびーあいびー

それがいいと思う。どうしてもお店に言うのがイヤなら、次亜塩素酸水を使ってバラの中から殺菌する方法を試してみてもいいと思うわよ。

▼次亜塩素酸水を使った殺菌方法はこちらをどうぞ

まとめ

今回は、根頭癌腫病についてよく言われる「コブを削っておけば大丈夫」の言葉の正しい意味について紹介しました。

 

愛着をもって何年も育てているバラは、気持ち的にも捨てられないし、お店で交換してもらうこともできません。だったら「定期的に癌腫のコブを削りながら、病気とうまく付き合っていくこともできますよ!」って意味なんですね。

 

けっして「根頭癌腫病はコブを削っておけば治ります」という意味ではありません。ちょっと勘違いさせてしまう言い方ですよね。

 

せっかく買ってから1年以内のバラ苗なのに「根頭癌腫病だったとお店に言うのも気が引けるし、削っておけばいいのなら、このまま黙って育てよう」と思う人もいるかもしれません。でも、ここは頑張ってください。ほとんどの場合は代品がもらえます。代品がもらえるうちはきちんとお店に相談しましょう。そして、元の株は廃棄しましょう。

 

ただし──同じ生産者から代品をもらっても、やっぱり根頭癌腫病にかかっている株のことがほとんどです。苗が届いたらまず根洗いして、癌腫があってもなくても次亜塩素酸水に漬け込んでから植えるようにすると良さそうです。

 

そのためには、バラ苗は必ず休眠期(12月中旬~2月中旬)に手元に入手したい。そして今後、次亜塩素酸水はロザリアンの必須アイテムになるかもしれませんね。

 

最後に、バラ苗を購入するお店を検討しなおすことも忘れずに!

 

▼バラ初心者YOUのQ&A一覧は、こちらからどうぞ

 

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