バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回はロサ・オリエンティスの「リュシオール」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「リュシオール」は、こんなバラ
▲「リュシオール」 出展/バラの家
リュシオールは、木村卓功さん2020年作出の「ロサ・オリエンティス・プログレッシオ」ブランドのバラです。ロサ・オリエンティスのなかでも樹勢や耐病性の高い育てやすい品種に「プログレッシオ」のブランド名がつけられています。
花径4~5cmの小花を房咲きするシュラブ系統のバラです。小さいけれどパッと目を引くややレモンがかった黄色の花で、花形は浅いカップ咲き。花びらの間から覗く黄色の雄蕊がチャーミングです。香りはフルーツにティの中香。
バラの家での品種紹介に、こう書かれています。
開花時には、ホタルがぱっと光を灯すように、黄色の可愛らしい花を株いっぱいに咲かせる。開花後はその光が消えるように、クリーム色へと変化。そのうつろいも美しい。
じつは「リュシオール」(Luciole)は、フランス語で「蛍」の意味。蛍の光は黄緑色がかった黄色なので、この花の特徴をよくとらえていると思います。
が、もうひとつの特徴「開花後はその光が消えるように~」というところも重要で、この鮮やかな黄色はすぐに色あせます。黄花品種は退色しやすいバラが多く、この品種もその例にあたります。
▲開花から数日後の「リュシオール」
上の写真は昨年5月、購入して1~2日後の「リュシオール」の様子です。開花から数日でここまで白くなり、やがて純白になりました。この花色の変化を色褪せが激しいと取るか、花色の変化が面白いと取るかは、それぞれの好みにゆだねられます。
ガーデンで黄色は主張が強く、他のバラとの組み合わせに悩む花色ですが、その点「リュシオール」は退色しやすいことから主張が強すぎず、ガーデンに取り入れやすいという見方もできます。
バラの家のスコアは 樹勢/強い ウドンコ病/とても強い 黒星病/強い 耐陰性/普通 耐寒性/弱い 耐暑性/強い。
樹高は60~90cmと小型のシュラブ樹形で、鉢で育てやすく、ベランダ栽培でも場所を取らないコンパクトな品種です。ウドンコ病耐性が「とても強い」なので、とくにベランダ栽培向きのバラだと思います。
今回育てる「リュシオール」の環境DATA
関東の東向きベランダ(日照3時間ていど)
昨年5月に開花苗(鉢苗)で購入し9カ月育てた株
今年の目標/初めてのタイプの品種なので、特徴を把握したい
育てる人/あいびー
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
2月17日の「リュシオール」/冬剪定
▲昨年5月。一目ぼれしたレモンイエローの美花
リュシオールは、昨年5月に園芸店のバラ苗コーナーで見かけて一目ぼれしたバラです。レモンイエローの美しい花がそれは魅力的で! それで予定外にお迎えしたという経緯で我が家にやってきました。
ただ、お迎えしてから戸惑うことが多いバラでもありました。品種紹介のところで書いたとおり、美しい黄色の花は驚くほど速く色褪せし、最終的に真っ白になりました。
花後は細いシュート枝が、にょきにょきと雨後の筍のようにたくさん生えてきました。こんなシュートの生え方をするバラは初めてで、これも戸惑いました。
春花以降は、四季咲き表記なのにまったく蕾をつけません──なかなかクセが強いです。
ということで、今年はこのバラの品種特性を知り、どう育てればいいかをあるていど把握できればいいなと考えています。
▲樹高22cmに冬剪定
2月17日、あらかじめ土替えし7号鉢→8号鉢に鉢増ししてあった「リュシオール」を冬剪定しました。使用培養土は「バラ専用培養土」(ハイポネックス)。元肥に緩効性化成肥料が入った培養土です。剪定後の樹高は22cmです。
主幹は2本ですが、枝分かれが多く、新芽も旺盛に吹いています。小花なので細い枝でも花を咲かせやすく、春にはたくさんの蕾を期待したいです。
目を引くのが主幹の老成ぶりです。多くの縦線を刻み硬く締まった老木のような主幹ですが、これで購入から1年たっていません。枝ぶりからしても、なんだか年数を経た盆栽のような雰囲気がありますね。
3月7日の「リュシオール」/防虫マルチ・芽出し肥・芽薬散布
▲8号鉢の規定量15粒のところ7粒を芽出し肥に
啓蟄を過ぎ、コバエの姿を見かけるようになったので、防虫目的のマルチングをしました。我が家は窓のすぐ外にあるベランダ栽培なので、鉢についたコバエが家に入ることがあります。そこで、今年からこの方法を試してみます。
▲有機肥料を含まない清潔な土でマルチング
マルチングに使ったのは「赤玉小粒+バーミキュライト+もみ殻燻炭」。有機肥料を含まない清潔な土で蓋をしようという作戦です。
植え込み培養土は緩効性化成肥料(たぶんマグァンプK)の入ったバラの土なので、8号鉢の規定量15粒のところ、半量の7粒を芽出し肥として与えました。芽出し肥として使ったのは緩効性化成肥料の「グリーンそだちIBのチカラ」(花ごころ)です。
我が家は半日陰だしちょっと多肥ぎみですが、これで様子をみます。
▲ハンドスプレーで芽の殺菌!
最後に、ウドンコ病を防ぐため、芽薬としてハンドスプレー「アタックワンAL」(フマキラー)を散布しました。
3月28日の「リュシオール」/発蕾・ベニカXガード散布
▲芽かきしていないので、やや茂りすぎかも
桜満開の3月下旬、「リュシオール」の若葉が大きく開き、新芽もぐいっと背が高くなってきました。樹高は40cm。冬剪定から18cm伸びました。
小花タイプのバラに芽かきは不要という先生が多いので、今年は芽かきをしていませんが──とくに写真右側が混みすぎている気が・・・。様子をみて、やはり少し芽かきしようと考えています。
▲枝先の小さな蕾
枝先に小さな蕾を見つけました。まだ3月だというのに、早いですね! 黄花品種だし、やはり早咲きなのかな?
▲「ベニカXガード」を散布して水やり
前回の防虫マルチのおかげでバラにコバエは来ていませんが、そろそろアブラムシが心配になるので、「ベニカXガード」(住友化学園芸)を株元に10g(小さじ2杯)散布しました。年4回使える薬剤なので、今回が今年1回目です。
4月13日の「リュシオール」/蕾のガク割れ・芽かき・ブラインドの切り戻し・バラゾウムシ対策
▲樹高53cm。蕾が7つ
花枝が5本上がり、7つの蕾が確認できます。作出者の木村卓功さんのデータによると「花径4~5cmの小花を房咲きにする」と書かれていますが、我が家の「リュシオール」は少し違いそうです。
おそらく中大輪の花をほぼ1輪咲きにするようです。去年お迎えしたときも、かなり大きな花が1輪咲きしていました。
樹高は53cm。
▲しっかりした「リュシオール」の蕾
蕾のサイズも大きく、ほかの中大輪の品種同等の大きさです。早いものはガク割れが始まっています。間違いなく早咲き品種ですね。
多肥の影響か、緑色が濃く、葉が肉厚でごわごわしています(^^; しばらく施肥ストップします。
▲芽かきとブラインド枝カット
小花品種は芽かきをしなくていいという先生が多いので「リュシオール」に芽かきをしませんでしたが、混みあっている芽のところから花枝は伸びず、どれもブラインドになっていました。
どうやらこの品種には芽かきが必須のようです。
混んでいるところを中心に芽かきして、いくつかのブラインド枝を切り戻しました。上手くいけば、遅いめの1番花が咲くでしょう。
つるバラにバラゾウムシが来ていたので、念のため「ベニカXネクストスプレー」(住友化学園芸)を蕾中心に散布しました。このハンドスプレーって、デンプンが入っているせいか葉が汚れるんですね(^^;
潅水時に活力剤の「リキダス」(ハイポネックス)を混ぜています。
4月24日の「リュシオール」/この春最初の1輪が開花
▲花径7cm。堂々とした中大輪花
リュシオールの今年最初の1輪が開花しました。輝くような黄色の、花径7cmの中大輪花です。香りは今のところ微香。開いてくれば、もっと香るかもしれません。
花形の変化と香りの変化、そして花色の変化に注目です!
4月26日・27日の「リュシオール」/花径10cmの大輪花に!
▲開花から2日でソフトイエローに
まず開花から2日たった4月26日の様子から。咲き始めのハッキリした黄色からやや白っぽくなり優しい色合いになりました。
昨年の春はオープンカップ咲きだったんですが、今年は舟弁-しゅうべん-たっぷりで──これはもうロゼット咲きと言っていいかも? その年最初に咲く1輪は少しクセのある咲き方をすることが多いので、この先咲いてくる花に注目です。
花径10cmの立派な大輪花ですが、データでは「花径4~5cmの小花を房咲きする」となっています。この先、変わってくるのかな? 香りは変わらず微香です。
▲開花から3日目。もうかなり退色している
上の写真は4月27日、開花から3日目の様子です。2番目に咲いてきた花を隣にもってきて撮影しました。
咲き始めと比べると、もうかなり白っぽく退色しているのが分かります。わたしは、これくらいの淡い黄色が好きです。
4月28日の「リュシオール」/2番花の花枝上がる・サイドシュート発生・追肥
▲コロンとしたオープンカップ咲きの美花
リュシオールの2輪目の花が開花しました。コロンとしたカーブの強いオープンカップ咲きの、この品種らしい花になりました。
花色も花形も、これくらいが一番キレイだと思います。去年お店で見たときはこの状態で、一目ぼれしてお迎えしました。
残念ながら、この状態は1日くらいしか保ちませんが──。
▲樹高55cmの小型シュラブ樹形
高さ55cm、幅50cmていどの小型シュラブ樹形で、花はしっかり上向きに咲きます。
▲蕾の下から2番花の花枝が!
リュシオールの面白い特徴が、1番花が咲く前から、もう2番花の花枝が伸びてくることです。赤い矢印の枝が2番花の花枝で、やがて先に小さな蕾を載せます。
通常のバラだと、1番花が終わって枝を切り戻して初めて2番花の枝が伸びてくるものですが、こんなふうに1番花が咲く前から2番花の蕾が上がってくるということは、1番花と2番花の間がすごく短いということ。連続開花性がすごいということです。
▲サイドシュートが発生!
株の真ん中あたりから、少し遅れて上がってきた花枝の先に蕾がついていますが、この右側に勢いのいい若い枝が上がってきました。
付け根を確認すると、これサイドシュートでした。もう上がってきたんですね、早いなぁ!
──ということは、2番花を咲かせるためとシュートを育てるための追肥をもう施した方がいいということですね。この作業は通常は1番花が終わってからやるものですが、前倒しにします。
「グリーンそだちIBのチカラ」(花ごころ)を8号鉢の規定量15粒のところ、1/3の5粒だけ追肥しました。少し前に多肥の症状が出ていたので、控え目にしました。
5月4日・6日の「リュシオール」/退色してごく淡いクリーム色に
▲花の重みで横広がりに育ちそうな樹形
大苗から2年目なので樹形はまだまだですが、いずれ花の重みで横広がりになるシュラブ樹形に育ちそう。
▲開花から4日目。雄しべが黒くなってきた
これは、開花から4日間経過した花です。花色がさらに白っぽくなり、雄しべが少しずつ黒くなってきました。花形はまだまだキレイです。
▲開花から6日でごく淡いクリーム色に退色
開花から6日目には、花色はごく淡いクリーム色にまで退色しました。花びらの先は茶色じみていて、力なくだらりと下がっています。もう観賞価値はありませんが、枝先に残ったままです。どうやら散らないタイプの花のようです。
すぐ下から上がってきた2番花の蕾がふくらんでいるので、この花は撮影のあと切り取りました。
▲「リュシオール」の花色変化
「リュシオール」の退色ぐあいを並べてみました。左端が開花初日で、右端が開花から6日目。開花から約1週間かけてゆっくりクリーム色にまで退色するようです。これくらいなら納得です。
▲昨年の「リュシオール」と「デスデモーナ」
ちなみに、これは昨年に撮影した「リュシオール」の写真。開花から3日目には、ここまで真っ白になりました。後ろに白花の「デスデモーナ」が2輪入っているのですが、ほぼ色の差がありません。
「たった3日でここまで真っ白になるの?」と、すごく驚いたのですが、ナーセリーから園芸店に移送している間に蕾がふくらみ、日当たりの悪い園芸店で咲いた花という特殊事情からこうなったのでしょう。
5月25日・27日の「リュシオール」/1.5番花が開花・2番花が発蕾
▲1輪だけ咲いた1.5番花
前々回4月28日のレポートで、1番花の蕾の1節下から上がってきた花枝があると紹介しましたが、この枝先に蕾がつき開花しました。
これは遅れて咲いた1番花といえばいいのか、2番花といえばいいのか分かりませんが・・・。一応、1.5番花としておきます。1株に1輪だけ1.5番花が咲きました。
花径は7cmで、ほかの1番花より少し小ぶりですが、花色、花形ともにキレイです。
▲開花から2日目。合わせやすいクリームイエローの花色
開花から2日たち、花色が白っぽくなってきたところでカットして、ほかのバラたちと花瓶に飾りました。これくらいの花色だと、赤やオレンジのハッキリした色とも合わせやすいですね^^
▲2番花の花枝が旺盛に上がる
早いうちに切り戻してあった枝からは、旺盛に新芽が伸びていて、もう蕾をつけている枝もあります。
6月16日・19日の「リュシオール」/2番花が開花・シュートの発生と処理
▲「リュシオール」の2番花が開花
春の1番花を切り戻したところから伸びた枝先に2番花が咲きました。花径を計り損ねましたが、1.5番花よりさらに小さいので6cmていどだと思います。
1番花に比べると、かなり赤みの少ないレモンイエローの花です。
▲開花から3日目。かなり淡いレモンイエローに退色
開花から3日たつと、かなり淡いレモンイエローに退色しました。1番花より、さらに退色が早いです。気温が高いせいでしょうね。
▲いい向きに発生したベイサルシュート
ベイサルシュートがいい方向に1本、さらにサイドシュートが2本発生しました。サイドシュートに比べてベイサルシュートが細いので、様子をみながら液肥を与えようと思います。
サイドシュートは他の枝と高さを合わせてカット、ベイサルシュートは長さ25cmていどでピンチしました。
7月1日の「リュシオール」/ベニカXガード散布(コガネムシ幼虫対策)
▲樹高42cm。病虫害はなく、調子は良さそう
もう梅雨明けしたといってもいいほど暑い日が続いています。「リュシオール」の樹高は42cm。枝の長さがそろっているので、どれも同じように生長していて、全体的にはいい感じです。
病虫害の影響はなく、キレイな葉をたくさん維持できています。
ただ、ベイサルシュートの伸びがイマイチ。ピンチしたまま動きを止めているのが気がかりです。
▲3輪目の2番花の蕾
2番花があまり多くない印象の「リュシオール」ですが、3輪目の2番花の蕾が上がってきました。これは咲かせようと思います。
▲「ベニカXガード」を株元に散布
ベランダの床にコガネムシの成虫の死骸を見つけました。きっとどこかに産卵されていると思うので、ベランダのすべてのバラに「ベニカXガード」(住友化学園芸)を10g株元に散布しました。
7月下旬&8月10日の「リュシオール」/夏でもキレイな葉を多くキープ
▲3輪目の2番花があっさり顔で開花
まず前回に紹介していた3輪目の2番花が開花した様子から。7月下旬に淡い色に咲き、3日ほどであわただしく散っていきました。大苗から2年目の若い株なので、これ以降は摘蕾して木を育てる方に養分を回します。
▲全体の樹高は53cm。葉を多く残していて状態は良好
ここからは8月10日の様子です。ベイサルシュート、サイドシュートともに枝分かれして浅い色の若葉を展開しています。全体の樹高は53cmで、真夏でも葉を多く維持しています。状態は良さそうです。
中央にやや低く写っている浅い葉の枝が、今年出た唯一のベイサルシュートです。ベイサルシュートは35cmの高さ。細いうえに伸びが悪く、やや心配して観ています。
▲ベイサルシュートを少しでも長く伸ばしたい!
少しでも背が高い方が養分を回してもらいやすくなるので、ベイサルシュートの枝分かれした下の芽(赤丸で囲んだ芽)を摘みました。
▲夏花の蕾はすべてピンチ!
頻繁に蕾をつけますが、夏花はすべてピンチして摘蕾しています。
水やり間隔は2~3日に1回ですが、1度に与える水の量を多くするよう心掛けています。土にこもった熱気を押し出すイメージで、鉢底から水が流れ出てからさらに追加で水やりします。
土の養分が流れ出やすいので、水やりの水に活力剤の「リキダス」(ハイポネックス)を加え、3回に1回の頻度で液肥「ハイポネックス微粉」(ハイポネックス)を加えて補給しています。
9月2日・12日の「リュシオール」/追肥・夏(秋)剪定
▲緩効性化成肥料を株元に追肥
まず9月2日の追肥のレポートから。通常、夏剪定してから40日前後で秋花が咲くとされています。なので、10月下旬にそろって秋花を咲かせるためには、9月中旬に夏剪定するとちょうどいいと言われます。
が、半日陰の我が家の環境ではもう少し長く夏剪定から開花まで45日ていどかかるようなので、例年、夏剪定を9月初旬に行っています。
今年はこの猛烈な暑さを考慮して、いつもよりやや遅く9月10日ごろに夏剪定することにしました。
──ということで、夏剪定後にスムーズに芽吹いてもらうため1週間前にあらかじめ追肥をしておきます。固形の緩効性化成肥料「グリーンそだちIBのチカラ」(花ごころ)を8号鉢基準の15粒株のまわりに撒きました。
▲秋剪定前の樹高は55cm
予定していた10日から遅れること2日。9月12日に秋剪定しました。秋剪定前の「リュシオール」の樹高は55cm。
半横張り樹形で、どの枝も太い目でずんぐりむっくりな感じに育っています。長さが伸びずに心配していた唯一のベイサルシュートも追いついてきて、40cmの長さになりました。
▲秋剪定後の樹高は37cm
標準的な秋剪定ということで上1/3をカットして、剪定後の樹高は37cmにしました。ベイサルシュートのみ高さ32cmです。少し長さに差はありますが、問題ないでしょう。
「リュシオール」はシュラブ系統のバラなので、秋剪定後の秋花がどうなるか未知数です。ちなみに購入してすぐの去年は、夏も秋も蕾を上げませんでした。
でも今年の夏は頻繁に蕾を上げていたので、おそらく秋花も咲いてくれるのではないかな~と期待しています。
▲硬くてゴワゴワした「リュシオール」の葉
秋剪定で切り取った枝を集めました。
そういえば「リュシオール」の葉は、肉厚で硬くてゴワゴワしています。色の淡い若葉でも、けっこうゴワゴワです。
春に多肥のせいでゴワゴワになったと思っていたのですが、多肥は関係なく、そういう品種のようです。こういう葉だと害虫被害に遭いにくそうですね。
10月1日の「リュシオール」/秋剪定からの半月後チェック!
▲秋剪定から20日。樹高60cmに
秋剪定から約半月(正確には20日)経過したので、半月後チェックをします。
前回、9月12日に樹高37cmに秋剪定した「リュシオール」は、どの枝からもだいたい均等に新芽が伸びています。ただし、中央奥に写っている枝は芽吹きが遅く、やっと新芽が出てきたところ。
一番高いところで60cmの高さに達しています。
▲一番大きな蕾を一輪ピンチ
春花の咲く時期で分かっていたことですが「リュシオール」は早咲きです。芽吹いてから開花するまでの期間が比較的短いのです。
既にいくつか豆粒のような蕾が見えていますが、一番大きな蕾だけピンチして取り除きました。この蕾、写真の裏側が変形していて、キレイに咲かない蕾だったのです。こういうの、たまにありますよね!
新芽が出るころや蕾がつくころに乾かすのは良くないので、土の表面から少し掘ったところが湿っていても水やりするようにしています。2日に1度ていどの頻度です。
10月16日の「リュシオール」/秋花が開花
▲秋の最初の1輪が開花
9月12日の秋剪定から34日。「リュシオール」の最初の秋花が開花しました。樹高は65cmです。
▲しべ冠が美しいオープンカップの花
花径は6.5cm。春花に比べると、花の大きさも花びらの枚数も及びません。春の2番花と同じくらいでしょうか。花色も淡いですが、じつはちょうどわたし好みな感じです^^
ふと思い出したんですが、梅雨ごろに咲くオトギリソウ科のキンシバイに似ていますね! あの花好きなんですよ~! あと、白つるバラの「シティ・オブ・ヨーク」にも似ています。「シティ・オブ・ヨーク」はドストライクに好きなバラです。
▲今年の秋花はぜんぶで7輪
この花以外に蕾が5輪。最初にカットした蕾と合わせて、今年の秋花はぜんぶで7輪です。かなり大きな蕾から米粒大までさまざまですが、蕾のつかなかった枝は2本と少ないので、シュラブ系統のわりに秋剪定向きな品種といえそうです。
11月5日の「リュシオール」/後続の秋花がつぎつぎ開花
▲樹高65cm。秋剪定から25~35cm伸びて咲く
秋花の最初の花が散り、後続の花がつぎつぎ咲いてきました。枝により差はありますが、秋剪定から25~35cmくらい伸びて花が咲いています。
蕾の大きさはまちまちなので一斉に咲きそろうわけではありませんが、ほぼすべての枝先に蕾がつきました。つまり花付きはとても良い。
▲花径9cm。ほぼ春同等の美花
今回咲いたのは花径9cm。前回より少し花びらが増えて、ほぼ春花同等といえそうな美花です。春よりも気温が下がっているので、花もちが良く、美しい状態が長持ちしています。
春花は微香でしたが、秋花はよく香っています。バラの家では「フルーツにティの中香」とありますが、わたしの印象では「ブルー香をさらにさっぱりさせた香り」で、重い香りの苦手な日本人好みの香りだと思います。香りの強さは、やや強めの中香といったところ。気候でかなり差が出るようですね。
秋花の蕾は残りあと3輪です。
12月5日の「リュシオール」/最後の秋花
▲今年最後の秋花がうつむいて開花
リュシオールの秋花、最後の1輪が開花しました。細い枝先に咲いているので、すっかり俯いてしまっています。
▲くしゅっとした咲き方で、可愛らしい最後の「リュシオール」
最後の1輪をカットして、ほかのバラと一緒に窓辺に飾りました。くしゅっとした感じで、とても可愛らしいです^^
12月30日の「リュシオール」/葉摘みで強制休眠
▲葉摘みで強制休眠
年内に植え替えができそうにないので、とりあえず葉摘みをしてバラを強制休眠させました。
植え替えするときの仮剪定で、どうせ枝先の細いところはカットしまうのを見越して、枝先も軽く切り戻してあります。枝先の葉って取りにくいので、枝ごとカットしたという感じです。
1月9日の「リュシオール」/冬の植え替え、次亜塩素酸水処理(根頭癌腫病発覚)
▲「リュシオール」を抜いてみると、もじゃもじゃした、おかしな根が
大変なお正月を過ぎた1月9日の夕方、「リュシオール」を鉢から抜いてみたところ──。
ご覧の通り根張りはいいのですが、なんだかもじゃもじゃと踊ったような根でした。イヤな予感・・・。
▲根の真ん中に大きな癌腫のコブ
根をかきわけてみると、ちょうど真ん中あたりに直径4cmほどの癌腫のコブがありました。
縮れたような踊ったような、おかしな白根は「毛根病」というそうですが、これがあるとほぼ根頭癌腫病も併発しています。
▲しっかり根洗いして土を落とす
ピキャットクリア(ゆうきの園芸)を使った次亜塩素酸水に漬け込んで殺菌するため、まずキレイに土を落とします。土がついていると、次亜塩素酸水はすぐに失活して効果がなくなってしまうからです。
▲直径4cm大のコブを切除
もちろん、癌腫のコブは切り取ります。
この株は一昨年購入したのですが、去年2株購入したお店と同じ園芸店で購入しています。そして去年の2株はどちらも根頭癌腫病だったので、この株もキャリア株の可能性が高いとにらんでいました。やはりな! という感じです。
この株は1年以上経過しているため、もう代品と交換してもらうことはできません。そこで、次亜塩素酸水に漬け込んでバラ体内から殺菌して育てることにします。
生育状態は良いので、上手く育ってくれるだろうと思います。
▲次亜塩素酸水に1晩、漬け込み
夜に次亜塩素酸水に漬け込み、1晩置きました。この後、軽く水洗いしてから新しい土で植え込みます。
じつは癌腫があるだろうことは予想していたので、前日の夕方から根のチェックを始めたのです。そうすれば1晩浸け置きができるので。
▲自作の「リサイクル・バラの土」で植え込み
今回の土は、たい肥と赤玉土、さらに腐植酸たっぷりの自作の「リサイクル・バラの土」です。市販の培養土より有用菌が多いので、悪玉菌を抑え込む力が強いはずです。
鉢は以前と同じですが、しっかり殺菌してから使っています。
2月28日の「リュシオール」/冬剪定
▲葉摘み仮剪定をしてある状態
なかなか時間が取れず、2月末になってようやく冬剪定しました。上の写真は、葉摘みがてら枝先を軽く切り戻した状態です。
この段階の樹高を計りそこなっていますが、たぶん60cmくらいだろうと思います。
芽吹きが早く、たくさんの芽が一斉に吹き出しています。根洗い、次亜塩素酸水処理の影響はみられません。
▲樹高24cmにしっかり冬剪定
このバラは、横に倒れたようなクセのある枝ぶりをしています。なので外芽にこだわらず、内芽で切ったり、枝げんこつを取り混ぜたりしながら、あまり広がりすぎないように冬剪定しました。
冬剪定後の樹高は24cm。バラの家のデータによると、このバラは花径4~5cmの小花を房咲きにする品種らしいので、もっと枝を長く残して小枝も残し、たくさん咲かせてもいいのですが、つい短くカットしてしまいました。来年やるときは、長く残してみようと思います。
根頭癌腫病が落ち着いてくれれば、おそらく今年も花径7~8cmの中大輪花が咲くでしょう。これで、「リュシオール」のそだレポを終わります。
「リュシオール」のそだレポ感想
▲輝くような黄色の整った春花
目を引く美しい黄花を咲かせる「リュシオール」。我が家では、バラの家のデータとは違い、花径7~10cmの中~大輪の花を咲かせてくれました。
この品種名「リュシオール=蛍」の元になった特徴に、咲いてすぐに退色が始まるという色褪せの速さ、儚さがあります。それを欠点と捉えるか、色の変化がおもしろいと捉えるかは人それぞれですが──。
▲「リュシオール」の花色変化
花色の変化はこんな感じです。せっかくの黄色がもったいないとも思える反面、黄色は目立つ花色なので、退色が早いことで他の花となじみやすい良さもあります。わたしは少し花色が落ち着いたくらいの淡い感じの黄色が好きですかね。
「リュシオール」はシュラブ系統のバラです。なので、やや枝ぶりや育ち方にクセがあります。1番花が咲き終わる前にもう次の花枝が伸びてきたり、シュートが他の枝と同じ場所から出たり、枝が寝て育ったりします。教科書通りにはいかないので、初心者さんは剪定で悩んでしまうかも知れません。
シュラブ系統のバラは夏剪定と相性が悪く、夏剪定することで秋花が咲かなかったりしますが、「リュシオール」は通常通りの夏剪定でちゃんと秋花が咲きます。
肉厚のごわついた葉は病気に強く、病気と害虫予防の「ベニカXガード」(住友化学園芸)を年3回くらい撒いただけで問題なく育てられました。さすが、とくに病気に強い品種に与えられるサブブランド名「プログレッシオ」がついた品種だと思えました。この点は、まさに初心者向きと思えますね。
育てた人紹介/あいびー
北よりの東向きベランダしかないのに、バラ栽培にはまってしまった主婦。日照不足に悩みながらも、バラ生活楽しんでいます。手間なくよく咲くバラが好き。趣味はバラ園巡り。小説とアニメも好き! 横浜在住
▼そだレポ検索は、こちらのページを利用してください
黄色のバラって退色がそんなに早いんですね。 初めて知りました。さらに蛍のようにひとときだけで、退色するとは。。。 黄色は好きなんですよね~ ま、ビタミンカラーが好きなんですけど(笑 冬剪定もお手本のように綺麗ですね。見習わなきゃ!!想定外にお迎えのバラさんですか。気持ちは分かります!我慢しまくってます(笑
ORCAさん、こんにちは。
黄色のバラはすべて、「ロサ・フェティダ」という原種もしくは、「ロサ・フェティダ」の流れをくむ最初の園芸品種「ソレイユ・ドール」を祖先にもちます。
なので、どの品種も似たような性質をもってしまうようです。
ほとんどの黄バラ品種が「早咲き」「退色が激しい」という性質をもちがちです。
あと、黒星病に弱い品種も多いはずです。
それが分かっていたのに、つい詳しく調べもせずにお迎えしてしまって・・・(==
退色しない黄バラもあるので、その一覧を作ろうと試みたんですが、
やはり「退色しやすい」というのは大きなデメリットなので、
品種紹介に書かれていることがほとんどなくて、調べきれませんでした。
一応「伊豆の踊子」「フリージア」「ゴールドバニー」あたりが退色が少ないはずです。
黄バラの原種については▼こちらを参考にしてね
https://ivy-rose-love.com/keitouhft/
あいびー
1年弱のそだレポお疲れさまでした。
園芸店でリュシオールを見たことがありますが、白花と黄花が入り混じって咲いた姿は
美しかった記憶があります。
退色の美とでもいいましょうか…。
癌腫になっても生育があまり衰えなかったので、小康状態で落ち着くかもしれませんね。
来年すぐに枯れる、ということはないように感じられました。
アスタルティさん、コメントをありがとうございます。
園芸店でリュシオールご覧になったんですね!
黄色と白が混じった感じでしたか!
我が家はまだそんな感じになっていないけれど、
株が育って花数が増えたらそうなるかな?
今思えば、1本出たベーサルシュートの生長がイマイチだったのは
癌腫のせいだったかもしれないなぁと・・・。
ただ、この品種はとても生育が旺盛だし、
癌腫がとくに問題になるのが、小さい苗のうちだから、
今年は大丈夫じゃないかなぁと思っています。
次亜塩素酸水の沐浴もしているし、治まってくれるといいけれど。
もう、ここまで癌腫が蔓延していると、防ぎようがないような気がしています。
だから、これからは毎冬にすべて次亜塩素酸水沐浴すると決めて、
あまりに樹勢の弱いものは購入しないでおこうかなと。
今年わたしがそだレポするリラも、じつは癌腫でした。
苗を交換してもらったんだけど、それも癌腫で──。
もう、どうしようもないですよね(==
あいびー