バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回はロサ・オリエンティスの「リュシオール」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「リュシオール」は、こんなバラ
▲「リュシオール」 出展/バラの家
リュシオールは、木村卓功さん2020年作出の「ロサ・オリエンティス・プログレッシオ」ブランドのバラです。ロサ・オリエンティスのなかでも樹勢や耐病性の高い育てやすい品種に「プログレッシオ」のブランド名がつけられています。
花径4~5cmの小花を房咲きするシュラブ系統のバラです。小さいけれどパッと目を引くややレモンがかった黄色の花で、花形は浅いカップ咲き。花びらの間から覗く黄色の雄蕊がチャーミングです。香りはフルーツにティの中香。
バラの家での品種紹介に、こう書かれています。
開花時には、ホタルがぱっと光を灯すように、黄色の可愛らしい花を株いっぱいに咲かせる。開花後はその光が消えるように、クリーム色へと変化。そのうつろいも美しい。
じつは「リュシオール」(Luciole)は、フランス語で「蛍」の意味。蛍の光は黄緑色がかった黄色なので、この花の特徴をよくとらえていると思います。
が、もうひとつの特徴「開花後はその光が消えるように~」というところも重要で、この鮮やかな黄色はすぐに色あせます。黄花品種は退色しやすいバラが多く、この品種もその例にあたります。
▲開花から数日後の「リュシオール」
上の写真は昨年5月、購入して1~2日後の「リュシオール」の様子です。開花から数日でここまで白くなり、やがて純白になりました。この花色の変化を色褪せが激しいと取るか、花色の変化が面白いと取るかは、それぞれの好みにゆだねられます。
ガーデンで黄色は主張が強く、他のバラとの組み合わせに悩む花色ですが、その点「リュシオール」は退色しやすいことから主張が強すぎず、ガーデンに取り入れやすいという見方もできます。
バラの家のスコアは 樹勢/強い ウドンコ病/とても強い 黒星病/強い 耐陰性/普通 耐寒性/弱い 耐暑性/強い。
樹高は60~90cmと小型で、鉢で育てやすく、ベランダ栽培でも場所を取らないコンパクトな品種です。ウドンコ病耐性が「とても強い」なので、とくにベランダ栽培向きのバラだと思います。
今回育てる「リュシオール」の環境DATA
関東の東向きベランダ(日照3時間ていど)
昨年5月に開花苗(鉢苗)で購入し9カ月育てた株
今年の目標/初めてのタイプの品種なので、特徴を把握したい
育てる人/あいびー
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
2月17日の「リュシオール」/冬剪定
▲昨年5月。一目ぼれしたレモンイエローの美花
リュシオールは、昨年5月に園芸店のバラ苗コーナーで見かけて一目ぼれしたバラです。レモンイエローの美しい花がそれは魅力的で! それで予定外にお迎えしたという経緯で我が家にやってきました。
ただ、お迎えしてから戸惑うことが多いバラでもありました。品種紹介のところで書いたとおり、美しい黄色の花は驚くほど速く色褪せし、最終的に真っ白になりました。
花後は細いシュート枝が、にょきにょきと雨後の筍のようにたくさん生えてきました。こんなシュートの生え方をするバラは初めてで、これも戸惑いました。
春花以降は、四季咲き表記なのにまったく蕾をつけません──なかなかクセが強いです。
ということで、今年はこのバラの品種特性を知り、どう育てればいいかをあるていど把握できればいいなと考えています。
▲樹高22cmに冬剪定
2月17日、あらかじめ土替えし7号鉢→8号鉢に鉢増ししてあった「リュシオール」を冬剪定しました。使用培養土は「バラ専用培養土」(ハイポネックス)。元肥に緩効性化成肥料が入った培養土です。剪定後の樹高は22cmです。
主幹は2本ですが、枝分かれが多く、新芽も旺盛に吹いています。小花なので細い枝でも花を咲かせやすく、春にはたくさんの蕾を期待したいです。
目を引くのが主幹の老成ぶりです。多くの縦線を刻み硬く締まった老木のような主幹ですが、これで購入から1年たっていません。枝ぶりからしても、なんだか年数を経た盆栽のような雰囲気がありますね。
3月7日の「リュシオール」/防虫マルチ・芽出し肥・芽薬散布
▲8号鉢の規定量15粒のところ7粒を芽出し肥に
啓蟄を過ぎ、コバエの姿を見かけるようになったので、防虫目的のマルチングをしました。我が家は窓のすぐ外にあるベランダ栽培なので、鉢についたコバエが家に入ることがあります。そこで、今年からこの方法を試してみます。
▲有機肥料を含まない清潔な土でマルチング
マルチングに使ったのは「赤玉小粒+バーミキュライト+もみ殻燻炭」。有機肥料を含まない清潔な土で蓋をしようという作戦です。
植え込み培養土は緩効性化成肥料(たぶんマグァンプK)の入ったバラの土なので、8号鉢の規定量15粒のところ、半量の7粒を芽出し肥として与えました。芽出し肥として使ったのは緩効性化成肥料の「グリーンそだちIBのチカラ」(花ごころ)です。
我が家は半日陰だしちょっと多肥ぎみですが、これで様子をみます。
▲ハンドスプレーで芽の殺菌!
最後に、ウドンコ病を防ぐため、芽薬としてハンドスプレー「アタックワンAL」(フマキラー)を散布しました。
育てた人紹介/あいびー
北よりの東向きベランダしかないのに、バラ栽培にはまってしまった主婦。日照不足に悩みながらも、バラ生活楽しんでいます。手間なくよく咲くバラが好き。趣味はバラ園巡り。小説とアニメも好き! 横浜在住
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黄色のバラって退色がそんなに早いんですね。 初めて知りました。さらに蛍のようにひとときだけで、退色するとは。。。 黄色は好きなんですよね~ ま、ビタミンカラーが好きなんですけど(笑 冬剪定もお手本のように綺麗ですね。見習わなきゃ!!想定外にお迎えのバラさんですか。気持ちは分かります!我慢しまくってます(笑
ORCAさん、こんにちは。
黄色のバラはすべて、「ロサ・フェティダ」という原種もしくは、「ロサ・フェティダ」の流れをくむ最初の園芸品種「ソレイユ・ドール」を祖先にもちます。
なので、どの品種も似たような性質をもってしまうようです。
ほとんどの黄バラ品種が「早咲き」「退色が激しい」という性質をもちがちです。
あと、黒星病に弱い品種も多いはずです。
それが分かっていたのに、つい詳しく調べもせずにお迎えしてしまって・・・(==
退色しない黄バラもあるので、その一覧を作ろうと試みたんですが、
やはり「退色しやすい」というのは大きなデメリットなので、
品種紹介に書かれていることがほとんどなくて、調べきれませんでした。
一応「伊豆の踊子」「フリージア」「ゴールドバニー」あたりが退色が少ないはずです。
黄バラの原種については▼こちらを参考にしてね
https://ivy-rose-love.com/keitouhft/
あいびー