バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回はつるバラ「ピエールドロンサール」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「ピエールドゥロンサール」は、こんなバラ
▲壁面を埋め尽くす「ピエールドゥロンサール」の春花
やや緑を帯びたクリーム色の外弁から、中心にいくほどピンク色にグラデーションする美しい花を咲かせる「ピエールドゥロンサール」は、1987年、フランスのマリー・ルイーズ・メイアン(メイアン社)作出のつるバラです。
基本の花形はカップ咲きですが、ときに中心が複数に割れるクォーターロゼット咲きになり、オールドローズのような優美さがあります。1輪だけみても美しいこの花径12cmの大輪花を、春は枝いっぱいに咲かせてとても見事です。株が充実してくれば、春以降も少し返り咲きします。
「ピエールドゥロンサール」は日本はもちろん、世界じゅうで愛されていて、2006年の世界バラ会議で「バラの殿堂入り」を果たしています。
枝先2~2.5mほどのクライミング樹形。ダマスク系の微香。
花名の由来は、16世紀・ルネッサンス期のフランスの詩人ピエールドゥロンサール(Pierre de Ronsard)にちなみます。彼はバラをはじめとする花々や恋愛、美しい田園風景を題材にした詩を数多く残しています。
今回育てる「ピエールドゥロンサール」の環境DATA
関東の東向きベランダ(日照3時間ていど)
鉢植え栽培
長尺苗から数年、ベランダで育てている株
今年の目標/数年前に強い薬害を受け細いベイサルシュートしか育っていないので、新しく太いベイサルシュートを伸ばしたい!
育てる人/あいびー
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
3月10日の「ピエールドゥロンサール」/若葉が展開
▲年末に誘引してから3ヵ月半
昨年末に誘引作業を紹介した「ピエールドゥロンサール」です。この株は、あまり日当たりの良くないベランダの内側(1日2時間ていどの日照)に設えたベランダアーチに誘引していたので、全体に細い枝ぶりです。
しかも強い薬害を受け、勢いの良いベイサルシュートが育っていません。今年は少しでも陽当たりの良いこのフェンスで育て、健康なベイサルシュートを育てたいと思います。
▼誘引作業はこちらをご覧ください
▲薄い色の若葉が展開
啓蟄を過ぎ、すべての枝から旺盛に芽吹いて小さな葉が展開してきました。でも、一番下の枝は芽が少ないですね。これはもっとも古い枝なので、他に比べると、やはり勢いがありません。
「ピエールドゥロンサール」の若葉は、赤い縁取りのある黄色みの強い葉。萌え出たばかりはあまり艶がありませんが、大きくなるにつれ艶が出てきます。
▲早速、サイドシュート候補の芽がいくつか!
低い位置に、サイドシュートになってくれそうな芽がいくつかあります。元気に育ってほしいです。
追記
この後3/19に消毒開始。次亜塩素酸水100ppm(ピキャットクリア)を散布しました。何度でもかけていい消毒液なので、最低でも1週間に3回はかけるつもりです。
3月29日の「ピエール ドゥ ロンサール」/発蕾・ベニカXガード散布
▲艶のある濃い緑色の葉に
広がるにつれ、艶のある濃い緑色の葉になってきました。「ピエールドゥロンサール」は、この葉が優秀です。
「ピエールドゥロンサール」は病気にも害虫にも強いと言われますが、それはこのツヤツヤの分厚い葉のおかげなのです。
▲気の早い3月の発蕾
よく見ると、あちこちに小さな蕾が上がっています。早いですねぇ! 今年は桜も早かったし、バラの開花も早まるんでしょうか?
他の品種は、毎年一番に咲く「デスデモーナ」の蕾だけが上がっていました。今年のピエールさんは、「デスデモーナ」くらい早く咲くつもりなのかな?
▲ベニカXガードを散布
株元に病気と害虫の防除薬「ベニカXガード」を8gていど散布しました。
じつはこういう土に散布するタイプの薬剤は、高さ1mくらいまでしか効果がありません。効果の届かない高い場所は、ハンドスプレータイプの薬剤を使います。
4月16日の「ピエールドゥロンサール」/蕾ふくらむ
▲葉の色が濃く、さらにツヤツヤに
さらに葉の色が濃くなり、厚みも出てしっかりしてきましたが、全体に葉のつきかたがまばらです。葉の大きさも小ぶりで、長さ4~5cmくらい。薬害が出る以前はもう一回り大きかったような気がします。
鉢植え栽培であること、日照があまりよくないこと、さらに以前強い薬害を受けたことから、本来の「ピエールドゥロンサール」よりも、かなり貧弱ですね。
▲低い位置からも蕾をあげて
つぼみはじょじょに膨らみ、丸みを帯びてきました。もしかしたらサイドシュートになるかも? と期待していた低い位置の芽も、残念ながら花芽だったらしく、しっかり蕾をつけました。
全部で20個ほどの蕾が確認できていて、そのいくつかはガクが割れて花びらのピンク色がのぞいています。
▲少し異質な先の丸い蕾
蕾のなかには、上の写真のように少し異質な形をしたものがあります。──これ、おそらく薬害の影響が出た蕾だと思います。もう3年くらいたっているのに、まだ影響が残っているんですね。花も、少し変わった花になるはずです。
この時期の手入れ
まだ我が家でアブラムシなどの害虫は発生していないようですが、予防も含めて「ニームオイル」の散布を始めました。蕾につくことが多いので、蕾をピンポイントで、さらに全体散布と2段階で念入りに散布しています。
光合成細菌(EM菌)を含んだ活力剤「EM1」を水やりの水に混ぜて潅水開始。少しでも日光を取り入れる手助けになればと思って使っています。
地植えのピエールドゥロンサール/蕾ふくらむ
▲日向に地植えの「ピエールドゥロンサール」 写真提供/ハナたろう
同じ「ピエールドゥロンサール」でも、陽当たりの良い場所に地植えするとどうなるか? 上の写真は、ハナたろう家の地植えの「ピエールドゥロンサール」です。これだけのボリュームがあって、なんと1株です。蕾は100個くらいあるそうです!
地植えの場合はどうなるかの参考に、これからハナたろう家の「ピエールドゥロンサール」にもときどき登場してもらいますね。

アブラムシやバラゾウムシが少しつきましたが、樹自体はとても元気です。自作の大型トレリスに誘引してあります。
5月4日の「ピエールドゥロンサール」/開花
▲フェンスの内側からは花が見えない・・・
ピエールドゥロンサールが開花しました!──ぜんぜん花が見えませんけどね。ピエールドゥロンサールは花枝の長いものが多く、枝から20~25cmも外側に花枝を伸ばした先に花をつけます。
そのため、フェンスの内側から花がほとんど見えません。だから、これまでずっとベランダの内側に置いたベランダアーチに誘引していたんです。
▲うつむいて咲くピエールドゥロンサール
フェンスから手を伸ばして撮影しても、横顔しか撮れません。現在の花径は7cm。開けば10cmを越える大輪花になります。香りは微香です。
▲薬害を受けた赤みの強いピンクの花
無理やり花をこちらに向けて撮影しました。本来の花色より濃いピンク色をしています。これ、薬害の影響なんです。根に強いダメージを受けたので、水分の吸収が悪いんだろうな~と想像しています。これはこれでキレイなんですが、まるで別品種のようです。
去年はほとんど通常の淡いピンク色に咲いてくれたんですが。まだ影響が残ってましたか。元肥がまだ早かったかなぁ(^^; 本来の花色は、ハナたろう家のピエールドゥロンサールで観られるはずなので、お楽しみに!
5月6日の「ピエールドゥロンサール」/満開
▲大きく全開してピンク色が目立つように
開花から2日でほぼ満開になりました。2日前よりずいぶんピンク色が目立ちます。相変わらず、どれも外に向かって咲いていて、ベランダからは後ろ姿しか見えませんが。
▲全開で花茎12cm
大きく開いた花の花径は12cm。通常の花より花びらが少ないようです。
5月9日の「ピエールドゥロンサール」/花がら切り
▲花がらをバードバスに
最初の1輪の花びらの先が少し傷んできたので、花がらを切り取り、小さなバードバスに浮かべました。やっと正面から観られます。うーん。やはり、とてもピエールドゥロンサールには観えませんね。小さい方の花はアンジェラです。本来のピエールは、アンジェラよりずっと淡い色なんですけどね。
今回は早いめに花がら切りをしたので、花もちは1週間くらいかな? と思います。
地植えのピエールドゥロンサール/開花
▲優しいピンクのグラデーション 写真提供/ハナたろう
ハナたろう家の地植えのピエールドゥロンサールが開花しました。やや緑を帯びたごく淡いピンクの外弁から、中心に向かうほどピンクがグラデーションして濃くなる優しい花色。これがノーマルなピエールドゥロンサールです。花びらの巻きも密で、とてもロマンティックな印象です。

日当たりの良い方から咲き始めました。全体に咲きそろうには、もう少しかかります。
5月12日の「ピエールドゥロンサール」
▲中央の花びらが複数に割れて渦巻くクオーターロゼット咲き
以前、薬害の影響が出た花になるかも? と紹介していたまん丸の蕾は、特別に花びらが多いクオーターロゼット咲きになりました。花色も最初の花より薄く、正常な花に近い色です。予想と異なり、薬害の影響はほぼなさそうです。ピエールドゥロンサールは、ときどきこんな風にクオーターロゼット咲きになります。
根にダメージを負った花は、花びらの先が濃い色の覆輪がかかったようになります。3年前は、そんな花ばかりでした。
地植えのピエールドゥロンサール/八分咲き
▲さすがピエールドゥロンサール。美しい! 写真提供/ハナたろう
ハナたろう家の地植えのピエールドゥロンサールが八分咲きになりました。これはもう、言葉を失う美しさです! 素晴らしい^^
5月18日の「ピエールドゥロンサール」/咲き終わり
▲咲き終わりでも遠目から見ればキレイ
よく見れば花びらの先が少し傷んでいるけれど、遠目で見ればまだまだキレイです。大きいものは花径13cmほどあります。ベランダからは後ろ姿しか見えませんが、反対側から見ればそれなりキレイだろうと思います。
▲開花から半月ちょっと。花びらが散り始め
早い目に咲いた花は、散り始めました。ピエールドゥロンサールは、最終的に花びらが散るタイプです。
▲バードバスの花も崩れて
5月4日に最初に咲いた花を5月9日にバードバスに浮かべていたんですが、ご覧のとおり、バードバスの中で崩れていました。花びらの傷みを気にせず枝に残した場合の花もちは、半月くらいありそうです。
ピエールドゥロンサールは基本的に一季咲きだし、散るまで枝に残すのもアリですね。ただし、条件が良ければ返り咲きが期待できます。その場合は、適当なところで見切りをつけて切り戻した方が良さそうです。
>>次のページでは「切り戻し」から紹介しています。
お久しぶりです!うちのピエールドゥロンサールも芽吹いてきました。そこでアイビーさんに質問なのですが,,,三月のピエールドゥロンサールの肥料や芽かきはどうしたらいいでしょうか?是非ともご教授ねがいたく存じます。
長文失礼しました。(^^)
ゆうゆうさん、こんにちは。
そういえば、ゆうゆうさんもピエール育てているんですよね^^
我が家では冬の植え替えでしっかり肥料を入れているので
この時期に肥料はやりません。
冬に肥料分のない土で植えているなら
芽出し肥として、固形肥料を与えてもいいと思いますよ。
基本的につるバラはほとんど放置でOKなんですが
他に何か手を入れたいというのなら
活力剤をあげるとか病気予防のための消毒をするくらいかな。
わたしも、そろそろ消毒を始めようかな~と思っています。
あいびー
お返事ありがとうございます(^^)
覚えててくれたんですね!
活力剤…そういえば余ってました!
さっそく様子を見ながらあげてみたいと思います(o^^o)
はい、様子を見ながらね!
それすっごく大事なことだと思います。
たくさん咲いてくれるといいですね^^
あいびー
こんばんわ
わたしはピエールドゥロンサールは持ってないのですが、あいびーさんのサイドシュートは
大きくなりそうな気配があります
しっかり光を当てて育ててあげたいですね
9・10月と2か月あれば、きっと大丈夫!
薬害でバラの花の色が変わるというのは初めて知りました
画像を見た印象だと、ハナたろうさんのピエールも圧倒されるほど豪奢だけど
あいびーさんのピエールも艶やかで美しく見えました
ちなみにわたしは、経験豊富に見えるかもしれませんが
バラを購入したのは今年の5月、4か月しか経ってません
YOUちゃんより初心者だったりしますね
アスタルティさんこんばんは。
コメントありがとうございます。
今年の5月から始めた方だったとは!
専門用語もきちんと使いこなしてらしたから
てっきり経験豊富な方だと思いました。
それじゃ、今が花どきと勘違いさせてしまいましたね。
ごめんなさい(_ _
ピエールの新しいサイドシュートなんとか頑張ってほしいのですが
どうでしょうかねー。
勢いはあるので、今日、肥料を足しました。
いいかんじに育ってほしいです。
薬害といっても、ちょっと通常ではありえないほどキツイ薬害なので(^^;
虫の大嫌いな夫が、オルトランの原液を鉢にぶちまけてくれたんです(^^;;;;
よく枯れなかったもんだと思っています。
少しくらいの薬害で花色が変わることはないと思います。
しばらく根の状態が悪かったんですが、
去年の冬はかなり改善していたので、
花も通常の花にもどると思っていたんですが、花の色、戻りませんねぇ。
おっしゃる通り、今の花もキレイなんです。
でも、普通のピエールの花ではないですね。
もちろん、普通の花でなくても、大事に育て続けますけど^^
あいびー
こんばんわ
バラを買ったのは今年の五月ですが、そもそもわたしが幼稚園の頃には
花壇にバラがあったし、田舎だから色んな植物や樹がありましたから
いちじく、びわ、桃、桜、みかん、きんかん、さくらんぼ、柿etc…
おかげで虫には耐性があるし、バラを育てるための基礎知識は自然と身についてました
ま、失敗もあったけどねっ
オルトランの原液を鉢にぶちまけるって…私がその立場なら
頭から角を生やしたくなる気持ちを必死に抑えながら、滾々と農薬の使用方法を
説明します(><
あいびーさんの話だと、残留農薬はピエールから抜けつつあるみたいだから
あと1~2年くらいたてば元の花色に戻りそうですね
あと、+猫さんの画像は可愛いです
6月くらいに、駐車場でひなたぼっこをしながら転がっていた猫を思い出しました
アスタルティさん、こんにちは。
なるほど。
広い庭に実のなる果物がたくさん植わっている
自然豊かな場所にお住まいのようですね^^
わたしが幼い頃を過ごした祖父の家がそんな感じでした。
アスタルティさんは、バラを育て始めたのは5月からでも
それ以前の基礎知識がしっかりしていらっしゃるんですね。
そういう方は飲み込み早いですよね。
慣れた方なら小さい虫を指先で潰すそうなんですが、
わたしはそんなに虫が得意じゃないので
葉っぱごと切り取って捨てたり、
割りばしでつまんで牛乳パックに入れて
パックの中に殺虫剤まいたり
そんな感じです。
でもベランダ栽培だから、
庭栽培よりずっと害虫が少ないようです。
夫に至っては街育ちで──小さなコバエ1匹に悲鳴を上げて隣の部屋に逃げ込み
「早くやっつけて~」と、情けない声を出す始末(==
それで、暴挙に出てしまったようです(==
今はもうベランダにまったく出てきません。
ピエールはかなり立ち直っていて
あとは太いベーサルシュートさえ出れば大丈夫だと思っています。
今年出ると期待していたんですけどねー。
まぁ、来年ですかね。
花色も、去年は通常通りの花が数輪咲いていたから
今年はもう普通に咲くだろうと思って、
そだレポすることにしたんですが。
ちょっと目論見が外れました。
あいびー