バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「ザ ミル オン ザ フロス」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


「ザ ミル オン ザ フロス」は、こんなバラ


バラ苗 ザミルオンザフロス 大苗ER6L専用角鉢入 ピンク系 イングリッシュローズ

ンクの花びらに、ごく細い糸のような紅色の覆輪が入る「ザミルオンザフロス」は、イギリスのデビッド・オースチン2018年発表のイングリッシュ・ローズです。

 

花は小ぶりながら形の整ったディープカップ咲き。中央に黄色いボタンアイが現れる愛らしい花形です。小ぶりな花を枝いっぱいに房咲きにして、とても華やかな印象になります。

 

樹高1.2mのシュラブ樹形で、よく返り咲きます。フルーティな中香も楽しめる人気品種です。

 

花名は、1860年に出版されたイギリスの作家ジョージ・エリオットの小説「The Mill on the Floss」(『フロス湖畔の水車小屋』)に由来しています。

 

今回育てる「ザミルオンザフロス」の環境DATA

関東の陽当たりの良い庭

 

鉢栽培/今春に大苗を購入。基本は日向に置いて1日7時間ほど陽に当て、暑い時期と雨の日は軒下に入れるつもりです。

 

今年の目標/イングリッシュローズ(正確には輸入苗)を鉢で育てるのが苦手なので、とにかく元気に育ってくれればと願っています。大きく育ったら玄関への通路に置いて、ウエルカムローズにしたいと考えています。

 

このバラを選んだ理由/バラには珍しい繊細な糸覆輪に一目惚れしました。さらに耐病性も高そうなので期待しています。実際に育てて確認したいと思います。

 

育てる人/とらうさぎ

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

3月7日の「ザミルオンザフロス」/芽吹き

▲枝先が痛んで、下の方から芽吹いている 写真提供/とらうさぎ

ミルオンザフロスは、発表されたときから気になっていた品種でした。が、わたしはイングリッシュローズ(というか輸入苗)に少し苦手意識があって、ずっと買うのを躊躇していました。

 

ところが今春、近所のホームセンターのセール会場で出会ってしまったのです! 気がついたときには鉢を抱えてレジに並んでいました(笑)。

 

店頭で見たときには既に少し芽吹いていましたが、枝先に元気がなく、下の方の芽が動いていました。ホームセンターの屋外管理の間に乾いた寒風にさらされ傷んだのかもしれません。

 

▲元気な芽の上まで枝を切り戻し 写真提供/とらうさぎ

 

上の方の芽は動きそうになかったので、元気な芽の上まで切り戻しました。切り戻し後の枝の長さは10cm弱。葉を入れても樹高15cmです。

 

土は購入してきたときのまま育てます。焦げ茶色の繊維質のもの(ココナツピート?)が主体で、そこに小粒の赤玉土、鹿沼土、バーミキュライトを混ぜてあるような軽い土です。水保ち、水はけは良さそうにみえます。

 

▲「ザミルオンザフロス」の若葉は赤みの強い照り葉 写真提供/とらうさぎ

 

葉は赤みのある照り葉で、赤い覆輪がかかっています。ツヤツヤして丈夫そうです。

 

4月3日の「ザミルオンザフロス」

▲枝が伸びて樹高30cmに 写真提供/とらうさぎ

が伸びて、葉が増えてきました。現在の樹高は30cmです。

 

最初のうちは少し元気がないかなと思っていましたが、水やりのタイミングを乾かしぎみにすることで、もちなおしてきました。表土を少し掘っても乾いてみえてから数日(鉢が軽くなるまで)待ってから水やりするようにしています。どうやら、他の国産バラとは水やりのタイミングが違うようです。

 

蕾はまだですが、このまま枝を伸ばしてもう少し大きくなってから蕾をつけてほしいと思っています。

 

この時期の手入れ

害虫防除のため株元に「オルトランDX」を撒きました。施肥はしていません。

 

4月10日の「ザミルオンザフロス」/蕾をピンチ

▲ぐっと我慢で蕾をピンチ 写真提供/とらうさぎ

ミルオンザフロスに2~3個の蕾が見えたのですが、まだ株も小さく葉も少なくて咲かせるには不安だったので、ピンチで蕾を摘み取りました。

 

 

4月25日の「ザミルオンザフロス」

▲樹高は30cm。生長はおとなしい 写真提供/とらうさぎ

のバラは水分管理に苦戦しています。これまで乾かし気味に管理してきたのですが、水やりのタイミングが遅れたらしく、下葉が何枚か黄色くなってしまいました。普通は水切れすると葉先がお辞儀するものですが、このバラはお辞儀しないので気づきませんでした。ベストなタイミングを習得するまで、もうしばらくかかりそうです。

 

現在の樹高は変わらず30cm。新芽は出ているので調子は悪くなさそうですが、今のところ生長はおとなしいです。

 

この時期の手入れ

水やりの水に活力剤のリキダスを入れています。病気は出ていません。

 

5月15日の「ザミルオンザフロス」/2度目の発蕾

▲少し伸びて樹高40cmに 写真提供/とらうさぎ

5月に入り、やっと「ミルオンザフロス」が元気に生長を始めました。勢い良く新芽を伸ばし始めたので、一安心です。

 

▲2度目の発蕾。今度は咲かせます 写真提供/とらうさぎ

 

でも枝がたいして伸びない内に、また蕾がつきました。この品種はわりと咲きたがりなのかな? と、思っています。

 

今回は勢いのある新芽が複数出ているので、このまま咲かせてみようと思っています。樹高は少し伸びて40cmになりました。

 

この時期の手入れ

5月初旬にIB肥料を規定量、施肥し、アタックワンALをスプレー散布しました。

 

乾かし気味に管理する方針ですが、水切れしないよう気をつけて水やりしています。

 

6月5日・10日の「ザミルオンザフロス」/開花

▲春花は4輪咲かせる方針 写真提供/とらうさぎ

回のレポートの後しばらくして数えたら、蕾が5つありました。そのうちひとつは小さいうちに虫に食べられてしまったのでピンチし、残りの4輪を咲かせることにします。

 

「ザミルオンザフロス」の蕾は、薄ピンク色で小さめです。サイズといい色といい、よく結婚式で出される砂糖でコーティングされたお菓子のドラジェによく似ています。

 

▲最初の1輪が可憐に開花 写真提供/とらうさぎ

 

最初の花が6月5日に開花しました。30度超えの気温が続くこの頃なのに開花はゆっくりで、少しずつ開いていくタイプのようです。

 

先の尖った花弁がぎっしり詰まったカップ咲きで、花の中心がボタンアイのようになることもあります。

 

▲2輪目には紅色の覆輪がはっきりと 写真提供/とらうさぎ

 

5日後の6月10日には2輪目が咲いてきました。開き始めの頃は、一番外側の花びらだけが平らに開いた「カップアンドソーサー」の花形になります。

 

ソーサー部分の花径は8~9cmありますが、それ以外のカップ部分がキュッと内側にまとまっているので、実際にはかなり小ぶりに見えます。でも花の小ささが、このバラの可憐さを強調しているように思えます。

 

花弁の縁を彩る覆輪は、ほとんど分からないほど細いときもあれば、ハッキリ出ることもあるようです。2輪目は、1輪目よりハッキリ出ました。

 

「ザミルオンザフロス」の花は、繊細な造形と小ぶりなサイズが相まって、非常に可愛らしい、乙女チック(?)な魅力があります。その一方、株が若くても気温が高くてもカタログに近い花を咲かせるところは、地味にすごいなと思います。

 

この時期の手入れ

現在の樹高は45cmありますが、少し目を離した隙に新芽を虫に食べられてしまいました。オルトランDXを株元に、アタックワンALをスプレー散布しました。

 

IB肥料を規定量、施肥しています。

 

雨が続いたときに葉が1枚だけウドンコ病になりかけたので、除菌ウエットティッシュで拭き取りました。その後、再発はしていません。

 

暑くなってきていますが、「ザミルオンザフロス」の鉢はなかなか軽くならないので、他のバラより水やりを控えめにしています。

 

7月11日の「ザミルオンザフロス」/ベーサルシュートをピンチ

▲樹高は75cm 写真提供/とらうさぎ

1番花を切り戻した後に新しい枝が伸び、枝先に蕾をつけました。株の生長を優先したいので、2番花以降は咲かせない方針で、すべてピンチで取り除きました。現在の樹高は75cmです。

 

中央からベーサルシュートが伸びてきたので、30cmくらいのところでピンチしてあります。ベーサルシュートはとても立派で、他の枝の倍くらいの太さがあります。

 

この品種はベーサルシュートをピンチした後、新芽が伸び出すまで時間がかかります。3週間後にようやく動き出し、ホッとしました。

 

気温が上がってさすがに水切れしやすくなってきたので、鉢増しを考えています。以前はかなり軽くなっても枝先がお辞儀しなかったのですが、最近ではさすがにお辞儀するようになってきました。

 

この時期の手入れ

7月始めにIB肥料を規定量施肥し、株元にオルトランDXを散布しました。

 

8月22日の「ザミルオンザフロス」

▲ベーサルシュートが長く伸びて樹高120cmに 写真提供/とらうさぎ

ーサルシュートが長く伸びて、現在の樹高は120cm。2~3回ピンチした後、途中で3本に枝分かれしています。シュート以外の枝は細いままで、自立できなくなってきたので支柱を立てました。

 

「ザミルオンザフロス」は、8月はほとんど蕾をつけませんでした。あまりに暑いので、自分で調整しているのでしょう。

 

昨年そだレポした「ジュードジオブスキュア」と同じイングリッシュローズですが、「ジュードジオブスキュア」は夏に高温障害が出たのに対して、「ザミルオンザフロス」に目立った高温障害がありません。比較的、暑さに強いかな?と、感じます。

 

この時期の手入れ

8月上旬に7号スリット鉢から8号スリット鉢に、植えつけ時と同じ培養土を使って鉢増ししました。鉢増し後に、IB肥料を少ないめに施肥しています。オルトランDXも規定量、撒きました。

 

病気は出ていないので、スプレー剤はお休みしています。

 

9月30日の「ザミルオンザフロス」/少し早い秋花が開花

▲ぐんと伸びて樹高180cmに 写真提供/とらうさぎ

ミルオンザフロスは、結局夏剪定しないことにして、伸びるにまかせています。現在、樹高は180cm。かなり枝が伸びる品種のようです。

 

▲覆輪は淡いけれど整った花形 写真提供/とらうさぎ

 

9月初旬についた蕾が一輪、株の低い位置に開花しました。花径5cmほどの小ぶりな花で、香りは淡いです。花のサイズこそ小さいですが、春花と同じように先の尖った花弁がぎっしり詰まっています。

 

▲もうすぐ開花しそうな蕾。こちらは覆輪がハッキリ 写真提供/とらうさぎ

 

既に開花している花は覆輪が淡いのですが、次に控えている花はもう少しはっきりした覆輪が期待できそうです。

 

この時期の手入れ

9月半ばにIB肥料を規定量施肥し、同時にオルトランDXも規定量使用しています。いまのところ、病気は出ていません。「トウガラシ+ハーブスプレー」が効かないイモムシが出ているので、毎晩、害虫パトロールをして駆除しています。

 

12月5日の「ザミルオンザフロス」

▲樹高は180cm 写真提供/とらうさぎ

回レポートした9月末の花で、今年の「ザミルオンザフロス」の花は終了でした。その後は生育が悪くなり沈黙を続けています。目立った生育はありませんが病気にかかるでもなく、異変もなく、ただ沈黙しているといった感じです。

 

まだ若い株なので、このまま少しでも長く栄養を蓄え、来年に備えてほしいです。

 

樹高は変わらず180cm。冬の植え替えで枝を短く剪定しようと思っています。

 

この時期の管理

10月は施肥なし。11月初旬にハイポネックスの微粉を施肥しました。10月、11月ともに薬剤散布なし。他の草花に使った活力剤(リキダス)入りの水を時々あげています。

 

1月27日の「ザミルオンザフロス」/冬剪定、冬の植え替え

▲根張りよし! 写真提供/とらうさぎ

ミルオンザフロスは、1月27日に冬剪定と植え替えをしました。

 

秋はあまり咲きませんでしたが、根張りは悪くありません。もともと植えられていた土の水はけが、我が家のほかのバラ鉢と違っていて水やりタイミングが難しかったので、この機会に土を多めに落としてしっかり土替えしました。

 

新しい土は、赤玉土+培養土のもと(バラの家)を6:4の割合で配合。元肥には、プレミアムオーガニック肥料(バラの家)を規定量入れました。

 

▲枝を長く伸ばして、ゆるく剪定 写真提供/とらうさぎ

 

冬剪定は、短く切るかどうか迷ったのですが、今年は枝を残して三角形のオベリスクに沿わせてみました。一番長い枝が太く硬くなってしまっていて、ほとんど曲げられなかったので、来年の開花後には切り詰めようかと思っています。

 

ザミルオンザフロスのそだレポは、ここまでとなります。

 

今回の「そだレポ」の感想

▲「ザ・ミルオンザフロス」の春花 写真提供/とらうさぎ

 

今年の目標は「輸入苗をとにかく無事に育てたい」でした。

 

春先から初夏までは、水やりのタイミングに苦労しましたが、夏以降、株が育って葉が増えるとともにペースがつかめてきて、秋までには大きく育ったのでホッとしています。

 

来年以降も、この調子で株を充実させていけたらと思っています。

 

 

育てた人紹介/とらうさぎ

ポタジェに憧れている庭仕事4年目のロザリアンです。庭のある家に越したのを契機にガーデニングにハマりました。狭い庭のうち一番日当たりの良い場所は家庭菜園に譲っているので、バラ栽培はそれ以外の場所を開拓しながら行っています。家庭菜園があるので、バラの栽培スタンスは減農薬です。東京都の郊外在住。

 

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