春花が終わったころから伸び始めるバラのシュート。地植えバラでは勢いの良いシュートが雨後の筍のようにたくさん伸びます。地植えバラでのシュート管理のしかたを紹介します。


地植えバラのシュートはまるで雨後の筍!立派な枝がニョキニョキ育つ

▲10本以上あがってきた地植えバラのベイサルシュート

当りの良い環境でキチンと管理されている地植えのバラからは、立派なベイサルシュートが何本も発生します。上の写真をご覧ください。緑色のツルンとした枝が10本以上立ち並んでいますが、これ、ほとんどベイサルシュートです。

 

この株は去年調子が悪くて主幹を2本まで減らしてしまったので、その反動で今年たくさんのベイサルシュートを上げたようです。地植えならこんなに発生することもあるという好例ですね。たくさん上げすぎて全体に細いんですが、すごい数です!

 

▲地植えバラのベイサルシュートは直径2cm以上の太さに

 

もうひとつ日照条件の良い場所で健康に育っている地植えのバラのシュートって、鉢植えバラと比べてとても太いのが特徴です。

 

上の写真に斜めに刺さっている黒い支柱がありますが、この支柱の直径が1.5cmです。支柱の手前に写っているベイサルシュートなんて、直径2~2.5cmくらいあるのが分かると思います。

 

こんなに太い枝が、梅雨の温度と湿度でぐぐ~っと1日に5~6cmも伸びるのが、地植えバラのベイサルシュートです。まさに雨後の筍の勢いです!

 

今回は、こんなに勢いの良い地植えの「木立ちバラ」と「高さ1mちょっとまでに管理するシュラブローズ」のシュート処理について紹介します。

 

鉢植えでの場合や、つるバラや、大型でつる仕立てにするシュラブローズは、今回とは違った手入れになります。これらは、また別のページで紹介します。

 

▼鉢植えの木立ちバラのシュート処理はこちらをどうぞ

 

地植えバラのシュート処理は6月を中心に。枝分かれさせたい高さでピンチ!

▲枝分かれさせたい高さでピンチ!

バラのシュート処理に比べて、地植えバラのシュート処理は簡単です。枝分かれさせたい高さでピンチするのです。だいたい40~50cmほどの高さが多いでしょうか。

 

時期は6月を中心に、5~7月が適期です。

 

枝が柔らかければ手でポキリと折るソフトピンチで。手で折れないほど枝が硬くなっていれば、ハサミを使ってハードピンチで。

 

どちらで切っても構いませんが、なるべくソフトピンチできる内にピンチしたいもの。ソフトピンチの方が、枝の再生が早いからです。

 

外芽、内芽は気にする必要がありません。

 

▲ピンチすると枝分かれする

 

上の写真は、ピンチ後1カ月ていどたった様子です。

 

赤い矢印の枝がベイサルシュートです。これを青いラインでカット(ピンチ)したところ、やがて左右から黄色い矢印の枝が2本に枝分かれして伸びてきます。

 

枝分かれせず1本しか新芽が伸びない場合もありますが、多くは2本ていどに枝分かれします。枝分かれすれば、こんもりしたキレイな樹形が作りやすくなります。

 

地植えバラのシュート処理、注意したい2つのポイント!

ポイント1、葉の上ギリギリで切らない!

▲葉の上ギリギリカットは枝が曲がりやすい

先をピンチした後の新芽は、一番上の葉の付け根から伸びてきます。葉の上ギリギリでピンチすると、上の写真のように枝がまっすぐ再生せず、曲がってしまうことが多いです。

 

また、残した枝が枯れこんで新芽に影響することもあります。

 

▲カットした枝先が枯れこんでいる

 

この写真がいい例で、〇で囲んだ部分は、ピンチした枝先が枯れこんでいます。シュートは水分が多い枝なので、枯れこみやすいのです。

 

枝先の枯れこみを見越して、葉の上ギリギリではなく、葉と葉の真ん中くらいでピンチします。長さでいうと、2~3cm残したいところです。

 

ポイント2、新芽が伸びていないところでピンチする!

▲やがて赤い矢印のところから新芽が伸びだす

ュートをピンチした後に、残した枝の一番上の葉の付け根から新芽が伸びてきます。上の写真でいうと、青いラインのところでピンチすると、赤い矢印のところが頂芽となり、やがてここから新芽が伸びてきます。

 

▲芽が動き出しているところより下でピンチ

 

ところが、もう芽が動き出し細い新芽が伸びていることがあります。これを頂芽として残しても、良い枝になりません。

 

こんなときは、新芽が動いていないところまで下げてシュート枝をピンチします。

 

花が咲いてしまったシュート枝も、同じようにピンチする

▲ほうき状に咲いたベイサルシュートの花

植えバラのシュートはとても生長が早いので、うっかり咲かせてしまうことも良くあります。そんなときも切り方は同じです。

 

▲カットしたところで枝分かれする

 

枝分かれさせたい高さでカットしておけば、やがて脇芽が伸びだし、枝分かれして生長します。

 

鉢栽培に比べて地植えは生育状態がとても良いので、花を咲かせてもあるていど良いベイサルシュートに育てることができます。もちろん、咲かせない方が良い管理ではありますが──。

 

ベイサルシュートをピンチした次の花から咲かせてOK!

▲一度ピンチした後に伸びた枝に咲いた花

度シュート処理した枝、つまりピンチをして枝分かれさせたシュート枝に咲いた花から咲かせても構いません。花を咲かせることで、締まった枝に成熟します。

 

もちろん、バラにとって過ごしにくい環境の夏の間は咲かせないという選択もアリです。

 

全体の形を崩さないよう、飛び出さないよう秋剪定まで管理

▲全体がドーム型になるよう意識して管理

ンチしたシュート枝は、枝分かれしながらどんどん伸びます。地植えバラはピンチしても勢いが衰えず、ほかの枝より高く伸びてしまいがち。

 

シュート枝が全体のアウトラインより飛び出してきたらさらにピンチを繰り返し、まんべんなく枝が生長できるドーム型に整えます。

 

余裕のある方は、小技を取り入れてもいいですね。

 

シュート枝は勢いが良く伸びやすいのを見越して、一度ピンチした後にわざと花を咲かせて勢いを削ぐ。ピンチするときほかの枝より5cmくらい低くする。ご自分のバラの状態や、どれだけ頻繁に手入れできるかに合わせて取り入れてください。

 

これ以降は9月中旬を目安にシュート枝もほかの枝も同じように夏剪定を行います。どの枝も秋花から咲かせて大丈夫です。

 

まとめ

今回は、日当たりの良い地植えバラのシュート処理について紹介しました。ベイサルシュートを例にしていますが、サイドシュートでも考え方は同じです。枝分かれさせたい高さでピンチするのです。ピンチした後は、長く飛び出さないよう、他の枝と高さをそろえて管理します。

 

サイドシュートを枝分かれさせたくなければ、全体のアウトラインに合わせてピンチします。シュート枝は勢いがいいので、ほかより少し5cmくらい低くピンチしておくと後の管理が楽です。

 

地植えバラは鉢植えバラより栄養状態が良く、健康に育っていることが多いので、鉢植えバラのように気を遣わずざっくりした作業で大丈夫。

 

▲今年出たベイサルシュートだけになった地植えバラ

 

たとえば手入れが行き届かず、黒星病で葉がぜんぶ落ちてしまった上に去年の主幹がすべて枯れてしまった、上の写真のようなこんな状態の株。日当たりの良い場所に地植えなら、ベイサルシュートを適切に管理することで、短期間に立て直すことが可能です。

 

これが鉢植えだったら、もしくは日当たりの悪い場所だったら、死活問題になります。でも日当たりの良い地植えなら、大きな問題にならないことが多いです。

 

我が家は半日陰の鉢栽培なので、日当たりの良い地植えバラの生命力にはいつも驚かされます!

 

関連記事

 

▼「季節ごとのバラの手入れ」の記事一覧はこちらから

 

cropped-rose1.png
スポンサーリンク