春の花が終わるころになると、地植えバラでは勢いの良いベイサルシュートが次々と伸びてきます。鉢植えほど細かく考える必要はありませんが、一度だけポイントを押さえておくと、その後の管理がぐっと楽になります。地植えならではの、おおらかなベイサルシュート処理のしかたを紹介します。
地植えのベイサルシュートは鉢植えほど神経質にならなくてOK
▲驚くほど多く、それぞれ2cm以上の太さがあるベイサルシュート
鉢植えバラの場合、ベイサルシュートの管理はかなり厳密です。鉢植えバラは根域(根を張れる範囲)が狭く、養分や水分を吸収できる量が限られているからです。発生するベイサルシュートの本数も少なく、それを効率的に良い主幹に育てる必要がありました。
一方、地植えバラでは条件がかなり違います。根域がとても広く、いくらでも養分や水分を吸収できるため、ベイサルシュートの発生本数が多く、太くしっかりした枝になりやすいという特徴があります。
そのため、日当たりの良い環境でキチンと管理されている地植えバラのベイサルシュート処理は、鉢植えバラほど神経質にならなくて大丈夫。かなりおおらかな管理でも、問題になりにくいのです。
今回は、地植えの「木立ちバラ」と「高さ1mちょっとまでに管理するシュラブローズ」のシュート処理について紹介します。
鉢植えでの場合や、つるバラや、大型でつる仕立てにするシュラブローズは、今回とは違った手入れになります。これらは、また別のページで紹介しています。
鉢植えの木立ちバラのシュート処理はこちらをご覧ください
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【基本】バラのシュート処理(シュートの手入れ)の基本|ベイサル・サイドシュートの育て方
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地植えのベイサルシュート処理の基本
枝分かれさせたい高さでハードピンチ
▲枝分かれさせたい高さでハードピンチ
地植えでは枝を充実させることよりも、枝分かれさせて樹形を整えることを優先します。そのため枝分かれさせたい高さでハードピンチします。
地面からだいたい40~50cmほどの高さが多いでしょうか。
時期は6月を中心に、5~7月が適期です。
枝分かれさせることが目的なので、ここではハードピンチをします。つまり、硬くなった枝を剪定バサミでカットするのです。内芽、外芽を気にする必要はありません。
ハードピンチとソフトピンチの違いはこちらの記事で確認してください
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バラのソフトピンチとハードピンチの違い|枝の育ち方で分かる使い分け
ハードピンチした後の育ち方
▲ハードピンチすると枝分かれする
上の写真は、ハードピンチ後1カ月ていどたった様子です。
赤い矢印の枝がベイサルシュートです。これを青いラインでカット(ハードピンチ)したところ、やがて左右から黄色い矢印の枝が2本に枝分かれして伸びてきました。
枝分かれせず1本しか新芽が伸びない場合もありますが、多くは2本ていどに枝分かれします。枝分かれすれば、こんもりしたキレイな樹形が作りやすくなります。
目的は枝分かれさせて樹形をつくること
木立ちバラのベイサルシュートは、来年以降の主幹となる枝であると同時に、株全体の樹形を整える役割があります。
上の項目で説明したように、地植えバラは根域が広いため多くのエネルギーを蓄えた良い枝になりやすいという特徴があります。そのため地植えバラのベイサルシュート処理は、分枝させてこんもり樹形をつくる方が主目的になるのです。
ハードピンチするときの3つのポイント
ポイント1、切る高さに注意
▲カットした枝先が長く枯れこんでいる
枝をカットするときは通常「葉の付け根の5mmていど上をカットする」といわれます。それは経験的に5mmが、残した枝先が枯れこみにくい高さだからです。
しかしベイサルシュートに限っては様子が違います。ベイサルシュートはとても水分が多い枝なので、カットしたところから長く枯れこみ、それが新芽に影響しやすい性質があります。
この写真がいい例で、〇で囲んだ部分は、ピンチした枝先が長く枯れこんでいます。
枝先の枯れこみを見越して、葉の付け根の5mm上ではなく、葉と葉の真ん中くらいでピンチします。長さでいうと、2~3cm残したいところです。
ポイント2、葉の上ギリギリで切らない
▲葉の上ギリギリカットは枝が曲がりやすい
枝先をカットした後の新芽は、一番上の葉の付け根から伸びてきます。
葉の上ギリギリでカットすると、上の写真のように枝がまっすぐ再生せず、曲がってしまうことが多いです。
ポイント3、芽が動いた所を残さない
▲やがて赤い矢印のところから新芽が伸びだす
ベイサルシュートをハードピンチした後に、残した枝の一番上の葉の付け根から新芽が伸びてきます。
上の写真でいうと、青いラインのところでピンチすると、赤い矢印のところが頂芽となり、やがてここから新芽が伸びてきます。
▲芽が動き出しているところより下でピンチ
ところが、もう芽が動き出し細い新芽が伸びていることがあります。じつはこれは花芽で、これを頂芽として残しても花が咲いてしまい、良い枝になりません。
こんなときは、新芽が動いていないところまで下げてハードピンチします。
細いベイサルシュートは整理してもOK
地植えでは「ベイサルシュートをたくさん出すこと」よりも、主幹として育てたい良いベイサルシュートを選び、残りは整理することも大切な管理です。
▲10本以上出たベイサルシュート
栄養状態の良い地植えのベイサルシュートは、ときに大量発生します。上の写真がよい例で、昨年に主幹2本まで減ってしまったのを補うように10本以上のベイサルシュートが出てきました。
主幹として育てたい太く勢いのある枝もあれば、細く頼りない枝も混ざっています。
細いベイサルシュートまで全部残してしまうと、株の力が分散してしまいます。主幹として使えそうにない細い枝は、早めに株元から切り取ってしまって構いません。
太いベイサルシュートが数本あれば株は十分更新できます。細い枝まで残す必要はありません。
株の養分を勢いのあるベイサルシュートへ集中させることで、より充実した枝に育ちやすくなります。
花や蕾が付いてしまったら?
まず一度はハードピンチする
▲10輪以上の巨大な房になったベイサルシュートの蕾
ベイサルシュートをそのまま伸ばすと、ほかの枝より勢いよく伸び、10輪以上の巨大な房咲きになります。
この花は咲かせず、まず一度、枝分かれさせたい高さでハードピンチしましょう。だいたい地面から40~50cmの高さが基本です。
▲カットしたところで枝分かれする
その後は枝が2本ほどに枝分かれし、勢いも分散します。
上の写真は、赤い矢印のベイサルシュートを青い線のところでハードピンチしてあります。その後、黄色い矢印の2本の枝に分かれている様子です。
その後の花はどうする?
▲枝分かれさせた後に咲いた花
理想を言えば、夏剪定までは蕾を摘み続け、枝をさらに充実させる方がベイサルシュートには有利です。
ただし、地植えのバラは根が広く張り、株全体の勢いも強いため、一度枝分かれさせた後なら、そこまで神経質になる必要はありません。枝分かれさせた後に伸びた枝に咲く花は、上の写真のように、巨大な房咲きになりにくいからです。
庭で管理するバラでは、その後に咲く花を楽しみながら育てている方も多くいます。
その後は樹形を整えながら育てる
▲全体がドーム型になるよう意識して管理
一度ハードピンチしたベイサルシュートは、枝分かれしながらどんどん伸びます。地植えバラはピンチしても勢いが衰えず、ほかの枝より高く伸びてしまいがちです。
シュート枝が全体のアウトラインより飛び出してきたらさらにピンチを繰り返し、まんべんなく枝が生長できるドーム型に整えます。
ピンチするときほかの枝より5cmくらい低くすると、管理しやすいです。
これ以降は9月初旬を目安にベイサルシュートもほかの枝も同じように夏剪定を行います。
どの枝も秋花から咲かせて大丈夫です。
まとめ│地植えのベイサルシュートは樹形を整えながら育てよう
今回は、日当たりの良い地植えバラのシュート処理について紹介しました。
ベイサルシュートを例にしていますが、サイドシュートも枝分かれさせて樹形を整えるという点は同じです。しかし、ベイサルシュートのように夏剪定まで蕾を摘み続ける必要はありません。一度枝分かれさせれば、後は咲かせても大丈夫です。
地植えバラは鉢植えバラより栄養状態が良く、健康に育っていることが多いので、鉢植えバラのように気を遣わずざっくりした作業で大丈夫。
▲今年出たベイサルシュートだけになった地植えバラ
たとえば手入れが行き届かず、黒星病で葉がぜんぶ落ちてしまった上に去年の主幹がすべて枯れてしまった、上の写真のようなこんな状態の株。日当たりの良い場所に地植えなら、ベイサルシュートを適切に管理することで、短期間に立て直すことが可能です。
これが鉢植えだったら、もしくは日当たりの悪い場所だったら、死活問題になります。でも日当たりの良い地植えなら、大きな問題にならないことが多いです。
我が家は半日陰の鉢栽培なので、日当たりの良い地植えバラの生命力にはいつも驚かされます!
シュートについては、知りたい目的別に、それぞれの詳しい記事へ進んでください。
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