つるバラを初めて育てる人が、一番やってしまいやすい失敗があります。それは、木立ちバラと同じようにシュートを切ってしまうことです。
木立ちバラではシュートをピンチしますが、つるバラでは逆。シュートは切らずに長く育てることが基本です。
今回は、つるバラのベイサルシュート・サイドシュートの役割と、冬の誘引までの正しい管理方法を、初心者向けに分かりやすく紹介します。
木立ちバラとつるバラではシュート管理がまったく違う
まず最初に覚えてほしいのは、木立ちバラとつるバラではシュート管理がまったく違うということです。
木立ちバラのシュート管理では、枝がある程度の高さに達したらハードピンチ(硬い枝をカット)して、枝分かれさせて樹形を作ります。
一方つるバラのシュート管理では、枝を切ってはいけません。冬の誘引までは曲げてもいけません。長くまっすぐ伸ばし続けます。
両者の違いを、分かりやすく表にまとめたので、比較してください。
| 木立ちバラ | つるバラ |
|---|---|
| ピンチする | 切らない |
| 枝分かれさせる | 長く伸ばす |
| 樹形を作る | 花枝を出す土台を作る |
もし、つるバラのシュートを切ってしまったら・・・。来年以降にたくさん花を咲かせるベースとなる枝(主幹)を失ってしまいます。
この記事では、クライミング樹形と、大型シュラブ樹形のつるバラのシュート管理について、くわしく説明していきます。
つるバラのベイサルシュートは、切らずに長く伸ばす
ベイサルシュートは来年の花枝の土台になる
▲クライミング樹形のつるバラのベイサルシュート(シンパシー)
春花後、つるバラの株元から勢いの良いベイサルシュートが発生します。上の写真の赤い矢印の枝がつるバラのベイサルシュートです。
この枝を長く伸ばして冬になったらフェンスに寝かせて留めつけ誘引します。
すると来年の春には、この枝からどんどん花枝があがり、たくさんの春花を咲かせてくれます。
つまり、つるバラのベイサルシュートは、来年以降にたくさんの花枝をあげる土台となる枝なのです。
ベイサルシュートは真っすぐ立てて管理する
ある程度の高さに達すると、ベイサルシュートは自分の重みで倒れてきます。上の写真の枝も、少し倒れてきていますね。
ベイサルシュートは長く伸ばしたい枝です。長く伸ばすほど、翌年に花枝を出せる場所が増えます。
枝を長く伸ばすコツは、真っすぐに管理することです。
バラの枝は、頂芽優勢の原理に従い、一番上の芽にどんどんエネルギーが集まります。この性質を利用して、とにかく真っすぐになるよう心がければ、枝が長く伸びるのです。
冬の誘引までは、曲げてはいけない
▲ベイサルシュートが倒れてきたら真っすぐ立てて支柱に固定
ベイサルシュートの枝が倒れてきたら、真っすぐ立てて支柱にしばります。
つるバラを支柱にしばるというと、なんとなく横に曲げてしまいたくなります。でも、それは冬に行う誘引作業のときだけです。
つるバラのベイサルシュートは、冬の誘引作業までは真っすぐ立てて、曲げずに管理します。
ベイサルシュートが伸びる夏は、台風の影響で枝が折れるおそれがあるので、それを防ぐ意味でも、ベイサルシュートの長い枝は支柱に固定して折れたり曲がったりしないように管理します。
冬になったらほかの枝と同じように、横に寝かせて誘引します。
つるバラのサイドシュートも、切らない・冬剪定まで曲げない
サイドシュートも花枝の土台になる
▲長く伸びだした、つるバラのサイドシュート
株元ではなく、主幹の途中から勢いの良い枝が長く伸びだすこともあります。これはサイドシュートです。
サイドシュートも考え方はベイサルシュートと同じです。来年以降に、たくさんの花枝を伸ばす土台となる枝です。長く伸ばせば伸ばすほど、来年以降の花がたくさん咲きます。
管理の考え方も同じです。なるべく真っすぐ立てて管理して、長く伸ばします。切ったり曲げたりしません。
支柱がない場合は自然に伸ばしてOK
でも、ここで現実的な問題が発生します。
サイドシュートはある程度の高さから発生するので、これを真っすぐ立てられるほど長い支柱がなかったり、壁の高さがなかったりすることが多いのです。
そこで、サイドシュートは伸びるにまかせるという方法が取られるのが一般的です。
サイドシュートがある程度の長さに達すると、自分の枝の重みで弓なりにしなります。そうすると頂芽優勢が崩れて、数本の側枝に分かれます。
伸ばしっぱなしにしたサイドシュートは台風の影響で折れやすいので、台風前には枝を主幹に寝かせて縛って保護し、台風が過ぎたら固定を外し、また真っすぐにすると、台風被害を防げます。
冬になったら、ほかの枝と同じように横に寝かせて誘引します。
【応用編】シュートを寝かせれば側枝が伸びる
▲シュート枝を寝かせて側枝を出す!
ここまで紹介してきたように、つるバラのシュート枝の管理は、まっすぐ立てて枝の長さを伸ばすのが基本です。頂芽優勢の原理に従い、頂上のひとつの芽だけを伸ばすのです。
ここからはちょっとした応用編の紹介です。
これは我が家のベランダに設置したバルコニー用小型アーチです。アーチの間にワイヤーを張り、枝が柔らかいタイプのつるバラ「紅玉」を誘引しています。
今年は2本の元気なベイサルシュートが伸びてきました。これが来年の主幹としてたくさんの花を咲かせてくれる枝になります。既に十分な長さがあるので、これ以降は長さを伸ばすより複数の側枝を出したいところ。
そこで真っすぐ留めつけていた紐をほどき、自然に弓なりになる状態に枝を寝かせて留め直しました。
▲次々と側枝が伸びてきた
枝を寝かせることで頂芽優勢が崩れ、側枝がわっと芽吹いてきます。こんなふうに長さより側枝が欲しいときは、枝を寝かせればいいのです。
大型シュラブのシュート管理
▲大型シュラブのベイサルシュート(グラハムトーマス)
グラハムトーマスやザ・ジェネラスガーデナーのような大型シュラブでも、ベイサルシュートは来年以降の花枝を支える土台になるため、基本的には切らずに長く育てます。
ただし、大型シュラブは品種や栽培環境によって性質が大きく異なります。十分伸びる前に開花する品種もあれば、長く伸び続ける品種もあります。
そのため、細かな管理方法は品種ごとに調整が必要です。
まとめ│つるバラのシュート管理は「切らない・曲げない」が基本
今回は、つるバラのシュート管理に焦点を絞って紹介しました。木立ちバラを育てている方がつるバラを育て始めると、間違ってシュートの先をピンチしてしまうことがあります。
木立ちバラではシュートの先をピンチして花を咲かせないようにするけれど、つるバラのシュートは切ってはいけません。基本的に、冬に誘引作業をするまでは曲げてもいけません。
台風などで枝が折れてしまわないよう、そこだけ注意すれば大丈夫です。
シュート管理だけで見れば、つるバラは木立ちバラよりシンプルです。切らずに冬まで育てればよいからです。おおらかに育てましょう。
シュートについては、知りたい目的別に、それぞれの詳しい記事へ進んでください。
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