もうすぐ母の日ですね。母の日にはカーネーションを贈ります。でもどうして?母の日にカーネーションを贈る理由から始まって、カーネーションについてぐぐぐっと掘り下げてみました! カーネーションの語源、花言葉、母の日シーズンだからこそのおすすめの花やプラスするギフトまで多角的に詳しく紹介します!
今年の母の日はいつ? その起源は?
母の日は国によりさまざまですが、日本やアメリカ、オーストラリア、フィンランドでは5月の第2日曜日に祝うとされています。
母の日の起源は17世紀のアイルランドやイギリスに遡り、家から離れて奉公にでている子どもたちが教会で母親に会える日だったそうです。日にちは復活祭の3週間前。復活祭自体が年によりかなり変動があるので、母の日(マザリングサンディ)も、毎年、日にちが異なっているようです。
イギリスではパンやスイーツを焼いたり、バラの花束のプレゼント、カードなどを母親にプレゼントします。小さい子は朝食を作って部屋までもっていったり、皿洗いをして母親をねぎらいます。
オーストラリアではプレゼントする花はカーネーションではなくキクです。キクは「マム」と呼ばれることから、母の日の花になったのでしょうね。日本とは季節が逆になるオーストラリアの5月は秋です。ちょうどキクが咲く時期だからということも関係しているようです。
フィンランドでは花屋でミニバラを買ってプレゼントすることが多いそうです。小さい子どもたちは、早朝から家の周りや森から二輪草の花を探して摘んできて、朝食と一緒に母親のベッドまでもってきてくれるという習慣があります。素敵ですね!
母の日にカーネーションを贈るのはなぜ?
19世紀のアメリカの「母の日」は、女性の活動を促すものだった!
母の日とカーネーションのつながりをひも解くには、1850年代のアメリカに遡らなければいけません。
アメリカ、ウエストバージニア州にアン・リーブス・ジャービス(Ann Reeves Jarvis)という女性がいました。彼女には11人もの兄弟がいましたが、残念ながら成人したのはアンを含めてたったの4人でした。当時のウエスト・バージニア州の衛生状態や医療設備はまだ水準が低く、そのために幼くして亡くなってしまったのです。
これを改善しようと、アンは立ち上がります。衛生状態をよくし、乳児の病気を治療し、母乳の汚染防止をすることで、乳児の死亡率を改善しようと母親たちが働くボランティア活動を始めます。「母のデイワーク・クラブ」(Mother’s Day Work Club)と名づけられたこの活動は、1861~1865年の南北戦争中には、敵味方問わず負傷兵を看護する活動も行っていました。
一方1870年、女性社会活動家ジュリア・ウォード・ハウ(Julia Ward Howe)は、「母の日宣言」(Mother’s Day Proclamation)を発表します。これは、女性たちにもっと政治に参加し、平和を推進するよう呼びかけたものでした。
アン・リーブス・ジャービスの「母のデイワーク・クラブ」は、母親が子どものために積極的に働くボランティア団体でした。
ジュリア・ウォード・ハウの「母の日宣言」は、女性にもっと政治参加を呼び掛けるものでした。
どちらも現在の「母の日」とは少し意味合いが異なりますね。
母の日にカーネーションを贈る習慣は、アンナ・ジャービスの行動から
現在の「母の日」の原型を作ったのは、アン・リーブス・ジャービスの娘アンナ・ジャービス(Anna Jarvis)です。
アンナの母親、アン・リーブス・ジャービスは1905年に亡くなりました。その後、娘アンナの熱心な働きかけが実を結び、3年後の1908年5月10日、アン・リーブス・ジャービスが26年間、日曜学校の先生をしていたグラフトンの教会で「母の日」の式典が催されました。
アンナにしてみれば、母(アン・リーブス・ジャービス)が乳児の死亡率を改善するための活動をしてくれたおかげで自分が健やかに育つことができたという感謝の気持ちがあったのでしょうね。
このときアンナは、亡き母が大好きだった白いカーネーションを教会に捧げ、集まった人たちにカーネーションの花を手渡したとされています。
これが、現在でも「母の日」にカーネーションを贈る原型となりました。
これを皮切りにアンナは各地で「母の日」を祝う活動を始めます。
アンナの活動を受けて、1914年、当時のアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson)が「母の日」を5月の第2日曜日と正式に決めました。
ここにのっかったのがアメリカ商業主義です。「母の日にはお母さんに感謝を込めてカーネーションとプレゼントを贈りましょう!」と、大々的に宣伝を始めます。
母の日に贈るカーネーションは、やがて亡くなった母親には白いカーネーションを、存命の母親には赤いカーネーションをと分化していき、それでは母親のいない子が差別対象になると懸念した誰かが提唱して、皆が赤いカーネーションを贈るようになりました。
母の日は内輪で祝うもの!
こうしてすっかり商業的イベントになってしまった「母の日」に、それを作った当事者であるアンナ・ジャービスは強い不快感をもちます。
「母の日は、世間の母親全員を祝うものではなくて、自分の母親を個人的に祝うものであるべき!」
こう考えたアンナ・ジャービスは、「母の日」を商業主義から切り離そうと努力します。母の日のカーネーションやプレゼントの不買運動を起こしたり、募金活動に母の日を利用したとして時の大統領夫人を非難したりしたといいます。
晩年のアンナは、母から受け継いだ遺産もすべて「母の日」を商業主義から切り離す運動に費やしてしまい、貧しい中で亡くなったといいます。少し皮肉な結果になってしまったものです。
日本では、1913年、アンナから青山学院に手紙が!
Aoyama Gakuin University, Aoyama Campus / Dick Thomas Johnson
日本では、1913年にアンナ・ジャービスから青山学院に手紙が届き、青山学院の女性宣教師たちが熱心に働きかけて、日本にアメリカ式「母の日」が定着していくきっかけとなりました。
けっきょく日本でもアメリカと同じように商業主義にのっかってしまっているのは、ご存知の通りです。
あまりに商業主導になるのは、確かに提唱者のアンナにしてみれば、面白いものではなかったでしょう。もっとつつましく、家族で祝うべきものだという主張は分かります。
でも、24時間休日返上で働いているにも関わらず、それが当たり前と思われがちな母親たちに感謝する日があるのは、いささか商業主義になりつつあっても、やはり大切なことですよね!
カーネーションの語源は?
ところで唐突ですが、カーネーションの花って好きですか?
正直言ってわたしはあまり好きではありません。なぜかというと、あのまっすぐな茎と真上を向いて咲く花の姿が苦手なんですね。わたしは生け花をやっていたので、表情の乏しい使いにくい花材だなーと、いつも思っていました。
あと、金額的に安い花材なので、どうしてもチープに見えてしまう。同じ仲間なら、一重咲きのナデシコの方がやさしい印象で、庭に群れ咲いていたりすると素敵かなぁって思います。
カーネーションは花冠の花
Flowers Crown / thethreesisters
カーネーションの原産地は南ヨーロッパから西アジアの地中海沿岸といわれています。
名前の語源には2説あり、一つはラテン語のcarneusから来ているというもの。carneusは「肉色」という意味をもち、花色が肉色をしていたために名づけられたという説。もう一つはローマ神話に由来するというもの。
カーネーションにまつわるローマ神話
ローマに住んでいた美しい女性ソニクスは、カーネーションの花冠作りの名人でした。いつもカーネーションの美しい花冠で太陽神アポロンの神殿を飾っていました。しかしソニクスは、嫉妬心から心無い者に殺されてしまいます。太陽神アポロンはソニクスの日頃の行いに感謝し、彼女を虹色に輝くカーネーションに変えました。
カーネーションはローマ時代から花冠(coronation flower)に使われた花だったので、これが語源となっているという説です。
カーネーションは17世紀からイギリスで多くの品種が生み出され、19世紀にはカーネーション、オーリキュラ、チューリップが時代の最先端を行く植物だったそうです。かのジョゼフィーヌに仕えた植物画家ルドゥーテもカーネーションを描いています。
もちろん、ジョゼフィーヌの貢献もあって、その後、時代はバラに熱狂していくわけですが。
カーネーションがローマ時代から花冠に使われていたと聞いて、なんとなく納得できた気がします。花首だけを綱状につなげる花冠なら、茎が直線的でも何の問題もありませんから! それよりも抜群の花もちの良さや、花色の美しさ、華やかさ、さらに原種に近い品種にはあるというクローブのようなスパイシーな甘い香りも好まれたのでしょうね!
▼ルドゥーテについては、こちらをご覧くださいね!
キリスト世界では、カーネーションは「母性愛」を象徴する花
▲「カーネーションの聖母」レオナルド・ダ・ヴィンチ
カーネーションは、キリスト教の世界では「母性愛」を象徴する花、そして、やがて来る受難を暗示する花とされます。
レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロを筆頭に、手にもったカーネーションの花で幼いキリストをあやすマリアの姿がよく描かれました。また、ゴルゴダの丘で磔刑に処されるキリストを見送り流した涙から生えたのが、カーネーションの花だったという伝承もあります。
「母性愛」を象徴する花だとすれば、「子から母」へプレゼントする花ではなくて、「母から子へ」プレゼントする花のような気がしなくもないのですが・・・。現代ではカーネーションは「母性愛に感謝する」という意味に転化してるんでしょう!
花言葉から考える「母の日」にふさわしいカーネーションの花色は?
カーネーションの花言葉を花色別に紹介します。
濃い赤「わたしの心に哀しみを」
赤「愛を信じる」「母の愛情」「母への愛」
ピンク「熱愛」「感謝の心」「あたたかい心」「美しい仕草」「気品」
白「亡き母をしのぶ」「わたしの愛は生きている」
黄色「軽蔑」「嫉妬」
オレンジ「情熱」「熱烈な愛」「清らかな慕情」
紫「気品」「誇り」
青「永遠の幸福」
絞り模様「愛の拒絶」
花言葉を気にするなら、やはり母の日には定番の赤やピンクが無難なようですね。紫や青も素敵な花言葉をもっています。濃い赤や白、黄色、絞り模様はふさわしいとはいえません。
たとえば義理のお母さまに差し上げるようなときには気を張りますから、花言葉まで気にして隙のない花贈りをしたいところですが、自分の母親に贈るならあまり花言葉にこだわらず、さまざまな色をミックスした華やかな色のカーネーションの花束もきれいで喜ばれます。
ちなみに、黄色い花に良い花言葉が与えられないのは、キリストの12人の使途のうち、キリストを裏切ったイスカリオテのユダが着ていた衣服の色だからという理由です。日本人があまり気にする必要はないと思います。
▼花言葉について詳しくは、こちらをご覧ください。
バラやコチョウランの鉢植え、プリザーブドフラワーも人気!
日本じゅうの人がカーネーションを求める母の日は、どうしてもカーネーションは品薄に、そして高額になってしまいます。こんな時期だからこそ、「あえてバラを選んでみてはどうでしょうか?」と、お花屋さんは提案しています。いつもカーネーションでマンネリ化しているな、と感じる方は、ぜひバラを選んでみては?
すぐに萎れてしまう切り花よりも、鉢植えの花を選ぶ方も増えてきているようです。鉢植えならミニバラやコチョウランなどが人気です。これからの季節を考えて、アジサイなんかもよく選ばれるそうですよ。わたしの独自アンケートによると、今流行りの多肉植物がいい! という意見もありました。
プリザーブド・フラワーは、もらった母親から人気が高いようです。普通の花よりずっと長もちするし、鉢花のように手入れもいらないし、何かと忙しい母親には一番もらってうれしい花かもしれません。
ただし、花のギフトは意外とトラブルも多いものです。時間の余裕をもって、お花屋さんをよく選んで利用しましょう!
▼花のギフトに関する情報はこちらもご覧ください。
プラスするなら、食べてなくなるものを!
ちょっとしたものをプラスするなら、スイーツが定番です。
財布やバッグという意見もありますが、日常使いするものは、やはり好みがありますから、食べてなくなってしまうものの方が無難です。家族での食事をプレゼントというのも良さそうですね!
まとめ
母の日の起源や母の日にカーネーションを贈る由来、さらにカーネーションの語源やキリスト教での意味、カーネーションの花言葉など、さまざまな視点から母の日を考えてみました。
相手の好みを考えたり、去年は何を贈ったかなと思いだしたり、母の日をきっかけにより良い母子関係を築いていけたらいいですね!
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