大切な方に花を贈るとき、ちょっと気になるのが花言葉です。そういえば、花言葉っていったいどこから生まれたの? そんな疑問が解決できるよう、その起源と由来、さらに現代の花言葉まで調べてみました!


花言葉の起源は17世紀のトルコにさかのぼる!

Resim 067
Resim 067 / hiroaki.hirano

言葉が生まれたのはいつどこでか? 有力な説のひとつがトルコ起源説です。

 

17世紀のオスマントルコ時代、首都イスタンブール(当時のコンスタンチィノープル)では、花には神からのメッセージが込められていると考えられ、それぞれの花にふさわしい花言葉が与えられました

 

そして、花に宿るメッセージに自分の思いを託して恋人に贈る、「セラム」という習慣がありました。どうやら当初はハーレムの女性たちの遊びだったようです。

 

18世紀、二人の人物により花言葉の文化がヨーロッパに紹介される

▲メアリー・モンタギュー(Mary Wortley Montagu 1689~1762年)

のトルコの習慣が2人の人物によりヨーロッパに紹介されます。

 

一人は、当時、イギリスの駐トルコ大使夫人だったメアリー・モンタギュー(Mary Wortley Montagu 1689~1762年)です。1717年、メアリー・モンタギューが、トルコの人たちのセラムの風習を知り合いに書き送ったのが、花言葉がイギリスに紹介された最初です。

 

もう一人は、オーブリー・ド・ラ・モトレイ(Aubry de La Mottraye 1674~1743年)という人物です。オーブリー・ド・ラ・モトレイは、アジアやアフリカを旅行しオスマントルコに4年間、滞在しました。1727年にスウェーデン王カール12世の宮廷に招かれたとき、トルコの花言葉を紹介しました。

 

19世紀、フランスで花言葉が大ブームに!

Le Langage des fleurs

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言葉がトルコからヨーロッパに伝わったのは18世紀前半ですが、大ブームになったのは19世紀になってからのことです。

 

1812年、シャルロット・ド・ラトゥールが『Le Langage des Fleurs』(花々の言葉)を出版したことをきっかけに、フランスで花言葉が大ブームになります。これがヨーロッパ各地に広がり、やがて明治時代に日本にも伝えられました。

 

じつは、フランスの上流階級には回覧板のようなものがあった!

ランスには花言葉が流行する素地がありました。誰かを植物にたとえて詩を書き、それをみんなで回し読みする文化が上流階級の間で流行していたのです。

 

それは好意だけでなく、批判や悪口が書かれることもありました。

 

「あらやだフフフ。でも何となく分かるわ」と言ったところでしょうか。洋の東西を問わず、昔から女ってこういうこと好きなんですね(^^;

 

花言葉は時代により国により違っている!

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Blue Rose Macro – HDR / freestock.ca ♡ dare to share beauty

ラには青色素がないので、空のように色鮮やかな青バラは存在しません。作出することもできません。そんなことから青いバラには「不可能」という花言葉がつけられています。(上の写真はもちろん本当の色ではありません。写真編集ソフトで青くしているようです)。

 

でも、2004年にサントリーが遺伝子操作により初めて青色素をもったバラの開発に成功しました。そのバラの名前は「アプローズ」。(ちなみに青色素をもっているとはいえ、アプローズの花色は「青」というより「青紫色」です)。この「アプローズ」の誕生から、青バラには新しい花言葉が追加されました。それが「夢叶う」です。

 

この話を聞いたとき、わたしが最初に思ったのが「え!? 花言葉ってそんなに簡単に追加しちゃえるものなの?」でした。

 

花言葉は、きちんと決められたものがあるのだとばかり思っていたので驚いたのです。

 

▼青バラについて詳しくは、こちらをどうぞ

花から受ける印象は人それぞれ

▲チューリップには「思いやり」の花言葉がある

じ花を見ても、人により受ける印象は違います。

 

例えば、日本人は桜がぱっと咲いてさっと散る姿から、桜に潔さだったり儚さだったりを連想しますが、それを知らない外国人は桜に潔さや儚さを感じないでしょう。

 

チューリップには「思いやり」という花言葉がつけられていますが、どうでしょうか? チューリップを見て「思いやり」が思い浮かびますか? この花言葉のもとは、オランダに伝わる物語にあります。

 

チューリップにまつわるオランダの物語

3人の騎士にそれぞれ宝冠、剣、黄金を手にプロポーズされた少女が、一人に決めることができず、花の女神に頼んで自分を花に変えてもらったという言い伝えがオランダにあります。その少女が姿を変えたのがチューリップで、チューリップの花が宝冠を、葉が剣を、球根が黄金をあらわしていると伝えられています。

 

3人の騎士それぞれを立てたので、この少女は思いやりがあるということになったようです。この物語を知っていれば、「思いやり」の花言葉もなるほどと思えます。でも、日本人のわたしたちにしてみれば、チューリップといえば小学校の花壇に咲いている印象の方が強いので「可愛らしい」印象ですよね。

 

▲「最後の晩餐」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)右から2人目がユダ

たとえばバラやチューリップなど、さまざまな色の花がある場合、黄色い花にはあまり良くない花言葉がつけられています。黄色いバラの花言葉は「愛情の薄らぎ」「嫉妬」黄色いチューリップの花言葉は「望みなき愛」「失恋」です。

 

黄色い花に良い花言葉が与えられない理由をご存知ですか? じつはこれはキリストの12人の弟子に由来します。

 

キリストの12使途の一人、イスカリオテのユダは、銀貨30枚と引き換えにイエスを裏切ります。その裏切り者のユダが着ていたのが黄色い衣服だったと言われています。さらに英語のyellowには「腰抜け」の意味があります。これに由来して、黄色い花には良い花言葉が選ばれないのです。

 

キリスト教圏には浸透したイメージなので外国人に贈る花には、黄色を選ぶのは避けたほうが良さそうです。でも無宗教国家日本では、あまり気にする必要はなさそうに思えます。黄色い花、きれいですよね!?

 

現在の花言葉は、さまざまな国のものが混じりあっている

在、花言葉として紹介されているものには、さまざまな由来があります

 

まず花言葉はヨーロッパで大ブームになり世界中に広まったので、ギリシア神話やローマ神話に端を発した花言葉や、キリスト教を背景にした花言葉がたくさんあります。

 

そこに、青いバラの例にあるように現代ならではの花言葉がつけ加えられたり日本ならではの花言葉が付け加えられたりしています。

 

さまざまな人がそれぞれの印象と感性で花言葉をつけているので、中には同じ花なのにまったく違った意味をもつものもたくさんあります。

 

現代の花言葉は誰がつけているの?

年、新品種の花が登場していますが、その花言葉はいったい誰がつけているか疑問に思ったことはないですか?

 

じつは花卉業界の団体でつけているそうです。要は売るための方便のようです。ここまでくると、ロマンチックな印象は吹き飛んで、かなり興ざめしてしまいます。

 

海外から輸入される花の花言葉は、もともとの花言葉が悪い意味ならそれを省き、日本人に受け入れられやすいよう良い意味につけかえて紹介したりしているそうです。

 

これでは外国の人に花を贈るのが怖くなってしまいます。知らずに悪い花言葉の花を贈ってしまいそうです。

 

じつは花言葉って、とてもアバウトなものだったんですね!

 

まとめ

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赤いバラの花言葉は「愛情」、白いバラの花言葉は「純潔」、黄色いバラは・・・。花言葉って、女性ならきっと少女時代に一度は楽しんだ経験があるのでは? その起源をひもといてみると、17世紀のトルコにさかのぼるとは思ってもみませんでした。

 

時代を越え、国を越えて愛されてきた花言葉ですが、中には首をかしげてしまうものもあるのは、その由来が日本人にはなじみのないものからつけられた花言葉がたくさんあるからなのですね。わたしは黄色い花だって大好きです。黄色やオレンジ色のビタミンカラーの花束は、ぱっと気持ちが明るくなりますもん! 裏切りの色だなんてマイナスイメージはありません。でも、キリスト教圏の方には、黄色=裏切り者の衣服の色なんですね。

 

花言葉の文化背景を調べるのはとても興味深く楽しいのですが、同時に、なんだか少し煩わしい気持ちにもなりました。

 

精一杯、一生懸命に咲いている花に「失望」とか「偽りの愛」とか「うぬぼれ」とか・・・人間の勝手でそんな花言葉をつけなくてもいいような気がするし、いちいち花言葉を気にして花選びをしなければいけないなら、ずいぶん不自由なことだと思えてしまいます。どの花もきれい! それでいいじゃない! と思えてしまいました。

 

あなたはどうですか?

▼バラの花色別の花言葉は、こちらをご覧ください。

 

▼バラの花束の本数による意味の違いは、こちらをご覧ください。

 

▼バラのコラムの記事一覧はこちらからどうぞ

 

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