バラのトゲが刺さったところが腫れてしまうことがあります。このため、バラのトゲには毒があるのでは?という噂すら。さらに死亡例もあるという話も! その真相について、調べてみました。
初心者ロザリアンYOUです。ちょっと怖い噂を聞いたの。バラのトゲが刺さって亡くなった人がいるっていうんだけど・・・。もちろんウソに決まっているわよね?
バラのトゲが刺さったところが腫れるのはナゼ?
▲バラのトゲが刺さると腫れることも!
日常的にバラに接するロザリアンなら、バラのトゲが刺さって腫れたという経験のある人もいるのでは? 今回は、バラのトゲと病気についての話題です。
バラのトゲが刺さってなぜ腫れるのか? もしやバラには毒があるのか? と、思われがちですが、バラに毒があるわけではありません。バラのトゲの形状のせいで腫れることがあるようです。
バラのトゲは細くて長いので、皮膚の深いところまで傷つけます。この傷から細菌が侵入して腫れることがあります。さらに、バラのトゲの先端が皮膚の奥に残ってしまうこともよくあります。このトゲに細菌がついていれば、そこから炎症を引き起こして腫れてしまうのです。
バラのトゲが刺さったときの対処法
▲ピンセットや毛抜きでトゲを取り除く
バラのトゲが刺さったら、そのトゲが皮膚の中に残らないようにピンセットや毛抜きで取り除くのが大切です。その上で、傷のまわりをしっかり洗っておけば問題ありません。もちろん消毒もしておけば、さらに安心です。
理由は後述しますが、トゲの傷にはなるべく絆創膏を貼らない方が良いようです。
バラのトゲが刺さって腫れたら、何科を受診する?
もしバラのトゲが刺さったところが腫れてきたら、受診する診療科の候補としては、皮膚科、整形外科が考えられます。基本的にどちらでも診てもらえますが、目安として、比較的浅い傷なら皮膚科、深い傷なら整形外科を受診すると良いようです。
必要なら切開して、異物除去(この場合はトゲ除去)してもらえます。
口が開けにくいという症状が出たら、すぐに総合病院へ!
▲口のこわばり、飲み込みにくいなどの症状が出たらすぐ病院へ
もしも、口が開けにくい、首が突っ張ったように感じる、飲み込みにくいといった症状が出たら、すぐに病院を受診してください。破傷風の疑いがあります。
破傷風は国内で年間100人ほどの人が発症している病気で、発症した人の10%ていどが命を落とします。命を落とさないまでも、神経系に重い後遺症を残すことがあるので、早期発見・早期治療が重要です。
受診する診療科は感染症内科がもっとも適切ですが、あまり多くない診療科なので、地域の中核病院や総合病院を受診します。破傷風の治療では入院が必要になるので、入院施設のない診療所では対応が難しくなります。
バラのトゲ+土いじりで、ロザリアンは破傷風になる危険が高い!
▲破傷風に注意!
破傷風は、重症になると全身のけいれん発作で呼吸ができなくなるという怖い病気です。しかもこの菌は、日本じゅうの土の中に潜んでいます。小学校のグラウンドにも、一般家庭の庭土にもいます。
年間100人くらいの発症例しかないことから分かるように、そう頻繁に破傷風になるわけではありませんが、バラのトゲ+土いじりで、ロザリアンが破傷風を発症するリスクは常にあります。予備知識として、破傷風について知っておきたいですね。
破傷風にならないために、心がけたいこと
▲バラの手入れはガーデングローブをつけて
破傷風にならないために、心がけたいことを3つ紹介します。
1、バラの手入れはガーデングローブをつけて行う
まず、バラのトゲで引っかき傷を作らないこと、土に直接触れないこと。これが大切です。バラの手入れではガーデングローブを使うことを心がけましょう。
2、傷口をよく消毒して絆創膏を貼らない
▲トゲの傷には絆創膏を貼らない方がいい
もしもバラのトゲが刺さったり引っかき傷ができたら、皮膚に残ったトゲをピンセットなどで取り出し、きれいに洗っておきます。消毒しておけば、さらに安心です。
破傷風菌は酸素があると増えることができない「嫌気性菌」なので、傷口を絆創膏などで塞ぐことはせず、空気にさらしておくことが大切です。
3、予防接種でほぼ100%破傷風を予防できる
破傷風は、ワクチン接種による予防効果の高い病気です。現代では新生児と10歳ごろに破傷風を含んだ混合ワクチンを接種しているので、日本での破傷風の発症はとても少ないです。
しかし、予防接種の効果が期待できる期間は10年ていどです。破傷風のワクチンで一生続く免疫ができることはないので、最後のワクチン接種から10年以上たっているなら、追加で予防接種しておくと安心です。
予防接種は自費診療になるので費用は医療機関により異なりますが、およそ5000円前後です。5000円で10年間の安心が得られると考えれば、予防接種を検討してみてもいいと思います。
まとめ
今回は、ロザリアンなら知っておきたい「人間の」病気について紹介しました。普段はバラの病気にばかり注目していますが、「人間の」病気について知っておくことも大切です。
とくに破傷風は怖いので、どんな病気なのか知識をもっておくといいですね。
YOUちゃんが聞いたという「バラのトゲが原因で死亡した」という噂も、おそらく破傷風に感染して亡くなったのでしょう。ただのデマではなく、本当にあったことなんだろうと思います。
破傷風についてさらに詳しく知りたい方は、下記の参考文献に挙げている「NIID 国立感染症研究所」の「破傷風とは」のページをご覧ください。医学的な文章の後で、一般人にも分かりやすく解説してあり、とても親切なつくりになっています。
驚いた! バラのトゲで死亡するなんてぜったいにデマだと思っていたら、まさかそんなに怖い病気の危険があるなんて! ガーデングローブって大事ね。
本当に! わたしはガーデングローブをしたまま誘引紐を縛れないので、いつも素手で誘引作業をしていたけれど、これからは上手く縛れるように練習しなくちゃ!
参考文献
NIID 国立感染症研究所「破傷風とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/466-tetanis-info.html
わかたび皮ふ科「皮膚外科」https://wakatabi-hifuka.com/skin_surgery.html
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