年に1回、しっかり根の状態が確認できるのが冬の植え替えのときです。根の状態がいいか悪いかの見分け方と、状態の悪い根の株をどうするかについて紹介します。

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初心者ロザリアンYOUです。いくつか冬の植え替えをしたんだけど、根の状態ってそれぞれで・・・。どんな根がいい根で、どんな状態だと心配なのか見分け方を教えて! それと、根の状態が悪い株はどうすればいいかも合わせてお願い!

冬の植え替えでは、根の状態をしっかり確認して!

▲根の確認ができるのは冬の休眠期だけ

ラに限らずどんな植物もそうですが、土に隠れている根の部分と地上部から成ります。根は、水分や養分を土から吸い上げ地上部に送り届ける、とても重要な働きをしています。地上部にたくさんの葉を茂らせ、花を咲かせるには、相応にしっかりした状態の良い根が必要です。

 

関東基準でバラの休眠期は12月中旬~2月末まで。この時期なら土をすべて落としても、株にダメージを与えません。この性質を利用して、鉢バラは冬の休眠期に植え替えをするのです。

 

冬の植え替えは、根の状態をしっかり確認できるチャンスです! この時期を逃さず根をチェックし、状態に合わせた対応をしましょう。

 

根の状態を確認する4つのポイント!

の状態は、主に4つのポイントを確認します。①害虫に食べられていないか ②病気を発症していないか ③正常な生育をしているか ④根張りはどうか の4つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1、根を害虫に食べられていないか?

▲バラの根を食べるコガネムシの幼虫

の中から長さ2cmほどの、上の写真のようなクリーム色の幼虫が出てきたら! これはコガネムシの幼虫です。コガネムシの幼虫はバラの根を食べる、バラにとっては怖い害虫です。鉢にこの虫がいたのなら、そのバラは根を食べられ、かなり弱っているはずです。

 

2、根の病気を発症していないか?

▲バラの根にできる病気「根頭がん腫病」 写真提供/天女の舞子

の株元に大きな塊があったら! これは根頭がん腫病という、バラにとっては怖い病気です。

 

▲がん腫はポロリと指で取れる 写真提供/天女の舞子

 

がん腫は根の途中にもでき、ポロリと指で簡単に取れます。がん腫はゆでた大豆のようにクリーム色で、ぐじゅぐじゅと湿った感触です。

 

▲赤丸の中はがん腫ではなくカルス 写真提供/ハナたろう

 

がん腫と間違いやすいものに、カルスという根が出てくる直前の塊のようなものもあります。カルスは固く、指で取ったり潰したりしにくく、がん腫のように大きく育ちませんが、小さいがん腫とカルスを見分けるのは困難です。

 

3、根が正常な生育をしているか?

▲正常な根は、白根がびっしり!

ラの株を鉢から引き抜いたとき、鉢に沿って白根がびっしりついている、上の状態のような根が正常な状態です。白根はみずみずしく、水分をたっぷり吸うことができます。

 

▲太いばかりで白根の少ない「ごぼう根」

 

ときには、こんなに太い根が出てくることもあります。こういう根は「ごぼう根」と言います。たしかに野菜の「ごぼう」そっくりですね。

 

上の写真でも分かるとおり、ごぼう根からはほとんど白根が出ていません。「ごぼう根」がたくさんあっても十分な水分や養分を得ることができないので、これは状態の悪い根といえます。整理が必要です。

 

ただし、イングリッシュローズなどの輸入苗には「ロサ・ラクサ」の台木が使われていることがあります。「ロサ・ラクサ」は見事なごぼう根ですが、これは問題ありません。正常な状態です。

 

日本でつくられた国産苗には「ノバラ」(ロサ・ムルティフロラ)の台木を使いますが、この台木でごぼう根の場合のみ問題アリです。

 

▲カサカサに乾ききった細根

 

黒くなり、引っ張ると簡単に取れる根はもう腐ってしまっています。黒いところを全部取り除きましょう。

 

黒くはないけれど、カサカサに乾ききっている茶色の根もあまり状態の良い根とは言えません。整理が必要です。

 

▲茶色の細根でも瑞々しいものは正常

 

同じ茶色でも、しんなり柔らかく水分を含んでいる根は、良い状態と言えます。柔らかい茶色の細根がメインで、さらに白根がたっぷり張っている、上の写真のような状態が理想的です。

 

4、根張りはどうか?

▲線香花火ていどの貧弱根

根はしっかり出ているけれど、根張りが貧弱な場合もあります。上の写真は、挿し木から育てたミニバラの根です。挿し木から育てた株は、あまり根張りの良くないケースが多く見られます。根が育つまで時間がかかるのです。

 

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①鉢土に害虫が入り込んでいないか ②根に病気がないか ③根の状態は正常か ④根張りはどうか の4点を注意して観察するのね。それぞれ状態が悪かったらどうすればいいのか、その対処法を教えて!

状態が悪い根の対処方法

1、鉢土に害虫が入り込んでいたら!

▲コガネムシの幼虫退治に効果を発揮する「ベニカXガード」

からコガネムシの幼虫が出てきたら! まず根の土をしっかり落とし、幼虫をすべて捕殺します。その上で必ず新しい土で植え替えましょう。

 

それでも根に残っている小さな幼虫がいるかも知れません。念のため、「ベニカXガード」「オルトランDX」などの、コガネムシの幼虫に効果のある薬剤を土に混ぜ込んでおくと安心です。

 

コガネムシの幼虫がいるということは根が食べられているので、根張りが悪くなっているはずです。枝の切り詰めや鉢のサイズダウンも検討してください。

 

2、根頭がん腫病にかかっていたら──

▲根頭がん腫病の株は、廃棄処分がおすすめ 写真提供/天女の舞子

ラが根頭がん腫病にかかっていたら──残念ですが、株の廃棄処分をおすすめします。根頭がん腫病にかかっていても、がん腫部分をそぎ落としておけば、バラは問題なく育つし花も咲かせます。

 

でも、根頭がん腫病はとても感染力の強い病気なので、こぼれ落ちた土や剪定バサミからも、簡単に他のバラに感染してしまいます。しっかり消毒管理をしていても、いずれバラが全部、根頭がん腫病になる恐れがあります。しかも根治はほぼできない難病です。

 

根頭がん腫病にかかったバラは、株ごと処分するだけでなく、植わっていた土も廃棄、鉢はしっかり除菌してから使ってください。

 

▼根頭がん腫病について詳しくは、こちらのページをご覧ください。

 

▼根頭がん腫病の知識

▼根頭がん腫病の対処方法

 

3、根の状態が悪かったら──

▲状態の悪い根を思い切って切り詰め

ぼう根、腐っている根は切り取り、乾き切っている細根もあるていど整理します。

 

根が減った分、地上部を支えられる体力が落ちてしまうので地上部の枝を切り詰めたり、根を育てるために鉢のサイズダウンも検討してください。

 

4、貧弱な根張りの株は──

▲根を育てたいときにオススメ「スリット鉢」

弱な根のバラ苗は、あまり大きくない鉢に植え替えます。場合によっては鉢のサイズダウンも検討しましょう。

 

これからの1年は根を育てることを目標にすえます。上の写真は、側面から底にかけて長いスリットの入った「スリット鉢」と呼ばれる鉢です。土に光が入ることで、それを嫌がる根が長く伸びるという、根を育てるのに適した鉢です。こういう鉢を利用するのもいい方法です。

 

YOUYOU

根の状態が悪かったら、鉢をサイズダウンして枝を切り詰めるといいのね。鉢のサイズダウンをすると、どんないいことがあるの? 枝の切り詰めについても教えて!

鉢が大きすぎるデメリットと、鉢のサイズダウンのメリットは?

▲左から10号角鉢、8号スリット鉢、6号スリット鉢

の鉢からもっと小さい鉢にサイズダウンするメリットを説明する前に、逆のケースでのデメリットを紹介します。根が小さい株を、大きすぎる鉢に植えたときのデメリットは、2つ考えられます。

 

鉢が大きすぎるデメリット1、根が伸びない

まず、根が育ちにくいというデメリットがあります。大きな鉢には土がたくさんあるので、土が乾きにくい状態です。根は水分を探すことで伸びるのですが、水分を探しに行かなくてもいつも周りが湿っていれば、バラは根を伸ばす必要がありません。分かりやすく言うと、根がサボってしまうのです。

 

鉢が大きすぎるデメリット2、根腐れしやすい

根が吸収する能力以上に土があると、常に根の周りが湿った状態になります。水やり回数が多い方や、雨が続いてしまうと根腐れしやすくなります。

 

あいびーあいびー

根に対して大きすぎる鉢に植えるというのは、今回のように根をカットして小さくしたときの他にも当てはまります。新苗を10号鉢に植えるとか、いきなり地植えにしてしまうというケースもこれに該当します。根の大きさに合わせて、鉢のサイズを選ぶといいですよ^^

小さい鉢にサイズダウンするメリット

もともとの鉢からサイズダウンして、小さい鉢に植えるメリットは、大きすぎる鉢に植えるデメリットの逆です。根が育ちやすくて根腐れしにくいのです。

 

とくに根を育てるためには、スリット鉢を使うと効果的。上の写真は通常のスリット鉢ですが、もっと縦長のロングタイプのスリット鉢がバラには最適です。

 


メネデール 500ml(園芸用活力素)

 

さらに根を育てるために、水やり用の水に活力剤を混ぜて与えるのもいい方法です。芽出しや根を出すのに適した活力剤に「メネデール」という商品があります。ひとつ持っておくと、いろいろ使えますよ。

 

小さい鉢のデメリット

もちろん、小さい鉢で育てるデメリットもあります。生育が順調で根がしっかり育ってくると、今度は水切れを起こしやすくなります。水管理が少しシビアになります。

 

もっと根が育つと、鉢の中が根でぎゅうぎゅう詰めになり、根詰まりを起こして生育不良になりかねません。根詰まりを起こしていそうなら、一回り大きな鉢に鉢増しします。

 

根が貧弱なら枝もコンパクトに!

▲根を小さくしたので、枝もコンパクトに

ガネムシの幼虫に根を食べられた、根腐れしてしまった、根の状態が悪く切り詰めた、など、根を小さくしてしまったときは、地上部分もコンパクトにしましょう。

 

貧弱な根では、大きな地上部に届けられるほど水分や養分を吸い上げることはできません。根を小さくしたのに地上部が大きいままでは、やがて枯れこんでくる恐れがあります。

 

上の写真は、根の状態が悪かったので根と枝先を切り詰め木立ち仕立てにしたつるバラ*(ピエールドゥロンサール)です。今年は根の状態を改善し、来年、新しいシュートの発生を期待する2年計画で株の立て直しを図ります。

 

あいびーあいびー

*どんなつるバラでも木立ち仕立てにできるわけではありません。とくに「つる〇〇」という品種は、木立ち仕立てに向かないので、注意してくださいね!

今年の花は、数輪咲かせるに留めるつもりです。花を咲かせれば咲かせるほど、バラはエネルギーを消耗しますから。

 

木立ちバラやシュラブ樹形のバラも、通常の冬剪定より深く切り、株全体を一回りコンパクトにしてください。地上部分をコンパクトにすることで、根の負担を減らすことができます。

 

まとめ

今回は、冬の植え替えのときにチェックしたい根の状態と、根の状態が悪いときに考えられる対処方法について紹介しました。

 

たとえ今年の植え替えでは問題なくても、長くバラを育てていれば、必ず調子を崩す株が出てきます。調子を崩した株はほとんどの場合、根にトラブルを抱えていることが多いものです。対処方法を頭の片隅に覚えておいてくださいね。

 

YOUYOU

ごぼう根に貧弱根・・・もう植え替えたものの中に、いくつか思い当たる株があるわ! こんなときはどうすればいい?

あいびーあいびー

まだバラの休眠中だから、今のうちならもう一度植え替えてもいいわよ。根を切り詰めたものや貧弱根の株は、今年は根を育てる年と割り切って、あまり咲かせ過ぎないようにしてね! 

 

もう休眠時期を過ぎているなら、今年は咲かせ過ぎず、バラに負担にならない管理を心がけてね。

 

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