たい肥以外の土壌改良材の種類と特徴、使い方について紹介します。種類が多くてややこしく感じる土壌改良材も、その役割を知れば、上手に使いこなせます。
たい肥以外の主要6種類の土壌改良材をご紹介!
土壌改良剤にはたい肥以外にもたくさんの種類があるわよね。たとえばもみ殻燻炭とかパーライトとか・・・。たい肥についてはある程度分かったけれど、それ以外のものについて教えて!
それじゃ今回は、たい肥以外によく使われている6種類の土壌改良材の特徴について紹介するね。土壌改良材の種類が多いのは、土の何を改良するかの役割が違うからなの。改良する役割別にまとめて紹介します。
物理的に土をふかふかにする土壌改良材
まず最初は、固い土をふかふかにする土壌改良材を紹介します。
土の間に隙間がなく、みっちり詰まった固い土は、排水性が悪く、空気の通りも悪い植物が育ちにくい土です。これを隙間の多いふかふかの土に改良するために使われる土壌改良材として挙げられるのが「たい肥」「バーミキュライト」「パーライト」です。
土をふかふかにすることで、排水性・通気性・保水力・保肥力などが改善されます。
植物性たい肥と動物性たい肥
▲腐葉土は、土をふかふかにする代表的な植物性たい肥
とくに植物性たい肥(腐葉土・バークたい肥)は土をふかふかにする効果が高く、畑や庭の土壌改良に、鉢土の培養土づくりにもよく利用されます。
動物性たい肥(牛ふんたい肥・馬ふんたい肥)は、ふかふか効果は植物性たい肥より少し劣りますが、より肥料分を含んでいるので、こちらもよく使われる土壌改良材です。
▼「たい肥」について詳しくは、こちらの2記事をご覧ください。
1、バーミキュライトの特徴/土を軽くする+保水性を高める
▲バーミキュライトは、土を軽くしながら保水性を良くする
バーミキュライトとは、雲母が風化した鉱物(苦土蛭石/くどひるいし)を800度ほどの高温で熱処理して細かく砕いたものです。熱処理する際に膨張し、アコーディオン状の多孔質の形状をしています。もとが雲母なので、キラキラ光って見えます。
バーミキュライトの効果
土をふかふかにする/バーミキュライトは多孔質なので土をふかふかに軽くし、土の通気性・保水性・保肥力を高めることができます。
保水性アップ!/バーミキュライトはとくに保水性に優れていて、自重の4倍の水分を保つことができます。
カルシウムやマグネシウムなどの肥料分をわずかに含みます。pHは中性です。
バーミキュライトの使い方
基本用土に混ぜる/バラなどの培養土をつくるさいには、全体の1割ていどを目安に基本用土やたい肥などとともに混ぜて使います。あまり多く入れると軽くなりすぎ、木が倒れやすくなります。
挿し木・種まきの土に/無菌なことから挿し木・種まき用の土にも使われます。
室内で育てる植物に/高温処理されている無菌の土なので、室内管理する植物にも多く利用されます。
球根の保管に/建材にも使われるほど断熱効果があり、吸湿力も高いので、球根の保管にも使われます。
2、パーライトの特徴/土を軽くする+排水性を高める
▲パーライトは、土を軽くしながら排水性を良くする
パーライトとは、黒曜石または真珠岩を細かく砕き、1000度ほどの高温で熱処理したものです。高温処理されることで岩石内の水分が抜けて多孔質の形状をしています。
パーライトは土をふかふかに軽くし、排水性を改善する土壌改良材です。
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パーライトの効果
水はけを良くする/黒曜石を原料とするものと真珠岩を原料とするもの、基本的にどちらも水はけを良くするために使いますが、性質が少し違っています。
黒曜石パーライトはとくに排水性にすぐれていて、真珠岩パーライトは保水性も少しあります。黒曜石パーライトには根腐れ防止効果もあるので、通常はこちらがよく使われます。
pH7.5~8.5の弱アルカリ性をしています。肥料分は含みません。
パーライトの使い方
基本用土に混ぜる/バラなどの培養土をつくるさいには、全体の1割ていどを目安に基本用土やたい肥などとともに混ぜて使います。あまり多く入れると軽くなりすぎ、木が倒れやすくなります。
マルチングに使う/マルチングに使うと、白い色がよく光を反射するので、光の届きにくい下の方を明るくし生育を促す効果が期待できます。また、コガネムシの産卵防止効果も期待できます。(ただし確実に防ぐなら「ベニカXガード」や「オルトランDX」などの薬剤使用をオススメしますが)。
pHを調整する土壌改良材
日本の雨は酸性雨なので、雨の当たる土壌はどんどん酸性に傾いてしまいます。一方、雨の当たらないベランダや温室の土壌は、水道水の影響でどんどんアルカリ性に傾いてしまいます。
もっともバラに適した弱酸性土壌をキープするために使われるのが土壌pHを調整する土壌改良材です。
▼土壌pHとpH調整資材についての概要はこちらをご覧ください
酸性の土を中和するアルカリ性資材
3、もみ殻燻炭の特徴/アルカリ性+土を軽くする
▲もみ殻燻炭は、酸性土壌を中和しながら土を軽くする
もみ殻燻炭とは、もみ殻を400度ほどの温度で蒸し焼きにして炭化させたものです。
もみ殻燻炭のpHは8~10のアルカリ性です。
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もみ殻燻炭の効果
酸性土壌を中和する/pH8~10のアルカリ性なので、酸性に傾いた土を中和する効果があります。
ふかふかの土にする/もみ殻燻炭はとても軽く、もみ殻に細かい穴がたくさん開いているので、土の通気性・排水性、さらに保水性を改善することができます。
害虫の忌避効果/アブラムシ・アザミウマなど害虫の忌避効果があるといわれています。
もみ殻燻炭の使い方
基本用土と混ぜる/もみ殻燻炭は、おもに酸性雨の影響で酸性に傾いてしまった土壌を中和する目的で使われます。雨の当たるところで管理するバラなどの培養土をつくるさいには、あらかじめ基本用土やたい肥と混ぜて土づくりをします。
使用量の目安は土の1割程度です。
もみ殻燻炭は酸性に傾いた土を中和するほかに、固い土壌をふかふかにし、通気性、排水性、保水性の良い土に改善することができます。
マルチングに使う/黒色をしているので、寒さに弱い植物の冬のマルチングに利用するのも効果的です。
4、苦土石灰の特徴/アルカリ性+カルシウム・マグネシウムの補給
▲苦土石灰は酸性土壌の改善に、有機石灰はカルシウム補給に
石灰資材は、酸性に傾いた土壌を中和させるアルカリ性資材として使われます。石灰資材にはいくつか種類がありますが、園芸では苦土石灰がもっともよく利用されています。
苦土石灰とは、鉱物(ドロマイト)から加工した石灰の粉です。苦土石灰の主成分は炭酸マグネシウム+炭酸カルシウム。「苦土」とはマグネシウムを意味し、「石灰」はカルシウムを意味しています。
苦土石灰のpHは9.7です。
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苦土石灰の効果
酸性土壌を中和する/苦土石灰のpHは9.7のアルカリ性なので、これを酸性に傾きすぎた土壌に撒いて中和させます。
栄養分補給/土壌にカルシウム・マグネシウムの栄養素を補給します。
石灰のなかでも強アルカリの「生石灰」や「消石灰」には殺菌効果がありますが、苦土石灰ではあまり殺菌効果は期待できません。太陽光や農薬を使って殺菌する方が有効です。
ちなみに「生石灰」「消石灰」はアルカリ性が強く、肥料と反応して有毒ガスを出すなど扱いづらいので、園芸では使われません。
苦土石灰の使い方
土壌に撒く/酸性雨の影響で酸性に傾いてしまった土壌を中和するため、土壌に撒いて使います。使用量の目安は、1㎡あたり1握り(100~200g)。これでpHを1上げることができます。多く使いすぎると土が固くなってしまうので注意!
同時にカルシウム・マグネシウムの補給ができます。
苦土石灰を撒いてすぐに植物を植えても問題ありませんが、pHの改善効果が出るまで1~2週間かかるので、事前に苦土石灰を撒いておくよう勧められています。
有機石灰の特徴と使い方
土壌pH改善効果は苦土石灰より低い/有機石灰は、カニ殻やカキ殻を原料にした石灰です。苦土石灰に比べて酸性土壌を改善する効果は低く、効果が出るまでゆっくり時間がかかります。
カルシウムを補給する/このため、有機石灰を使う主な目的はカルシウム補給といえます。
メリットとしては、多く使っても土を固くすることがなく、植物にやさしいので有機石灰を撒いてすぐに植えられます。植物の株元に使っても害がありません。初心者でも失敗なく使える安心な資材です。
アルカリ性の土を中和する酸性資材
5、ピートモスの特徴/酸性+土を軽くする
▲ピートモスを使うには、やや注意が必要
ピートモスとは、ミズゴケ・ヨシ・スゲ・ヤナギなどの植物が堆積し、腐植した泥炭層から切り出した土を脱水、粉砕、選別したものです。
日本ではミズゴケを主原料とするヨーロッパ産のピートモスが多く流通しています。
ピートモスには酸度無調整のタイプと酸度調整済のタイプがあります。酸度無調整の製品はpH4で、石灰で酸度を調整した製品はpH6。
土壌pHを調整するためにピートモスを使うなら、酸度無調整の製品を選びます。
ピートモスの効果
アルカリ性土壌を中和する/ベランダ栽培や温室など雨の当たらない場所で植物を育てている土は、じょじょにアルカリ性になっていきます。土にピートモスを混ぜることでアルカリ性土壌を中和することができます。
土をふかふかにする/ピートモスは軽い土なので、土をふかふかにする効果があります。また、土の保水力・保肥力を改善します。
ピートモスの使い方
基本用土に混ぜる/ピートモスは、土に混ぜて使います。使用量の目安は、土の3割を上限に。3割混ぜてpH0.2~1ていど酸性に傾くとされています。
注意点として、ピートモスは完全に乾いてしまうと水を含まなくなり、水やりしても土の上に浮いてくるようになります。ピートモスを使うときには、あらかじめ湿らせてから混ぜ、乾かしすぎないように管理します。
また、ピートモスを多く入れすぎると水分を含みすぎて湿った土になり、乾いた土が好きな植物だと根腐れするおそれがあります。
根腐れを防止する土壌改良材
6、ケイ酸塩白土・ゼオライト/根腐れ防止+赤玉土のデメリット改善
▲ケイ酸塩白土もゼオライトも天然の白い粘土
ケイ酸塩白土とは、秋田県の八木沢地域でのみ採れる天然の白い粘土です。かつては「八木沢白土」と呼ばれていました。
ケイ酸塩白土には、イオン交換を行う性質があります。このイオン交換作用により不純イオンや不良ガスを吸着するなど、土や水を強力に浄化する効果があります。
ソフト・シリカ社のケイ酸塩白土は粒状タイプが「ミリオン」、粉状タイプは「ハイフレッシュ」という商品名で販売されています。
ゼオライトは「沸石」とも呼ばれる天然の白い粘土です。ゼオライトにはミクロサイズの小さな穴がたくさん開いていて、イオン交換作用や不純物を吸着する効果があります。
ケイ酸塩白土とゼオライトは厳密には別の鉱物ですが、見た目も特徴もとても良く似ていて、どちらも同様の効果が期待できます。
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ケイ酸塩白土・ゼオライトの効果
水を浄化し根腐れを防止する/イオン交換作用により水を浄化し、ミネラルウォーターをつくります。さらにカビなどの雑菌を吸着し、活動を抑え込む効果があります。この働きのため、根腐れを防止することができます。
リン酸吸収率を改善する/基本用土としてよく使われる赤玉土には、リン酸肥料が効きにくくなるデメリットがあります。ケイ酸塩白土・ゼオライトには、このデメリットを改善する効果があります。
ミネラル分補給/マグネシウムや鉄などのミネラル分を補給することで、植物の光合成を促進します。光合成不足の解消にも効果が期待できます。
ケイ酸塩白土・ゼオライトの使い方
基本用土に混ぜる/庭土や赤玉土などの基本用土にたい肥などとともに、10%を目安に混ぜて使います。
水に溶かして葉面散布する/粉状の製品「ハイフレッシュ」を水に溶かして葉面散布することで、すみやかなミネラル分補給から光合成を促します。
表土に撒く/土に混ぜず表土に撒くだけでも効果があります。
まとめ
今回は、たい肥以外によく使われる土壌改良材を6つ、やや詳しく紹介しました。基本用土も庭土も、土壌改良材を加えることで、より植物が育ちやすい高機能の培養土にすることができます。元の土がどんな問題を抱えているかで、どの土壌改良材を使えばいいかが変わってきます。
たとえばわたしの場合、ベランダ栽培でリサイクル土を使いたいと考えています。この場合、pHがアルカリ性に偏ってしまうのでピートモスでpH調整する必要があります。もみ殻燻炭や石灰は使えません。
我が家はあまり日当たりの良くない環境だし、基本用土として赤玉土を混ぜたいので、ケイ酸塩白土またはゼオライトも入れたいところ。
少しずつ調整しながら、バラにも使えるような高機能リサイクル土をつくりたいと思います。皆さまも、ご自身の環境に合わせた土づくりの参考にしてくださいね^^
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