春めいてきて、バラの葉が広がり始めると嬉しい反面、心配になってしまうのが病虫害の発生です。今回は、新芽につきやすいウドンコ病の防除について、初心者に分かりやすくまとめています。
CONENTS
ウドンコ病は、風で運ばれてくるカビ菌から発症する病気
▲ウドンコ病にかかった白モッコウバラ
ウドンコ病は、バラにとてもポピュラーな病気です。ウドンコ病の原因はカビ菌で、風でカビの胞子が運ばれてきて発症します。ウドンコ病が発症したところは白い粉をふいたようになります。とくに発症しやすいのが新芽や若葉、つぼみ、若い茎などです。
ウドンコ病は葉の表面に菌糸をはびこらせ、気孔から葉の中に侵入して養分を吸い取ります。ウドンコ病に感染した部位は養分を吸われる上に光合成もできないので、うまく育つことができません。
ウドンコ病にかかったからといって枯れることはあまりありませんが、なにしろ見た目に悪いし、新芽がきちんと生長できない、つぼみがちゃんと花開かないということが起こります。広範囲に発症すると、ひどい生育障害に陥ります。
ウドンコ病が発症しやすい条件は?
▲ウドンコ病にかかったミニバラ
気温は17~25度/春と秋に発生しますが、25度を越える盛夏や冬には発生しなくなります。
とくに寒暖差が大きい環境で発生しやすく、三寒四温と呼ばれる春の気候や、温度変化が大きくなりやすいベランダ栽培ではウドンコ病が発生しやすくなります。
夏や冬には発症しませんが、発症しないだけでウドンコ病の菌はいるので、そのままにせず菌を取り除くよう配慮しましょう。たとえば冬にバラの葉をすべて落とすのは、葉に菌が残って越冬するのを防ぐためです。
チッソ肥料過多/使用している肥料がとくにN(チッソ)が多いと発生しやすくなります。
日照不足/鉢植えなら、なるべく日当たりの良い場所で管理を。
風通しが悪い/枝が混みあわないよう、剪定や誘引を工夫しましょう。
発症しやすい品種/発症しやすい品種は、毎年ウドンコ病にかかるので、早いうちから予防につとめましょう。
ウドンコ病の予防にはバラの殺菌剤かニームオイルを!
3月に入ると少しずつバラの葉が展開してきます。3月末ごろから病虫害の予防を開始しましょう。病気も害虫も、まず発生させないのが肝心です。ウドンコ病の予防には、バラの殺菌剤か、ニームオイルを使います。
マイローズ殺菌スプレー
基本的なウドンコ病の予防には殺菌剤を使います。もっとも一般的なのが住友化学園芸の「マイローズ殺菌スプレー」です。使用回数に制限がなく、予防にも治療にも使える、とても使い勝手のよい農薬です。
手軽に使えるとはいえ農薬ですから、使う際にはビニール手袋やマスクなどを使用し、風の強い日には使わない、衣服にかからないようにするなど、注意して使ってください。
ベニカXファインスプレー
マイローズ ベニカXファインスプレー(950ml)【マイローズ】
ベニカXファインスプレーは、バラの害虫防除にも病気の防除にもマルチに使えるハンドスプレータイプの農薬です。上で紹介している「マイローズ殺菌スプレー」は病気に特化した商品ですが、こちらは汎用タイプ。
葉の表面だけでなく、葉裏にもたっぷりかけましょう。発生初期に使えばどちらも治療効果があるとされています。
ベニカXガード
殺虫 殺菌 病気 ベニカXガード粒剤 お徳用 550g 住友化学園芸
ベニカXガードは、土に撒くタイプの殺虫・殺菌剤です。ただ撒いておけばいいので、とても使い勝手の良い薬剤ですが、年間使用回数は4回までと制限があります。
また、ウドンコ病に対して予防効果はありますが、治療効果はありません。ウドンコ病が発生する前の3月下旬から使い始めると効果的です。
ただし、ベニカXガードを撒いておけば絶対にウドンコ病が発生しないわけではありません。我が家のベランダでの使用感でいうと、かなり抑えられたけれど、やはり少し発生しました。
ニームオイル
虫除けハーブスプレー 500ml安心のガーデニング資材(ニームの力、ニームオイル)(バラ苗)【あす楽対応】
あまり農薬を使いたくない方には、ニームオイルをおすすめします。ニームオイルはインドセンダンの種から抽出したものです。多くの病虫害の防除に効果がありますが、人間やほとんどの益虫に悪影響がありません。農薬ではないので、手袋やマスクは必要ありません。少しニンニクのような臭いがあります。
こういう農薬ではないタイプの防除剤に共通していえることですが、劇的な効果は見込めません。予防として発生する前に、くり返し何度も根気よく使うことで効果を発揮するものです。手数で勝負してください。
ウドンコ病の発生初期の2つの対処方法
1、患部を切り取る!
一度ウドンコ病にかかってしまったところは、たとえ菌がいなくなったとしても元通りの瑞々しい葉っぱにもどるわけではありません。思い切って患部を切り取り、それ以上広がらないように殺菌剤やニームオイルをかけて消毒します。
2、患部を水で洗ってから消毒を!
ウドンコ病は水に弱いので、患部をよく水で洗ってから、殺菌剤やニームオイルで消毒しておいても構いません。ただし、縮れてしまった葉が元通りになるわけではありません。病気が広がらないか、よく観察しながら管理しましょう。
ウドンコ病が広がってしまったときの対処方法
殺菌剤を散布する間隔を短くして、なんとか治療につとめても、株全体が真っ白になってしまうほどウドンコ病が広がってしまうことがあります。そんなときは、専用の治療薬を使います。
殺菌剤/肥料 カリグリーン(1.2g×10袋入)炭酸水素カリウム水溶剤きゅうり、いちご、バラ等のうどんこ病・灰色かび病・さび病・葉かび病に!
ウドンコ病などの治療薬「カリグリーン」は安全性の高い薬剤で、たとえば野菜の収穫前日まで使えるほどです。オーガニック栽培でも使えます。
「カリグリーン」に予防効果はありませんが、ウドンコ病の発症後の治療には高い効果があります。とはいえ住友化学園芸では、なるべく発生初期で使うことをおすすめしています。
ミツバチやクモなどの益虫には害がありませんが、魚介類に影響があるので、必ず希釈率を守って使ってください。
「カリグリーン」を効果的に使うには、希釈液に展着剤を加えて薬液を作ります。展着剤を加えることで、しっかり患部に留まり、効果を発揮します。
展着剤にもさまざまな商品があり、どれを使っても構いません。同じメーカーでそろえるなら住友化学園芸の「ダイン」があります。
▼カリグリーンの実際の使い方と使用実感レポートはこちら
冬はバラの葉を、なるべくすべて摘もう!
▲冬のバラ園は枝しかない
バラは冬の休眠期に植え替えや誘引、剪定をするものですが、その際、なるべくすべての葉を摘んでしまいます。その理由のひとつが葉に病原菌をつけたまま越冬してしまうのを防ぐためです。冬を越え目を覚ました病原菌は、さっそく芽吹いたばかりの新芽にとりつきます。そんなことのないように、冬にすべての葉を摘む方が良いのです。
なかには常緑のバラもあり、摘むのはもったいないということもありますが、そんな場合は病気の予防をしっかり頑張りましょう!
ウドンコ病に強いバラを選ぼう!
バラは、品種によりウドンコ病にかかりやすいバラと、かかりにくいバラがあります。バラの病気を防ぐ一番の予防は、病気に弱い品種を選ばないことです。ウドンコ病被害に悩んでいる方や、管理に自信のない初心者の方は、ウドンコ病に強い品種を選ぶようにしましょう。
気をつけたい、ウドンコ病に弱い代表品種
クリスチャン・ディオール(HT)、パパ・メイアン(HT)、ヘルムート・シュミット(HT)、レオニダス(HT)、ロイヤルハイネス(HT)、ミミ・エデン(F)
ウドンコ病に強い品種を選ぶには
バラの専門店「バラの家」では、それぞれのバラについて、樹勢、ウドンコ病耐性、黒星病耐性、耐陰性、耐寒性、耐暑性と、育てやすさを6つの評価で確認することができます。
▼「バラの家」の公式サイトはこちらから
ウドンコ病に強い品種は、ウドンコ病耐性★×4以上を目安に選びましょう。
▲ウドンコ病耐性★×4だけど・・・
それでもウドンコ病が出るときは出ます。上の写真は、ウドンコ病耐性★×4の「ノヴァーリス」ですが、毎年かならずウドンコ病に悩まされます。
我が家は日照条件が良くない上に、近くにウドンコ病に弱い品種があるので、あるていど仕方ないかなぁと思っています。
まとめ
暖かくなると嬉しい反面、気になってくるバラの病気「ウドンコ病」の防除についてまとめてみました。ウドンコ病は、かかるバラはいつもかかります。でも、かからないバラはほとんどかからない。一番の予防は病気に強いバラを選ぶことですね!
これまで我が家にあまり病気にかかるバラはなかったのですが、昨年から育て始めた「紅玉」が少し病虫害に弱いようです。まだ株が小さいからかも知れませんが、ウドンコ病とハダニにやられて、ちょっと大変でした。今年かなり大きく育ってきたので、花が咲いてくれるのを楽しみに、病虫害予防を頑張ろうと思います!