バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「青竜」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


「青竜」は、こんなバラ

▲青紫色に咲く「青竜」 写真提供/ハナたろう

バラの作出に挑み続けたアマチュア作出家・小林森治さんが1992年に作出したバラが「青竜」(HT)です。2002年の「国際バラとガーデニングショウ」に出品された「青竜」をみたイギリスの作出家サミュエル・マクレディが、「世界でもっとも青いバラ」と賞賛したことで有名になりました。

 

その後さまざまな青バラが作出されていて、小林森治さんが亡くなった翌年2007年に発表された「ターンブルー」や、河本純子さんの「ブルーヘブン」(2002年作出)など、より濃い水色の青バラが登場していますが、それら日本の青バラの原点ともいえるのが「青竜」です。

 

細枝でやや育てにくいところがあるので、鉢植えで大切に育てたいバラです

 

今回育てる「青竜」の環境DATA

関東の南向きの庭(陽当たり良好)

 ⇒8月から北側に引っ越し(日照は正午~日没まで)

昨年中苗で入手し、鉢植えで育てているもの

(中苗とは「バラの家」独自の呼び方。新苗をそのまま鉢栽培で育てたもので、大苗になる前の状態。鉢苗の一種)

今年の目標/株の充実。秋花を10月後半以降に咲かせる

育てる人/ハナたろう

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

3月中旬の「青竜」/芽吹き

▲芽吹いたばかりの青竜 写真提供/ハナたろう

年末に、オリジナル・ブレンドの培養土で10号プラ鉢に植え替えしたものです。3月初旬に外芽を確認しながら、割り箸ていどの太さのところで剪定しました。そのため、HTとしては浅いめの剪定になっています。

 

オリジナル・ブレンドの培養土の配合は、赤玉小粒7:バーク入り腐葉土2:籾がら燻炭1。元肥に「バットグアノ」(こうもりの糞を原料とするリン酸が豊富な有機質肥料)をひと握り入れてあります。

 

3月中旬になり、芽吹いてきたので害虫予防のため「オルトランDX」を株元に散布してあります。

 

4月初旬の「青竜」

▲小さな葉が広がり始めた「青竜」 写真提供/ハナたろう

い新芽がゆっくり展開しています。まだ弱々しいので、もうちょっと育ってきたら芽掻きをします。

 

3月中旬~4月初旬の間に行った手入れ

活力剤/HB ー101の希釈液(2滴/10ℓ)潅水を1度

病虫害対策/サンヨール&スミソン散布(同時散布1回)

 サンヨールはウドンコ病・灰色カビ病対策の殺菌剤

 スミソンはスミチオン(アブラムシなどの殺虫剤)+マラソン(アブラムシやハダニなどの殺虫剤)

中耕と除草/手袋をして土を爪で引っ掻くように崩す程度。土も柔らかいし雑草も若いので、中耕ついでに簡単に抜き取れます。

肥料/有機ペレットを施肥/N:6P:6K:6+微量要素

 

4月20日の「青竜」/芽かき

▲ゆっくりながらも、着実に生長しています 写真提供/ハナたろう

掻きをして、枝と枝の間に「突っ張り棒」のように枝を渡して混み枝対策としました。(上の写真の薄茶色の棒が突っ張り棒です)。青竜の生長ぶりはゆっくりです。葉っぱの大きさは、まるでミニバラのよう。ただし、芽掻きが功を奏してかブラインド・出開き枝は今のところなし。

 

今ある下部の芽は、サイドシュートとして育って欲しいので見守っています。花後ベイサルシュートが出て欲しいところです。

 

4月上旬からの管理のしかた

水やり/高温のため潅水を毎日するようにしました。

肥料/ツボミが付き始めたので最後の施肥(液肥)。

病虫害対策/対病と『ツボミかじり虫』撃退のため、サプロール&スミソン混合散布。

 STサプロール乳剤は、黒星病とウドンコ病の防除にすぐれた殺菌剤。

 スミソンは、「4月初旬」の項を参照してください。

 

5月11日の「青竜」/つぼみ膨らむ

▲至って元気な「青竜」 写真提供/ハナたろう

竜は、まったく問題なく元気に育っています。現在、樹高は50cmほどです。

 

副蕾をカットしてすべて1枝に1つのつぼみにしてあります。17個のつぼみがあり、しっかり育っているので全部咲かせるつもりです。

 

▲ガクが広がり、開花までもう一息! 写真提供/ハナたろう

 

つぼみは、サイドシュート候補のを3枝ピンチしました。葉の黒ズミは病気ではなく葉焼けと思われます。

 

この時期の管理

ピンチ/副蕾ピンチとサイドシュート候補のピンチ。
 
 害虫駆除/ アブラムシ、シャクトリムシとその卵を*テデトールで駆除。日々のパトロールは欠かしません。

 

*テデトール=「手で取る」です。

 

5月14日の「青竜」

▲つぼみが、ほころんできました 写真提供/ハナたろう

竜のつぼみがほころび始めてきました。日焼けで花びらの外側が黒ずんでいる花もあるので、花が終わるまで北側に引っ越しです。明日開花するでしょうね。

 

5月15日の「青竜」/1番花が開花!

▲「青竜」ついに開花! 写真提供/ハナたろう

竜がついに開花しました。紫色ですが、かなり青紫に近い色の花です。この開き具合で花径6cm。整った花形をしています。香りは、わたしの鼻では感じられません。

 

5月17日の「青竜」/満開に!

▲整った剣弁高芯咲きの「青竜」 写真提供/ハナたろう

竜が満開を迎えました。この状態で花径7cmあります。青紫色の整った剣弁高芯咲きで、涼やかな印象の花です。

 

▲「青竜」(左)と「ブルーバユー」(右) 写真提供/ハナたろう

 

花色の比較のため、同じ条件で撮影したブルーバユーと並べてみました。比べてみると、同じ紫でも「青竜」はかなり青味が強く、「ブルーバユー」の方が赤味が強いのが分かります。

 

▲株いっぱいに咲く「青竜」 写真提供/ハナたろう

 

ほとんどのつぼみが開いてきて、今が見頃です!

 

5月18日の「青竜」

▲カットした青バラを並べてみました 写真提供/ハナたろう

竜の1番花をカットしました。散るまで木に置かず、これくらい開いたら早いめに花をカットするのがハナたろう流です。木の状態を見ながらですが、できれば2番花も咲かせたいので、5枚葉の上まで切り戻しています。

 

今日カットした青バラの品種を並べてみました。それぞれ少しずつ色合いが違っていてきれいです。こう比べてみると、やはり青竜は青味が強いのがよく分かりますね。

 

5月22日の「青竜」/お礼肥え

▲大雨にも負けず、意外と丈夫な花びら 写真提供/ハナたろう

日、バラにとっては天災のような大雨が降りましたが、「青竜」の花びらは意外と丈夫らしく、あまり傷んでいませんでした。そろそろ1番花もおしまいですね。

 

▲日向で撮った青竜(左)と、日陰で撮った青竜(右) 写真提供/ハナたろう

 

「青竜」は、日向で撮影すると藤色に発色しますが、実際に目でみた花色は、日陰で撮影した花色に近いです。「ブルードレス」も育てていますが、こちらは日向で撮影しても「青竜」ほど赤味が強くなりません。こんなところも、品種により違いがあるのですね。

 

この時期の管理

お礼肥え/お疲れ様のお礼肥えは、「鉢物・プランターの肥料」大粒の肥料です。(N:10 P:10 K10+苦土2)を8粒施肥。

塩害対策/豪雨後の塩害が懸念されたので、ホースで全体に水洗いした後、スミソン&サプロール混合散布をしました。

>>次のページでは「1番花の切り戻し」から紹介しています。