バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「レッドキャプテン」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


CONTENTS

「レッドキャプテン」は、こんなバラ


バラの苗トゥルーブルーム:レッドキャプテン13.5センチポット植え四季咲きとても丈夫で育てやすいので初心者でも楽しめる

メリカ・カリフォルニアに生産拠点を構えるアルトマン社の「トゥルーブルーム」ブランドのバラは、過酷な無農薬での露地栽培テストで抜群の好成績を収めたバラたちです。つまり「トゥルーブルーム」ブランドのバラは、病気に強く虫もつきにくい、四季咲き性のバラなのです。樹高はパティオローズ(やや大きめのミニバラ)に分類されます。

 

「レッドキャプテン」は、「トゥルーブルーム」ブランドを代表するバラで、花径5cmの真紅の花を房咲きします。香りはほとんどありませんが、そのぶん花もちが良く、長く楽しめます。

 

▲購入したての「レッドキャプテン」

 

上の写真は、昨年の購入直後の様子。春の一番花は、こんなふうに枝垂れて咲くことが多いそう。花径5cmの花はロゼット咲きです。咲き進むと中心に黄色い小さな花芯がのぞき、とても愛らしい雰囲気。

 

花数が驚くほど多く、なんと1鉢に60輪ほどの蕾が数えられました。ただし、この1番花はすべて落ちてしまいました。環境が変わったせいかな? でも、株を育てる意味では良かったと思います。

 

「レッドキャプテン」は、日本唯一の花の新品種コンテスト「ジャパン・フラワー・セレクション」(JFS)で、2019~2020年の最優秀賞「フラワーオブザイヤー」を受賞しています。

 

今回育てる「レッドキャプテン」の環境DATA

関東の東向きベランダ(日照3時間ていど)

昨年春からベランダで育てている株

今年の目標/品種特性と半日陰での育ち方を、しっかり観察する

育てる人/あいびー

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

1月13日の「レッドキャプテン」/冬の植え替え

▲元の植え込み材料はピートモス主体

の休眠時期になったので「レッドキャプテン」を植え替えます。もともと植えられていた赤いプラ鉢から出してみると、根は状態よく育っていました。

 

「レッドキャプテン」は挿し木苗です。2~3本の寄せ植えになっていると予想していましたが、なんとしっかりした1本の株でした。これは嬉しいですね。

 

植え込み用土はピートモスに白い粒が混ぜてありました。たぶん根腐れ防止剤だと思います。休眠時期はあまり水分が必要ないので水やりを控えていたため、ピートモスが固まりかけていました。危ないところでした。

 

▲冬の植え替えと仮剪定、葉摘みで作業は完了

 

もとの赤いプラ鉢から素焼き鉢に植え替えました。サイズはどちらも同じ7号鉢です。用土は、草花用培養土に赤玉土を2~3割混ぜたものに土替えしました。仮剪定として枝先の細いところを切り、葉摘みをして作業は完了です。

 

2月3日の「レッドキャプテン」/冬剪定

▲樹高11cmにしっかり冬剪定

高11cmに、しっかり冬剪定しました。叢生樹形なので刈り込みしても良かったのですが、一応、芽を観ながら1枝ずつ切りました。枝げんこつ剪定しているところも多いです。

 

花が重いためうつむいて咲きがちなので、少しでも太い花枝が伸びてくれるよう、なるべく太い枝まで切り戻しました。

 

▲株元から新芽が2本!

 

よく見ると、株元に小さな芽が2つ出ています。これはベイサルシュートの芽だから嬉しいのですが、できれば花後の方が調子よく生長してくれるはず。どうなるかなぁ?

 

今年は、枝の劣化具合やベイサルシュートの発生のしかたなど、育ち方をしっかり確認したいと思います。

 

3月12日の「レッドキャプテン」/新芽ほころぶ

▲新芽が少しずつ展開

蟄も過ぎ春めいてくると一斉に新芽がふくらみ、少しずつほころんできました。枝げんこつ剪定しているところは複数の芽が出ているので、もう少し育ってきたら芽かきをする予定です。

 

▲ベイサルシュートもふっくらと

 

株元のベイサルシュートもふっくらとして、赤みの強い若葉が萌えてきました。元気に育ってほしいです。

 

この時期の手入れ

新しく購入した蓄圧式噴霧器の調子を確認する意味もこめて、殺菌剤ピキャットクリア50ppm(ピーキャット)を散布しました。蓄圧式噴霧器、楽ちんですね!

 

3月27日の「レッドキャプテン」/若葉が展開・ベニカXガード散布・芽かき

▲細長い7枚葉が展開

長い7枚葉が茂ってきました。

 

葉の形からポリアンサ系のバラを親にしていると思っていたんですが、カリフォルニアで育種されたバラということは、ミニバラの育種家として著名なラルフ・ムーア氏の影響が強いのだろうと思いなおし、だとすればロサ・ウクライアナ(テリハノイバラ)の血筋を汲んでいるんだろうと推測しています。

 

それならハダニに強いはずです!

 

▲新芽の育ちが悪い枝が1本

 

ほとんどの新芽から若葉が展開してきましたが、1本だけ芽が育っていない枝があります。少し様子を見て、このまま育ちが悪いようなら切り取ります。

 

株元から3本目のベイサルシュートが顔を出してきました。

 

この時期の手入れ

3月中旬 ウドンコ病予防のため「ベニカXガード」(住友化学園芸)を株元に散布しました。

 

3/27 少し芽かきをしました。様子を見ながら、またやろうと思います。

 

4月22日の「レッドキャプテン」/ベイサルシュート伸びる・発蕾・古枝カット

▲高いところは樹高43cm

回のそだレポではいい感じにそろって芽吹いてきた「レッドキャプテン」ですが、この1か月でずいぶん枝の高さに差が出ました。長い枝は43cmあるのに、低い枝は15cmていど。なかにはまったく生長を止めた枝もあります。さすがに全部を育てることはできないようです。

 

▲枝先に蕾が!

 

枝先には、しっかりした蕾がつきました。去年は驚くほどたくさんの蕾がついた状態で購入したのですが、今年の蕾は今のところ2枝のみ。もう少し増えると思いますが、それなりの数に収まりそうです。

 

▲劣化した古枝をカット

 

生長を止めたブラインド芽しか出ない枝をごっそり取り除きました。枝の劣化が激しく、頻繁にシュート更新するタイプのようなので、古枝を取り除くのは大事だと思います。

 

▲古枝をカットして少しスッキリしたかな?

 

古枝を取り除いて少しスッキリしました。株元のベイサルシュートに日差しが届くよう、もう少し葉を減らしてもよさそう。

 

よく見ると、一番背の高い枝はベイサルシュートでした。セオリーでは咲かせずピンチして枝を育てるんですが、この枝は咲かせてしまいます。今年と来年しか咲かせることのできない枝だし、枝を育てる意味もあまりないからいいかな~と。

 

クシヒゲハバチの食害が少しあるので、「ロハピ」(アース製薬)をかけておきました。クシヒゲハバチに効く化学農薬はないので、物理駆除に頼るしかないです。

 

4月上旬に、有機質肥料「バットグアノ」を株元に半掴みほど撒きました。

 

5月8日のレッドキャプテン/蕾のガク割れ・クシヒゲハバチ被害

▲花枝は8本。うち3本が房咲きに

番背の高いところで樹高は50cm。低いところで25cm。ずいぶん差がありますが、25cmの位置にも蕾が上がってきました。

 

花枝はぜんぶで8本あり、背の高い3本が房咲き、背の低い5本は1輪咲きです。

 

▲来週には咲くかな?

 

早い蕾はガク割れが始まりました。黒みの強い赤い花びらが見えています。来週には咲きそうです。

 

農薬の効かないクシヒゲハバチの幼虫被害が少しあるので、「ロハピ」(アース製薬)で物理駆除しています。

 

5月18日・19日の「レッドキャプテン」/開花

▲樹高45cm、蕾は19輪

ッドキャプテンの最初の1輪が開花しました。枝の長さは長いところで55cmありますが、少し倒れているので樹高は45cm。蕾はぜんぶで19輪あります。

 

▲細枝に重そうに咲く「レッドキャプテン」

 

細い枝先に1輪だけ蕾を上げた花がうつむきに咲きました。花びらの多い重い花に対して枝が細いので、どうしてもうつむきがちです。

 

▲深紅のカップ咲き。エレガント!

 

黒みの強い深紅の花色で、中心が渦巻くカップ咲きのエレガントな花形。香りは──まったく感じられません。

 

▲ベイサルシュートの先は6輪の房咲きに

 

ベイサルシュートの先の房咲きの花は、主蕾が開いてきました。明日にも開花するでしょう。

 

▲開花の翌日にはロゼット咲きに

 

ここからは、翌5月19日の様子です。うつむいて咲いた最初の1輪は、大きく開いて花径5.5cmに。花形はロゼット咲きになりました。ミニバラにしてはゴージャスな花形ですね。

 

▲咲き始めは高芯咲き

 

ベイサルシュートの先の房咲きの花も開花しました。この枝はしっかり太さがあるので、上向きに咲いています。

 

花径は最初の1輪より少し大きい6cm。今は高芯咲きですが、高芯咲き→カップ咲き→ロゼット咲きに変化していきます。

 

5月28日の「レッドキャプテン」/満開

▲つややかな黒赤色の花がたわわに満開 

ッドキャプテンの1番花が満開になりました。枝のまとまりが悪かったので、ダイソーの小型のアイアントレリスに誘引。花がぐっと引き立って見えます。サイズ感もぴったりで、ちょうどイイ感じです^^

 

▲重そうにうつむいて咲く

 

「レッドキャプテン」は花の重みでうつむいて咲くので、誘引した方がキレイに見えます。

 

早く咲いた2輪はすでに散っています。5月18日に咲き、散ったのが5月28日なので花もち10日。じゅうぶん長いですね^^ 咲き終わりは、花びらがヒラヒラ散ります。

 

花首の少し下に折れるポイントがあり、花がらをつけっぱなしにしていても勝手に落ちてくれます。こういう性質を「セリフクリーニング」と呼び、ローメンテナンスでも大丈夫なバラのグループ「修景バラ」に好まれる性質です。「レッドキャプテン」が修景バラに入れられるのは、病虫害に強いのと同時にセリフクリーニングの性質を持つからでしょう。

 

この時期の手入れ

まだ花がありますが、バットグアノ(オザックス株)を40g、土にまいて軽く表土と混ぜました。以前使っていたバットグアノは室内でも使えるほど臭いがなくコバエの発生もなかったのですが手に入らなくなり、今回はオザックスの商品を使っています。

 

少しですがやはりコバエが来ていますね・・・臭い軽減とコバエよけにニームオイルを土にスプレーしておきました。効果があればいいけれど。やっぱりベランダ園芸で有機質肥料はムリかなぁ。次から化成肥料に戻します。

 

>>次のページでは「1番花の切り戻し」から紹介しています