バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「ペネロペイア」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


「ペネロペイア」は、こんなバラ

▲間近に鑑賞して楽しめる、花一輪ごとの表情が魅力的

ネロペイアは、ピンクを基調にまるく咲く愛らしいバラですが、それぞれの花により花びらの裏が黄色がかっていたり、クリーム色に寄った色味だったり、淡い色の覆輪になっていたりと、微妙な花色の変化があります。色だけでなく、花びらの形も変化に富んでいます。縁に不規則な切れ目が入り、真ん中がツンと小さく尖った先尖咲き。しかも全体がゆるく波打つ波状弁。

 

とても繊細なつくりの「ペネロペイア」は、近づいてひとつひとつの花の表情を楽しみたいバラです。ダマスクの強香をもち、耐病性とくに耐暑性に優れた育てやすさも魅力的。

 

日本の気候に合った、日本人の感性に触れるバラにこだわった育種を大事にしている「ロサ・オリエンティス」の木村卓功さん2018年の自信作です。

 

今回育てる「ペネロペイア」の環境DATA

関東の陽当たりの良い庭(1日6〜7時間、陽が当たる南東のコンクリート通路)

 

鉢植え 。新苗から2年目の株。

 

今年の目標

元気に夏越し! (日向のコンクリート敷きの通路という過酷な環境で育てるので)まずは元気に夏越しして、秋花を見るのが目標です。

 

このバラを選んだ理由

複色の花色、モダンな花型、ダマスク系の強香、と好みの花であることと、高い耐病性と耐暑性を持ち、四季咲きで、色々な構造物に使える、そして”トゲが少ない”ことを兼ね備えた稀有な品種でした。同じ条件を満たすバラが他にほとんど見当たらなかったくらいです。この品種が一番「データ選考」だったので目論見の通りになるかどうか注目しています。

 

育てる人/とらうさぎ

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

3月15日の「ペネロペイア」/芽吹き

▲トゲが少ない赤い枝は、直立タイプのシュラブ樹形 写真提供/とらうさぎ

の間、「ペネロペイア」の枝は赤くなります。トゲが少なくてすべすべした枝です。すっと上に伸びる形で枝が出るので樹形が整いやすいように思います。

 

赤玉土小粒+バラの家「極上バラ培養土のもと」〜40%混合で、8号スリット鉢に植えつけてあります。元肥にはバラの家プレミアムローズオーガニック肥料(粉末)を規定量入れました。


▲赤い覆輪のある濃い緑色の若葉 写真提供/とらうさぎ

芽吹きは、やや遅いめです。濃い緑の葉で、赤い覆輪があります。控えめなツヤの照り葉だと思います。(枝の切り口には病気予防のためトップジンMペーストを塗ってあります)。

今のところ葉に病変はありませんが、枝に謎のカビ? らしき汚れが着きました。住宅の窓枠などに結露で生えるような緑色のものです。除菌ウェットティッシュでふき取るとそのままなくなりました。


現在、樹高は75cmほど。つるバラとして使えるシュラブ樹形ということなので、どのくらい大きくなるのか伸ばしてみようと思っています。

 

5月1日の「ペネロペイア」/発蕾

▲出開き祭りから、ようやく脱出! 写真提供/とらうさぎ

そらく4月の寒波のせいだと思うのですが、最初に出た新芽がすべて出開きになってしまいました。4月下旬に、ようやく新しい芽が改めて出て葉が広がってきたので一安心です。

 

▲小さいながらつぼみを確認^^ 写真提供/とらうさぎ

 

数は少ないものの、早速つぼみもつきました。まだ小さいけれど、明るい緑色のシュッとしたつぼみです。

 

この時期の手入れ

4月の初めにIB肥料を規定量あげてスプレー剤アタックワンを散布しました。いまのところ病害虫は出ていません。


葉が出開きになってからあまりにも新芽が出てこないので、ふだんはあげないのですが1回だけ液肥を追加しました。効果はあった気がします。

 

5月17日の「ペネロペイア」/つぼみ膨らむ

▲葉が茂り、つぼみに色が差してきた 写真提供/とらうさぎ

ネロペイアは以前より葉が茂り、つぼみが膨らんできました。

 

▲つぼみが色づき、もうすぐ咲きそう 写真提供/とらうさぎ

 

つぼみが色づき、ガクが開いてきています。我が家の他のバラより遅く、2週間遅れくらいで咲きそうです。気温が上がってから付いたつぼみなので咲くまでの期間が短くなり、小さい目の花になりそうです。

 

5月24日の「ペネロペイア」/開花

▲ペネロペイア、香り高く開花 写真提供/とらうさぎ

4月いっぱい出開き祭りだったせいか、他のバラから2週間遅れで「ペネロペイア」が開花しました。つぼみが色づいてから開くまでが早くて、昨日の朝「もう咲いてる!」と驚いてしまいました。

 

花首が細いので、2つ咲いた花はどちらも俯きぎみです。

 

▲咲き始め(左)と満開の花(右) 写真提供/とらうさぎ

 

咲き始めは、淡いピンクのグラデーションでした。が、開いてみると意外としっかりしたピンクからサーモンピンク、淡いオレンジへのグラデーションに変化。この後、どんなふうに退色していくのかも楽しみです。

 

花径は8.5cm。

 

ダマスク系のバラらしい香りに、ほんのりフルーツ系も感じる上品で優しい香りがします。花色とあいまって、とても癒し系のバラだと思います。

 

5月29日の「ペネロペイア」/満開

▲咲き始めたと思ったら一気に満開に! 写真提供/とらうさぎ

ネロペイアが満開になりました。つい先日、最初の花が咲いたと思ったら、もう満開です。この春、「ペネロペイア」は全部で9輪咲きました。4月は出開きでやきもきしましたが、思ったよりたくさん咲いてくれて、華やかだったので嬉しいです。回復力があるバラなのかもしれません。

 

▲花色の変化がとにかく楽しい! 写真提供/とらうさぎ

 

「ペネロペイア」は花色の変化が楽しいバラです。つぼみは、淡いピンクのグラデーション。咲き始めは、しっかりピンクとサーモンピンク、さらにオレンジ色が交じり合ったような花色に。

 

▲咲き終わりは淡いピンク色に退色 写真提供/とらうさぎ

 

咲き終わりは、黄色やオレンジ味が抜けて淡いピンク色へと退色します。毎日、花色が移ろっていくので、その変化が楽しくて見飽きません。花形も最後まで崩れず、きれいなままです。

 

気温が高いせいか、「ペネロペイア」の花もちは3〜4日くらいです。綻んだなと思ったら、あっという間に全開になって、1〜2日でハラハラと散り始めます。欲を言えば、もう少し花もちが良ければ、もっとゆっくり楽しめるのですが。

 

6月11日の「ペネロペイア」/ベーサルシュートが発生・2番花のつぼみ上がる

▲定期的な農薬散布で害虫しらず 写真提供/とらうさぎ

ネロペイアには毎月1回スプレー式の農薬を散布しているので、いまのところほとんど害虫被害はありません。やはり専用の農薬は効果が高いですね。

 

▲ベーサルシュートが発生 写真提供/とらうさぎ

 

ベーサルシュートが1本伸びてきています。30cmくらいになったので、枝先をソフトピンチしました。

 

▲2番花のつぼみ上がる 写真提供/とらうさぎ

 

2番花のつぼみも見えてきています。株が順調なら、このまま咲かせようと思います。

 

この時期の手入れ

月が変わったので、IB肥料を規定量与えました。

 

7月5日の「ペネロペイア」/2番花満開に!

▲きれいに咲いた2番花 写真提供/とらうさぎ

ペネロペイアの2番花は、2回に分けて9輪咲きました。最初は5輪咲き、2回目は4輪。上の写真は2回目のグループが満開になった様子です。

 

じつは最初の5輪はほんとうに小さい花径4cmの花で、花色も薄く、ほぼ1日で散ってしまいました。正直なところ「これだったら株のためにも来年は咲かせないことにしようかな・・・」と、思ったくらいです。

 

次の4輪はもちろん1番花より小さい花径5.5cmの花ですが、花びらの枚数も多く、香りもそこそこあります。花もちは3日ほどでした。来年の2番花を咲かせようかどうしようか、迷いますね。

 

「ペネロペイア」はスプレー剤の使用に加えて軒下栽培なので病害虫は出ていません。

 

>>つぎのページでは「8月の様子」から紹介しています。