バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「ノヴァーリス」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!


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「ノヴァーリス」は、こんなバラ

▲薄紫色の凛とした咲き姿が美しい

界じゅうでバラが愛されていますが、日本人ほど薄紫のバラ(いわゆる青バラ)を好む人はいません。薄紫のバラが作出されるのは、ほぼ日本とドイツだけといわれます。アメリカにも紫のバラはありますが、もっとはっきりとしたプルーンのような濃い色です。

 

「ノヴァーリス」は、ドイツの有名ナーセリー「コルデス社」が2010年に発表したシュラブ系統の青バラです。それまで青バラは病気にかかりやすく、樹勢がなく、耐陰性もない育てにくい品種がほとんどでした。そんな常識をくつがえしたのが、この「ノヴァーリス」です。

 

「ノヴァーリス」は、「バラの家」の評価によると「樹勢3、ウドンコ病耐性4、黒星病耐性4、耐陰性3、耐寒性3、耐暑性3」です。とにかく病気耐性が高く、樹勢もそこそこ。他のほとんどの青バラの耐陰性が2なのに、「ノヴァーリス」の耐陰性は3です。それまでの青バラに比べて、格段に育てやすい青バラなのです。そのため「最強の青バラ」という呼び名すらついています。

 

花びらの先が尖った咲き姿も、凛としてきれいです。

 

▼青バラについてくわしくは、こちらをご覧ください

今回育てる「ノヴァーリス」の環境DATA

関東の東向きベランダ(日照3時間ていど)

昨年、新苗で購入し育てている株

今年の目標/あせらずじっくり木を育てたい。花は少量ずつ春・秋の両方楽しみたい^^

育てる人/あいびー

 

*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!

 

3月12日の「ノヴァーリス」/芽吹き

▲芽吹きはやや遅く3月に入ってから

にかひとつ青バラをお迎えしたいと思い、昨年いろいろ調べたのですが、青バラってどれも耐陰性が低いんです。ほとんどの青バラが「耐陰性2」です。そんななか「最強の青バラ」の呼び声高い「ノヴァーリス」だけは「耐陰性3」でした。これなら日照条件のあまりよくない我が家のベランダでも、なんとか咲いてくれるかな、と期待して昨年の春に新苗でお迎えしました。

 

秋花を少し楽しんだ後の今年の1月に8号角鉢に植替えし、ようやく若葉が広がってきたところです。

 

▲やや赤みを帯びた若葉

 

「ノヴァーリス」の芽吹きは、他の品種に比べてやや遅いめでした。3月に入ってようやく芽吹いてきたかんじです。葉色は胴葉というほどではないけれど、やや赤みを帯びています。艶もほんの少しあります。樹高30cm。

 

▲50ppmの次亜塩素酸水を散布

 

今年から我が家では次亜塩素酸水を導入しました。病気予防の消毒として頻繁に散布する予定です。

 

ウドンコ病耐性4と高評価の「ノヴァーリス」ですが、去年少しウドンコ病が出ていたので、予防的に次亜塩素酸水を散布しました。若葉に影響が出ると嫌なので、通常の100ppmより薄い50ppmの散布液です。

 

さらに芽出し肥として、緩効性化成肥料を少量、土にばら撒きました。「ノヴァーリス」を植えた土は元肥なしのバラの土だったと思うのですが・・・じつは土が足りなくなって元肥ありの培養土もいくつかのバラに使ったんですね。そして、どのバラにどの培養土を使ったか忘れてしまって(^^; 

 

もし「ノヴァーリス」に元肥ありの培養土を使っていたら、さらに芽出し肥を追加するのは多すぎます。と、いうことで。肥料過多になるのは嫌なので、少量の肥料やりにとどめておきました。

 

4月3日の「ノヴァーリス」

▲旺盛に葉が展開

ヴァーリスの芽は各枝に3芽ずつ。バランス良く、葉が大きく広がってきました。真ん中の枝が左に寄り過ぎていたので、短く切った割りばしの両端を鼓型に凹ませてはさみ、枝同士がくっつきすぎないようにしました。

 

▲若葉にウドンコ病が!

 

昨年もそうだったんですが、やはり若葉にウドンコ病が出ています。我が家が日照が悪いせいでもありますが、ちょっとウドンコ病には弱そうな印象です。次亜塩素酸水の散布をしているんですけどね。

 

5月7日の「ノヴァーリス」/つぼみを確認

▲長く花枝が伸びて、ようやくつぼみが!

吹きも、その後の生長もゆっくりな「ノヴァーリス」ですが、ようやく長く花枝が伸びてきました。現在、一番高いところで樹高60cmです。

 

相変わらずウドンコ病がひどく、カリグリーンを数回、散布して治療しています。それでも若葉が伸びた先からかかるという感じで、かなりウドンコ病に弱いです。写真ではあまり分かりませんが、肉眼で見ると全体に結構白い。

 

▲よく見ると側蕾がある! 

 

3本ある主幹の先には、それぞれつぼみがついています。そのうちの1本には、側蕾つきのものも! 去年の秋は2輪だけの開花だったので、少しでも花数が増えて嬉しいです^^

 

5月25・26日の「ノヴァーリス」/開花

▲20日間かけてゆっくり開花

ヴァーリスが開花しました! 中央が尖った花びらが渦巻く高芯咲きの整った花形です。つぼみが上がってからなかなか開かず、たっぷり20日間かけての開花でした。昨年秋の開花もゆっくりだったので、大丈夫だろうとは思っていましたが、一時はボーリングか? と疑ったくらいです。

 

▲翌日には満開に。花径は10cm

 

翌日には、まるく開き、花径が10cmになりました。青みを感じる薄紫色で、花びらの重なったところに影が差したように見える憂いな表情が素敵です。花枝が細く、花の重みで垂れて咲きましたが、もう少し木が育ってきたら花枝もしっかりしてくるでしょう。

 

いかにもブルー香がしそうな花ですが、香りはありません。

 

背景に写っているのは「シェエラザード」です。少し色褪せた「シェエラザード」と「ノヴァーリス」の花色は、かなりよく似ています。

 

6月1日の「ノヴァーリス」/花がら切り・お礼肥え・殺虫剤散布

▲ノヴァーリス満開・・・というか咲き終わり

年の1番花は、ぜんぶで5輪開花しました。背の高い花枝の先はどちらも2輪づつ、背の低い方は1輪です。つぼみがついてから咲くまで長かったのですが、咲いてから早かったですね。開花から5日ていどの花もちです。撮影の後、1番花の花がらを切り取りました。花がら切り後の樹高は40cm。

 

▲咲き終わりはシルバーがかった薄紫色

 

「ノヴァーリス」は、咲きたてはピンクがかった薄紫色でしたが、咲き終わりは赤味が退色して白っぽくなり、シルバーがかった薄紫色になりました。咲き切っても花の中心にある小さな花びらが芯を隠すので、最後まできれいな花形のまま楽しめます。

 

▲お礼肥えにIB肥料10粒

 

花後の回復を早めるため、お礼肥えを施しました。「IBのチカラ」(N10P10K10+Mg)を、8号鉢での規定量15粒のところ10粒、株から離してぐるりと取り囲んで置きました。

 

薬剤散布

下葉が害虫に食べられてきたので「オルトランDX」を株元に散布しました。今年1回目。

 

6月20日の「ノヴァーリス」

▲花殻切りの後の芽立ちが早い!

花の花がら切りをしてから20日。カットしたところから旺盛に新芽を伸ばし、長いところではもう20cmも伸びています。樹高は現在60cm。

 

そういえば5月初旬のカリグリーン数回散布の後、ウドンコ病が劇的に改善し、現在ではまったくありません。よかった^^「オルトランDX」のおかげか、害虫被害も抑えられています。

 

▲名残の春花のつぼみ上がる

 

遅れて上がった花枝の先につぼみが2つ付きました。2番花ではないので、名残の春花という感じです。今の時期、木の体力回復に努めたいところですが、1輪だけ咲かせることにしました。もう1つのつぼみはピンチしました。

 

>>次ページでは「7月の様子」から紹介しています