花屋の店頭に並ぶミニバラ

花屋やホームセンターで見かける、可愛らしいミニバラ。安くて手軽に買えるので、「はじめてのバラ」として選ぶ人も多いですよね。

でも実は、花屋のミニバラは“育てるための苗”ではなく、短期間楽しむための商品です。なぜ初心者に向かないのか、その理由をミニバラに対する誤解を解きながら分かりやすく解説します。


花屋のミニバラはかわいいけど・・・初心者には難しい理由

花屋の店頭に並ぶミニバラ

▲花屋の店頭に並ぶ愛らしいミニバラ

*はじめてのバラ選びに迷っている方は、まずはこちらの記事から読むのがおすすめです。

▼「ファーストローズ」の選び方記事はこちらです

バラと小さなガーデンづくり

はじめてのバラ選びで迷ったら|失敗しにくいファーストローズの選び方とおすすめ品種

はじめてのバラ選びで迷ったら|失敗しにくいファーストローズの選び方とおすすめ品種

屋やスーパー、ホームセンターの店頭に並ぶ「ミニバラ」って安価で可愛らしいですよね。実は、花屋のミニバラでバラ育てに失敗する人はとても多いです。

 

YOUYOU

そうそう。可愛らしくて、どこでも買えて、しかも安い! わたしも前に育ててみたことがあるんだけど、上手くいかなくて・・・。

だから、あのミニバラで育て方を学びたいんだけど、ダメかな?

あいびーあいびー

花屋のミニバラを使ってバラの育て方を学ぶのは難しいわ。つまりファーストローズには向かないの。

ミニバラって、いろいろ誤解が多いバラだから、今日は順番に分かりやすく説明するね。

花屋のミニバラとは?実は“育てる苗”ではない(ここが大きな誤解ポイント)

さな株いっぱいに花が咲いているミニバラ。じつはあのミニバラは、咲いている間だけ楽しむ、挿し木の寄せ植え商品です。

 

実際に、ミニバラを出荷している農家のサイトでは「根付き切り花の感覚で楽しんでもらっています」と書かれています。

 

YOUYOU

根付き切り花? その発想はなかった! 切り花ってことは・・・。

あいびーあいびー

そう。花が終わったら処分する前提の商品ということ。つまり、育てるための苗として作られていないの。

野菜で根つきのリーフレタスとかあるよね? あれと同じスタンスの商品ね。

ミニバラは挿し木の寄せ植え商品

▲花屋のミニバラは挿し木の寄せ植え商品

 

上の写真は、花屋のミニバラを実際に鉢から抜いて撮影したものです。爪楊枝くらいの細い枝が4本植えられていて、それぞれの枝先に大きな花が咲いています。

 

植物にとって花を咲かせるのは、とても養分を消費することです。こんな細い枝にこれだけ大きな花を咲かせるのは、バラにとてもムリをさせているということ。

 

つまりこれは、花が咲いている間だけ楽しむための商品で、これから何年も花を咲かせ続けるためにつくられたバラ苗ではないのです。

 

生産農家では「購入してから1~2週間楽しむためのもの」と、しています。

通常のバラ苗との違い|育て方が難しくなる理由

日当りの良い畑で育てられるバラの苗

▲日当たり抜群のバラ苗の畑

に、苗のつくり方の違いをみてみましょう。最初に、通常のバラ苗の作り方から。

 

バラの大苗で説明します。まず挿し木で台木を育て、次に、挿し木から約1年間育てた台木に、咲かせたいバラの芽や枝を接ぎます。その後、しっかり日の当たる畑でさらに約1年間育て、出荷する直前に掘り起こして土と一緒に鉢につめて出荷します。

 

つまり大苗では、台木をつくりはじめてから出荷まで約2年間かかります。

 

ミニバラの水耕栽培温室のイメージ

▲花屋のミニバラの多くは水耕栽培でつくられる

 

では、花屋のミニバラはどうかというと。じつは多くのミニバラが水耕栽培で育てられます。

 

小さい鉢に細い枝を4~5本挿し木して、あとは温室の温かい環境で、栄養たっぷりの水で水耕栽培です。蕾がたくさん上がってきたら、または少し花が咲き出したら出荷します。

 

挿し木から出荷までの期間は2~3カ月です。

 

YOUYOU

通常のバラ苗って、つくるのに2年もかかるの?そりゃ高くなるのも当然ね。それに比べて花屋のミニバラは2~3カ月なのね。

あいびーあいびー

バラ苗にもいくつか種類があって、それぞれ違うけど。大苗の場合は、2年くらいかかるわ。時間をかけて丁寧につくられているの。

花屋のミニバラが枯れやすい理由(販売環境の問題)

状態の悪い花屋のミニバラ

▲花屋で既に枯れたり病気が発生しているミニバラも

産過程以外にも問題はあります。まず植え込み材料が土でないケースもあるのです。

 

上の写真は、土以外の植え込み材料に植えられたミニバラの株元です。小さな鉢の縁ぎりぎりまで、植え込み材料が詰められていますが、これは土ではなく「ピートモス」です。

 

ピートモスは水を良く含む上に軽いので、園芸用の土でよく使われる材料ですが、大きな欠点があります。カラカラに乾かしてしまうと、コルクのようになり、水を吸い込みにくくなってしまうのです。

 

ミニバラの鉢はとにかく小さいので、花屋やスーパーの店先でちょっと水やりしなかったらすぐにコルク状になってしまいます。こうなると、ミニバラはどんどん弱っていきます。

 

その結果、上の写真のように黄色く枯れこんだり、病気が発生したりします。つまり花屋のミニバラは、お店にある時点で既に弱っている可能性が高いのです。

 

YOUYOU

花屋のミニバラが、育てられる状態じゃないのは、よく分かったわ。それじゃ、わたしが失敗しても、仕方なかったってことね。

あいびーあいびー

そうよ。みんな失敗してる。YOUちゃんが特別なわけじゃない。だから、花屋のミニバラを枯らして「バラって難しい」と敬遠されるのは、とても残念なことだと思っているのよ。

それでも育てられる?花屋のミニバラの現実(これが2つめの誤解ポイント)

花屋のミニバラを1年間育てた鉢

▲花屋のミニバラも、上手くやれば育てられる!

 

YOUYOU

でも──SNSでときどき、花屋のミニバラを育てました!って写真つきで流れてくるんだけど・・・。

屋のミニバラは、小さくて可愛らしいから「簡単そう!」って思われやすいけれど、それは誤解です。これが2つめの誤解ポイントです。

 

実際は難しいところが多いのは、ここまでで分かってもらえたと思います。バラの育て方をまったく知らない人がチャレンジして、そう簡単に上手くいくようなものではありません。

 

でも根つき植物なので、上手くやれば花屋のミニバラを育てることはできます。上の写真は、実際にわたしが1年間育てた花屋のミニバラです。鮮やかなオレンジ色の、ステキな花が咲きました。

 

実際に育ててみた1年間のレポート「そだレポ」があるので、興味がある方はゼヒ見てほしいんですが、育てるのはけっこう大変でした。

 

▼花屋のミニバラのそだレポは、こちらからご覧ください

バラと小さなガーデンづくり

そだレポ・ミニバラ3種類「インフィニティローズ」「フォーエバーローズ」「ポールセンローズ」の1年<育て方・育ちかた>

そだレポ・ミニバラ3種類「インフィニティローズ」「フォーエバーローズ」「ポールセンローズ」の1年<育て方・育ちかた>

 

あいびーあいびー

むしろ花屋のミニバラは、初心者向けどころか“上級者のお遊び”に近い存在です。もちろん初心者がやってもいいけれど「上手く行けばラッキー!」くらいのスタンスでね!

育てる前提のミニバラもある(これが3つめの誤解ポイント)

YOUYOU

もちろん大きく咲くバラも好きだけど、小さくて可愛らしいミニバラも好きなんだけど──ミニバラを育てることはできないの?

あいびーあいびー

これも誤解されがちなポイントなんだけど。ミニバラには、育てる前提の苗もあります!

人気のミニバラ「グリーンアイス」の鉢植え

▲人気のミニバラ「グリーンアイス」写真提供/ORCA

とえば、上の写真のミニバラ「グリーンアイス」は、純白に咲き、じょじょに薄緑色になるミニバラです。しかも気温が下がるとピンクを帯びるので、とても人気があります。

 

ミニバラ「スイートチャリオット」

▲香りのミニバラ「スイートチャリオット」写真提供/天女の舞子

 

ミニバラは香りのないものがほとんどですが、この「スイートチャリオット」は香りのあるミニバラとして人気です。

 

枝先が少し枝垂れるので、支柱があると育てやすい品種です。たくさんの蕾をつけて、一斉に咲くととても賑やかです。

 

YOUYOU

ちゃんと育てられるミニバラもあるのね!これをファーストローズにしてはダメなの?

あいびーあいびー

じつはミニバラはものすごく品種によるバラつきが大きいの。これも、一般的に知られていないことなんだけど──。

ミニバラは品種差が大きく初心者向きではない(4つめの誤解ポイント)

花径10cmのミニバラの花

▲花径10cm。これでも「ミニバラ」

の写真は、かつて我が家で育てていたミニバラです。品種名は分かりませんが、「ミニバラ」というラベルがつけられたバラを育てたものです。花の大きさは10cmを越えます。

 

ミニバラ「つる八女津姫」のスタンダード仕立て

▲つるタイプのミニバラ「つる八女津姫」

 

ミニバラにはつるタイプもあります。枝の長さが2mを越えても「ミニバラ」です。

 

ミニバラは「小さいバラ」となんとなく理解している人が多いのですが、じつは「ロサ・キネンシス’ミニマ’」という小型のバラを親にしたグループ「ミニチュア系統」のバラをさします。ミニチュア系統のバラには数多くの品種があり、それぞれさまざまな特徴をもちます。

 

バラの系統については、初心者向けに分かりやすく書いた記事があるので、そちらを読むと理解が深まります。

 

▼初心者向けのバラの系統についての記事はこちらです

バラと小さなガーデンづくり

バラの系統とは?初心者向けに違いとおすすめをやさしく解説

バラの系統とは?初心者向けに違いとおすすめをやさしく解説

 

YOUYOU

大きさが10cmの花でも、枝が2m以上でも「ミニバラ?」

あいびーあいびー

ミニバラには、さまざまな特徴のあるバラがあるから、育て方がまちまちなの。だから、初めて育てるバラには向かないわ。慣れてきたらチャレンジしましょう。

ファーストローズにはミニバラ以外の選択を

フロリバンダ系統のバラ「うらら」

▲フロリバンダ系統のバラ「うらら」

サイトでは、ファーストローズには「病気耐性の高いフロリバンダ系統のバラ」をオススメしています。

 

フロリバンダ系統のバラは、育ち方が素直で、あまり横広がりにならず、大きくなりすぎないので鉢で育てやすいものが多いです。さらにその中から近年多くつくられている病気耐性の高い品種がファーストローズ向きです。

 

失敗するリスクを減らしながら、素直な育ち方からバラ育てを学ぶのに適したバラを──という思いから、こう決めました。

 

結論として、花屋のミニバラも、ちゃんとした苗のミニバラも「ファーストローズ」には適しません。

 

YOUYOU

ミニバラが「ファーストローズ」に適さない理由がよく分かったわ!

まとめ

今回は、花屋のミニバラがどんな作り方をされた商品か、さまざまな視点で紹介しました。花屋のミニバラはほんのしばらく、花が咲いている間の1~2週間楽しむためのもので、育てる前提でつくられたバラ苗ではありません。

 

育てる前提でつくられたミニバラの苗もありますが、さまざまな特徴をもつ品種があるので、これからバラの育て方を学ぶためには適さないことも理解してもらえたと思います。

 

バラの育て方を学ぶ「ファーストローズ」には、病気耐性が高くて育てやすい品種。しかも、教科書的な育ち方をするフロリバンダ系統のバラが適しています。

 

育てる前提のミニバラは少し慣れてから、花屋のミニバラを育てるなら「上手く行けばラッキー」とチャレンジする意気込みで取り組みましょう。

 

ファーストローズの選び方記事はこちらです

バラと小さなガーデンづくり

はじめてのバラ選びで迷ったら|失敗しにくいファーストローズの選び方とおすすめ品種

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バラの系統について、初心者向けに知りたい方はこちらからどうぞ

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バラの系統とは?初心者向けに違いとおすすめをやさしく解説

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▼それでも花屋のミニバラにチャレンジしたい方はこちらから

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▼ミニバラの定義とは?
▼ミニバラを実際に育てた記録「そだレポ」

 

 

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