小さな鉢でも育てられるミニバラは、ちょっとしたスペースでも気軽にバラが楽しめて人気があります。でも大輪ミニバラなんてのを見ると首をかしげてしまいます。今回は、正しい「ミニバラの定義」を紹介します。
花屋さんで、すごく豪華な「大輪ミニバラ」を見かけたの。それと、長さ2m以上にもなる「つる性ミニバラ」もあるとか聞いて、ミニバラって何だか、その定義が分からなくなってしまったの。教えて!
ミニバラには、花色も咲き方もさまざまな種類がある!
花も葉も小さいけれど、ちゃんとバラの形をしているミニバラは、とても可愛らしいですね。
木の大きさも小さいものなら高さ10cmほどのものから、大きくても30cmほどまで。街の小さな花屋の店先で売られていたり、スーパーの花コーナーにミニバラの鉢が並んでいたりと、身近に見かけるので多くの人が購入した経験があるでしょう。場所を取らずにバラが育てられる気軽さも嬉しいですね。
このごろではミニバラの品種はとても増えてきて、花の色も咲き方もさまざまです。
大型のバラと同じように花色は赤、ピンク、白、黄色、オレンジ色、さらに色の混じった複色のものもあります。咲き方は一重咲きも、半八重咲きも、八重咲きも、剣弁も、丸弁もあります。
花の大きさは花径1cmを切るほど小さいものから、10cm近くなる大輪タイプもあります。
樹形は木立ち樹形(ブッシュ樹形)の品種が主流ですが、半つる性(シュラブ樹形)のものや、つるバラもあります。つるバラでは枝の長さが2mに達するものもあります。
花径10cmでも、2mに達するつるバラでも、ミニバラなの?
▲花径10cm弱。これでも「ミニバラ」
こうなると、なんともややこしくなってしまいます。花径10cmもあるバラを「ミニ」バラと言えるんでしょうか? そもそもバラの世界では、何cmから「ミニ」なんでしょう? 花のサイズだけでいうと、それぞれの分類は以下のようになっています。
マイクロミニ/花径1~2cmのバラ
小輪/花径3~5cmのバラ
中輪/花径5~8cmのバラ
大輪/花径8~13cmのバラ
巨大輪/花径13cmを越えるバラ
ミニ=小輪とすれば、花径3~5cmのバラがミニバラとなります。花径10cmあるバラは、「ミニ」どころか「大輪」バラに分類されてしまいます。
▲つる性ミニバラの「つるスタリナ」
ミニバラの中にはつるバラもあります。たとえば上の写真の「つるスタリナ」はつる性品種で、枝先が長く2mくらいまで伸びます。2mまで伸びるけれど、これはバラの分類上はミニバラなのです。
ミニバラの「ミニ」って、もしかして花の大きさや木の大きさとは関係ないの??? ミニバラの「ミニ」って何?
ミニバラの「ミニ」は、ロサ・キネンシス‘ミニマ’の「ミニ」
▲「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」(Rosachinensis ‘minima’)
ヨーロッパのバラの世界に四季咲き性をもたらした中国原産のバラ「ロサ・キネンシス」には、突然変異で生まれたとされる矮性種で「ミニマ」と呼ばれるバラがあります。
「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」(Rosachinensis ‘minima’)は、樹高30cmたらずの小さな木に花径3cmほどのピンク色の花を咲かせます。このバラと、ポリアンサ系統のバラを交配して生まれたのが「ミニチュア系統のバラ」つまり「ミニバラ」です。
つまり「ミニバラ」の「ミニ」は、「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」の「ミニ」で、「ミニバラ」とは、「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」を親として作出された系統のバラをさすのです。
ロサ・キネンシス‘ミニマ’の流れを汲むので、多くのミニバラはブッシュ樹形で、樹高は30cmほど、花は3cmほどです。でも、さまざまな品種改良がされた結果、花径10cmで樹高1mにもなる品種や、枝先を2mまで長く伸ばすつるバラ品種が作り出されました。
なるほど~!正確にいうと「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」の血筋のバラが「ミニバラ」なのね。その血筋が入ってさえいれば、木の大きさも花の大きさも関係ないってことなのね。
一般人がミニバラかどうか見分けるのは困難!
では、ここでYOUちゃんに質問です。これらA~Cのバラはミニバラでしょうか?
A「黄モッコウバラ」
▲花径3cmの小さな花を枝いっぱいに咲かせるつるバラ
B「マザーズディ」(右下の赤バラ)
▲花径3cm、樹高60cmほどの木立ち樹形のバラ
C「つるポンポンドゥパリ」(中央のピンクのつるバラ)
▲花径4cm、2m以上に伸びるつるバラ
とりあえず、木も花も小さいBの「マザーズディ」はきっとミニバラね。AとCは花は小さいけれどつるバラで枝は長いわね。これもミニバラなのかな?
学術的な分類上、Aの「キモッコウバラ」は原種のバラに分類されます。白花の「モッコウバラ」が中国に自生する野生種で、黄花種はそこから自然発生したバラといわれています。
Bの「マザーズディ」はポリアンサ系統のバラです。この系統はもともと木も花も小型のものでしたが、これに「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」を交配することで、ミニチュア系統のバラが生み出されました。つまりポリアンサ系統は、ミニチュア系統とは別ものです。Bの「マザーズディ」はミニバラではありません。
Cの「つるポンポンドゥパリ」は、意見の分かれるところです。じつはこのバラ、19世紀にパリの街角で売られていたという古い品種で、なにを交配親にしているのか詳しい情報が残っていません。「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」にそっくりな花なので、「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」を交配親にした「ミニチュア系統」だとする意見もあれば、中国バラの影響が強くうかがわれる品種だから「チャイナ系統」とすべきという意見もあります。
古い時代のバラだから「オールドローズ」と、ざっくりした表記にしているバラ専門店もあります。
いや、こんなの普通の人にはわかんないし!
そうだよね。たとえば専門家でもポリアンサ系統のバラを「ミニバラ」に入れている場合もあるし、「フロリバンダ」と表記されているカタログもあるのね。花屋さんになるともっとざっくりした感じで「ミニバラ」って使っていることも多いと思う。
花径10cmのミニバラの正体は?
そういえば花径10cmのミニバラって、本当にあの小さな「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」の流れを汲んでいるの? ちょっと信じられないんだけど。
▲「ミニバラ」として売られていたから「ミニバラ」(たぶん)
上の方で紹介した花径10cmの黄色のミニバラは、「ミニバラ」という名前でホームセンターの花売り場にあった鉢を我が家で育てたものです。
購入したときには花径5cmくらいの純白の花でしたが、育ててみると花径10cmの黄バラになりました。生産者に問い合わせたのですが、海外から仕入れたバラで、詳しい品種名は分からないという回答でした。
もちろん交配も分からないので、本当に「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」が交配親なのか分かりません。
▲フォーエバーローズの「レッド・インフィニティ」
花径6~8cmの豪華な花を咲かせる「インフィニティローズ」も「ミニバラ」として販売されていますが、こちらも交配はわかりませんので「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」と関係があるのかどうか分かりません。
ミニバラとして販売されているバラには、矮化剤を使って強制的に木が大きくならないようにしたバラもあるようです。矮化剤を使ったバラは、次第に薬の効果が切れてきて、ミニバラだと思って育てていたら、数か月後には大きくなってしまうのだとか。元の姿にもどるのですね。
つまり、花屋で「ミニバラ」として売られているバラには、学術的に「ミニチュア系統」のバラとは言えないものもあるのです。小さい鉢にバラの挿し木苗を数本寄せ植えにした商品をぜんぶひっくるめて「ミニバラ」と呼んでいるのかもしれません。
ややこしい!
まぁ、花屋さんでは学術的な正確さよりも、お客さん目線に合わせた言葉の使い方をしてるってことじゃないかな。でも、気になると確かにややこしいわね。
まとめ
今回は、ミニバラの定義について紹介しました。
ミニバラは、花の大きさや木の大きさに関係なく、「ロサ・キネンシス‘ミニマ’」を交配の親にもつ「ミニチュア系統のバラ」をさします。
もともとは花も木もミニサイズのバラが出発点で、品種改良が進んだ結果、現在では大輪のミニバラや樹高2mのミニバラなど、ミニサイズの範疇から外れた品種もたくさんあります。それらのバラは、一般人がミニバラかどうか区別つかないので、ややこしいところです。
バラの系統は、あるていどよく似た性質をもつグループごとに分類してあって、何万とあるバラの品種も、その品種の系統が分かればどんな育ちかたをしてどのように花を咲かせるか、あるていど分かるようになっています。
だからいくら見た目で「ミニバラ」かどうか分からなくても、バラを育てる上でその品種が「ミニチュア系統」のバラだという情報は、とても重要なのです。
品種改良が進んだ結果、いろんなミニバラができてしまったこと。そして、学術的な「ミニチュア系統のバラ」と、普通の人が使う「ミニバラ」という言葉は、ちょっとニュアンスが違っているところが、ややこしさの原因だったのね。
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そうそう、ミニバラって意味不明。花の大きさと思えば、花経が大きいのもあるし。
樹形が高さ1.5Mとかもあるし。。。
僕個人的には花経が小さい物と決めつけてます(笑
確かに販売しているミニバラ・・・ほとんどがロックウールの挿し木なんですよね。
見事につぼみや花が咲いてるのに、ロックルールを割いてみると、枝にヒョロっと根が少しだけ。
そりゃ育つわけないわ~
ま。普通のバラも大半は接ぎ木やけど。
挿し木で増やす人もいるから、良い。悪いはわからんね。
ロックウールは水耕栽培用やしね。
僕も過去に何度もミニバラは買ったけど、全滅・・・
安いから、そうなんだと知ってからも。そこまでお金をかけるのは馬鹿馬鹿しい。。。
接ぎ木になるとお値段が一気に上がるよね~
普通のバラ以上って感じ。
でも、花がらを取らなくても次々と咲いてくれる利点もあるし。
今はミニバラを秋に向けて探してます。
普通のバラはすでに尺鉢で15鉢・・・幻の青系を自分の目で見たくて。
5号鉢くらいで育てられるミニバラ。
高さ、30~50cmで探してます。
でも、僕の好きな花弁って少ないんですよね。
普通のバラもそうですけど。ボタン咲き、カップ咲き・・・
八剣咲きが好きなので。。。
あ。1鉢だけドリフトローズ。ありますわ。
そう考えたら普通のバラは14鉢ですね。
ドリフトローズの丈夫さには驚きます。
よくまぁ、次々と花を咲かせること。。。
花がらが落ちるのは嫌いなので、バシバシ切ってますけど。
それでも次々と咲いてます。
よく知らずに、バラの鉢植えのガーデニングを始めたけど。
ほんま、難しい。。。
切り花のバラ農園に1度だけ見学に行った事あるけど。
種類や色によって、土壌や。ガラスのハウスのガラスの種類を変えてるそうです。
紫外線の種類の強弱で、何色が綺麗に出るとか数値では出てるそうです。
青系は無視して、難しいのは黄色にオレンジらしいですよ。
あ、ミニバラから話しがそれましたね。
ORCAさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
ミニバラって、バラ栽培をやる前はまったく疑問に思わず
なんとなく「小さいバラ」で済んでいたのに、
バラを詳しく知るようになると「ミニバラって何?」と、
すごく疑問になるもののひとつですよね。
それで記事にしました。
結局、ミニマの性質が色濃く出ているものをさすんですが、
見た目からは判断できないという、ややこしい結果でした。
ただ、全体的にいえる特徴があって。
樹勢が強く花つきが良く、ハダニがつきやすい。
一番の問題はハダニじゃないかなぁと思っています。
ミニバラを選ぶのはほとんどが初心者、しかも我が家のような
狭いベランダ栽培。
もちろんハダニの巣窟になります。
で、手に負えなくなって廃棄──ということが多いと思う。
そうそう。
ミニバラの接ぎ木苗って高いんですよねぇ。
挿し木のミニバラが数百円なのに、接ぎ木苗は4~5千円。
買う人少ないと思います。
だから、育種家もミニバラをやる人は稀ですよね。
じつは来年のそだレポにしようかな~と思っているミニバラがありまして。
「レッドキャプテン」というフラワーオブザイヤーを取った鉢バラです。
反り返りのない丸弁で、ボタンアイが覗くロゼット咲きの花で、
なかなか可愛らしいです。
先日の庭バラアレンジの赤いミニバラがそうです。
耐病性、耐虫性が高いということで、無農薬栽培しています。
今のところ無農薬は難しそうですが、かなり成績いいです。
ミニタイプの紫のバラもありますよ^^
あいびー