1月下旬に挿し木(休眠挿し)してから約3ヵ月。そろそろ鉢上げの適期です。今回は、挿し木の鉢上げのやり方を詳しく紹介します。
ハナたろう流・挿し木の鉢上げのしかた
▲1月下旬に休眠挿し開始! 写真提供/ハナたろう
今年の1月下旬に「ラフランス」の枝を1本、休眠挿しをしました。
▲頂芽が伸び、葉がしっかり展開 写真提供/ハナたろう
春先の変わりやすい天気を気にしながら管理を続けてようやく約3ヵ月。
そろそろ根がしっかり出ている頃なので、鉢上げをします。今回も、「ハナたろう流」のやり方を紹介していきます。
もちろん3ヵ月たったら必ず鉢上げしなければいけないわけではありません。もっと根が張ってから、たとえば鉢底から根がのぞくくらいまで待ってから鉢上げした方が安全です。その辺は、それぞれの方の力量で判断してください。
ただし、挿し木で使ったバーミキュライト100%用土はバラの生育に適さない土です。そのまま育て続けることはできません。いずれ、必ず鉢上げしてください。
応援レポーターのハナたろうです。挿し木の鉢上げでは、とにかく出たばかりの根を傷めないよう、優しく優しく作業するのが肝心です。
今回は、「挿し穂の抜き方」と「植え方」の2ポイントに絞って説明します。ハナたろう流では、どちらもバケツに張った水を利用します。
挿し穂の抜き方
▲水の中で土をほぐして挿し穂を抜く 写真提供/ハナたろう
挿し木の鉢上げでは、挿し穂の抜き方が重要です。下手に扱い、せっかくの根を傷めてしまうと、それが原因で枯れてしまうかもしれません。慎重に、優しく作業を行います。
準備するものは、挿し木してある鉢よりも深さのあるバケツと水です。
手順1、バケツに水を張る
バケツに、挿し木してある鉢を越える高さまで水を張ります。
手順2、水に鉢を入れ、挿し穂を左右に揺らす
バケツの水に鉢を入れ、挿し穂の株元を持って少し左右に揺らします。このとき、引っかかるような手ごたえがあれば発根しています。手ごたえがなければ、ここで作業を中止して、鉢上げは延期です。
手順3、時間をかけて挿し穂を抜く
引っかかるような手ごたえがあれば、作業続行。水の中で優しく左右に揺らしながら時間をかけて土をほぐし、挿し穂を抜きます。
たとえ発根していても、この時期の根はモヤシ並みに弱いので、マジで時間をかけて抜きましょう。これ、重要ポイントです!
手順4、挿し穂が抜けたらすぐ水に浸ける
挿し穂が抜けたら、乾燥を防ぐためすぐに水に浸けます。
万一まだ発根していなかったら
▲根になる前の状態が「カルス」
挿し穂を抜いたものの、まだ根になる前の「カルス」状態だったら。上の写真のツブツブなところがカルスです。ほとんどがこういう状態だったら、まだ鉢上げには早いので、急いで埋め戻します。
▲水の力を使って埋め戻し
埋め戻し方にもコツがあります。普通に埋め戻すだけよりも、水をつかって埋め戻せば、根に負担がかからずそのまま生長を続けてくれます。
水から引き揚げた鉢(もともと挿し木してあった鉢)の土に割り箸などで穴を開けて挿し穂を入れ、土が溢れないていどの高さまで水を張ったバケツに鉢ごと入れて、水中で挿し穂を軽く揺らしながら埋めます。「振る」のではなく、あくまで軽く揺らす感じです。
水の力で挿し穂を挿した穴が埋め戻ったら引き上げ、半日陰から通常管理を再開します。
挿し穂を植える方法
無事に挿し穂が抜けたら、生育用の新しい用土で植え直します。
準備するもの
挿し穂を植える鉢
6号(口径18cm)ていどのサイズの鉢(ミニバラの場合はもっと小さいものでOK)
用土
赤玉小粒。肥料は入れません。まだ肥料を使うには早いので、市販の「肥料入り培養土」は使わないでください。
バケツと水
手順1、挿し穂を片手にもったまま、用土を入れる
▲片手で挿し穂を固定したまま用土を入れる
鉢底に少量の用土(赤玉小粒)を入れ、挿し穂の根が触れるていどの高さで持ちます。片手で挿し穂を持ったまま、さらにもう片方の手で鉢に用土を足します。
手順2、バケツ水に鉢ごと入れて5分置く
▲鉢ごとバケツの水に入れて、底面給水させる
あるていど用土を入れたら、あらかじめ用意した水の入ったバケツに鉢ごと入れます。水の高さは、鉢土が溢れないていど。つまり、鉢のすぐ下くらいまで入れておきます。
▲5分間、吸水させる 写真提供/ハナたろう
そのまま5分ほど水に浸けておき、用土にしっかり水分を含ませます。
手順3、バケツから引き上げれば植えつけ完了
▲品種忘れ防止にタグをつけて 写真提供/ハナたろう
バケツの水から鉢を引き上げ、自然に水が切れるのを待ちます。用土が足りないようなら、挿し木苗が安定するまで補充します。これで、植えつけは完了です。
品種名を書いたタグを立てておきましょう。
水の力で、用土はしっかり挿し木苗を包んで埋まります。ここでのポイントは、苗を触ったり土を押したりなど、変にいじらないことです。
鉢上げ後の管理
鉢上げ後はしばらく明るい日陰で管理して、遅くとも梅雨明けくらいには日向で管理できるようになります。水切れには十分気をつけてください。もちろんやり過ぎもダメですよ!
まとめ
ハナたろう流の挿し木の鉢上げのしかたを紹介しました。バケツに張った水を上手に利用して、とにかく根に負担にならないよう注意しながらの作業です。休眠挿しにチャレンジしている方、どうぞ参考になさってください。
ハナたろうさんの、挿し木苗のそだレポはもうしばらく続くので、そちらも楽しみにしてくださいね!
▼休眠挿しのそだレポはこちらです
園芸ブロガーを志されるなら正しい日本語を使ってください。
鉢上げとは庭などに「地植え」していた株を鉢に上げる(戻す=鉢植えにする)ことを言いますので、挿し木苗を鉢に移す記事で“鉢上げ”とはしないでいただきたい。
Google検索で表示されると紛らわしいです。
BannedAidさま、コメントをありがとうございます。
確かに地植えの株を鉢植えにする際に「鉢上げ」といいますね。
でも園芸に限らず専門用語というのは、
使う人により微妙に意味合いが違っていたりするんですよね。
ハナたろうさんがお使いになった「鉢上げ」という言い方も、
これはこれでアリだとわたしは思っています。
分かりやすいですし^^
間違いの御指摘は大変ありがたく、必要とあればもちろん正すべきですが、
これは許容範囲と、わたしは判断しました。
このサイトは専門家による専門家のためのモノではないので、ご容赦くださいね^^
あいびー