バラの葉が縁から食べられている、小さな緑色のイモムシが集団で葉についている──そんなときは、「チュウレンジハバチ(正確にはチュウレンジバチ)」の幼虫かもしれません。チュウレンジハバチ幼虫は、とても食欲旺盛な害虫です。放置すると、あっという間にバラの葉を葉脈だけにしてしまうことも。

しかし、特徴を知っていれば見分けるのは比較的簡単です。幼虫が小さいうちに対処すれば、大きな被害を防ぐことができます。

この記事では、チュウレンジハバチ幼虫の特徴、産卵痕の見分け方、卵の潰し方、駆除や予防方法、クシヒゲハバチとの違いまで、写真つきで分かりやすく紹介します。


CONTENTS

まず症状チェック|チュウレンジハバチ被害の特徴

葉の縁から食べられる

チュウレンジバチの食害

▲葉の縁から集団で食べているなら、それはチュウレンジバチ幼虫

ラの葉を食べる代表的な害虫がチュウレンジハバチ(一般にはチュウレンジ・ハバチと呼ばれますが、正確にはチュウレンジバチ)の幼虫です。

 

8~15mmほどの小さな緑色のイモムシがバラの葉の縁から食べていれば、それはチュウレンジバチの幼虫です。

 

幼虫がバラの葉を食べるハバチ類は、チュウレンジバチ以外にもいます。葉の縁ではなく真ん中から食べられている、レース状になっているなどの特徴なら、ハバチ類の総合記事で確認してください。

バラを食害するハバチ類総合記事はこちらです

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幼虫がお尻を跳ね上げる

チュウレンジバチの幼虫

▲お尻を跳ね上げる特徴的な動きがあれば、チュウレンジバチ幼虫と分かります

チュウレンジバチ幼虫は、ほかにも分かりやすい特徴があります。お尻を跳ね上げるような動きをするのです。この特徴があれば、ほぼチュウレンジバチ幼虫と同定できます。

 

頭は黒や茶色で、体は緑色をベースに黒い斑点がついている場合もあります。まだ小さいうちは頭が黒く、大きく育つと茶色になるようです。

枝に縦の裂け目(産卵痕)ができる

チュウレンジバチの産卵痕

▲緑の枝に縦に長い裂け目があったら

枝に茶色の縦長の裂け目を見つけたら、それはチュウレンジバチが産卵した痕です。そこにチュウレンジバチが産卵し、卵が孵って幼虫が出てきた後にこういう状態になります。

 

こういう枝があるということは、必ずチュウレンジバチ幼虫の被害があるはずです。

放置すると葉脈だけになる

ボロボロになったバラの葉

▲ハバチ幼虫の被害でボロボロになったバラの葉

チュウレンジバチに限らず、ハバチ幼虫は食欲が旺盛なうえに集団でバラの葉を食べるので、またたくまにバラの葉が葉脈だけになってしまいます。大きく育った幼虫だと、1晩で丸坊主にされてしまうことも珍しくありません。

他のハバチ幼虫との違い

つはバラの葉を食べるハバチ幼虫はチュウレンジバチだけではありません。クシヒゲハバチ、クワガタハバチ、オオシロオビクロハバチそれぞれの幼虫もバラの葉を食べます。それぞれの見分け方を簡単に紹介します。

 

ハバチ幼虫の見分け方

・上の方の葉の端から食べて、お尻を上げる  チュウレンジバチ

・葉の中央から食べて、レース状にする  クシヒゲハバチorクワガタハバチ

・葉の中央から食べて、くるりと丸まる  オオシロオビクロ

 

チュウレンジバチ以外のハバチについては、こちらの記事をご覧ください

バラにつく4種類のハバチの特徴と対処法まとめ

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チュウレンジバチとはどんな虫?

成虫は黒とオレンジのハチのような虫

チュウレンジバチの成虫は体長1~1.5cmの黒い虫ですが、翅の下の胸やお腹は目立つ蛍光オレンジ色をしています。

人は刺さないので安心して大丈夫

チュウレンジバチは蜂の仲間ですが、人を刺すことはないし毒も持っていません。もし黒い小さな虫が飛んでいても、ハバチの仲間なら刺さないので大丈夫です。

4~10月に繰り返し発生する

チュウレンジバチ幼虫はバラのほかにツツジも食害します。5月ごろから発生しはじめ、春から秋にかけて年2~3回発生します。

基本は農薬にも弱く、アシナガバチなどの餌にもなる弱い幼虫です。

チュウレンジバチの産卵を見つけたら?

チュウレンジバチの産卵

▲産卵中のチュウレンジバチ成虫

ュウレンジバチの成虫は、まだ若い緑色のバラの枝に産卵します。1度の産卵で30~40個の卵を産み付けます。

 

上の写真のように逆さになって産卵することが多く、産卵中はかなり長くじっとしているので、ロザリアンならときにその姿を目にする機会もあるでしょう。

 

産み付けられた卵は約1週間で孵化して葉を食べ始めます。

産卵中の成虫は捕まえやすい

産卵中のチュウレンジバチを捕まえるのは容易です。刺すこともないので、手で取り除いてもいいのですが──産卵管が枝の中深くまで入っているのでなかなか抜けず、無理に引っ張ると虫のお腹が裂けてしまうこともあるので、ハンドスプレー農薬で駆除するのが簡単です。

産卵痕の見分け方

チュウレンジバチの産卵痕

▲産卵直後の痕

これは、チュウレンジバチが産卵した直後の痕です。少し黒くなっている縦線が見えますね。この状態で産卵痕を見つけられたらラッキーです。まだ卵から孵化していません。幼虫が孵る前に中の卵を駆除しましょう。

卵は爪楊枝や針で潰せる

チュウレンジバチの産卵痕

▲爪楊枝や針でなぞって卵を潰す

は基本的に物理駆除です。傷から爪楊枝や針を差し入れなぞることで卵を潰します。この後、テープを巻いておけば残った卵から幼虫が出てくるのが防げて万全です。

 

目立たないセロハンテープや緑色のフローラルテープがおすすめです。テープではなく、木工用ボンドを使う方法もあります。乾けば透明になるので、こちらも目立ちません。

裂けた枝はテープで補強しておく

チュウレンジバチの産卵痕

▲裂けた枝は補強しておくと安心

に孵化した幼虫が出てしまった枝は、上の写真のように茶色く縦に割れてしまいます。このままでは枝が折れやすいので補強しましょう。

 

小枝を添えてテープで巻いておけば折れ防止になります。テープはセロハンテープ、フローラルテープなどなんでも構いません。

幼虫を見つけたときの駆除方法

まだ小さいうちは葉ごと切り取る

だ頭の黒い幼虫を見つけたら、まだ小さい幼虫のはずです。この頃の幼虫は上の方の葉を固まって食べているので、比較的見つけやすいです。

 

幼虫を葉ごと切り取って処分するのが効果的。ただし、大きく育つにつれ1匹ずつ分散するので、この方法が有効なのは孵化直後だけです。毎日のていねいな観察が、害虫被害を減らします。

チュウレンジバチ幼虫には農薬がよく効く

チュウレンジバチ幼虫は、農薬で簡単に駆除できます。「ベニカXネクストスプレー」や「ベニカXファインスプレー」などのハンドスプレー農薬でも、「ベニカXガード粒剤」や「GFオルトラン粒剤」でもよく効きます。

おすすめは土に撒く粒剤+ハンドスプレー農薬

まったり予防したい人のための農薬セット

▲土に撒く粒剤+ハンドスプレー農薬がおすすめ

チュウレンジバチ対策としておすすめなのが、発生する前に粒剤タイプの殺虫剤(ベニカXガード、GFオルトランなど)を土に撒いておくことです。孵化した幼虫がまだ人の目に見えないほど小さいうちに駆除されます。効果は約1カ月なので、観察が得意ではない方や忙しい方にもおすすめです。

 

ただし、これら土に撒くタイプの農薬は大きく育った幼虫には効きません。

 

視認できるほど大きくなってしまった幼虫は、ハンドスプレー農薬をピンポイント使用してしっかり駆除してから、改めて土に撒くタイプの殺虫剤を散布しましょう。

希釈タイプ農薬を使う方法

地植えや鉢数が多い方で希釈タイプの農薬を使うなら、オルトラン液剤、スミチオン乳剤、ベニカR乳剤などが効果があります。

予防のポイント|被害を大きくしないコツ

4~5月ごろは特に注意

が上がり始め春花を心待ちにする4月、ついに開花し花を楽しむ5月。この頃はちょうどチュウレンジバチ幼虫が群がる時期でもあります。チュウレンジバチは株の上の方の葉から食べ始めるので、蕾や花を見ようとして幼虫に気づくことも多い害虫です。

 

とても大食漢で、見逃すと数日で葉脈だけを残して食べられてしまうので、気づいたら早いめに対処しましょう。

枝の産卵痕をチェックする

▲産卵痕を見つけたらビニタイを結んで目印に

チュウレンジバチが産卵するのは、まだ若く柔らかい緑色の枝です。幼虫が孵化する前に産卵痕を見つけるのは難しいですが、産卵中の成虫を見つけるのは容易です。

 

もし産卵している成虫がいたら、産卵された枝にビニタイを結んで目印にしましょう。爪楊枝や針などでしっかり卵が潰せていればいいけれど、少し孵化して出てくる可能性もあります。1週間を目安に、幼虫がいないか確認しましょう。

ニームオイルや木酢液で寄せ付けにくくする

ニームオイル

▲ニームオイルは害虫の嫌がる臭い

ニームオイルや木酢液の臭いは虫の嫌がる臭いです。定期的に散布することで、成虫の寄り付きにくい環境をつくることができます。

 

とくにニームオイルは油分を含んでいるので、気温の高いときや頻繁にバラにかけると葉が傷む原因になります。バラ本体ではなく、フェンスや床、鉢などの、バラの周りにかけることで飛来する害虫からバラを守りましょう。

クシヒゲハバチとの違い

クシヒゲハバチの幼虫

▲クシヒゲハバチまたはクワガタハバチの幼虫は淡い緑色で半透明

ラの葉を食べるハバチ幼虫には、ほかにも数種類の害虫がいます。クシヒゲハバチやクワガタハバチ、オオシロオビクロハバチもバラの葉を食べる害虫です。

 

本やネットでは、バラの葉を食べるハバチ幼虫はほぼチュウレンジバチしか紹介されません。たしかにチュウレンジバチは全国どこでもバラにつくポピュラーな害虫ですが、それ以外のハバチ幼虫も発生する場所では必ず毎年発生します。

 

たとえば我が家の場合チュウレンジバチは稀で、ほとんどがクシヒゲハバチ(またはクワガタハバチ)です。このなかでとくに注意が必要なのがクシヒゲハバチ幼虫です。自分の家の害虫がチュウレンジバチとは違うなと思った方は、それ以外のハバチを比較記事で確認してください。

4種類のハバチ幼虫の被害や特徴をまとめた比較記事で確認を

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葉の縁からならチュウレンジバチ

葉の縁から食べられていて、幼虫がお尻を跳ね上げていたらチュウレンジハバチ幼虫

葉の中央からならクシヒゲ系ハバチ

葉の真ん中から食べられているならクシヒゲハバチ、クワガタハバチ、オオシロオビクロハバチ幼虫です。見た目も違っています。

 

クシヒゲハバチやクワガタハバチ幼虫は半透明の薄緑色。オオシロオビクロハバチ幼虫はマットな緑色のやや太い目の幼虫でくるりととぐろを巻いていることが多いです。

クシヒゲハバチ幼虫は農薬が効きにくい

チュウレンジバチはよく農薬が効きますが、クシヒゲハバチは農薬が効きにくい害虫です。

 

ごく小さいうちに土に撒くタイプの農薬で駆除すればいいけれど、大きくなるとスプレー農薬が効かないことがよくあります。我が家の体験でいえば、ベニカXファインスプレーは効かなかったけれど、ベニカXネクストスプレーは効果がありました。

見分けに迷ったらハバチ総合記事で確認

ほかにもオオシロオビクロハバチは成虫・幼虫ともにやや大型で、終齢近い幼虫だと2cmほどになります。そのため、葉脈もろとも食べてしまうので、確実に対処したいハバチ幼虫です。

 

詳しい見分け方は、4種類のハバチの比較記事で確認してください。それぞれの写真つきで分かりやすくまとめています。

4種類のハバチ幼虫の被害や特徴をまとめたハバチ総合記事で確認を

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よくある質問(FAQ)

チュウレンジバチは人を刺す?

チュウレンジバチは人を刺す針を持っていません。毒もありません。幼虫にも刺すような毛がないので、素手で駆除する人もいます。人を攻撃するおそれはないので安心してください。

裂けた枝は切った方がいい?

もしも孵化した幼虫が這い出たところが大きく裂けた状態の産卵痕を見つけても、そこからバラが枯れることはないので、枝を切る必要はありません。

しかし枝が折れやすくなっているので、添え木をしてテープを貼っておけば安心です。折れきっていなければちゃんと育ちます。

葉がなくなっても復活する?

クシヒゲハバチの幼虫は集団で葉を食べるので、しばらく見逃している間に葉がなくなってしまうこともあります。それでもバラが枯れることはありません。しっかり幼虫を駆除しておけば、しばらくすれば新芽が出てきます。

しかし葉がなくなったということは、少なからずダメージを負っているので、すぐに花を咲かせないよう蕾を取る管理をしましょう。春に被害に遭ったなら、次の開花は秋まで待った方が良さそうです。

いつまで発生する?

チュウレンジバチは4月~10月ごろまで発生します。年間、繰り返し2~3回発生するので、バラの生育期はずっと注意が必要な害虫です。

よくある誤解|アジュガがあるとチュウレンジバチが増える?

ザリアンの間で広く流布している情報に、アジュガを植えているとチュウレンジバチが集まってくるというものがあります。

 

このため、バラとアジュガを一緒に植えてはいけない。または、わざとアジュガを植えて、そこに集まってくるチュウレンジバチを一網打尽することでバラを守るというアジュガトラップが有効だという情報もあります。

 

しかし昆虫の専門家から直接、教えていただいた情報により、アジュガに集まるハバチとバラに集まるハバチはまったく別ものだということが分かりました。つまり、アジュガに集まるハバチはチュウレンジバチではないのです。

アジュガに集まるハバチについて詳しくはこちらをご覧ください

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アジュガとバラ、一緒に植えて大丈夫!「アジュガトラップ」はバラを守る効果ナシ!

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まとめ│チュウレンジバチは幼虫が小さいうちに確実に対処を

バラにつく害虫の代表的なひとつチュウレンジバチについて紹介しました。

 

葉の縁から食べる+お尻を跳ね上げていればチュウレンジバチです。

 

チュウレンジバチ幼虫は集団でバラの葉を食べ、葉をぼろぼろにしてしまう害虫です。お腹がオレンジ色のハバチがバラの周りを飛んでいたら、枝に産卵していないか目を光らせてください。孵化しないうちに卵を潰し、幼虫も早期に駆除すれば怖い害虫ではありません。

 

あらかじめ土に撒くタイプの粒剤を散布しておけば、ほぼ被害に遭わずに済みます。

 

農薬がよく効くので、孵化してしまった幼虫には、ハンディスプレーや希釈農薬で駆除しましょう。

 

いずれにせよ、早いうちに気づくこと、早期駆除が被害を最小限に抑えるポイントです。

 

バラにつく4種類のハバチ幼虫の特徴と対処のしかたはこちらから

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