バラの大苗を購入してからやるべきことを、まとめて紹介しています。

YOUYOU

初心者ロザリアンYOUです。ネットで注文していたバラの大苗が届いたんだけど・・・。これ、どうすればいいの? てっきり詳しい説明書きが入ってると思っていたのに、なにもないから困っています!


かつてバラの大苗は、仮植えと裸苗ばかりだった!

あいびーあいびー

実際の作業の前に、まず、バラの大苗について説明しますね。

▲口の狭い細長いロング・ポットに仮植えしたバラの大苗

つてバラの大苗は、バラの休眠期(関東基準で12月~2月)にだけ流通するものでした。この頃に鉢や庭に植えればちょうどいいので、それに合わせて販売されたんですね。省スペースでたくさん運んだり店頭に数多く並べられるように、上の写真のように口径の小さなロング・ポットに仮植え(そのまま育てられる状態ではなく、根を乾燥させないように仮に植えてある状態)したり、場合によっては土さえ落として根にミズゴケやビニール袋を巻いただけの「裸苗」という状態で売られていたりしました。

 

こういう大苗は、手に入れたらすぐに植えなければいけません。とくに「裸苗」は、根があまりに乾燥してしまうとちゃんと芽吹かないこともあり得ます。それを防ぐために、バケツに水を張って1時間ほど根に吸水させてから植えつけるなんてこともありました。

 

現在でもロング・ポットに仮植えした大苗や裸苗も少しは流通していますが、主流ではありません。

 

画期的だった、デビッド・オースチン社の鉢!

▲バラ苗の常識を変えたのは、たぶんデビッド・オースチン社のこの鉢

本でのそんな大苗事情を変えてしまったのが、おそらくデビッド・オースチン社の鉢だと思います。デビッド・オースチン社では、上の写真のような6号角鉢に大苗を植えます。そしてこれを、1年じゅう流通させるのです。冬の間は枝だけしかない「大苗」の状態で。そのまま育てて芽吹き、やがて花が咲けば「鉢苗」として流通します。

 

▲左が大苗、右が鉢苗

 

要するに日本では「大苗」「鉢苗」と区別していたものが、イギリスのデビッド・オースチン社ではその区別がないのですね。デビッド・オースチン社のバラ苗は、すべて同じ6号角鉢に植えられています。このサイズの鉢なら、あわてて植え替えする必要はありません。自分の都合の良いときにバラの休眠期なら土を落として植え替えし、バラの休眠期以外の時期なら鉢増しすればいいのです。

 

バラの休眠期は年末・年始の忙しい時期にあたるので、自分の都合の良い日に作業できるのは助かります。

 

近年のバラの大苗は、6号角鉢が主流

▲「京阪園芸」の大苗 写真提供/天女の舞子

ビッド・オースチン社の大苗は、輸送コストこそかかりますが、多くのメリットがありました。

 

まず、バラの大苗をダメにしてしまうことが格段に減ったと思います。園芸店の店頭で長く売れ残ったバラ苗は、きっと乾燥しすぎて芽が出ないとか、半分くらい枯れてしまうとかいうトラブルが多かっただろうと想像できます。購入した人が、実際に植えつけるまで数日放置してしまい枯らしてしまうこともあったでしょう。(想像ですが!)

 

上で書いたように、バラの休眠期は年末・年始と重なるため、ついうっかり大苗を放置してしまったということもあると思います。でも6号鉢に植えられた状態なら、水やりさえしておけばしばらくその鉢に植えっぱなしにしても大丈夫です。

 

近年ではネットでバラ苗が売買されることが多く、輸送時にバラが弱るのを防ぐためにも、しっかりした鉢に苗が植えられているのは、トラブル回避に役立っていると思います。

 

さらにもし大苗が売れ残ってしまっても、そのまま育てて花を咲かせ、今度は「鉢苗」として売ることができます。これもメーカーとしては大きなメリットだと思います。

 

園芸店では通常、バラ苗が並ぶのは春と秋のバラの開花シーズンと、冬の植え付けシーズンだけですが、ネット通販なら1年じゅうバラ苗を売ることができます。6号鉢ならいつでも良い状態にしておけるので、これもメーカーとしては大きなメリットです。

 

と、いうことで。近年では、日本の多くのバラ苗メーカーで、このプラスチック製の6号角鉢(京成バラ園芸は円筒形の6号鉢)を使っています。

 

YOUYOU

わたしがネットで購入した大苗も、プラスチックの6号角鉢に入っていたわ!

あいびーあいびー

ここ数年で、プラスチックの6号角鉢を使うメーカーさんがドッと増えましたね。いよいよ次からは、大苗が届いたらどうすればいいかを具体的に紹介します。

大苗が届いたらすべきことは、時期により違う!

こまで見てきたように、近年では6号プラ鉢に大苗を植えて販売するようになったおかげで、大苗の販売時期がとても長くなりました。バラの休眠期より前の晩秋から店頭にバラ苗が並び始め、もうすっかり芽が膨らんでいる3月になっても店頭に残っています。ネットで予約した大苗が4月に届くということすらあります。

 

いつ大苗を入手したか、それぞれの時期に合わせた作業と管理のしかたを紹介します。

 

バラの休眠期より前に大苗を入手したら

苗は、早いものなら10月から店頭やネットで販売されます。バラの休眠期は関東基準で12月中旬~2月いっぱいです。これより早く入手したバラの大苗は、休眠期になるまでその鉢のまま水やりをしながら管理します。

 

休眠期になったら、鉢の土を新しい培養土にすべて取り替え、8~10号鉢に植え替えします。

 

▼休眠期のバラの植え替えはこちらを参照してください

 

バラの休眠期に大苗を入手したら

▲「京成バラ園芸」の福箱用の大苗 写真提供/天女の舞子

ラの休眠期(関東基準で12月中旬~2月いっぱい)に大苗を入手したら、バラの休眠期の間に植え替えします。苗が植えられている土が何なのかハッキリしないので、新しく用意した培養土を使って、8~10号鉢に植え替えます。

 

販売店の公式サイトでは、「オリジナル培養土を使用」と書かれていることも多いのですが、レポーターさんによると「砂が出てきたので畑の土ではないか」というケースもありました。もしかしたら福袋用の苗だから畑の土だったのかも知れませんが、どうやらケースバイケースのようで確実なところは分かりません。

 

なので、できれば新しい培養土で植え直すのをおすすめします。どんな土で植えられているかを把握しておけば、後の管理もスムーズです。

 

苗の根張りがひんじゃくで、もう少し根を育てたいと思うなら、同じ6号鉢に植え直すのもアリだと思います。理由はこの後を読んでもらえれば理解できますが、少しきゅうくつな鉢に植えた方が根がよく育つからです。

 

▼休眠期のバラの植え替えはこちらを参照してください

 

バラの休眠期より後に大苗を入手したら

▲4月に届いた「バラの家」の大苗 写真提供/天女の舞子

ラの休眠期をすぎて入手した大苗は、もうバラが目覚めて生長を始めています。この状態の大苗は、この鉢のまましばらく育てるか、入手してすぐ鉢増しするかのどちらかです。

 

すぐに鉢増しする場合

▲鉢増しでは根鉢を崩さないこと!

苗を入手してすぐに鉢増しするなら、鉢底石、鉢底ネット、8~10号の鉢と培養土を用意して、大苗の根鉢を崩さずに一回り大きな鉢に植えます。

 

すぐに鉢増しするメリットは、水やりの失敗を減らすという意味が大きいと思います。小さな鉢の中が根でいっぱいになると、どうしても水保ちが悪くなるので、うっかり水やりを忘れてバラがぐったりしてしまった──という失敗をしやすくなります。一回り大きな鉢に鉢増ししておけば、その失敗が減らせます。

 

あまりひんぱんにバラの観察や手入れができない方や、バラの手入れに自信のない初心者さんは、こちらをおすすめします。もちろん見た目重視で好みの鉢を使いたい方や、プラスチック鉢での水やりが不安という方もすぐに鉢増しを。

 

この鉢のまま、しばらく育てる場合

▲鉢底から根がのぞいてきたら鉢増しを! 写真提供/ハナたろう

6号鉢なら、そのまましばらくバラを育てることができるサイズです。

 

少しきゅうくつな鉢でバラを育てることにもメリットがあります。「すぐに鉢増しする場合」のところで書いたように、小さな鉢で育てると水切れを起こしやすいです。でも、この軽い水切れ状態が根を育てるのです! 水を求めて根がどんどん伸びるのですね。

 

もちろん、バラが弱ってしまうほど水切れさせるのはダメですが、軽い水切れはかえってバラの根を育てる結果につながるので、上手に利用すれば早くバラを育てることができます。このため、枝先が軽くおじぎするくらいになったら水やりを! という専門家もいます。慣れないと、ちょっと怖いですけどね!

 

ちなみに、バラの根が大きく育っているほど、地上部分を大きく育てることができます。貧弱な根では貧弱な木しか育てられません。

 

多くの場合、6号鉢に植えた大苗は「春の花が終わったら6月ちゅうに鉢増しを!」と指示されていますが、鉢底から根がのぞいてきたら、いつでも鉢増しして大丈夫です。もうじゅうぶん根が育っています。根鉢を崩さず、そっと鉢増ししてください。ただし、真夏の暑い時期に鉢増しするのはあまりよくありません。少なくとも梅雨が明ける前に鉢増ししましょう。この意味で「6月ちゅうに」と書かれているのです。

 

まとめ

大苗を入手してからの手入れのしかたについて、まとめて紹介しました。大苗は、バラの休眠期の間に好みの培養土で植え替えするのが基本です。

 

バラの休眠期を過ぎてしまったら、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢に鉢増しをしてください。鉢増しのタイミングは、真夏より前ならいつでもいいのですが、水やり管理が怖ければ入手したらすぐに鉢増しを。なるべく根を育てたいなら、鉢底から根がはみ出してきたら鉢増しを。

 

肥料やりは、使用した培養土によって加減してください。元肥として有機質肥料だけを入れた培養土なら、芽出し肥を少し与えるといいと思います。緩効性化成肥料を混ぜた培養土なら、春花後のお礼肥えまで肥料は必要ありません。自分が使った培養土がなにか分かっていれば、肥料管理もしやすいですね^^

 

YOUYOU

今はまだバラの休眠期だから、わたしは今のうちに8号鉢に植え替えしようと思います!

 

▼バラ初心者YOUのQ&A一覧は、こちらからどうぞ

 

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