納豆菌でバラの病気が防げるか? 昨年の失敗にめげず、2年目のチャレンジです!
昨年の納豆菌チャレンジは失敗したけれど・・・
▲2023年の納豆菌チャレンジは結局ダメでした
昨年、納豆菌を使った病気予防を試してみたけれど、残念ながら失敗に終わりました。ウドンコ病、黒星病ともに、有意な結果が得られませんでした。
(このページの一番下に、昨年の取り組み記事を掲載しています。興味のある方はご覧になってください!)
農業分野でも納豆菌による病気予防は注目されていて、多くの方がチャレンジ動画を上げています。しかし・・・これがことごとく失敗しているんです。
「やはりダメかぁ~」
という気持ちはあるものの、どうも納得できない。動画コメントには「わたしもダメでしたー!」「やってみたけど、効果ないですね」なんて納豆菌に否定的なものが溢れています。でも、こんなものもあるんです。
納豆を食べたあとのパックのヌルヌルを水で薄めてかけると、ウドンコ病はすぐに治ってくれますよ!
そうなんです。ごく少数ながら、効果アリというコメントも実在するんです。バラのセミプロが「効果絶大!」なんて書いている記事もあるんですよね・・・。
理論的にはイケルはず!
▲図1、菌が座れるイスの数は限られている
わたしも聞きかじったていどの知識なんですが──。
一定範囲に存在できる菌の数は決まっているのだそうです。それは、よくイス取りゲームにたとえられます。
図1は、葉に9つのイスがあるのを示しています。黄色菌が8席を占めているところに赤色菌がやってきました。赤色菌は空いている1席に座りましたが、黄色菌が他のイスを占領しているのでこれ以上繁殖することができません。
これを「拮抗作用」というそうです。
菌のこの性質を利用して、あらかじめバラの葉に強い菌を繁殖させておけば、後からやってくるウドンコ病や黒星病を繁殖させずに済むはず!
菌のなかでも最強と言われる納豆菌なら、ウドンコ病や黒星病を繁殖させないばかりか、勢力範囲を小さくする効果もあるかもしれない!
そう。納豆菌を使った病気予防は、理論的にはイケルはずなんです! 実際に温室栽培では効果が出ているし、専用の納豆菌も販売されています。
菌の付着をサポートする展着剤導入!
それなら、納豆菌がもっと葉にしっかりつくようにすればいいのでは──? ということで、今年は展着剤を利用することにしました。
展着剤には、大きく3つの種類があります。なかでも「スチッカータイプ」に分類される展着剤は、パラフィン(化学的につくられた蝋)を主成分として、葉に薬液を長く留まらせる効果があります。
今年はスチッカータイプの展着剤「アビオン」を納豆液に混ぜて散布しようと思います!
これで上手くいけば、無農薬・減農薬栽培の幅が広がります!
▼展着剤についてくわしくは、こちらをご覧ください
2023年4月4日/納豆菌散布開始
▲手前側半分だけに納豆液をスプレー!
昨年の記録をみると、どうやら我が家でウドンコ病が発生するのは4月中旬なので、4月初旬から納豆菌散布を開始しました。
散布株は、いつもウドンコ病が蔓延するつるバラの「紅玉」。手前半分に納豆液散布、奥側半分は未散布です。
今のところ、どちらもウドンコ病は出ていません。
▲食べた後の納豆容器にぬるま湯を入れてそのまま散布
昨年は、砂糖やヨーグルトを入れて培養しましたが、今年は納豆を食べるたびに散布するつもり。
納豆を食べたあとの容器にぬるま湯を入れてしばらく置き、納豆液にアビオンを少々入れてスプレーボトルに詰め散布します。
我が家は毎日納豆を食べるわけではないので、1週間に2度ていどの頻度で散布予定。
2024年4月14日/ウドンコ病の気配なし
▲「紅玉」に発蕾。ここからが正念場!
紅玉に小さな蕾がつきました。昨年は、このころからウドンコ病の兆候があったのですが、今のところ気配なしです。納豆菌散布している手前側も、未散布の奥側も、どちらにもウドンコ病の兆候はありません。
ちなみに、4月8日、12日にも散布しています。
さて、ここからが正念場ですね!
2024年4月19日/ウドンコ病の気配ナシ!・クシヒゲハバチの産卵
▲ウドンコ病の気配は一切ナシ!
前回の4/14に続き、本日4/19にも納豆液散布。間が5日空いてしまいました。
納豆液散布から半月たちましたが、意外なほどウドンコ病の気配がありません。納豆液散布している手前側も、未散布の奥側もどちらにもウドンコ病が発生していません。
奥側にウドンコ病が発生していれば効果アリと言えるんですが、これだと判断つかないですね。
▲葉柄の白い点々は、クシヒゲハバチの産卵痕
例年通り、クシヒゲハバチが産卵したようです。昨年の記事によると、このころからウドンコ病がひどくなっています。
2024年4月21日/未散布側にウドンコ病発生!
▲納豆液未散布側の「紅玉」にウドンコ病発生
ついに奥側──つまり納豆液をスプレーしていない側にウドンコ病が発生しました!
今のところ、確実にウドンコ病が発生しているのはここだけです。もう1か所怪しいと思われるところがありますが、全体的にはまだまだキレイです。
ちなみに、納豆液スプレーをしている手前側には発生していません。
▲「アジュール」にウドンコ病発生
我が家の木立ち樹形のバラには、「ベニカXガード」(住友化学園芸)を散布しています。「ベニカXガード」には病気の予防効果があり、これにより木立ち樹形のバラにほぼウドンコ病は発生しません。
が、一部のウドンコ病に弱いバラには毎年少しだけウドンコ病が発生します。今年は「アジュール」にウドンコ病が発生しました。赤〇のところが、白い粉を吹いたようになっています。
いよいよ、ウドンコ病との戦いが始まりました!
▼「ベニカXガード」についてくわしくは、こちらをどうぞ
2024年4月28日/勝利宣言していいですか?
▲ウドンコ病のない「紅玉」の蕾に感動!
今日も朝から納豆菌スプレーしました。前回4/21のあと、4/26にも散布、そして今日4/28に散布しました。「紅玉」の様子を観察したところ、ご覧の通りウドンコ病の「ウ」の字もありません。
毎年我が家では「紅玉」の蕾の下の膨らんだあたりから軸がウドンコ病で真っ白になりますが、今年はキレイですよね! こんな「紅玉」の蕾は今まで見たことがありません。まさに感動的な光景です!
▲未散布エリアの蕾は真っ白
そして、納豆菌未散布エリアはどうかというと──蕾もその周りの若葉も真っ白! そうです。毎年これが「紅玉」の蕾の普通の姿でした。
これはもう、納豆菌の勝利確定でしょう!
▲「リラ」の若葉にウドンコ病発生
木立ちバラにもウドンコ病が増えてきました。
前回書いたように、わたしは木立ちバラに「ベニカXガード」を散布しています。「ベニカXガード」には、病気の発生をかなり抑制する効果があります。でもその効果はそこまで強いものではないので、ウドンコ病に弱い品種や調子を崩している株、若葉のあたりには少しウドンコ病が発生します。
今年の1月に届いた「リラ」の大苗の若葉にウドンコ病が少し出ています。「リラ」は、病気耐性がとても強い品種につけられる「ロサオリエンティス・プログレッシオ」のバラです。それでも若い苗には少し出るのです。
▲一昨日に納豆液スプレーしたところは治っている!?
この葉は同じ「リラ」の株で、一昨日に納豆液スプレーしたところです。上の写真と見比べてください。病気名の由来のうどん粉の「粉」っぽさがなくなっているのが分かると思います。
納豆菌に飲み込まれたのかな・・・? この葉の上でなにが起きているのか分かりませんが、納豆菌スプレーをすれば、発症したウドンコ病を抑え込むことができるようです。
治療とは言えないかもしれないけれど、少なくとも改善しているのは確か!
「アビオン+納豆菌」。略して「アビ納豆!」これは使えます!
▲納豆液+アビオン=アビ納豆!
ちなみに、前回から納豆液を濃いめにつくって散布しています。作り方は、またこんど紹介します。
▼昨年のチャレンジ記事はこちらをどうぞ
▼バラの病虫害対策と農薬の記事はこちらからご覧ください