ロザリアンならだれしも憧れるバラの無農薬栽培をめざす企画です。第1回の今回は、納豆菌を利用してバラの病気を抑制しようというもの。チャレンジ企画としてお楽しみください!
バラを無農薬で育てたい!
▲バラは花はもちろん、株姿も魅力的!
バラはとても魅力的な植物です。花がキレイなだけでなく、株全体の姿もステキで、自宅の庭やベランダでも育ててみたくなります。花の女王と言われるのも納得ですね。
ところがこのバラ、病気や害虫に好かれやすく、こまめな手入れが必要な植物でもあります。ほったらかし栽培すると、病気がはびこり葉が黄色や白や茶色、あげくまだらに黒くなって、ぱらぱらと落ちてしまいます。しかも残った葉は害虫の住処となりボロボロに・・・。
▲薬剤散布はかなり面倒・・・ 写真提供/天女の舞子
だからバラ栽培に薬剤散布は欠かせません。殺菌剤で病気を防除し、殺虫剤で害虫を駆除するのです。
簡単なハンドスプレー農薬もありますが、しっかり防除しようと思えば、希釈タイプの農薬を使い、ゴーグル・マスク・カッパ着用で散布するのが望ましい。
でも、家に小さい子どもやペットがいたり、マンションのベランダのように燐家と極端に近かったりすると大がかりな薬剤散布はあまりできません。
なにより希釈タイプの農薬散布はめんどくさい!
▲「重曹オイルスプレー」でウドンコ病を治療する!
ということで、なんとか無農薬でバラを育てる方法がロザリアンに熱望されています。
たとえば以前ご紹介したウドンコ病の手作り治療薬「重曹オイルスプレー」は、自分で簡単につくれる上に効果バツグンで、多くの方に反響をいただきました。
第2、第3の「重曹オイルスプレー」を見つけたい! そんな思いから、今回【バラ栽培いつか無農薬】のコーナーを開設しました。ここでは、巷に数ある無農薬栽培のヒントを検証し、使える情報を探していきたいと思います。
チャレンジ企画としてお楽しみください!
▼「重曹オイルスプレー」については、こちらからご覧ください
納豆菌でバラの病気を予防する!
▲日本が誇る発酵食品「納豆」!
日本が誇る菌を利用した発酵食品「納豆」が、バラの病気予防に効果がある──そんな噂を聞きつけて、さっそく試してみることにしました。
納豆菌がバラの病気に効く仕組み
▲葉が白く粉を吹いたようになるウドンコ病
バラの主な病気といえば、2大疾病とされる「ウドンコ病」と「黒星病」です。この2大疾病は、どちらもカビ菌がバラの葉で繁殖することで発症します。
通常の防除方法はとにかく除菌。殺菌剤を使って殺菌・殺菌・殺菌して予防するのがセオリーです。それでも発症してしまったら、今度は病気治療することができる薬剤を使います。
でも、これがなかなかしぶとい。おさまったかと思えばすぐ再発してしまいます。
▲納豆菌の増殖スピードはさすが! 出展/you tube
一方、納豆菌を使った病気予防は、逆の発想です。
納豆菌はとても生命力の強い菌で、どんどん増殖していきます。その増殖力の強さから、酒蔵で働いている杜氏の家では納豆を食べてはいけないくらい。
この菌界最強ともいわれる納豆菌をバラの葉の上で増殖させることで、ウドンコ病や黒星病が蔓延するのを食い止めようという作戦です。
上の写真は、「日本科学未来館」の科学コミュニケーターによるyou tube動画。「納豆菌最強ときくと、どれだけ強いか実験してみたくなるじゃないですか!」ということで、シャーレで培養してカビ菌と対決させている面白い動画です。
青カビや黒カビがついたシャーレの真ん中に納豆を置くと、1日でピンク色のラインまで納豆菌が増殖しているという様子がアリアリと見て取れます。
きちんとした科学者による実験なので、信頼性が高く面白いですよ^^
▼日本科学未来館の納豆菌動画はこちらから
納豆菌液のつくりかた
▲「えひめAI-2」を500mℓつくるのに用意するもの
上の項目で説明したように、要するに納豆菌がバラの葉につけばいいわけなので、納豆をすりつぶして水で薄めてバラにぶっかける──これでいいのですが、今回は「えひめAI-2」を参考にバラ用納豆菌液をつくっていきます。
「えひめAI-2」とは、愛媛県環境技術研究所で開発された環境浄化微生物資材です。開発者は愛媛県工業技術センター元所長・曽我部義明さん。
菌の力で排水管の臭いやヌメリを取ったり、生ごみの臭いを消したり、お風呂のカビの繁殖を抑制したり、植物の株元や葉面に散布すれば植物が活性化されるほか、土づくりやたい肥づくりにも利用できる便利な手作り資材です。
「えひめAI-2」を500mℓつくるために用意するもの
1、納豆 1粒
2、ヨーグルト 25g
3、ドライイースト 2g
4、砂糖 25g
5、500mℓのペットボトル
これらを混ぜて1週間培養して培養液をつくります。
▼えひめAI-2の正しいつくりかたはこちらをどうぞ
が、今回はひたすらバラの病気予防が目的なので、ややアバウトにつくります。
▲つくりかた1/納豆投入
まず納豆菌がキモなので、1粒なんていわずにマシマシで入れます。上の写真で10粒くらい入ったでしょうか?
納豆はメーカーにより菌種が違うので、いくつかのメーカーを混ぜた方が良いそうです。
▲つくりかた2/ドライイースト、砂糖、ヨーグルト投入
続いてドライイースト、砂糖、ヨーグルトも入れていきます。分量はアバウトです。
▲つくりかた3/よく混ぜる
ペットボトルに水道水を入れ、よーくシェイクします。
蓋をしてこたつに。納豆菌は30~40度で活発に増殖するので、ヨーグルトメーカーを使ってもいいです。ヨーグルトメーカーでつくる場合は緩くふたを閉め、こたつの場合は1日2回ていど蓋を開けてガス抜きします。
▲数日で納豆液完成(左がつくった直後、右が数日後)
1~2日で納豆液が完成します。最初は白濁してヨーグルトのニオイが強かった液が、かなり茶色く納豆ぽいニオイに変化しています。
▲納豆液をスプレー容器に入れる
完成した納豆液をスプレーボトルに詰め替えます。沈殿物が入らないよう、じょうごの上に茶こしをセットして納豆液を注ぎ入れます。
▲納豆液をバラに散布
納豆液をバラに散布していきます。
納豆液には病気予防のほかに、植物をすこやかに育てる、土壌を改善するという効果があるので、余った納豆液はほかのバラにかけたり土に撒いて使い切ります。
納豆菌利用の園芸資材
ちなみに、納豆菌を利用した園芸資材もいろいろ発売されています。
「ボトキラー」は、ハウス栽培でダクトにセットしてハウス中に納豆菌を散布するもの。発病前に散布することで、ウドンコ病や灰色カビ病などの病原菌の活動を抑制します。──500gで8000円ていどと高額です。
「納豆菌の力」は、納豆菌を利用した活力剤です。以前から農家の経験的に、納豆を畑にまくと野菜が元気に育つ、食味が良くなると言われてきました。葉面散布するほか、土壌の団粒化を促進するなどの土壌改良にも効果があります。
納豆菌にもさまざまな菌種がありますが、農業に利用するなら「高橋菌」が最適といわれます。「高橋菌」の販売もあります。こちらは納豆を自分でつくる方用ですが、園芸資材としても使えそうです。
まとめ
今回は、ロザリアンならだれしも憧れるバラの無農薬栽培を目指すカテゴリー「バラ栽培いつか無農薬」の第1回目の企画記事でした。
最後に紹介したように「ボトキラー水和剤」という商品が実際にあるくらいなので、納豆菌がバラの病気抑制に効果があるのは確かなようです。
また、個人宅のバラの手入れを仕事にしている方が、いつもウドンコ病まみれになるつるバラが、納豆液をかけたら驚くほどウドンコ病がなくなったというエピソードを読んだこともあります。
そこで、実際にどうなのかという検証実験をしてみます。わたしがウドンコ病、応援レポーターのORCAさんに黒星病の検証をお願いしてあります。今後、検証記事もつくっていくのでお楽しみに^^
なおウドンコ病には、以前紹介した「重曹オイルスプレー」が確実に効果があります。今現在、ウドンコ病に悩んでいるなら、そちらの使用をオススメします。
▼「重曹オイルスプレー」については、こちらからご覧ください
【バラ栽培いつか無農薬】の記事は記事数が増えるまで、一旦、下記の「病虫害対策」のコーナーに置いてあります。
▼バラの病虫害対策と農薬の記事はこちらからご覧ください