納豆菌でバラの病気が改善できるかを実証実験してみました。今回はウドンコ病編です。ウドンコ病のシーズン終わりまで更新するので、お楽しみに!
我が家のつるバラ「紅玉」は、毎年ウドンコ祭り!
▲ころころ可愛い紅玉の花
我が家のリビング前の木製アーチに誘引している「紅玉」は、花径4cmほどの半八重咲きの花をコロンと球形ぎみに咲かせるつるバラです。
小ぶりながら目立つ黒赤の花を枝いっぱいにコロコロ咲かせる様子が愛らしく、枝が細くてやわらかいので誘引しやすいところも魅力です。
▲新芽や蕾が真っ白になる「紅玉」
ところがこのバラ、ウドンコ病に弱く、毎年ウドンコ病に悩まされます。我が家はベランダ栽培なので、とくにウドンコ病が発生しやすい環境だし、新芽や蕾を中心に真っ白になってしまいます。
このバラに「納豆菌スプレー」をして、ウドンコ病が改善されるか実験していきます。
2023年3月下旬。散布開始!
▲葉裏からも念入りに散布
長い枝のあちこちから新芽が吹いてきた3月下旬。紅玉に「納豆菌スプレー」を開始しました。まだウドンコ病は出ていませんが、今年は暖かくなるのが早いので、予防散布を早い目に行います。
▲納豆菌液を水で薄めて散布・・・
最初の散布なのでまだ要領がつかめず、このときは納豆菌液を培養せず、納豆・ドライイースト・砂糖・ヨーグルトを混ぜた上澄み液を水で薄めて散布しています。──これだとヨーグルトの薄め液ですね(^^;
2023年4月中旬。ウドンコ病の兆候が!
▲一見、健康そうにみえる「紅玉」
4月に入り、若葉が茂ってきた「紅玉」。4月中旬ともなれば、小さな蕾も見えはじめました。
これまで週1くらいの間隔で「納豆菌スプレー」をしてきましたが、効果があるのかないのか分からないまま散布していました。ところが──
▲蕾まわりの若葉にウドンコ病の兆候
よく見ると、蕾周りの若葉にウドンコ病の兆候が出てきました! 葉が不自然に曲がっていたり、白い粉のようなものも確認できます。ついに今年のウドンコ病祭りが始まりました!
▼納豆マシマシの「納豆液」のつくりかた
これはヤバイ!
ということで、上のページで紹介したように、今までよりも納豆マシマシで濃い納豆液をつくり培養して、原液のまま散布することに。
▲濃い「納豆液スプレー」直後は、けっこう納豆臭い
散布直後は、かなり納豆臭いですが・・・まぁ臭いは、すぐに風に乗って消えてしまいます。
ほかのバラでの実験結果
▲葉先があきらかにウドンコ病
紅玉のウドンコ病が思ったより出なかったので、ほかのバラでも実験してみました。
このバラは我が家の一番乗りでウドンコ病にかかった株です。ごく初期に除菌ウエットティッシュで拭きとったあと、またウドンコ病が再発してきました。
除菌剤を使うと、こんなふうに患部が黒く変色してしまいます。
▲「納豆液スプレー」から2日後
それから2日後の様子が上の写真です。
ウドンコ病が治まっているように見えますね。これは好感触!
2023年4月20日すぎ。「紅玉」にウドンコ病蔓延。濃い納豆液スプレー!
▲蕾の周りがかなり白い!
たくさんの蕾が出てきた「紅玉」ですが、ウドンコ病も蔓延してきました。蕾の下の膨らんだところ(花托-かたく-)や、その下の軸(花柄-かへい-)が真っ白になっています。
▲通路側は意外とキレイ
それじゃ「納豆液スプレー」は効果がなかったかというと、そうでもありません。ひとつ上の写真は、じつは内側についた蕾でスプレーが届きにくい場所にあります。
ところがスプレーしやすい表側(通路側)はご覧のとおり。ウドンコ病がないとは言えませんが、かなり少なくてキレイなのです。
▲「納豆液スプレー」を指でなじませた数日後
この花房は、数日前にウドンコ病で真っ白になっていました。若葉のちぢれ具合から、いかに酷かったか想像できると思います。
そこに「納豆液スプレー」をしたのですが、ただスプレーしただけでは液がつきにくいと思い、スプレー後に指先で全体になじませてありました。
今ではこのとおり、ほぼウドンコ病が見当たりません。どうやらこの方法が良さそうです!
▲「納豆液スプレー」して指でなじませる
「紅玉」でウドンコ病が出るのは蕾まわりなので、蕾を指で挟んで手で覆い、そこに納豆液スプレーしてから指でなじませます。蕾を落とさないよう、注意しながら作業します。
赤〇のところにウドンコ病の兆候がありますが、これ以上広がらなければ成功です。「納豆液スプレー」は薬害と無縁なので、気になったときにいつでもシュッシュと散布します。もちろん、マスクもビニール手袋もつけません。
散布後の手が酷く納豆臭いけれど、手を洗えばいいだけなので気にしません!
殺虫剤スプレーは、下側の葉に
▲毎年出るクシヒゲハバチ幼虫の食害
ここで、ちょっと困った事態が起きました。クシヒゲハバチの幼虫被害が始まったのです。上の写真のように、葉の真ん中から食べ進めるのがクシヒゲハバチ幼虫の特徴です。
クシヒゲハバチは農薬耐性の高い害虫で、ほとんどの農薬が効きません。
ベニカXネクストスプレー 1000ml 住友化学園芸 虫 病気 殺虫・殺菌スプレーの頂点へ 殺虫殺菌剤
が、「ベニカXネクストスプレー」(住友化学園芸)なら効果があることを、去年の実験でつきとめました!
でもこのハンドスプレーには殺菌剤も入っています。殺菌剤は、もちろん納豆菌も殺菌してしまいます──困りました。
困りながらよく観察すると、クシヒゲハバチは下側の葉についていて、蕾まわりの柔らかい葉にはついていません。ウドンコ病はその逆で、蕾まわりや柔らかい葉にウドンコ病が出ているけれど、下側の硬い葉には出ていません。
これなら何とかなります。
下側の葉だけに「ベニカXネクストスプレー」を散布して、クシヒゲハバチの幼虫を駆除します!
2023年納豆液散布まとめ
▲濃い納豆液を散布したけれど・・・
ウドンコ病対策に効果ありとの情報を得て試してみた納豆液散布ですが、結局、意味のある効果は得られませんでした。
スプレー液を指でなじませることでウドンコ病に効果があったように見えましたが、よくよく考えたらウドンコ病は水に弱く、雨の当たる環境では発生しにくい病気です。つまり、これは納豆による効果ではなく、水による効果だろうと思われます。
2023年春の納豆菌チャレンジは失敗と結論づけました。
結局、「重曹オイルスプレー」で紅玉のウドンコ病を撃退しました。
▼バラの病虫害対策と農薬の記事はこちらからご覧ください