他のバラに先駆けて4月下旬に咲くモッコウバラは、トゲがなく扱いやすいバラです。原種なので病虫害にも強くて育てやすく、さらにたくさんの花を咲かせる黄モッコウバラを紹介します。

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キモッコウバラ

Rosa banksiae `Lutea´

 

DATA

バラの系統 原種【Sp】
開花のしかた 一季咲き、10輪ほどの房咲き
花径 3cm
花形 ロゼット咲き
香り 微香(ただし、白花は中香)
樹形 3~4mのランブラー樹形
作出情報 原種(ただし詳しくは不明)
 備考

極早咲き(4月中・下旬から咲く)

病虫害にほとんどあわず強健で育てやすい

トゲがない

2018年 オールド・ローズの殿堂入り

 

モッコウバラは4品種。白花と黄花、それぞれに一重咲きと八重咲きがある

▲ねむの木の庭の「キモッコウバラ」のアーチ

リーム色がかった優しい黄色の小花を房咲きにする「キモッコウバラ」(黄木香薔薇)は、住宅の庭でよく見かけるつるバラです。見た目があまりバラらしくないうえに通常のバラよりも1ヵ月も早く咲くことから、バラの一品種と知らない方もいるようです。

 

 

じつは「モッコウバラ」には黄花と白花があり、それぞれに一重咲きと八重咲きがあります。つまり「モッコウバラ」には4種類あるのです。

 

 

「モッコウバラ」の基本種は白花の一重咲き品種「ロサ・バンクシアエ・ノルマリス」です。バラの世界では、白花品種と区別するために黄花品種の「モッコウバラ」は「キモッコウバラ」と呼び分けます。ただし、白花のモッコウバラは一般的ではないので、一般にはよく見かける黄色で八重咲きの「キモッコウバラ」を「モッコウバラ」と呼ぶ場合が多いです。

 

 

当サイトでは白花品種を「モッコウバラ」、黄花品種を「キモッコウバラ」と表記します

 

 

「キモッコウバラ」は、江戸時代に中国から渡来した原種といわれています。しかし野生種が現存しないことから、詳細は不明です。

 

「キモッコウバラ」は、抜群に花つきが良い、極早咲きのバラ

▲庭を囲むフェンスに誘引した「キモッコウバラ」

モッコウバラの特徴は、とにかく抜群に花つきが良いところです。花径3cmの小花を、短い花枝の先に10輪ほど房咲きします。成熟した株では、びっしりと葉がほとんど見えないくらい花が咲きます。

 

 

花形は、小さな花びらを100枚ほども重ね合わせたロゼット咲き。黄色といっても淡いクリームがかった色なので、どんな庭にも取り入れやすい花色です。

 

 

「キモッコウバラ」のもう一つの特徴が極早咲きだということです。通常のバラは、早咲きでも5月初旬から開花します(関東基準)。が、「キモッコウバラ」は4月中旬から開花するので、飛びぬけて早咲きといえます。

 

 

「キモッコウバラ」は漢字で「黄木香薔薇」と書きます。「香」の字が入っていますが、「キモッコウバラ」にはほとんど香りはありません。

 

 

「キモッコウバラ」は春のみの一季咲きです。

 

枝がしなやかでトゲがない。しかも病虫害に強い、育てやすいバラ

▲つるりとした「キモッコウバラ」の枝

「キモッコウバラ」は3~4mまで伸びるランブラー樹形です。枝は細くしなやかで、しかもトゲがありません。どんな場所にも誘引しやすい扱いやすさが魅力です。アーチはもちろん、フェンスやトレリス、窓のまわりにも、さまざまな場所に誘引して楽しめます。

 

 

「キモッコウバラ」の嬉しい特徴の一つに、病虫害にあまり遭わないということがあげられます。薬剤散布なしでもきれいな状態を保つので、花のない時期の葉の観賞価値も高いといえます。細長い葉はかなり遅くまで茂っています。ただし、栽培環境のあまりよくない場所では、うどん粉病や黒点病に注意が必要です。

 

 

枝が大きく育つので、育つ場所さえあれば、特別な手入れも必要なく、ガーデン素材としてとても優秀なバラです。

 

 

「キモッコウバラ」(ロサ・バンクシアエ・ルテア)は、秋篠宮家の長女・秋篠宮眞子様のお印の花です。

 

 

「ルテスケンス」は「キモッコウバラ」の枝替わり

Rose Rosa banksiae var. lutescens バラ ロサ・バンクシアエ ルテスケンス
Rose Rosa banksiae var. lutescens バラ ロサ・バンクシアエ ルテスケンス / T.Kiya

「キモッコウバラ」の枝替わりでできた一重咲きの品種は「ロサ・バンクシアエ・ルテスケンス」( Rosa banksiae `lutescens´)です。通称「ルテスケンス」には、少しだけトゲがあります。

 

 

キモッコウバラの育て方のコツ

ぼ放置状態でも間違いなく咲いてくれる「キモッコウバラ」ですが、育て方には少しコツがあります。

 

株が充実するまで3年ほどかかる

ラは、木立ち樹形の四季咲き品種なら冬に大苗を植えれば翌春に、一季咲き品種なら春に植えれば翌春に、冬に植えれば1年半後の春に開花するものですが、「キモッコウバラ」は株が充実するまで花を咲かせません株が充実するまで3年ほどかかることが多く、苗を植えたのになかなか花が咲かないと首をかしげる方が多いようです。

 

 

「キモッコウバラ」の花を早く見たいなら、すでに開花している状態の苗を購入するのが安全です。花の時期に行燈仕立てにして販売しているのをよく見かけます。

 

 

剪定は7月中に完了する

常バラの花芽は2月ごろにできますが、「キモッコウバラ」はとても早く、花が咲き終わった後の8~9月には翌年の花芽ができます

 

 

これを知らずに通常のバラの管理と同じ要領で、冬に強剪定で枝をバッサリ切り詰めてしまうと、翌年、花が咲きません。「キモッコウバラ」の剪定は、花が咲き終わった後の7月中には済ませたいところです。

 

 

ただし、必ず剪定作業をしなければいけないものでもありません。十分に育てられる広さがあるなら剪定する必要はありません。枯れ枝や、あまりに元気が良すぎて全体のバランスを崩してしまうシュートを付け根から切り取り整理するくらいで構いません

 

 

誘引作業は花芽ができる前か、葉が落ちてから

ゲがなく枝が柔らかい「キモッコウバラ」は誘引しやすいのですが、早いうちに花芽ができるので、あまり雑に誘引すると大切な花芽をポロポロ落としてしまいかねません。花芽がまだ育たない7月までに誘引作業もしてしまうのが理想です。

 

 

夏に誘引するのは葉が引っかかってやりにくいようなら、冬、葉が落ちてから誘引しても構いません。その場合は、花芽を落とさないよう慎重な作業が必要です。

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もともとの「モッコウバラ」は白い花!

Rose, Rosa banksiae var. normalis, バラ, ロサ バンクシアエ ノルマリス,
Rose, Rosa banksiae var. normalis, バラ, ロサ バンクシアエ ノルマリス, / T.Kiya

本では黄花の「キモッコウバラ」の方がよく知られていますが、「モッコウバラ」の基本品種「ロサ・バンクシアエ・ノルマリス」(Rosa banksiae var. normalis)は一重咲きの白花です。「ロサ・バンクシアエ・ノルマリス」の古い枝には少しだけトゲがあります。

 

 

モッコウバラの基本種は、いかにも原種らしい野趣あふれる花ですね。リンゴやイチゴの花にとても良く似ています。

 

 

白花の「モッコウバラ」には香りがある!

▲八重咲きのモッコウバラ( Rosa banksiae var.banksiae

花の「モッコウバラ」(木香薔薇)には、その名が示す通り香りがあります。いわゆるバラらしいダマスク香やティー香とはまったく異なり、春の草花のようなフレッシュな香りです。あるロザリアンさんによれば「クローバーの香り」なのだとか!

 

 

「モッコウバラ」の性質は、ほぼ「キモッコウバラ」と同じですが、少しだけ違うところを紹介しましょう。

 

 

「モッコウバラ」も早咲きですが、「キモッコウバラ」より少し遅く、4月下旬に開花します(関東基準)。花つきは良いのですが、「キモッコウバラ」ほどではありません。

 

 

枝はシュラブ樹形で、自立することができます。自然樹形で育てれば、半円形のきれいな茂みを作ります。もちろん誘引してアーチやフェンスなどさまざまな場所に活用できます。

 

 

口コミと値段の目安

バラ苗ショップからのコメント

バラの原種ですので、非常に強健! 病害虫にもほどんどかかりません。良く育てると、5m以上の高さまで育つこともあります。他のバラと違い、庭木のように手入れが要りません。剪定くらいですね。

 

八重咲き花径2~3センチ前後。やわらかなクリームイエローの花は群生して咲き、とても見事!(バラの家)

 

ロザリアンからの口コミ

2月に小さい株を購入して北側フェンスに地植えした白モッコウバラ。春一面にフェンスを覆う様子に憧れて購入しました。

 

株が小さいからか今年は数輪の花のみ。が、あれよあれよという間に大きくなって、シュートがビュンビュン出てきます。その暴れっぷりに半ば呆れながらも、「ま、まぁ来年咲くのが楽しみだね。。」とオットと話していました。長く伸びる枝もその都度、フェンスにくくりつけながら様子を見てきたのですが。。

 

絶賛成育中のモッコウバラ。まだまだシュートが出ます。どんだけ出るの~??(;´▽`A“

 

バラ苗の値段の目安

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まとめ

葉っぱが見えないくらいにびっしりと咲くモッコウバラ。花の咲く時期が他のバラより飛びぬけて早く、いわゆるバラらしくない花なので、バラの一種とは思われないことも多いモッコウバラは、どんな庭にも使い勝手のよいガーデン花材です。日本の気候によく合っていて、栽培環境さえよければ、ほとんど病虫害にも遭いません。

 

花が美しいことはもちろん、特筆すべきは葉の美しさです。モッコウバラもキモッコウバラも、ほとんど常緑といっていいほど長く葉が茂り、しかも病虫害がほぼ発生しません。たとえばティーテーブルの上やガゼボに誘引すれば、気持ちの良い木陰を作ってくれます。

 

ただし、栽培する場所は広く取ってください。環境がよければ5mくらいまで伸びることもあります!

 

今はモッコウバラには白と黄色しかありませんが、赤やピンク色のモッコウバラや四季咲きモッコウバラなどの開発が進められているそうですよ! 咲く時期が他のバラと同じモッコウバラもあるといいですよね! 

 

キモッコウバラは、2018年にコペンハーゲンで開催された世界バラ会議で、オールド・ローズの殿堂入りを果たしました!

 

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