バラを育てていて困る害虫にまず挙げられるのが、バラの葉をボロボロにしてしまう小さなイモムシです。今回は、この厄介なイモムシのひとつ「チュウレンジバチ」の幼虫の防除についてまとめています。


バラの葉が端っこから食べられていたら、それは「チュウレンジバチ」の幼虫のせい!

▲バラの葉を外側から食べるチュウレンジバチの幼虫

ラの葉を集団で食害し、ボロボロの醜い姿にしてしまうにっくき小さなイモムシ。そのイモムシがバラの葉の縁から食べていたら、そして、イモムシがお尻を跳ね上げていたら、それは「チュウレンジバチ」の幼虫です。

 

*一般に「チュウレンジハバチ」と言われますが、「チュウレンジバチ」が正確名称です。

 

チュウレンジバチの幼虫は、1匹は小さな虫ですが、集団でバラの葉を食べ、葉脈だけを残して丸坊主にしてしまうほど食欲旺盛です。見つけたらすぐに対処しなければ、数日でほとんどの葉を食べつくしてしまいかねません。

 

チュウレンジバチは、どんな虫?

▲産卵中のチュウレンジバチの成虫

ュウレンジバチは、オレンジ色の腹と黒い翅をもつ体長2cmほどの昆虫です。名前に「蜂」とついていますが、刺すことはありません

 

チュウレンジバチの成虫は、その年に伸びたバラの若い枝にとりつき、産卵します。産卵している間はじっとして動きは遅く、この状態を発見したら捕殺のチャンスです!

 

チュウレンジバチの産卵は年間に2~3度あります。最初が4月後半、その後10月中旬くらいまでは注意が必要です。

 

▲チュウレンジバチの産卵痕

 

チュウレンジバチが卵を産み付けたところには、縦に長く傷がついています。この中の卵は約10日で孵化し、幼虫は近くの葉を食害しはじめます。

 

▲幼虫が孵化して出た痕

 

幼虫が出た後の傷痕は、大きく裂けたようになります。これだけ大きく裂けると、バラの枝が折れやすくなりますが、折れさえしなければ生長することはできます。

 

チュウレンジバチの予防と駆除のしかた

▲産卵痕を爪楊枝で潰す

来するチュウレンジバチの成虫を予防するのは難しいのですが、成虫が産卵しているところを見つけたら手やピンセットなどで捕殺するのが確実です。動きは遅く、刺すこともないので簡単です。

 

卵を生み付けられたばかりの枝(つまり、まだ大きく裂けたようになっていない枝)を見つけたら、その枝を取り除いておけば卵ごと駆除できます。

 

枝を切るのが嫌なら爪楊枝や針でその傷跡をなぞって中の卵を潰しておきましょう。傷跡がとても細いので、爪楊枝よりも針の方がやりやすいように感じました。

 

▲チュウレンジバチの幼虫は農薬に弱い

 

幼虫は農薬に弱く、簡単に駆除できます。バラ愛好家に広く使われている「ベニカXファインスプレー」「アタックワンAL」などのハンドスプレー農薬で駆除することができます。

 

チュウレンジバチの害を食い止めるポイントは、とにかく早いめに対処することです。産卵している成虫を見つけたら駆除。まだ裂けていない、つまりまだ卵が孵化していない産卵痕をみつけたら針や爪楊枝で卵を潰す、幼虫が葉を食害し始めたら、すぐに農薬などで駆除する。早め、早めの対応が鉄則です!

 

土に撒く薬剤で防除


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にばら撒くタイプの殺虫剤「オルトランDX」や「ベニカXガード」も効果的です。この薬剤は土に染み込み、バラが根から吸収することで株全体が殺虫剤を含んだ状態になります。たとえチュウレンジバチの幼虫が孵化してしまっても、幼虫が殺虫剤を含んだ葉を食べることで人の目で見つけられないほど小さい内に駆除されてしまう仕組みです。

 

害虫が出始めたら、定期的に株元に散布しておくと効果的です。効果は1カ月間、持続します。

 

年間使用回数は4回までです。

 

産卵された枝をマーキングしておこう

▲卵が産み付けられた枝をマーキング

 

が産み付けられた枝を切り取らずに残すなら、爪楊枝や針で卵を潰した後、幼虫が孵化しないか注視するために、ビニタイなどでマークをつけておきましょう。10日ほどで幼虫が孵化するので、少しでも幼虫を見つけたらすぐに駆除です!

 

アジュガに注意!

▲青紫の爽やかな花色と育てやすさで人気のアジュガ

*この項目は間違いだと判明しました。お詫びして訂正します。

 

*アジュガに集まるハバチとバラに産卵するハバチは別の昆虫だと分かりました。詳しくは▼こちらのページをご覧ください。

 

*ロザリアンの間に広く流布している間違い情報なので、元の記事も引用の形でそのまま掲載しておきます。惑わされないようご注意ください。

ジュガはバラにないはっきりした青紫色の花を咲かせる草花です。耐陰性があり、半日陰でも花を咲かせる丈夫で育てやすい植物なので、たとえばバラの株元や、庭のあまり日当たりの良くない場所に植えている方もいるのでは?

 

じつはチュウレンジバチのメスは、このアジュガの花蜜が大好物なのだとか! アジュガの花期は4~6月。チュウレンジバチの産卵シーズンと重なります。

 

アジュガの花にチュウレンジバチの成虫が寄ってくる性質を利用して、わざと庭のバラから少し離れたところにアジュガを咲かせ、そこでチュウレンジバチの成虫を捕殺するというトラップ・プランツとしての使い方ができます。

 

というよりも、チュウレンジバチを寄せ付けるアジュガ自体を庭に咲かせない方が良さそうです。

 

*バラとアジュガ、一緒に植えても大丈夫です。アジュガにハバチがやってくるかも知れませんが、それはバラに害のないハバチです。ただし、アブラナ科の植物にとっては害虫です。

 

バラの葉が真ん中から食べられていたら、それは「クシヒゲハバチ」の幼虫

▲バラの葉の真ん中から食べるのは「クシヒゲハバチ」の幼虫

じ食べられるのでも、バラの葉の真ん中から食べられていたら、それは「クシヒゲハバチ」の幼虫の可能性が高いです。クシヒゲハバチの幼虫は農薬が効きにくく、一番の駆除方法はテデトール。つまり物理的に手で駆除するのが確実です。

 

まとめ

バラの葉を食い荒らす小さなイモムシ「チュウレンジバチ」の幼虫の防除についてまとめました。チュウレンジバチの幼虫は、見つけたら早期駆除が一番です。農薬が効きやすいので、すかさずシュッとやってください。

 

土に撒くタイプの農薬「オルトランDX」や「ベニカXガード」も効果的です。チュウレンジバチは年に何度も産卵するので、4月~11月まで、気の抜けない害虫です。

 

しかし我が家のベランダでは、ほとんどが「クシヒゲハバチ」の幼虫被害で、これまで「チュウレンジバチ」の被害はありませんでした。今年はじめて成虫が産卵しているところを発見したので、さっそく記事にしました。

 

どんなにきれいな花が咲いていても、葉がボロボロでは見た目に悪いので、しっかり防除したいですね!

 

▼病気と害虫対策の記事一覧は、こちらからどうぞ

 

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