「今年こそベイサルシュートを出したい!」そう思っているのに、なかなか出てくれない・・・そんな経験はありませんか?
ベイサルシュートは、株が元気なら自然に発生しやすい枝です。しかし、株に余力がなければ、なかなか出てきません。
この記事では、株を健康に保つことはもちろん、エネルギーの余力をつくる考え方や、多くのロザリアンが実践している方法も交えながら、ベイサルシュートを出やすくする管理を紹介します。
ベイサルシュートが出てほしいのは、こんなとき
▲主幹1本になってしまったバラ
バラの主幹は3本くらいあれば安心できますが、病気や害虫被害、手入れの失敗などで、気づけば残り1本だけになってしまった・・・。なんてこともありますよね。
こうなると、ロザリアンはとても焦ります。「なんとしてでも、今年はベイサルシュートが出てほしい!」そんな切羽詰まった悲鳴があがります。
ほかにも「主幹が古くなったから、新しい主幹と世代交代させたい」なんてケースもあります。
この記事では、そんなときにゼヒ試してほしい方法を紹介します。
ベイサルシュートを出すための3原則
じつは「これをやれば、必ずベイサルシュートが出る!」という方法はありません。でも「これを心掛ければ、ベイサルシュートが出やすくなる」という3原則があります。
株を健康に保つ
日当り良く、適切な肥料が効いていて、病気や害虫の害がなく、水やりもしっかりできている健康な株なら、ベイサルシュートでそう悩む必要はありません。必要なタイミングで必要な量のベイサルシュートが自然に発生するからです。
ベイサルシュートを出したいなら、まずは、株がしっかり良い状態になるよう、バラの環境を整えることから始めましょう。
エネルギーの余力をつくる
次に心掛けたいのがエネルギーの最適化です。
バラが持っているエネルギーを100ポイントと考えてみてください。バラは、花を咲かせること、葉を維持すること、新しい枝を伸ばすこと、そのすべてにポイントを使っています。ベイサルシュートはとくに多くのポイントを必要とするため、株に余力がないと発生しにくくなります。
では、100ポイントのうち20ポイントを使って維持している枝を切り取ったらどうでしょう? その20ポイントの余力を使ってベイサルシュートが発生するかもしれません。
逆に、今年ベイサルシュートを出したい! と、思っている株に花(この時期だと2番花)を咲かせたらどうなるでしょう? エネルギー総量のあまり多くない株なら、花を咲かせるエネルギーしかなくて、つまり余力がなく、ベイサルシュートを出すことができないかも知れません。
経験則として知られる方法もある
プラス・アルファで心掛けたいのは、科学的根拠は薄いかもしれないけれど、多くのロザリアンが感じている「こうすればベイサルシュートが出やすい!」という方法があります。
この記事では、これら3つの観点から、ベイサルシュートが出やすくなる方法を紹介します。
梅雨時期の株を健康に保つ4つのポイント
1、冬の植え替えで、良い土を使う
▲定評のある、あまり安すぎない培養土で植え込んで!
「今年はぜひベイサルシュートを出したい!」そんなときには──いや、できれば常にそうありたいのですが──冬の植え替えのとき良い土で植え込みましょう。
どれが良い土なのかは、なかなか判断がつきにくいものですが、あまり安すぎない培養土を選ぶのが安全です。少し高価ですが、バラ専用の培養土を使ってみるのもオススメ。
あまりに安い培養土や、古土のリサイクル土は、ここぞ!というときにはオススメできません。
2、なるべく日当たりの良い場所で育てる
▲梅雨時期は日照不足になりやすい
ベイサルシュートがよく発生するのは、春の1番花が終わった後です。季節でいうと、ちょうど梅雨時期に当たります。
この時期、どうしてもバラは日照不足になりやすいので、鉢栽培ならなるべく日の当たる場所で管理しましょう。
3、梅雨時期の水切れに注意する
▲梅雨でも軒下栽培では水やり必須
どんよりとした曇天と雨が続く梅雨時期は、軒のあるベランダなどでバラを育てていると、つい水やりを忘れてしまいがちです。
軒下は雨が当たらないうえに、梅雨の晴れ間は結構暑くなることもあります。せっかく出てきたシュートの芽を乾かしてしまわないよう、水切れに注意しましょう!
4、根づまりを防ぐ
▲割れた鉢底から、びっしり詰まった根が! 写真提供/天女の舞子
梅雨~夏は、バラが旺盛に生長する季節です。この時期、小さいめの鉢で育てているとか、冬に植え替えしなかったという場合は、根づまりに注意しましょう。
根づまりしていると、土が水分も養分も保つことができないので、バラが健全な生長をすることができません。ヘタをすると、枯れてしまうことも!
水やりの水がいつまでも土の上にたまって抜けない、鉢底から根がはみ出している、などの症状があったら一回り大きな鉢に鉢増ししましょう。本格的な夏になる前の梅雨時期は、鉢増しするにはちょうど良い季節です。
バラが健康ではじめて、ベイサルシュートが発生します。
エネルギーの余力をつくる5つのポイント
1、葉を多く残して光合成を増やす
▲生育期に葉をたくさん残すよう努めよう!
多くの品種は、春花後の梅雨時期にシュートが発生します。ちょうど病虫害の多い時期ですが、適切な薬剤散布で、なるべく多くの葉を残すよう努めましょう。
葉が多く残っていれば、それだけ光合成で得られるエネルギーを増やせます。
2、腐植酸資材で根の働きを助ける
▲腐植酸を補う資材を利用する
春花が終わったらお礼肥えを施しますが、このときに使う肥料にプラスして「腐植酸」の入った資材を与えるといいと言われています。
腐植とは、微生物や動物遺体以外の土壌有機物をさします。腐植に含まれる、フミン酸、フルボ酸は、両方あわせて腐食酸と呼ばれます。これら腐食酸を豊富に含んだ土は、土壌微生物が豊富で土壌の団粒構造化が促進されるなど、地力の高い土壌となります。
植物を育てていると腐植酸はどんどん減っていくので、これを補うことで、発芽や発根を促す効果があります。ほかにも土の保肥力を高め、微生物を活性化させる、リン酸固定の軽減、連作障害を軽減するなど、さまざまな効果が期待できます。
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根を育てる肥料 1kg プレミアローズセレクション ZIK-10000
わたしが使っているのは「バラの家」の「根を育てる肥料」。「腐植酸」と「苦土」(マグネシウム)が配合されている資材です。「肥料」と書いてありますが、どちらかというと「活力剤」に近く、通常の肥料にプラスして使います。
アメリカでは「シュートを出すにはマグネシウムを与えると良い」とされているので、そういう意味でも良い商品かな、と思います。
パッケージには「天候不順や高温多湿に強くなり、シュートがとても出やすくなります」と書いてあります。
花ごころ 高濃度フルボ酸活力液 アタックT-1(800ml) |
ハイポネックス ブリリアントガーデン バラのストレスブロック(400ml)【ハイポネックス】 |
ハイポネックス リキダス800ml |
ほかにも「高濃度フルボ酸活力液アタックT-1」(花ごころ)、「バラのストレスブロック」(ハイポネックス)、おなじみの「リキダス」(ハイポネックス)にも腐植酸(フルボ酸)が含まれています。
「バラのストレスブロック」は、どう使っていいか分からないという意見の多い資材ですが、元気なシュートを出したいときや、天候不順が続くときに使いたい資材です。
腐植酸は近年注目されている成分で、メーカーを中心にシュートを出やすくすると言われているので紹介しました。気になる方は取り入れてみてください!
3、活力剤の葉面散布を活用する
▲活力剤を葉面散布する
活力剤は葉面散布にも使えます。
ダイレクトに葉から養分を補給できるため、株のエネルギー不足を補いやすくなります。さらに葉面散布は、根から吸わせるよりも速効性があります。
活力剤は、必ず使わなければいけないものではありませんが、「ここ一番!」「今年はどうしてもベイサルシュートを出したい」というときには、積極的に使いたい資材です。
4、不要枝を整理して余力をつくる
▲育ちの悪い主幹は、思い切って付け根からカット
「これは不要」と判断した主幹は、なるべく早い段階で切り取ります。
この枝に使っていたエネルギーを空けて、新しいベイサルシュートに回そうという作戦です。
上の写真は、ここ数年調子の悪かったデスデモーナの主幹です。この春も、こんな弱々しい細枝が少し伸びただけでした。そこで思い切って付け根からカットしたところ、新しいベイサルシュートが複数、発生しました。
▲枯れ枝や弱小枝も切り取る
枯れ枝やひょろひょろの弱小枝も、気が付いたときにこまめに切り取ります。
これもエネルギーを空ける方法です。空けた分でベイサルシュートが発生しやすくなります。
5、2番花をあきらめてエネルギーを温存する
▲ベイサルシュートの発生と2番花は時期が重なる
バラのベイサルシュートが出る梅雨時期は、2番花の蕾が膨らみ開花する時期と重なります。
もし、どうしてもベイサルシュートを出したいなら、2番花を諦めるのも一つの手です。
2番花に回るはずだったエネルギーを節約することで、ベイサルシュートが出やすくなります。
経験則として知られる方法
株元に日が当たるようにする
▲株元をスッキリさせて日が当たるようにする
株元に日が当たるように、株元の枝葉を整理してスッキリさせます。こうすることで風通しも良くなります。
さらに、なるべく日当たりの良い場所で管理しましょう。多くのロザリアンの経験からして、株元に日が当たるとベイサルシュートが発生しやすくなります。わたしも、そう思います。
実例|主幹を整理したらベイサルシュートが4本発生した
▲左の主幹が調子悪い
不要な主幹をカットしたことで、実際にベイサルシュートが発生した実例を紹介します。
上の写真は、デスデモーナを冬に植え替えたときの写真です。主幹は3本。購入したときからずっとこの3本のままです。なぜなら、デスデモーナはかなりベイサルシュートが出にくい品種だから。この時点でまだ1本も発生したことがなかったのです。
しかし左側の主幹が数年前から調子が悪く、新しいベイサルシュートに世代交代させたいところ。
▲左側の主幹を付け根からカット
左側の主幹は、芽吹いてからもやはり調子が悪く、ひょろひょろの細枝しか伸びなかったので、5月初旬に付け根からカットして取り除きました。
▲4本のベイサルシュートが発生!
それから約3週間後の5月末の状態がこれです。なんと、一気に4本のベイサルシュートが発生しました!
▲古い主幹カットから1カ月ちょっと。無事、主幹4本に
内側に向かっていた2つのベイサルシュートの芽は取り除き、残り2本のベイサルシュートを残して育てました。
これは6月中旬の写真です。立派な主幹が4本になりました。
ベイサルシュートの世代交代には、主幹を取り除くのが効果的なこと、ベイサルシュートは株全体のエネルギーの余力で出るのだということが、よく分かる結果となりました。
シュートが出にくい品種もある
▲濃いローズカラーの花をたくさん咲かせる「ローズうらら」
今年こそ! 今年こそ新しいベイサルシュートが出てほしい! そう思っているのに、なかなか出ないバラがあります。
じつはバラには、ベイサルシュートが出にくい品種があります。
有名なところでは「ローズうらら」(京成バラ園芸)。その子どもである「シェエラザード」(ロサ・オリエンティス)もシュートの出にくい品種です。
▲たっぷり咲く白バラの名花「アイスバーグ」
白バラの名花「アイスバーグ」(コルデス)もシュートの出にくい品種です。枝替わり品種の「バーガンディーアイスバーグ」なども同じくシュートが出にくい性質でしょう。
シュートが出にくい、どの品種にもいえることですが、これらは主幹が古くなってもきちんと花枝を伸ばすことができる、枝が劣化(老朽化)しづらい特徴をもちます。つまり、主幹の世代交代をする必要があまりないから、だからシュートが出にくいのです。
でも、「絶対にシュートが出ない」わけではありません。健康に育っている株なら、必要に応じてシュートを出します。どうしてもベイサルシュートを出したいときには、今回、紹介した方法を取り入れてみてください。
実例で紹介した「デスデモーナ」(イングリッシュローズ)も、ベイサルシュートが出にくい品種です。しっかり4本発生してくれました。
まとめ|ベイサルシュートは株の余力が生み出す枝
今回は、バラのベイサルシュートを出やすくする方法を紹介しました。ベイサルシュートは「株の余力」で出る枝です。
まず株を健康に保ち、その上で「不要な枝をカット」したり「腐植酸資材を利用」して、株のエネルギーに余力が出るように努めます。
なかにはシュートの出にくい品種もありますが、そんな品種でもいずれシュートは発生します。
「これをやれば必ず出る」というものではありませんが、これらを実践することで、かなり発生しやすくなるはずです。
今年出なかったらまた来年、くらいのゆるい気持ちで、のんびりバラの様子を見守りましょう。
シュートについては、知りたい目的別に、それぞれの詳しい記事へ進んでください。
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