シュート、なかでもベイサルシュートが発生してほしいことって良くあります。ここではベイサルシュートが出やすくなる手入れについて紹介します。
バラの「シュート」は、樹形をつくり花数を増やす重要な枝
▲新苗から発生した「ベイサルシュート」
春花の後、6~8月にかけて、バラは「シュート」と呼ばれる勢いの良い枝を出します。上の写真のように株元から出たシュートは「ベイサルシュート」、もっと高い位置から出たシュートは「サイドシュート」と呼ばれます。
シュートは、来年以降の主幹となる大切な枝です。どちらのシュートも樹形をつくり、1株あたりの花数を増やす重要な枝です。
つまりシュートの発生は、ロザリアンにとってものすごく嬉しい出来事なわけです。
▼シュートの基本的な情報はこちらからどうぞ
「ベイサルシュート」が発生してほしい3つのケース
▲新苗は、もう2本くらい主幹を増やしたい!
シュートのなかでも「ベイサルシュート」(新しい主幹)がとくに重要なのですが、ベイサルシュートが発生してほしいタイミングは、次の3つのケースが考えられます。
まずひとつめは、新苗を購入したとき。新苗はひょろりとした細い主幹1本だけの貧弱な姿をしています。できればもう2本くらいベイサルシュートが発生して、主幹が増えてほしいですね。
▲年数を経た株なら、いずれ主幹の世代交代が必要になる
ふたつめは、育て始めてから年数が経った株の場合。
キチンと管理していても、老朽化したり、なにかの加減で調子を崩した主幹を切り取るというのは良くあることです。
でも主幹は、最低でも3本はほしいところ。こんなときは、新しく元気なベイサルシュート(主幹)が発生してほしいですね。
古い主幹を切り取り、新しい主幹に入れ替える。こうして主幹の世代交代をすることで、株を若返らせることができます。
▲大きく調子を崩し、主幹1本になってしまった株
3つめのケースは、初心者に多いかも知れません。
病虫害や、気候の影響、さらに水やりや施肥管理がうまく行かなかったなど、さまざまな理由でバラが大きく調子を崩してしまうことがあります。
ときに主幹1本だけになってしまうことも・・・。もしこの1本が枯れてしまえば、もうこの株はおしまいです。こうなると、なんとしても、もう1本だけでもいいからベイサルシュートが出て主幹が増えてほしくなりますね。
このケースはかなり切実です。
次に、これらベイサルシュートが出てほしい3つのケース、つまり「新苗」の場合、「主幹の世代交代をしたい」場合、「大きく調子を崩した株」の場合、この3つのケースでのシュートの出し方を順に紹介します。
健康な新苗のベイサルシュートの出し方
▲切り取った弱々しい2本のベイサルシュートと新しいベイサルシュートの芽
状態の良い新苗の場合は、あまり心配ありません。新苗の通常管理を続けていれば、ほぼ問題なくベイサルシュートが発生します。
つまり、一回り大きな鉢に新しい培養土で植え替え、蕾を落として、日当たりの良い場所に置き、適切な施肥と病虫害予防をしていれば、大丈夫です。
ひとつ気をつけたいポイントを。
最近の新苗は枝先がブラインドしている、弱々しい細いベイサルシュートが数本ついていることがあります。こういう枝を残しても育たないばかりか、新しいベイサルシュートが発生しにくくなるので、早いうちに見切りをつけて切り取るといいです。
弱々しいベイサルシュートに取られていたエネルギーを使って、新しく健康なベイサルシュートが発生しやすくなります。
上の写真がまさにその例です。最初からついていた2本の細いベイサルシュートを切り取り日当たりの良い場所で管理することで、新しいベイサルシュートの芽が発生しました。
くわしくは、「アレゴリー」のそだレポをご覧ください。
▼「アレゴリー」の新苗からのそだレポはこちらです
年数が経った健康な株の主幹を、世代交代する方法
▲調子の悪い主幹を世代交代したい!
どんなに気をつけて管理していても、育て始めて数年を経ている株なら、老朽化したり調子の悪い主幹が出てきてもおかしくありません。
上の写真の株がまさにそうで、3本ある主幹のうち、左側の主幹が調子が悪くなり花も咲かせられない状態に。こんな株からベイサルシュート(新しい主幹)が出やすくなる方法を7つのポイントで紹介します。
1、冬の植え替えで、良い土に植える
▲定評のある、あまり安すぎない培養土で植え込んで!
ごく基本的なことですが、良い土に植えれば良い結果に繋がりやすいものです。
今年は主幹の世代交代をしたい! そんなときには──いや、できれば常にそうありたいのですが──冬の植え替えのとき良い土で植え込みましょう。
どれが良い土なのかは、なかなか判断がつきにくいものですが、あまり安すぎない培養土を選ぶのが安全です。少し高価ですが、バラ専用の培養土を使ってみるのもオススメ。
あまりに安い培養土や、古土のリサイクル土はオススメできません。
2、不要枝を切り取る
▲育ちの悪い主幹は、思い切って付け根からカット
不要と判断した枝を、なるべく早い段階で切り取ります。
左側の調子を崩していた古い主幹は、春の芽吹きからしばらくして切り取りました。新しい枝は伸びたけれど弱々しく細い枝しか出なかったので、早いうちに見切りをつけました。
▲枯れ枝や弱小枝も切り取る
枯れ枝やひょろひょろの弱小枝も、気が付いたときにこまめに切り取ります。
3、株元に日が当たるようにする
▲株元をスッキリさせて日が当たるようにする
株元に日が当たるように、株元の枝葉を整理してスッキリさせます。株元の枝葉をスッキリさせることで風通しも良くなります。
さらに、なるべく日当たりの良い場所で管理します。多くのロザリアンの経験からして、株元に日が当たるとベイサルシュートが発生しやすくなります。わたしも、そう思います。
4、葉を多く残す
▲生育期に葉をたくさん残すよう努めよう!
多くの品種は、春花後の梅雨時期にシュートが発生します。ちょうど病虫害の多い時期ですが、適切な薬剤散布で、なるべく多くの葉を残すよう、また株を健康に保つように努めます。
5、お礼肥えにプラス腐食酸資材
▲腐植酸を補う資材を利用する
春花が終わったらお礼肥えを施しますが、このときに使う肥料にプラスして「腐植酸」の入った資材を与えるといいと言われています。
腐植とは、微生物や動物遺体以外の土壌有機物をさします。腐植に含まれる、フミン酸、フルボ酸は、両方あわせて腐食酸と呼ばれます。これら腐食酸を豊富に含んだ土は、土壌微生物が豊富で土壌の団粒構造化が促進されるなど、地力の高い土壌となります。
植物を育てていると腐植酸はどんどん減っていくので、これを補うことで、発芽や発根を促す効果があります。ほかにも土の保肥力を高め、微生物を活性化させる、リン酸固定の軽減、連作障害を軽減するなど、さまざまな効果が期待できます。
根を育てる肥料 1kg プレミアローズセレクション ※土セットと同梱可※(1個まで) ZIK-10000
わたしが今年から使っているのが「バラの家」の「根を育てる肥料」。「腐植酸」と「苦土」(マグネシウム)が配合されている資材です。「肥料」と書いてありますが、どちらかというと「活力剤」に近く、通常の肥料にプラスして使います。
アメリカでは「シュートを出すにはマグネシウムを与えると良い」とされているので、そういう意味でも良い商品かな、と思います。
パッケージには「天候不順や高温多湿に強くなり、シュートがとても出やすくなります」と書いてあります。
家庭園芸用 地力の素 驚くほど根がぐんぐん伸びる素 500g PIC-BIO 再生材不要 連作障害をストップ 完熟たい肥50倍のフルボ酸パワー 土壌改良材 |
花ごころ 高濃度フルボ酸活力液 アタックT-1(800ml) |
ハイポネックス ストレスブロック(500ml)【ハイポネックス】 |
ほかにもホームセンターで良く見かけるものでは「驚くほど根がぐんぐん伸びる素」(PIC-BIO ピィアイシーバイオ)、「高濃度フルボ酸活力液アタックT-1」(花ごころ)、「ストレスブロック」(ハイポネックス)にも腐植酸(フルボ酸)が含まれています。さらにおなじみの活力剤「リキダス」(ハイポネックス)にもフルボ酸が含まれています。
ハイポネックスの「ストレスブロック」は、どう使っていいか分からないという意見の多い資材ですが、元気なシュートを出したいときや、天候不順が続くときに使いたい資材です。
腐植酸は近年注目されている成分で、わたしも今年から取り入れているものです。なので、効果を実感した経験があるわけではありませんが、メーカーを中心にシュートを出やすくすると言われているので紹介しました。気になる方は取り入れてみてください!
6、生育期に水切れさせない
▲梅雨でも軒下栽培では水やり必須
どんよりとした曇天と雨が続く梅雨時期は、軒のあるベランダなどでバラを育てていると、つい水やりを忘れてしまいがちです。
軒下は雨が当たらないうえに、梅雨の晴れ間は結構暑くなることもあります。せっかく出てきたシュートの芽を乾かしてしまわないよう、水切れに注意しましょう!
7、根づまりに注意!
▲割れた鉢底から、びっしり詰まった根が! 写真提供/天女の舞子
梅雨~夏は、バラが旺盛に生長する季節です。この時期、たとえば6号鉢ていどの小さい鉢で育てているなら、根づまりに注意です。
根づまりしていると、土が水分も養分も保つことができないので、バラが健全な生長をすることができません。ヘタをすると、枯れてしまうことも!
水やりの水がいつまでも土の上にたまって抜けない、鉢底から根がはみ出している、などの症状があったら一回り大きな鉢に鉢増ししましょう。
バラが健康ではじめて、ベイサルシュートが発生します。
大きく調子を崩した株の場合
▲主幹1本になってしまった株
上の株は、我が家で初めて主幹1本になってしまったバラです。前の方でも書きましたが、バラの手入れに慣れていない初心者ほど、こんな姿になって焦ってしまうことが多いでしょうね。
じつはこの株、試験的にリサイクル土を使って植え込んだのですが、春花後にひどく調子を崩しました。春花じたいはよく咲いたけれど、その後ハダニに取り付かれてしまったのです。ちょうど1週間ていど留守にするタイミングと重なったため、帰宅するとハダニが糸を引いているほど酷くなっていました(==
急いで薬剤を使ってハダニは退治したけれど、ほとんどの葉が黄色くなっていたので、芽吹きから調子が悪かった主幹を切り取り、ついに主幹1本になったという経緯です。
▲ハダニで葉がボロボロに(==
残る主幹は1本だけなので、早急にベイサルシュートが出てほしいところです。が、ベイサルシュート以前に、まず株を回復させる方が先決です。
こんなときに初心者がやりがちな間違いに、「早く回復するよう肥料をたくさんあげよう」とか「心配だから毎日水やりしよう」とか「強い農薬で害虫を退治しよう」とか、いろいろやり過ぎて、そのせいで枯らしてしまいがちです。
不調の原因をつきとめて、まずはそれを取り除きましょう。今回のわたしの例では、ハダニを退治しました。
あとは肥料を控えて半日陰で休ませ、順調に芽吹いてきたら日向管理にもどします。そうすれば、いずれ調子が戻ってきます。活力剤は使ってもいいので、上で紹介した腐植酸資材を利用するのもいいと思います。根が健康になれば、それだけ回復も早まります。
肥料や薬剤などで人が手をかけて調子を良くさせるというよりは、バラ自身が自力で回復するのを待ちましょう。しっかり回復すれば、いずれベイサルシュートが出ます。ベイサルシュートが出るまで数年かかるかも知れませんが、それまで気長に待ちましょう。
バラにはシュートが出にくい品種がある!
▲濃いローズカラーの花をたくさん咲かせる「ローズうらら」
今年こそ! 今年こそ新しいシュートが出てほしい! そう思っているのに、なかなかシュートが出ないバラがあります。
じつはバラには、シュートが出にくい品種があります。
有名なところでは「ローズうらら」(京成バラ園芸)。その子どもである「シェエラザード」(ロサ・オリエンティス)もシュートの出にくい品種です。
▲たっぷり咲く白バラの名花「アイスバーグ」
白バラの名花「アイスバーグ」(コルデス)もシュートの出にくい品種です。枝替わり品種の「バーガンディーアイスバーグ」なども同じくシュートが出にくい性質でしょう。
「シュートが出にくい」どの品種にもいえることですが、これらは主幹が古くなってもきちんと花枝を伸ばすことができる、枝が劣化(老朽化)しづらい特徴をもちます。つまり、主幹の世代交代をする必要があまりないから、だからシュートが出にくいのです。
▲シュートが出にくい「デスデモーナ」のベイサルシュート
でも、「絶対にシュートが出ない」わけではありません。健康に育っている株なら、必要に応じてシュートを出します。いずれ出てくれるといいなぁ~くらいのスタンスで、あせらず株を健康に維持するよう努めましょう。
上の写真は「デスデモーナ」(イングリッシュローズ)のベイサルシュートです。「デスデモーナ」もシュートが出にくい品種ですが、数年ぶりに出てくれました^^
まとめ
今回は、バラのシュートを出やすくする方法を紹介しました。不要な枝をカットしたり、株元に日が当たるようにしたり、さらに腐植酸資材を利用したり、水やりや薬剤散布を適切に行ったり。
いくつかのポイントはありますが、要は株を健康に保つことがもっとも重要です。なかにはシュートの出にくい品種もありますが、株を健康に保っていれば、そんな品種でもいずれシュートは発生します。
ただし、ここで紹介した方法を実践すれば必ずシュートが出るわけではありません。
今年出なかったらまた来年、くらいのゆるい気持ちで、のんびりバラの様子を見守りましょう。もし今年シュートが出なかったら、きっとバラ自身にまだシュートを出す準備ができていないからですよ^^
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