天然成分でウドンコ病や黒星病を予防する「BT粒剤」が発売されました。その効果は? 上手な使い方は? 「BT粒剤」を多方面から詳しく紹介します!


ついに出た!「BT粒剤」とは!?

▲天然成分で病気を予防する「BT粒剤」がついに登場!

庭園芸に使いやすい農薬をたくさん開発・発売している住友化学園芸から「マイローズ・ベニカ・BT殺菌粒剤」(長いので、以下「BT粒剤」と書きます)が発売されました!

 

これ、みなさんにオススメしたい待望の商品です!

 

じつは住友化学園芸の問い合わせ対応はとても丁寧で、以前から好印象を持っていまして。同社の「ベニカXガード」について問い合わせた折に、お願いしたことがあるのです。

 

「ベニカXガードから殺虫成分を取り除いたBT粒剤を作ってください。絶対買います!」

 

と。理由はこうです。

 


住友化学園芸 ベニカXガード粒剤 550g 撒ける殺虫殺菌剤

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「ベニカXガード」は、バラの株元に撒くだけで、約1カ月間、病気や害虫からバラを守ってくれる農薬です。噴霧器を使う農薬散布だと天候や風向きを気にしなければいけないのに対して、「ベニカXガード」は粒剤なので天候に関係なく使えてとても便利です。

 

ただしデメリットもあります。「ベニカXガード」には、年間使用回数が4回と決められている殺虫成分が含まれているので、「ベニカXガード」じたいも年間4回までしか使えません。

 

ところが「ベニカXガード」に含まれている病気耐性を上げる成分はBT菌という天然由来のもので、年間使用回数をまったく考えずに使うことができます。

 

これ、とてももったいなく感じたのです。

 

殺虫成分と分離すれば、年間使用回数を考えずに使えて便利なのに──と。

 

もちろん、わたしだけでなく、他の方からも同じような意見があっての商品化だと思いますが、わたしとしては「ついに出してくれたか!」と、感慨深いものがあります^^

 

▼「ベニカXガード」についてくわしくは、こちらをどうぞ

 

「BT粒剤」の効果は?

▲出展/住友化学園芸(ベニカXガードの説明イラストに少々手を加えています)

BT粒剤を根から吸わせたときの効果は、ウドンコ病、黒星病、灰色カビ病の予防です。

 

その仕組みを上のイラストで説明します。BT菌が根から吸収されると植物は、菌が侵入してきた!と、防御機能を強化させます。その刺激で免疫力がアップするのです。

 

結果として、ウドンコ病や黒星病、灰色カビ病の予防になります。

 

これは人間がワクチンを接種するのと似ていて、これだけで100%病気が防げるわけではありませんが、予防効果が高く、たとえ罹患しても軽傷で済ませることが期待できます。

 

「BT粒剤」のメリットは?

▲ベランダ栽培では、とくにウドンコ病になりやすい

ラの病気を防ぐ方法はいろいろありますが、BT粒剤の使いやすい点を8つ紹介します。バラ栽培に、草花や野菜にも!ゼヒ取り入れてみてくださいね。

 

1、天候を気にせず使える

ラの病気を防ぐ方法はこれまで「ベニカXガード」を除けば、ハンドスプレー農薬を使ったり薬剤を水で薄めて噴霧器で散布するという方法だけでした。この方法では雨が降れば流れ落ちてしまうし、風の強い日は自分にかかるおそれもありました。

 

「BT粒剤」は株元に散布するだけでいいので、天候を気にせず使えます。

 

2、使用回数を気にせず何度も使える

とんどの農薬は年間使用回数に制限があります。しかし「BT粒剤」は自然界にある菌なので、使用回数を気にせず何度も使えます。

 

3、効果が1カ月間持続する

気予防の効果は約1カ月間、持続します。スプレータイプの農薬では、毎週散布しなければいけないものも多いので、持続期間が長いのは助かります。

 

4、オーガニック栽培にも使えて野菜やペットにも安全

々が自然界にある菌を利用したものなので、オーガニック栽培を心掛けている方や、農薬を減らしたい方にもぴったり! たとえばウドンコ病にかかりやすいイチゴ栽培など野菜にも安心して使えます。ペットや小さいお子さんのいる家庭でも安心・安全です。

 

5、病原菌に薬剤耐性がつかない

ドンコ病や黒星病などの病原菌は薬剤耐性をもちやすく、同じ系統の薬剤を続けて使うと、その薬剤が効かなくなってしまう特性があります。そのため、通常は異なった系統の農薬をローテーション散布しましょうと言われます。

 

しかしBT菌は薬剤耐性がつかないので、繰り返し使うことができます。

 

6、散布時に重装備が必要ない

薬散布時には、長袖・長ズボン、長靴とフード・ゴーグル・ゴム手袋着用と・・・自分の身を守るための重装備が基本です。でも「BT粒剤」は自然界にある天然成分由来の商品なので、そこまでの重装備は必要ないと思います。

 

あまりに風の強い日は使わない、スプーンを使い直接手で触らないていどの注意で大丈夫だと、わたしは思います。

 

ただし、商品パッケージの注意書きには重装備を推奨しています。気になる方はゼヒ、重装備で使用してください。

 

7、臭いがほとんどない

ニカXガードや「オルトランDX」などの、土にばらまくタイプの殺虫剤を使ったことのある方なら分かると思いますが、どちらも臭いがキツイです。でも「BT粒剤」は、ほとんど臭いがありません。少し香ばしいようなニオイがありますが、まったく気にならない程度です。

 

8、天然成分由来の殺菌剤なのに効果が高い!

れは人により意見の分かれるところかも知れませんが、わたしはかなり効果が高いと思っています。こういう天然成分由来の商品は、安全性は高いけれど効果がイマイチなことが多いのですが「BT粒剤」はかなり使えます。これについては、後で詳しく紹介します。

 

ベランダ栽培にはマストアイテム!

▲軒下、とくにベランダガーデナーにオススメ!

ラを軒下で、わたしのようにベランダで栽培している方には、「BT粒剤」はとくにオススメです。ベランダではウドンコ病が発症しやすく、なにもしなければ葉や蕾が真っ白になってしまいがちです。バラだけでなく、パンジーやビオラもウドンコ病にかかってしまいます。せっかく育てたイチゴも真っ白になって食べられません。

 

ベランダガーデナーにとって「BT粒剤」はマストアイテムだと思います! ウドンコ病から解放されて、栽培がとても楽になりますよ!

 

「BT粒剤」の上手な使い方

▲バラ1株あたり10g

BT粒剤は、バラ1株あたり10g散布が目安です。計量スプーンの小さじ2杯分です。

 

「BT粒剤」は病気予防に効果を発揮するので、病気が発症する前から使うのがコツです。病気が出てから使っても、病気がなくなるわけではありません。

 

▲株元全体にぱらぱらっと散布

 

バラの株元1カ所に固めて置くのではなく、上の写真のように全体にぱらぱらっと散布してください。

 

「BT粒剤」の病気予防効果は約1カ月です。体感で2カ月ていど効果は持続する気がしますが、使用回数に制限はありませんから、月1回、カレンダーをめくったら撒くという使い方をオススメします。

 

▲樹高1.2mていどまでのバラに有効

 

「BT粒剤」に限らず、こういう土に撒くタイプの薬剤の特徴として、樹高1.2mていどまでしか吸い上げることができないようです。

 

なので、高さ1.2mていどまでに管理しているバラにはよく効きますが、つるバラとして枝を長く仕立てているバラには効果が発揮されません。

 

殺虫剤+「BT粒剤」の使い方

BT粒剤は病気を予防する商品です。バラの害虫対策に殺虫剤を併用する必要があります。ここでは、殺虫剤の併用例を紹介します。

 

オルトランDX+BT粒剤


住友化学園芸 オルトランDX粒剤 200g

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ルトランDXは、広範囲の害虫予防と駆除に効果のある土に散布するタイプの農薬です。年間4回まで使うことができるので、たとえば4月初旬、5月中旬、7月初旬、9月初旬 の4回使うことで、あるていどの害虫を防除できます。

 

BT粒剤は4月初旬~10月初旬までカレンダーをめくるたびに散布します。

 

ベニカXガード+BT粒剤


住友化学園芸 ベニカXガード粒剤 550g 撒ける殺虫殺菌剤

マイローズ ベニカBT殺菌粒剤 500g 住友化学園芸 バラ 殺菌剤 ばら 殺菌剤 農薬 うどんこ病 予防 黒星病 予防 バラ 病気 対策 うどんこ病 対策 黒星病 対策

ニカXガードは、BT粒剤を含んだ殺虫殺菌剤です。殺虫成分のため年間4回までしか使うことができません。BT粒剤を含んだ商品なので、併用は少し厄介になります。

 

たとえば「ベニカXガード」を4月初旬、5月初旬、6月初旬、9月初旬 の4回使うことで、真夏以外の害虫を防除できます。真夏は別の系統の殺虫剤(たとえば「アタックワンAL」など)を考える必要があります。

 

これ以外に「BT粒剤」を7月、8月、10月に使い、病気を予防します。

 

スプレータイプの農薬+BT粒剤

ンドスプレーや希釈して撒くタイプの農薬は、同じ系統の薬剤を続けて散布しないようローテーションを考えながら散布する必要があります。

 

▼農薬のくわしい系統を知るにはこちらをご覧ください

 

BT粒剤は4月初旬~10月初旬までカレンダーをめくるたびに散布します。

 

「BT粒剤」のデメリットは?

こまでBT粒剤の良い点ばかりを紹介してきましたが、デメリットも紹介します。デメリットを踏まえたうえで、上手に利用してください。

 

1、つるバラには効果が薄い

▲樹高1.2mを越える大型のバラには効果がでない

BT粒剤の上手な使い方の項目でも紹介しましたが、こういう土にばら撒くタイプの農薬は、樹高1.2mていどまでしか吸い上げられません。そのため、つるバラや大型のシュラブ系統のバラの場合は効果が薄く、スプレー散布するタイプの殺菌剤を使った方が現実的です。

 

2、予防効果は絶対ではない!

▲「ベニカXガード」を使っていてもウドンコ病が発症

BT粒剤を使うことで、かなり病気を予防することができます。しかし、その効果は絶対ではありません。

 

上はBT粒剤を含んだ殺虫殺菌剤「ベニカXガード」を使っていたバラに発症したウドンコ病の写真です。なにも使っていない場合にくらべれば格段に少ないのですが、それでも少し発症するバラがあります。

 

分量的に少しなので無視しても良いていどですが、気になるなら病葉を摘み取ったり、ほかの殺菌剤を併用しましょう。

 

「バラの家」の木村卓功さんは、「バラの家のタイプ区分で1タイプ下になるというイメージです」とその効果を紹介しています。「タイプ3ならタイプ2に、タイプ2ならタイプ1になるので、薬剤散布量を減らすことができる」という説明でした。

 

3、発症した病気が改善するわけではない

▲発症してしまった病気は改善されない

BT粒剤は、あくまでも予防効果しかありません。一度発症してしまった病気を改善する効果はありません。そのため、発症する前に早め早めに使うのがコツです。

 

4、害虫には効果がない!

▲バラに害虫はつきもの

れは念のために書いておきますが──。アマゾンのレビューで低評価をつけている方のコメントに「害虫に効果がない!」というものがあったので・・・。

 

「BT粒剤」は植物のもつ病気耐性を上げる効果をもつ商品です。害虫の防除をしたいなら、害虫防除に効果のある商品を使ってください。

 


STゼンターリ顆粒水和剤 20g 住友化学園芸 殺虫剤 野菜 園芸 天然成分 ネコポス便

 

BT菌はもともと水に薄めて葉面散布することでイモムシ類を駆除する効果のある菌です。これを商品化したものに「ゼンターリ」というものがあります。BT菌を使った害虫駆除が目的なら「ゼンターリ」を購入してください。

 

そもそもBTって何の略語?

BT粒剤の有効成分は「BT菌」です。BT菌とは「バチルス・チューリンゲンシス菌」(Bacillus thuringiensis)の略称で、養蚕農家の粉塵、土壌、淡水、海底の堆積物など自然界のあちこちで発見される菌です。

 

鱗翅目(チョウやガ)、双翅目(カやハエ、アブなど)、甲虫類(カブトムシ、ホタル、テントウムシなど)を駆除する効果があるので、これまでは殺虫剤として使われてきました。日本では「ゼンターリ」という商品が販売されていて、水で薄めて散布して、アオムシ、ヨトウムシなどのイモムシ類の駆除に利用されています。

 

このBT菌を根から吸わせることで、病気耐性を上げることができることが日本で発見され、その効果を利用して商品化されたのが「ベニカXガード」(殺虫剤+BT菌)と、今回新発売された「BT粒剤」(BT菌単体)というわけです。

 

まとめ

今回は、住友化学園芸から発売された「マイローズ ベニカ・BT殺菌粒剤」について詳しく紹介しました。「ベニカXガード」に配合されていた病気予防の有効成分BT菌だけを単独で取り出した商品です。「ベニカXガード」での病気予防効果の高さから、わたし的には待望の商品化で、待ってました!という気持ちでいっぱいです。

 

おそらく商品化自体はもっと早くにできていたのでしょうが、登録上の問題で今の発売になったのでしょう。

 

回数制限のある殺虫剤を切り離したことで、使用回数に制限なく、オーガニックにも対応するなど、とても使いやすくなった病気予防薬「BT粒剤」、どうぞ使ってみてくださいね!

 

▼病気と害虫対策の記事一覧は、こちらからどうぞ

 

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