だまされないで!「トルコだけに咲く貴重な漆黒のバラ」はデマ!

      2017/04/16


世界じゅうの面白い情報を集めるサイト「カラパイア」で、トルコの一部地方だけに咲く炭のように真っ黒なバラの画像が紹介され、拡散されています! でも、じつはこれ、デマなのです! ストップ拡散! だまされないで~~!

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カラパイアの元ネタは、こちら

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http://karapaia.livedoor.biz/

もそもカラパイアにトルコの黒バラが紹介されたのは2013年12月13日の記事。まずは、その概要を紹介しましょう。

 

ーーー以下概要ーーー

トルコのシャンルウルファ県ハルフェティには、ここにのみ生息している固有の黒バラがあります。このバラは、写真のように真っ黒です。どうしてこんな色になったかというと、ユーフラテス川特有の土壌の影響を受けているからです。

このように黒くなるのは夏の花だけで、春や秋の花は赤みが強くなります。しかしこの黒バラ、環境変化などの影響を受けて絶滅の危機に瀕しています。ハルフェティの自治体ではこれを守る活動が行われています。

ーーー以上概要ーーー

(「生息している」は「自生している」と書きたかったのでしょうかね?)

このカラパイアの写真があまりに印象的だったせいでしょう。なんとこの記事に寄せられたコメントは130件。

「黒薔薇…架空の物だとおもってた」

「黒百合とか言っても本当に黒い花はないんだよってことだったが真っ黒じゃん!是非ほんものを見てみたいな」

「園芸種の黒バラが霞んでしまいそうなくらい真っ黒だ!バラ育ててる人でも知らない人いるんじゃないかな」

「初めて見ました。黒バラって本当に有るんだ・・・びっくり@@;」

これを受けて、「ロケットニュース」「NAVERまとめ」などいくつもの有名サイトがトルコの黒バラを取り上げ奇跡のバラ」「黒い宝石」「絶滅が危惧されている希少な花」「愛好家にはバラの王者と呼ばれている!」と、大絶賛しています。

でも、わたしあいびーの感想は、写真みた瞬間「うっそぉ~!」でした。

 

バラ界の常識「黒バラとは?」

Rose Black Baccara バラ ブラック バカラ
Rose Black Baccara バラ ブラック バカラ / T.Kiya

ラの世界を少しでもかじった人なら知っていることですが。「黒バラ」とは、バラ界でいえば「漆黒のバラ」ではなく「黒みの強い濃い赤バラ」をさします。代表的な黒バラの品種に「ブラック・バカラ」「パパ・メイアン」「ルイ14世」などがあげられます。

黒ユリ、黒いチューリップなど、黒い花はいろいろありますが、例外なく「黒みの強い濃い赤」で、いわゆる「漆黒」の花をわたしは見たことがありません。そして黒い花は、花だけに限らずアントシアニン色素が濃いため、葉や茎も濃い色だったり赤みを帯びていたりします。どうもカラパイアに載せられている写真には違和感を覚えます

もちろん、わたしはそう深い知識をもっているわけではなく、トルコの限られた地方のバラのことなんて知らないわけですが、直感的にうさんくさいな~と思えてしまいました。

 

米国のデマ検証サイトが「デマ!」と公表

メリカのデマ検証サイト「Snopes.com」は、2016年5月27日付けでこのカラパイアの記事を取り上げ、「FALSE」つまり「偽情報」であると報じました。その理由として、カラパイアが情報ソースとしているトルコの新聞「Zaman」のネット版に掲載された記事を紹介しています。

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Zaman / Via web.archive.org

ここに「ハルフェティの黒バラ」として載せられている写真は、どうみても「一般常識的な黒バラ」、つまり「黒みの強い濃い赤バラ」です。カラパイアが載せているような漆黒のバラではありません。バラは、つぼみがもっとも色が濃く、咲き進むにつれて色が明るくなるのが常識ですから、このつぼみが咲いても漆黒になるとは思えません。

もとは黒みの強い赤バラだった写真をデジタル加工して漆黒のバラにしている証拠写真も、加工前、加工後と並べて紹介されています。

 

カラパイアが追記で誤りを認め謝罪

「Snopes.com」が2016年5月に公表した記事を受けて、2016年10月2日付けでカラパイアは元記事に追記の形で「デマ」を認め、謝罪しています。

 追記:2016/10/02

2016年5月27日のsnopesの記事によると、上記にあげた真っ黒い薔薇の写真はすべて加工されたもので真っ黒い薔薇というものは自然界には存在しないようだ。黒薔薇の記事を掲載するにあたっていくつかの海外サイトを調べたのだが、デマだったようだ。謹んでお詫び申し上げます。

どうやら、Zaman(トルコの新聞)のネット版に書かれていたハルフェティの黒バラの記事につける写真をネット上から拾う段階で、デジタル処理された炭のように真っ黒なバラの写真を拾ってきてしまったというのが真相のようです。

記事を書いたライターに、植物の知識があまりなかったのでしょう。

 

しかし、ハルフェティの黒バラは実在する!

Rose, Louis X IV, バラ, ルイ 14世,
Rose, Louis X IV, バラ, ルイ 14世, / T.Kiya

っ黒なバラの写真は、ハルフェティの黒バラの写真ではありません自然界に漆黒のバラは存在しません。しかし、ハルフェティの黒バラ自体は実在するようです。Zamanのフランス語版では、次のように書かれているそうです。

イスタンブール大学のTurhan Baytop教授の研究によればこのバラは19世紀にフランスで作出された「ルイ14世」という品種が何らかの経緯で持ち込まれて生まれたのだという。

「なーんだ!」という感じですね。黒バラの代表品種ともいえる「ルイ14世」がハルフェティに持ち込まれて植えられているんですね。それをこの地方で育てると、黒みがより強く出るのでしょう。

上の写真はかなり明るく写っていますが、(この品種は黄色いおしべがチャームポイントなので、それを写すために全体に明るく撮影しているようです)日本で育てても「ルイ14世」はもっと黒くなります。少し暗いめの露出で遠目から撮り真っ黒なバラに写っている写真もみつけました^^(個人さまの写真なのでここには掲載しませんけれど)。

 

さらに、漆黒の黒バラも実在する・・・。

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屋で不自然な色をした花を見たことはないでしょうか? たとえばこれは「レインボーローズ」と呼ばれるバラです。自然にこんなバラが咲くわけではなく、白バラに数種類のインクを吸わせることで人工的に色をつけられたバラです。

同じ要領で、黒いインクを吸わせれば漆黒のバラが簡単に作れてしまいます! カラパイアが使用してしまった写真には、黒インクを吸わせて作った黒バラもあったのかもしれませんね。バラにインクで色をつける方法を知っている人なら騙されませんが、きっとあまり花のことを知らない人なら「本当にこんな真っ黒なバラが咲くのねー!」って思ってしまうでしょう。

 

情報は既に拡散済み!

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ラパイアに最初の記事が掲載されたのが2013年訂正記事を元記事に追記したのが2016年です。この3年の間に有名サイトや個人ブログさらにSNSと、さまざまな媒体を通じてこの情報は世界じゅうに拡散されています。いくら3年前の記事に訂正とお詫びを追記したとしても、わざわざそこを読みにくる人は稀なのではないでしょうか?

拡散された情報を元に、子引き孫引きした記事が毎日量産されていくのがネット社会です。自分も情報発信する側として、情報ソースの取り扱いには十分、気をつけなければと思いましたね。

 

漆黒のバラ作ってみた!

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なみに、CG学科在籍ちゅうの娘のらなぴに依頼して、漆黒のバラ画像を作ってもらいました。パパ・メイアンの画像をもとに、ペイントソフトを使ってちゃちゃっと約10分で完成です! 黒い花びらとまわりを馴染ませるため、花びらの縁にうっすら緑色を載せ、微妙に赤も残しているそうです。いかにも実在しそうな出来で怖いです(^^;

そういえば、らなぴがCG学科に入学して最初の授業が「心霊写真を作ろう!」だったというのを思いだしました。今の時代、何でもできちゃいますよね・・・。

 

▼「パパ・メイアン」の元画像はこちらからご覧ください。

バラの花図鑑/強烈なダマスク・モダン香!「パパ・メイアン」は香りの良い現代バラの代表品種

 

まとめ

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カラパイアが2013年に発信したトルコの黒いバラの記事に載せられた漆黒のバラの写真が人気を呼び、ネット内に拡散されたものの、じつはそれは誤りだったということで謝罪と訂正が追記されるということが起こりました。トルコに黒いバラを大切にしている地域があるのは事実ですが、そこに添えた漆黒のバラの写真は誤りだったのです。けれど、元ネタの子引き孫引きで漆黒のバラの情報は、画像つきで今もどんどん拡散され続けています。

天然の漆黒のバラはありません! が、画像処理ソフトでバラの花の色を操作することは簡単にできるし、インクを吸わせて漆黒のバラを人工的に作るのも簡単です。文章なんていくらでもでっちあげられるし、画像も信用ならないとなると、情報を受ける側はどうすりゃいいんでしょうね! 

今回はネット情報のもろさと怖さを実感しました。当サイトでは、実感を伴える情報だけを掲載していきたいと思います。それでも間違いはあるかも知れませんが・・・。

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