バラにはさまざまな花形があります。だからこそ、何万もの品種があっても飽きずに楽しめるのですが、初心者のうちは聞きなれないバラの花形の名前に戸惑ってしまうものです。ここでは、多彩なバラの花形を一つひとつ紹介します! 参考にしてくださいね!

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基本は、バラを横から見た形から分類する

高芯咲き

▲半剣弁高芯咲きの「モンタギュー」

を横から見たときに芯が高く、花を上から見ると芯を中心に花びらが渦巻くような形に咲くのが「高芯咲き」です。1912年にイギリスのウィリアム・ポールが作出した「オフェリア」という淡いピンク色のバラにより、高芯咲きが確立したとされています。ハイブリッド・ティー系統のモダン・ローズに多く見られる花形です。

 

 

高芯咲きのバラには、剣弁の花びら、半剣弁の花びら、丸弁の花びらがあり、それぞれ「剣弁高芯咲き」、「半剣弁高芯咲き」、「丸弁高芯咲き」と呼ばれます。

 

▲咲き進んで花芯がほどけた「モンタギュー」

 

高芯咲きは外側の花びらから順に開いていくので、長く花芯が高いままに残りますが、咲き進むとやがて巻き上がっていた芯がほどけておしべが見えてきます。こうなると、通常は花が見頃を過ぎた、終わったといわれます。

 

「剣弁高芯咲き」か「高芯剣弁咲き」か?

▲モダン・ローズの祖ハイブリッド・ティー系統の「ラ・フランス」(ホワイト・ラ・フランス)

弁高芯咲きといえば、ハイブリッド・ティー系統に特徴的な咲き方です。花びらが「剣弁」で、芯が高くなる咲き方で、いかにも「モダン・ローズ」らしい咲き方です。

 

 

ところで、「剣弁高芯咲き」(けんべんこうしんざき)という表記と「高芯剣弁咲き」(こうしんけんべんざき)という表記の両方を見かけますが、どちらが正しいのでしょう? 花びらの形状を先にもってくるか、芯が高くなる性質を先にもってくるかの差で、どちらも同じことを言っているので、どちらでもいいといえばいいのですが──。

 

 

少し古いバラの本を見ると、「高芯咲き」と次に紹介する「平咲き」を並んで紹介しているものを見かけます。このことから、「平咲き」とは「高芯咲き」ではないことをさす言葉だろうとわたしは推測しています。平咲きで「剣弁平咲き」という言い方はできても「平咲き剣弁咲き」という言い方はしにくいですよね。

 

 

ということは高芯咲きでも、花びらの形状を先にもってくる「剣弁高芯咲き」が正しい呼び方なのではないかなぁ、と思っています。もちろん推測なので、違う場合にはどうぞご指摘くださいね!

 

平咲き

▲丸弁平咲きのミニバラ

を横から見たときに、芯が高くならず、平らに咲く咲き方です。上記の「高芯咲き」と対になる分類方法で、「高芯ではない」という意味合いで使われてきたのではないかと思います。主に八重咲きのモダン・ローズを分類するためのものと思われますが、ナーセリーの方(つまりバラ生産のプロ)が「平咲き(一重咲き)」と使っている場合も見かけるので、ややあいまいです。

 

 

もしかしたら、下で紹介する「ロゼット咲き」と同じ意味合いだったのではないかなぁ? と、思っています。

 

 

平咲きのバラにも高芯咲きと同じように、剣弁の花びら、半剣弁の花びら、丸弁の花びらがあり、それぞれ「剣弁平咲き」、「半剣弁平咲き」、「丸弁平咲き」と呼ばれます。

 

 

ポンポン咲き

Mini Roses
Mini Roses / drpavloff

▲ポンポン咲きのミニバラ

側の花びらが、付け根から下向きになるまで強く反り返り、花を横から見ると球形に近い形に見える咲き方を「ポンポン咲き」と呼びます。ポンポン咲きは、バラではミニバラに多い咲き方のように思います。大輪のバラでは、イングリッシュ・ローズでポンポン咲きの品種を見かけます。

 

 

「剣弁ポンポン咲き」、「丸弁ポンポン咲き」という分け方をしているサイトもありました。

 

dalia

▲ポンポン咲きのダリア

 

ポンポン咲きは、ダリアや菊、ジニア(ヒャクニチソウ)などキク科の植物によく見られる咲き方です。

 

カップ咲き

▲カップ咲きの「ボレロ」

びらが内側に向かってゆるくカーブしていて、花を横から見るとカップのような形になる咲き方を「カップ咲き」といいます。花びらの立ち上がりが低い、浅いカップのものを「シャロー・カップ咲き」、花びらの立ち上がりが高い、深いカップのものを「ディープ・カップ咲き」と呼び分けることもあります。

 

▲咲き始めはディープ・カップ咲きの「ピエール・ドゥ・ロンサール」

 

カップ咲きは典型的なオールド・ローズの咲き方で、多くのオールド・ローズがカップ咲きです。

 

近年、オールド・ローズの花形が人気になってきたのにともない、オールド・ローズのような花形のモダン・ローズも多く作出されています。写真の「ボレロ」はフロリバンダ系統のバラ、「ピエール・ドゥ・ロンサール」は、ラージフラワード・クライマー系統のバラ。どちらもモダン・ローズです。

 

▲オープン・カップ咲きの「アンジェラ」

 

カップ咲きでは、カップの中が花びらで満たされているものが多いのですが、花びらの枚数があまり多くない品種では、カップの中は空洞です。こういうタイプの咲き方を「オープン・カップ咲き」と呼ぶ場合があります。

 

▲盃状咲きの「スパニッシュ・ビューティー」

 

カップ咲きの中でも花びらの先が内側にカーブせず、外に反る咲き方を「盃状咲き」と呼ぶことがあります。

 

写真の「スパニッシュ・ビューティー」のようなタイプの咲き方をさしますが、「盃状咲き」という分け方自体、あまり一般的ではありません。

 

抱え咲き

▲抱え咲き?の「マイガーデン」

え咲きの説明はかなりまちまちです。「カップ咲き(抱え咲き)」と書いてあったり、「芯を抱えるようになる」と書いてあったり、「5分咲きくらいで花芯がほぐれてくる咲き方」とあったり、はっきりしません。

 

 

典型的な抱え咲きのバラとして「マイガーデン」が紹介されている本があったので、写真を載せておきます。(「丸弁高芯咲き」との違いが分かりませんが・・・)。

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小さな花びらが放射状に伸びるロゼット咲きと、クオーター・ロゼット咲き

「ロゼット咲き」は、花びらが芯から放射状に伸びる花形

▲ロゼット咲きのバラ「カーディナル・ドゥ・リシュリュー」

ゼットというと、小学生のころに理科の時間に習った覚えがありませんか? タンポポの葉のように、平らに放射状に伸びる形をロゼットと言うのでしたね。じつはこの「ロゼット」という言葉は、「バラのような」という意味で、もともとバラの花形をさしていました。

 

 

上の写真のように、花芯から花びらが放射状に伸びる咲き方が「ロゼット咲き」です。外側から内側にいくほど花びらが小さく、横から見ると平らに見えるのが特徴です。

 

 

でもよく考えれみれば「バラのような(ロゼット)咲き方のバラ」って・・・なんだか言葉として変ですね!

 

 

ロゼット咲きは、オールド・ローズに多く見られる花形です。写真のカーディナル・ドゥ・リシュリューはガリカ系のオールド・ローズです。モダン・ローズではイングリッシュ・ローズや、イングリッシュ・ローズやオールド・ローズを交配して作出された新しい品種によく見かけます。

 

花芯が4つに割れる「クオーター・ロゼット咲き」

▲クオーター・ロゼット咲きの「マイ・グラニー」

てこの咲き方のバラを見た人は、きっと誰もが驚いてしまうでしょう。「こんなバラがあるなんて!」と、すっかりバラの虜になってしまうかも! それくらい特別に優雅でアンティークな魅力のある咲き方が「クオーター・ロゼット咲き」です。

 

 

「クオーター」は1/4の意味なので、クオーター・ロゼット咲きは「1/4ずつに分かれたロゼット咲き」といった意味でしょう。でも、正確に4つに分かれなくても、3つでも5つでも、複数に分かれてそれぞれが渦を巻くようになる咲き方をすべて「クオーター・ロゼット咲き」と呼んでいます。

 

▲「真宙」(まそら)

 

カップ咲きやクオーター・ロゼット咲きは、近年とても人気が高く、さまざまな品種のバラが作出されています。上の写真の「真宙」(まそら──2009年作出)のように、カップの内側の花びらが細かく分かれて全体が渦を巻くような複雑な形状の花形もあります。ここまで細かく分かれると、さすがに「クオーター・ロゼット咲き」とは言いにくいらしく、単に「カップ咲き」と表記されています。

 

品種は少ないけれど、特別ユニークな咲き方

シャクヤク咲き

▲シャクヤク咲きの代表品種「イヴ・ピアジェ」(「イヴ・ピアッチェ」とも表記されます)

るくフリルのかかった切れ込みの多い花びらが不規則に並ぶので、まるでシャクヤクのように見える豪華な咲き方を「シャクヤク咲き」といいます。代表的な品種は「イブ・ピアジェ」です。

 

ボタン・アイ

▲ボタン・アイのデュシェス・ドゥ・モンテベロ(Duchesse de Montebello)

の中央の小さな花びらが芯に向かって折りたたまれているような咲き方を「ボタン・アイ」といいます。確かに真ん中にポチンとボタンを留めたように見えますね! オールド・ローズに特徴的な花形ですが、オールド・ローズを交配の親としていることの多いイングリッシュ・ローズでも見かける花形です。とってもユニークですね!

 

グリーン・アイ

▲グリーン・アイの「マダム・アルディ」(Madame Hardy)

の芯が緑色をしている咲き方を「グリーン・アイ」と呼びます。写真の「マダム・アルディ」に代表されるオールド・ローズに特徴的な咲き方です。オールド・ローズの花形が人気になっている昨今では、新しく作出された品種でも「グリーン・アイ」を見かけるようになりました。人気のミニバラ「グリーン・アイス」もグリーン・アイです。

 

フリル咲きとナデシコ咲き

▲フリル咲きの「ピンク・サマー・スノー」

 

▲ナデシコ咲きの「ホワイト・グルーテン・ドルスト」

打つ花びらをもつフリル咲きと、先に細かい切れ込みが入ったギザギザな花びらをもつナデシコ咲き、シャクヤク咲きは、花びらの形状のページで紹介しています。参考にしてください。

 

▼花びらの形状による分類のしかたは、こちらをご覧ください。

 

▼花びらの枚数による分類のしかたは、こちらをご覧ください。

 

▼花の咲く時期や回数による分類のしかたは、こちらをご覧ください。

 

まとめ

バラの咲き方の分類を、なんとかちゃんとまとめたいと思ったのだけど、かなり大変でした! それというのも、資料により紹介のしかたがまちまちだからなのです。つまり、学術的(?)にきちんと分けられたものではなくて、経験則的になんとなく分類されているものなんでしょうね。なるべく広く調べたつもりなので、参考にしてください!

 

 

高芯咲きのところで紹介したように、花形は、咲き進むにつれて変化します。育てる環境によっても変わります。いつもコピーしたように同じ花が咲くわけではないので、だいたいの目安と考えてくださいね!

 

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