バラには「一季咲き」「返り咲き」「くり返し咲き」「四季咲き」という咲く時期による分類があります。なんとなくイメージできてもきちんと把握できている人は少ないのでは? ここでは、この4タイプの咲く時期による分類方法を紹介します。
「一季咲き」は、年に1回、春だけに咲く
バラは品種により「一季咲き」「返り咲き」「くり返し咲き」「四季咲き」と表記されています。一季咲きというのは、年に1回だけ咲くタイプです。
品種により早く咲くものや遅く咲くものはありますが、沖縄なら4月中旬から咲き始め、関東で5月中旬から後半、北海道で6月中旬から下旬となります。日本では「春」に咲くと言われますが、緯度の高いヨーロッパでは6月ごろに咲くので「夏」に咲くと言われます。
一季咲きのバラは春だけに的をしぼって一斉に花開きますので、バラを育てている人にはそれは楽しみな、日ごろの手入れのご褒美のような時期です。一季咲きのバラは、花を咲かせない季節は株を充実させるためにエネルギーを使っています。
中国原産の一部の原種バラ以外のすべての原種バラと、ほとんどのオールド・ローズが一季咲きです。つるバラも、ほとんどが一季咲きです。もともとバラという植物は、春にのみ咲くのが基本的な性質なんでしょう。
「返り咲き」は、数は少ないけれど夏や秋にも少し咲く
春の開花のあと、花がらを切ったところから伸びた枝先に夏や、秋にも少し咲く性質がある場合は「返り咲き」すると言われます。花をカットした後に伸びた枝先に必ず咲くというわけではないので、一斉に咲くわけではなく、ちらほらと咲いている枝もあるという見た目になります。
返り咲き性質は、オールド・ローズではオータム・ダマスクや、オータム・ダマスクを交配の親とするブルボン系統のバラ、ポートランド系統のバラなど、ごく一部のバラにみられる性質です。(オールド・ローズはほとんどが一季咲きです)。
また、「基本は一季咲きだけれど、株が充実してくれば返り咲くこともある」というバラもあります。たとえばピエール・ドゥ・ロンサールがそうです。
秋にもあるていどまとまって返り咲く場合には「ニ季咲き」と表現されることもあります。
▼オータム・ダマスクについてはこちらをご覧ください。
▼ピエール・ドゥ・ロンサールについてはこちらをご覧ください。
「くり返し咲き」表記はあまり一般的ではない
▲くり返しよく咲くつるバラ、ブラッシュ・ノワゼット
花の咲く時期による分類は「一季咲き」「返り咲き」「四季咲き」の3タイプに分けるのが一般的です。「くり返し咲き」という分け方はあまり一般的ではありません。
「くり返し咲き」とは、春、夏、秋と、冬以外に咲く性質はあるけれど、「四季咲き」というほどはたくさん咲かない性質を言います。一般的な「返り咲き」よりもたくさん咲き、まばらながらも長く花が咲き続けるということのようです。
「くり返し咲き」と言ってもその咲き具合は品種や管理によって変わってきます。写真のブラッシュ・ノワゼットは「くり返し咲き」性質が強く、管理がよければほとんど四季咲きといってもいいほどです。
後で説明しますが、半つる性やつる性のバラに「四季咲き」という言葉をプラスするのは、厳密には正しくないそうです。まるで四季咲きのようにくり返しよく咲く半つる性のバラやつるバラには「強く返り咲く」「くり返し咲き」などの表現があてられることがあるようです。
四季咲きは、温度さえあれば1年じゅう花咲くバラ
▲ハイブリッド・ティー系統、四季咲きのピース
四季咲きとは、春、夏、秋に咲く性質のあるバラです。こう聞くと「あれ? 冬は?」と思ったことはありませんか? 「四季」なのだから、冬も咲くのかと思ってしまいがちですよね。
戸外では温度の低い冬に咲くことはありませんが、温室などでちゃんと暖かい気温と日照を保てば、なんと冬にも咲くそうです! 条件さえ良ければ1年じゅう咲くので「四季咲き」という表現は、とても正しいのですね。
四季咲きバラは公共施設で重宝される
▲四季咲きのモダン・ローズと洋館が同時に楽しめる旧古河庭園(東京都北区)
四季咲きバラは、花のあと枝先を浅く剪定しておけば、約1ヵ月半後には必ずつぼみをつける性質を持っています。「必ず」です。ここが「返り咲き」や「くり返し咲き」と大きく異なるところです。花壇のバラを同じ時期に剪定することで、夏にも秋にも一斉に咲かせることができます。
つまり四季咲きバラは、剪定で開花調整すれば春、夏、秋に一斉に咲かせることができるバラということです。この性質を利用して、バラ園では開花時期を管理し、夏にも秋にも一斉に咲くようにしています。四季咲きバラは、家庭で楽しめるのはもちろんですが、公園などの彩りに、バラ園などに、公共施設や観光施設で重宝される性質です。
四季咲きは、木立性樹形のバラ
▲鮮やかな朱色が美しいフロリバンダ系統、四季咲きのプリンセス・ミチコ
四季咲き性質は中国原産の原種バラ、ロサ・キネンシスから受け継いだ性質で、オールド・ローズならチャイナ系統、ティー系統など、ごく一部のオールド・ローズが四季咲きです。モダン・ローズではハイブリッド・ティー系統やフロリバンダ系統、ポリアンサ系統、ミニチュア系統などほとんどのモダン・ローズが四季咲きです。
ただし、四季咲きの性質は枝先を長く伸ばす性質が強くなると失われてしまいます。このためつるバラには基本的に四季咲きはありません。
バラの樹形は、大きく3つの形に分けられます。
1、木立性樹形(ブッシュ)
2、半つる性樹形
3、つる性樹形
木立性樹形は木立のように何にも寄りかからず自立する樹形です。四季咲き性質のあるバラは、基本的にすべてこの木立性樹形のバラです。
つる性のように枝先が長くなると四季咲き性質は失われ、一季咲きまたは返り咲きのバラになります。中にはほぼ四季咲きといえる品種もありますが、つる性樹形のバラで、切った枝先に必ずつぼみをつける、本当の意味での「四季咲き」性質のつるバラはほとんどありません。
「四季咲きつるバラ」という表記もよく見かけますが、厳密にいうと、正しくない表現なのだそうです。比較的よく返り咲く(まばらに咲く)と思えばいいようです。
まとめ
普通、植物って花の咲く時期が決まっていて、桜なら春に咲くし、アサガオなら夏に咲きますよね。でも、ことバラに関しては、春だけ咲く一季咲きもあるけれど、夏や秋にぽつりぽつりと返り咲いてくれたり、温度さえあれば年に何度も花を咲かせる四季咲きもある。しかもあの花の美しさ! すごくお得感のある花ですよね!
一季咲きか、返り咲きか、四季咲きかというのは、花がどれだけ楽しめるかだけじゃなく、剪定や肥料のやりかたなど、管理の仕方まで変わってくる要素です。バラを育てようと決めたなら、バラを選ぶときには、必ずチェックすべき重要項目なんですね。
こんにちわ
大変参考になりました
キャロリンナイトの花が上手く咲かず
花弁が枯れてしまうのが一番の悩みです
原因を模索中です
駿さん、こんにちは。
コメントありがとうございます^^
キャロリンナイト──イングリッシュローズですね。
イングリッシュローズはいくつか持っていますが、どれも優秀で手がかからない印象です。
花弁が枯れてしまうというのは、灰色かび病・・・かなぁ?
原因がわかるといいですね!
あいびー
素人ですが
今年の春にキャロリンナイトお迎えしました
キャロリンナイト繋がりでよろしくお願いします。
イングリッシュローズでないですが
つぼみで枯れる(腐る?)場合
花が開き始めた時に、薬剤や雨が入りダメになる
この場合、薬剤はつぼみが小さなうちにかけると防げるらしいです。
最近の薬剤は3週間ほど効くのが多いので
その間に開ききるだろうとのお話を以前聞きました。
以前小山内さんの講習で
香りが強いというのは
人間でいうところの、毛穴が開いている状態らしく
それで長く持たないとか、痛みやすいらしいです。
あとは我が家では
ゾウリムシ
アザミウマ
に悪さをされた場合ですかね
萎れるとか色々あります
割とアザミウマ率高いです
アザミウマは、どうにか咲いてくれる事もあります
なぜか香りがいい、品種が狙われている気がします
お力になれなくてすみません。
自分もまだ初心者マーク同然で
色々失敗も多く
イングリッシュローズはじめての苗が
キャロリンナイトさんです
サマーソング同様に暑さに弱いらしいので
まずは夏を上手く乗り越えて欲しいと思ってます。