梅雨を待ちわびたように毎年涼やかな色の花を咲かせてくれるアジサイ。アジサイは今、品種も増え、女性に好まれる花として人気も定着してきています。管理が楽なのも嬉しいですよね! アジサイの種類人気品種、さらに毎年咲かせるための剪定のコツなどを詳しく紹介します。

華やかなバラの季節の後は、しっとり涼しげなアジサイの季節到来!

▲梅雨に咲く涼し気な花「アジサイ」

雨を迎えると、あちらこちらで花開くアジサイの花。華やかな色味の多いバラに比べて、アジサイは青から紫の色調が多くとても涼しげな花。雨の季節を彩るには、ぴったりですよね!

 

じつはアジサイの原産地は日本なんです! 知ってましたか? まずは、アジサイがどんな花なのか見ていきましょう。

 

アジサイはその花の形から2種類に分けられる!

その1、ガクアジサイ(額咲きの紫陽花)

重咲きのシンプルな花が、額縁のように周りにだけ咲くのがガクアジサイです。漢字で書けば「額紫陽花」と書きます。咲き方を次に紹介する「てまり咲き」のアジサイと区別して「額咲き」と表現することもあります。

 

日本に自生するもともとのアジサイは、このガクアジサイです。華やかさはないけれど、シンプルで涼し気で、とても素敵な花だと思います。

 

2、アジサイ(てまり咲きの紫陽花)

クアジサイに対して、たくさんの花が集まったように見える上の写真のようなアジサイを、通常「アジサイ」と呼んでいます。「ホンアジサイ」と呼ぶ場合もあります。でもじつは、これはガクアジサイを品種改良して作った園芸品種で、本家本元のアジサイはガクアジサイの方です。紛らわしいですね^^;

 

咲き方を区別する場合は、こちらを「てまり咲き」と呼びます。

 

植物学会では、長らくこちらのてまり咲きのアジサイが原種で、額咲きのアジサイはその変種とされていたのだそうです。その名残でてまり咲きのアジサイが「ホンアジサイ」と呼ばれているのですね。アジサイの学名や、ガクアジサイとホンアジサイのどちらが原種かという論争は2転3転するようで、とてもややこしいようですよ!

 

西洋アジサイは、日本のアジサイがヨーロッパで品種改良されたもの

▲西洋で品種改良されたアジサイが「西洋アジサイ」

本原産のアジサイですが、なぜか日本では長らくあまり顧みられませんでした。江戸時代の日本は世界的にも優れた園芸先進国だったのですが、アジサイをあまり品種改良することはなく、アジサイは人気のない花だったようです。

 

1788年、イギリスの博物学者ジョセフ・バンクス卿(Sir Joseph Banks)は、中国の揚子江沿岸に自生しているてまり咲きのアジサイをイギリスのキュー植物園に寄贈しました。どうやらこれは、日本のアジサイが中国に渡って野生化したものだったようです。

 

ジョセフ・バンクス卿が寄贈したてまり咲きのアジサイを元に、ヨーロッパでアジサイの品種改良が重ねられました。これが後に日本に輸入され、「西洋アジサイ」または学名の「ハイドランジア」の名称で販売されるようになりました。

 

北アメリカ原産のアジサイも!

▲日本のアジサイと異なる趣の北米原産のアジサイ

くの西洋アジサイは、日本原産のガクアジサイやアジサイを元に品種改良されていますが、北アメリカ原産のアジサイや、それをもとに品種改良された園芸品種もあります。

 

上の写真のアジサイは、カシワバアジサイの園芸品種です。カシワバアジサイは北アメリカ原産で、葉っぱの形が柏の葉のように大きく切れ込みの入った形をしています。秋には赤やオレンジ色に紅葉します。

 

▲日本でも人気の高い純白のアジサイ「アナベル」

 

純白のアジサイとして人気の「アナベル」も、北アメリカ原産の「アメリカノリノキ」を品種改良した園芸品種です。カシワバアジサイもアナベルも、最近とても人気がありますね。

 

アジサイの花びらのように見えるところは、花ではなくガク!

▲咲いてから1ヵ月以上たったアジサイ

ジサイは、花の色がとてもきれいで微妙に変化するところも素敵なのですが、なにより花もちがいいところが魅力です。どんどん色味が変化して、やがて緑色になりついに茶色くなってもまだ咲き残っていますよね。どうしてこんなに長もちするかというと、じつはアジサイの花びらのように見えるところは、ガクなんです。

 

▲バラの蕾を包むガク。これがアジサイでは花にみえている

 

バラでいうと、つぼみを覆っている緑色のものががガク(萼)です。花びらよりも厚く、葉っぱのようにしっかりとしているので、バラの花が散ってもまだ残っています。

 

アジサイの花が長もちするのは、花びらのように見えている部分がガクだからなのです。正確には、アジサイの花のように見える部分(ガクの花)は「装飾花」と呼ばれます。

 

▲アジサイの真花

 

では、アジサイの本当の花はどれかというと、装飾花の中心にある粒のようなものです。

 

この粒のような花は咲かないことも多いのですが、装飾花をかき分けてみると、本当の花が咲いているのが見つけられます。これはちゃんと雄しべも雌しべもあり、実をつけることができる花です。「真花」と呼ばれます。真実の花って意味あいでしょうね。

 

人気のアジサイ品種5選!

近、母の日にアジサイを贈ることが増えている関係で、人気品種は母の日を過ぎると品薄になりがちでした。でも、それもかなり改善され、今では父の日の贈り物としてアジサイを選ぶことができるようにまでなりました。発表から5年以上たち、大人気品種「万華鏡」も流通量が増え、ずいぶん入手しやすくなりました。値段もこなれてきたので、まだ持っていない方はそろそろ買い時かもしれませんよ!

 

ここでは、アジサイの人気品種を5種類紹介します。

 

1、てまりてまり


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まりてまりは、小さい花びらがたくさん集まった、とてもかわいらしいアジサイです。6月中旬ごろからじょじょに緑を帯びていき、7月にはきれいな緑色に変化します。淡い水色の「ブルー」と、淡いピンク色の「ピンク」があります。ピンク色のてまりてまりは、母の日ギフトとしても人気が高いようですよ!

 

  2、シュガーホワイト


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びらの縁に細かい切れ込みの入る、オランダで作出されたアジサイです。咲き始めは淡いグリーンで、やがて真っ白になります。土のPHに関わらず、どんな土でも真っ白に咲かせられます。

 

3、万華鏡


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華鏡は、やや細長の小さな八重咲きの花びらで、それぞれの花びらの縁が白い覆輪になっているアジサイです。「ジャパンフラワーセレクション2012-2013」で最優秀賞の「フラワーオブザイヤー」を受賞しています。とても繊細な、今までにない花色ですね。少し前までは、小さい鉢でも8000円~1万円もしていましたが、流通量がふえ、かなりお手頃になってきました。相変わらずの人気品種で、上ブルーの他に、紫や、さらに希少価値の高いピンクもあります。

 


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4、アナベル


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の項目でも紹介した北米原産のアジサイの園芸品種「アナベル」です。純白の大きな花を咲かせます。このアジサイの優れたところは、管理のしかたが他のアジサイよりも楽で、初心者でも毎年きちんと咲かせられることです。アジサイの育て方のコツは、下の項目で詳しく紹介しますね。

 

5、秋色アジサイ


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ジサイは、花の色が変化しながら長く楽しめるところが他の花にない特徴です。秋色アジサイとは、秋に近いころのシックな色合いになったアジサイをさします。「秋色アジサイ」という品種があるわけではありません。でも中には、秋色が特に美しいアジサイがいくつかあります。「カメレオン」「西安」「フェアリーアイ」など、さまざまな秋色が美しいアジサイがありますが、今回は「エビータブルー」を紹介します。シックな緑色を基調に、花によりピンクやブルーが乗る不思議な印象のアジサイです。アンティークな趣が素敵ですね!

 

アジサイをきれいな色に咲かせるコツは?

ジサイの色は土のPHで変わる──ということをご存知の方は多いでしょう。土が酸性に傾けば青みを帯び、中性から弱アルカリ性に傾けばピンク色を帯びます。

 

これは、アジサイに含まれるアントシアニン色素が土中から吸い上げたアルミニウムの量により青く発色したりピンク色に発色したりするために起きる現象です。白いアジサイにはアントシアニン色素がありませんので、土のPHに影響されることはありません。

 

それじゃ青いアジサイをピンク色に咲かせることもできるの?

 

そう思ってしまいがちですが、それは少し違います。

 

 

これは我が家のベランダに咲き始めたアジサイです。じつはこれ、もとはきれいな水色でした。去年、一回り大きな鉢に植え替えたのですが、そのときに使った土が中性~弱アルカリ性に寄っていたようです。ピンク色が混じり、なんだか紫色を帯びてしまいました。

 

つまり、もともと青いアジサイを中性~弱アルカリ性の土で育てるとピンク色が混じって紫色になるし、もともとピンク色のアジサイを酸性の土で育てると青が混じってこれも紫色になってしまうのです。色が混じってきれいな紫色に発色するものもありますが、汚い感じに色が濁ってしまう場合もあります。

 

もともとのきれいな色に咲かせるためには、青いアジサイなら酸性の土で、ピンク色のアジサイなら中性~アルカリ性の土で育てればいいのです。庭植えのアジサイは、酸性雨などの影響で青く発色しやすいのですが、きれいなピンク色や赤色を保つのは難しいようです。

 

土のPHを調整する方法

のPHを調整するには、酸性にしたいときには硫酸アルミニウム、アルカリ性にしたいときには苦土石灰を混ぜます

 

時期は花が咲くより前の4~5月が適期です。

 

硫酸アルミニウムは500~1000倍液を20日置きに2~3回撒きます。苦土石灰なら株元に一握り撒きます。

 

簡単に済ませたいなら、青花アジサイ専用の肥料、赤花アジサイ専用の肥料が販売されています。こういう商品を利用するのも手軽でいいですね。わたしは青花アジサイ専用の肥料を購入して、来年はきれいな青色に咲かせたいと思っています。

 

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来年も咲かせるための剪定のコツ

▲アジサイの剪定は7月ちゅうに!

ジサイは、何もしなくても毎年花を咲かせます。でも、「我が家のアジサイが咲かないのはどうして?」と悩んでしまっている方が多いのも事実です。

 

それは、翌年アジサイが咲かない「何か」をしてしまったから。その「何か」とは、花を切ってしまったこと。しかも、アジサイを切ってはいけない時期に切ってしまったことが原因です。

 

花を切るには時期がある!

ジサイの花芽ができるのはとても早く、花が咲いた後の8月~9月ごろには翌年の花芽ができます。アジサイの花は長もちするので、ついそのままにしておいて、秋になってから切ると、せっかくできた来年のための花芽を切り落としてしまい、結果として翌年に花が咲きません

 

だからアジサイの花は、花芽ができる前の7月中に切らなくてはいけないのです!

 

最近、「秋色アジサイ」といって、秋まで枝先につけたままにしておいたときのシックな色味のアジサイを好む方が増えてきたため、次の年にアジサイの花が咲かないというトラブルがとても多いようです。

 

「秋色アジサイ」を楽しむなら、翌年の花はあきらめてください!

 

花後の剪定のしかた

後のアジサイの剪定の基本は、花の下Aの位置かBの位置で切ります。その後8~9月頃、葉の付け根に来年の花芽(緑色の点)ができます。

 

アジサイをコンパクトな樹形で維持する剪定のしかた

▲アジサイをたくさん咲かせるには剪定が必要

ころで、アジサイは何もしなくても花を咲かせるのですが、伸び放題にしておくとどんどん背が高くなってしまいます。広い庭ならいいのですが、狭い庭や鉢栽培では場所を取って仕方がありません。しかもアジサイは、数年花を咲かせた古い枝は花が咲きにくくなり、じょじょに花数が減ってしまいます

 

その一方でアジサイは、新しい芽が株元からどんどん出てくる生命力の強い植物です。なので、もう古くなった枝は切り、新しい芽を芽吹かせる方が、良い花をたくさん楽しむことができます。つまりアジサイは、数年ごとに枝を新しいものに更新していくことで、何年も長く花が楽しめる植物なのです。

 

結局アジサイを上手に咲かせようと思えば、剪定は欠かせない作業ということですね。

 

アジサイをコンパクトに保つための剪定

▲数年に1回、ばっさり切り詰めてコンパクトなサイズを保つ

後の剪定を続けていても、次第にアジサイは背が高くなってしまいます。これをコンパクトにするためには、全体の1/3くらいの高さにバッサリと切り詰めてしまわなければいけません。もっと地面に近いところまで切り戻しても構いません。

 

この思い切った剪定をしてしまうと、翌年の花はほぼ咲きません。

 

▲短く剪定した翌年は、花が咲かない

 

これは、去年、短く剪定したアジサイです。花がなくなるのが嫌で古い枝を1本だけ残したので、ひとつだけつぼみがついていますが、他の枝にはつぼみがありません

 

今年この花が終わったらこの枝は短く切り詰めます。他の枝はそのまま剪定しません。来年は、今年咲かなかった枝に花が咲く予定です。株元から新しい芽が出てきたら、その新しい枝には一年目は花が咲きません。この新しい枝に花が咲くのはその次の年です。

 

つまりアジサイは、今年伸びた枝に花は咲かず、2年目の枝に花が咲く植物なのです。

 

数年に1度、定期的に短く剪定することで、アジサイをコンパクトに保つことができます。が、次の年は花が咲かないことを覚えておくと、「花が咲かないのはどうして?」と、悩まなくてすみますよ。

 

アナベルは1年目の枝に花が咲く

ジサイの中でも「アナベル」は性質が少し違います。「アナベル」は、今年伸びた枝にもう花を咲かせます。早春に株元で切ったとしても、その年にちゃんと花を咲かせてくれる管理の楽なアジサイです。

 

アナベルなら、秋色アジサイを存分に楽しむことができますね^^

 

アジサイの花言葉は「移り気」だけじゃない!

▲花色が変わることから「移り気」の花言葉が定着

ジサイの花は、次々と色を変えて目を楽しませてくれるのですが、その変わり身の早さがあだとなって「移り気」「浮気」などの花言葉を生んでしまいました。

 

これではアジサイがかわいそうだと思ったのか、これではアジサイを売りにくいと思ったのか(^^; 最近では小さな花が寄り集まっていることから、「家族団らん」というポジティヴな花言葉が広まっているそうです。

 

良いイメージの花言葉のおかげか、最近では母の日にアジサイが贈られたり、結婚式の装飾やブーケに使われることも増えてきています。

 

さらに色ごとの花言葉もあります。

 

青や青紫:「冷淡」「高慢」「あなたは美しいが冷たい」

ピンクや赤紫:「元気な女性」

:寛容

ガクアジサイ:「謙虚」

 

▼花言葉について詳しくは、こちらをご覧ください。

 

年配の方のなかには、アジサイを嫌う方も!

▲かつてアジサイは、縁起の悪い花だった

人的にアジサイはとても情緒のある、日本の梅雨になくてはならない花だと思うのですが、あまりアジサイを好まない方もいるようです。とくに年配の方のなかには、庭にアジサイを植えるのは縁起が良くないと言う方も。

 

かつて衛生状態のあまりよくない時代に、梅雨の季節に人が亡くなることが多かったそうです。そんな折に死者に手向けられたのが、梅雨の季節に咲くアジサイでした。このことから、アジサイは縁起の悪い花という印象をもつ方もいるようなのです。

 

また、アジサイの茎は中空になっていることから、家の芯である大黒柱が亡くなるにつながるとして、庭に植えるのを嫌うことがあったそうです。

 

どちらもアジサイに罪のない言われですが、親世代と同居家庭なら年配の方の気持ちも理解してあげてくださいね。でも同居でないのなら、あまり気にせずどんどんアジサイを庭で楽しんでほしいですね。

 

アジサイは有毒植物!

だし、あまり知られていないことですが、アジサイには全草に毒があります。飲食店で料理に添えられたアジサイの葉を食べた人が吐き気やめまいなどの中毒症状を訴える事故がときどきあります。小さい子どものいる家庭では注意してくださいね!

 

植物には意外と毒性のあるものが多いので、気になる方は、一度きちんと調べてみることをおすすめします。

 

まとめ

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日本の梅雨を涼し気に彩るアジサイについて紹介しました。

 

かつてアジサイは、あまり人気のない花でした。一説によると、アジサイは挿し木が簡単で、誰でも増やすことができるので植木屋が商売にならなかったからだ、という話もあるそうです。

 

最後に紹介したように、やや縁起の悪い花という印象もあったようです。

 

でも花だけを見れば、アジサイはとてもきれいですよね。日本に昔からあるアジサイに、ヨーロッパで品種改良された西洋アジサイやアメリカからやってきたアジサイも加わって、今、アジサイは一躍人気の花になっています。

 

じつはアジサイは、遅咲きのバラと一緒に咲き、2番花が咲きだす頃まで庭に彩りをもたらしてくれる嬉しいガーデン素材です。上手に取り入れると、庭の楽しみが増えますよ^^

 

▼アジサイの花を剪定したらドライフラワーにしてみてください!

 

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