バラの枝にびっしりついたトゲ。誘引作業で手の甲が引っかき傷だらけになってしまった! という経験のある方も多いのでは? そもそもバラのトゲはどうしてあるのか取り除いても大丈夫なのかなどなど。バラのトゲについて紹介します。

 

YOUYOU

初心者ロザリアンのYOUです。つるバラの誘引作業で、手にトゲが刺さってすごく痛い思いをしたの。バラのトゲってどうしてあるの? 取ってしまってもいいのかな?

どうしてバラにはトゲがある?

▲つるバラ「紅玉」のトゲ

ラは美しい花を咲かせるけれど、枝にトゲがあります。このトゲ、手入れのたびに手を傷つけ、側を通る人の衣服を引っかけるやっかいな存在ですよね。小さい子どものいる家庭だと、ケガをさせてしまわないかと心配の種にもなります。

 

そもそも、どうしてバラにはトゲがあるのでしょうか? バラにトゲがある理由は、いくつか推測されていますが、その代表的なものを2つ紹介します。

 

理由その1、草食動物に食べられないため

▲サボテンのトゲは、草食動物に食べられないためにある

ラに限らずトゲのある植物はいろいろあります。代表的なものはサボテンです。

 

サボテンは、多くの植物には適さない乾いた環境で育ちます。植物の少ない環境なので、サボテンが草食動物に食べられる確率はとても高いです。このことからサボテンのトゲは、草食動物に食べられないよう身を守るために発達したのだろうと考えられています。

 

同じようにバラのトゲも、草食動物から身を守るために発達したものというのが、ひとつめの説です。

 

理由その2、フックのように引っかけて、他の木を這い登るため

▲日本の原種バラ「ロサ・ムルティフロラ」

種のバラはどれもシュラブ樹形~つる樹形で、枝の長い樹形をしています。日本の原種バラ「ノイバラ」(ロサ・ムルティフロラ)はシュラブ樹形で、上の写真ではかろうじて自立できていますが、長い枝先が地面にまで達していますね。枝先がもっと長く、自立することができないつる樹形の原種バラもたくさんあります。

 

こういう長い枝先を、トゲをフックのように使って他の木を這い登るために発達したのがバラのトゲだろうという考えもあります。枝を上に伸ばせば、それだけ日光を得やすいですからね。

 

「つるバラ」といっても、バラはアサガオのように巻き付くヒゲをもたないので、その代わりにトゲが発達したのだろうというのが、バラにトゲがあるふたつ目の説です。

 

さらに、バラのトゲは芽の側についているので、芽を守る役割があるのではないかという考えもあります。

 

あいびーあいびー

植物が長い時間をかけて獲得していった生存戦略は、おもしろいわね。バラはバラ自身のために存在しているわけで、わたしたち人間のために存在しているわけじゃない。トゲはその証拠だと考えると、なんとも感慨深いわ。

YOUYOU

植物の進化として考えれば確かに面白いけど──。でも、わたしはバラを食べたりしないし、ちゃんと紐を使って誘引してあげるから、できればトゲは退化しちゃってほしいわ! このトゲ、取ってしまってもいいのかな?

バラのトゲは取ってもいい?

▲若いトゲは、指で横に倒せばすぐ取れる

ラのトゲは、今年出たばかりの若い枝についているものなら、指で横に倒せば簡単に取れます。バラの切り花のトゲも、同じ要領でポロリと取ることができます。

 

▲ポロリと簡単に取れるけれど──

 

でも、切花のトゲならいいけれど、これから生長しようとしている若い枝のトゲを指で取るのはあまり良くありません。トゲを取ってしまうと、枝が折れやすくなってしまいます。

 

このことから若いトゲは、枝が折れるのを防ぐ役割があるのではないかという考えもあります。

 

▲古いトゲは横に倒しても取れない

 

薄茶色に変色した2年目以降のトゲなら取っても大丈夫ですが、指で横に倒そうとしてもそう簡単に倒せません。こういうトゲは器具を使って取り除きます。

 

▲爪切りでパッチン!

 

「バラのトゲ取り器」という専用の器具もあるそうですが、爪切りで代用できます。パチンパチンと切り取っていきます。爪切りを使えばトゲの付け根は残るので、枝へのダメージは少なくてすみます。

 

YOUYOU

なるほどー。でも、若い枝のトゲも横に倒して取るんじゃなくて、爪切りで切っちゃえば、そんなに傷跡が大きくならないんじゃないかな?

 

あいびーあいびー

でもダメージはダメージなので、わたしは一応古くなったトゲだけ取るようにしているわ。たとえば家に小さい子がいて、どうしても全部のトゲを取りたいなら、若いトゲの場合は鋭い先の方だけを爪切りで切るといいと思うわ。

トゲのない、または少ないつるバラもある!

▲モッコウバラにはトゲがない

種は限られるけれど、トゲのないバラもあります。モッコウバラにはトゲがなく、しかも枝が細くて柔らかいので、とても扱いやすいつるバラです。

 

まったくないわけではないけれど、トゲの少ないつるバラもあります。たとえば「スパニッシュビューティー」「サマースノー」「ドンファン」などは、トゲの少ないつるバラです。

 

▲「ピエールドゥロンサール」も少ない部類

 

つるバラの大人気品種「ピエールドゥロンサール」も、トゲが少ない方です。

 

YOUYOU

そうなの? わたしも「ピエールドゥロンサール」を育てているけれど、けっこうトゲあるわよ?

あいびーあいびー

それでも他の品種に比べれば、少ない方らしいわよ。トゲが多いか少ないかは主観だから、人により感じ方は違うと思うわ。

まとめ

今回は、つるバラのトゲについて紹介しました。つるバラは、誘引作業でどうしても引っかき傷を作ってしまいがちなので、とくにトゲはやっかいに感じますね。古いトゲなら爪切りで切り取っても問題ありません。

 

木立ち樹形のバラでも、同じように爪切りで切ってしまって大丈夫ですが──やはりできれば株元の古いトゲだけに留めておいた方がいいような気がします。

 

YOUYOU

わたしは接客業をしているから、あまり傷だらけになりたくないんですよね。かといって、ガーデングローブをしたまま誘引はやりにくいし。トゲは取ってもいいということなので、気がついたときに、こまめにつるバラのトゲを取ろうと思います!なるべく古いものだけね。

 

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