バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「真宙」(まそら)です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「真宙」(まそら)は、こんなバラ
真宙(大苗)7号鉢植え バラ苗 《契約品種》 四季咲き 中輪(シュラブ) ジャパニーズスタイル Japanese Style
花名は「真宙」と書いて「まそら」と読みます。アプリコットの中輪花(花径8cm)を数輪の房咲きにするシュラブ系統のバラ。岩手県花巻市にある「ガーデンナーセリー吉池」の育種家・吉池貞蔵さん2009年作出の、吉池さんを代表する人気品種です。
この品種の特徴はいろいろありますが、まず花色が美しいことと同時に、花形が素晴らしく整っています。カーブの強いカップ咲きで、中心の舟弁(しゅうべん/雄蕊から変化した細かい花びら)が複雑に渦巻き、よく見ると小さな花芯がボタンアイ(雄蕊の周りの花びらが内側に折りたたまれたようになる咲き方)になっています。
またフルーツ+ティーの香りも素晴らしく、第3回国営越後丘陵公園国際香りのばら新品種コンクールで金賞を受賞し、同時に国土交通大臣賞を受賞しています。
▲5月のバラ園でも目を引く存在感
上の写真は、5月のバラ園で撮影したものです。バラの最盛期でたくさんのバラにあふれていたのですが、その日一番記憶に残ったのがこの「真宙」でした。渦巻くような舟弁の花形が美しく、なんともいえない甘い香りを漂わせていました。実際の花色は、これに近いと思います。
樹高120~150cmのシュラブ樹形。花径8cm。四季咲き。強香。
バラの家のスコアは「樹勢/普通」「ウドンコ病耐性/普通」「黒星病耐性/普通」「耐陰性/普通」「耐寒性/普通」「耐暑性/強い」。「真宙」は、和の美意識に根差したバラのブランド「禅ローズ」から発売されています。
今回育てる「真宙」の環境DATA
愛媛県の北東向きの明るい駐車場。日照時間は5~6時間
今年の1月にお迎えした大苗
今年の目標/きれいなブッシュ樹形に整えて咲かせたい
育てる人/アスタルティ
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
2月11日の「真宙」/冬の植え替え後
▲主幹6本の健康そうな株 写真提供/アスタルティ
じつはお目当ての品種の苗の状態が悪く、しかたなくほかのバラを見回っていて目についたのがこの「真宙」でした。見るからに健康そうな株で、ラベルに表示されている花もきれいだったので気に入りました。「真宙」という花名も可憐です。
以前「アプリコットクーラー」という品種を検討していたときに作出者の吉池貞蔵さんの名前を覚えていたので、「真宙」も同じ作者の品種と知り縁を感じました。
▲株元にはベーサルシュート候補の芽が 写真提供/アスタルティ
真宙の主幹は6本。株元にはベーサルシュートになりそうな、小さな芽があります。樹高は30cmほどで、枝は大苗にしては太めです。かなり大きくなりそうなので、12号テラコッタ鉢に植え替えました。
立派な苗に見えますが、畑から掘り上げたばかりらしく、まだ白根は出ていませんでした。今年の春は根の生長を促すため摘蕾を行い、開花数を減らして養分の浪費を防ぐつもりです。
▲枝先の新芽 写真提供/アスタルティ
植え込み用土は「バラの培養土」(相原バラ園)を使用し、マルチングとして「完熟のたい肥」(相原バラ園)を表土に薄いめに敷きました。
2月初旬に寒さが緩み日照が増えてきたので、寒肥として「ミラクル」(粒状アミノ酸肥料/相原バラ園)と「ユーキリン」(粒状リン酸肥料/相原バラ園)を1:1で混ぜたものをひと掴み、表土に撒いています。
2月22日の「真宙」/芽かき・殺菌剤スプレー
▲若芽が育ちまるでタラの芽のよう 写真提供/アスタルティ
真宙の若芽が大きく育ってきました。これだけの大きさになると枯れる心配はないので、2か所ほど芽かきをしています。
鉢を持ち上げると、若干軽くなるのが早くなったようです。根圧が上がり、給水が盛んになってきたのでしょうね。
▲若芽中心に殺菌剤を散布 写真提供/アスタルティ
殺菌剤「マイローズ殺菌スプレー」(住友化学園芸)を若芽を中心に散布しました。
気象庁の2週間の気温情報によると、2月中は平年より気温が低いのですが、今週末から平年並みの気温に戻り、おそらく全国で一斉にバラの芽が動き出します。同時に病気や害虫が出現し始めるため、今週は大雨が降らないことを確認したうえで殺菌剤を散布しました。
3月13日の「真宙」/若葉が展開・ダコ+サプ散布
▲枝先から順に若葉が展開ちゅう 写真提供/アスタルティ
気温が20度を超えるようになり、生長が加速してきました。すべての枝から、濡れたような油分の多い若葉が展開してきています。
病葉はありませんが、そろそろ予防のために薬剤を撒くことにしました。
3月13日の手入れ
前回、薬剤を使用してから1か月近くたったので、再度使用することにします。
STダコニール1000(住友化学園芸)+STサプロール乳剤(住友化学園芸)
前回は「マイローズ殺菌スプレー」を使用しています。じつはこの「マイローズ殺菌スプレー」と「サプロール乳剤」は同じ系統(EBI剤)の薬剤なので連続使用するのは良くないのですが・・・。期間が開いているのと、小山内先生の動画で「ダコサプ」(ダコニール+サプロール)は、とても効果が高いとオススメされていたので試してみたくてやってみました。
希釈倍率は、ダコニール・サプロール共々1000倍。500ml分を作ってスプレー散布しました。この時期は葉が少ないので、500mlの薬液でも10鉢以上のバラに使用しても余ります。余った分と容器を洗浄した水は、ほかの花や樹に使用しました。
芽出し肥はまだ使っていません。
水は3日に1回程度、1リットルほどあげています。
4月3日の「真宙」/発蕾
▲樹高70cm。撮影後に混み合った葉を取り除いています 写真提供/アスタルティ
4月になって「真宙」の各枝から蕾が見えてきました。蕾を摘むか、そのまま咲かせるか、判断を迫られたわたしは一晩考えてこう決断。
「枝の伸びだす力が強く、摘蕾すると樹高2mとかになりそうなので、このまま花を咲かせちゃおう!」
ブッシュローズとして育てるので、樹勢を抑えるため花を咲かせる作戦です。
この撮影の後に、混みあった葉を整理して風通しを良くしました。アブラムシがいないかも注意してパトロールしています。
そういえば太陽の角度が高くなり、日照時間が長くなりました。今のところ7時間くらい日が当たるみたいです。(真冬は3時間だったのに)。西日の時間は気温を計ってチェック中。今のところ問題ないですね。
この時期の手入れ
3/15 芽出し肥の施肥。「ユーキリン(リン酸肥料/相原バラ園)+ミラクル(骨粉肥料/相原バラ園)」を、それぞれ一掴みずつ株の周囲に撒きました。
3/19 ベニカXガード粒剤(住友化学園芸)を株元に10g散布。そろそろ昆虫が増えると予想して、害虫対策メインで使っています。
3/27 「殺菌剤+殺虫剤」の散布。「殺菌剤/ジマンダイセンフロアブル(ダウ・アグロサイエンス日本))+殺虫剤/コロマイト乳剤(三井化学アグロ)+展着剤/アビオンE(アビオン)」。
4/3 有機プラス液肥トップワン」(花ごころ)をバラの規定倍率100倍に希釈して株元に散布しました。
4月17日の「真宙」/強風で若枝が折れる・サイドシュートのピンチ・肥料をストップ
▲樹高95cm。左側の若枝が強風で折れました 写真提供/アスタルティ
先日の突発的な強風で枝が折れてしまった「真宙」さん。仕方がないので枝を切り取っています。
樹高が高くなったので、風の影響を強く受けるようになってきました。・・・台風の時は気を付けないと。
サイドシュートは適当な高さで先端部分を摘みました。
▲蕾の大きさはこれくらい。側蕾は摘みました 写真提供/アスタルティ
蕾が大きくなってきたので、今日を最後に追肥と液肥の使用はしばらく休止します。肥料濃度障害には気を配っていますが、影響が出ないかどうかは咲いてみないと何とも言えないですね~。
ボーリング対策として、側蕾を摘んで開きやすくしています。
都市部に比べると、気温が低い分生長は遅めのはず。ヒートアイランド現象がないですからね、ここ。
この時期の手入れ
4/9・4/17 「有機プラス液肥トップワン」(花ごころ)をバラの規定倍率100倍に希釈して株元に散布しました。
4/10 「殺菌剤+殺虫剤」の散布。「殺菌剤/フルピカフロアブル(クミアイ化学工業)」+「殺虫剤/プレオフロアブル(住友化学)」+「展着剤/アビオンE(アビオン)」。
4/17 ユーキリン(リン酸肥料/相原バラ園)+ミラクル(アミノ酸肥料/相原バラ園)を一掴みずつ追肥として撒きました。
上でも書きましたが、全てのバラで追肥・液肥の使用は今日で休止しました。次に使うのは5月末から6月初旬となります。
5月5日の「真宙」/開花・ベーサルシュートが発生
▲樹高98cm。2輪ほど開花 写真提供/アスタルティ
ボーリングしかけたものの、なんとか4月末に開花した「真宙」。忙しかったので、花が終わりかけた今日になっての撮影です。病害虫はいまのところ出現しておらず、手間はかかっていません。
▲花はけっこう大きめ。ハート形でキレイ 写真提供/アスタルティ
開花から1週間近くたった花ですがキレイな形を維持しています。花もちはよいですね。
香りはまだ力を発揮できてないらしく中香ですが、香りの質は高めです。この撮影後に切り戻しをしました。
▲株元からのベーサルシュート 写真提供/アスタルティ
暖かくなってベーサルシュートが株元からちらほら出てきました。花を咲かせながら並行して、ベーサルシュートを育てていくことにします。
株元に光を当てることを優先しているので、マルチングはしていません。
この時期の手入れ
4/23 殺菌剤散布。「STダコニール1000(住友化学園芸)+STサプロール乳剤(住友化学園芸)」。
5/1 「ベニカXガード」(住友化学園芸)を10g、株の周辺に円を描くように撒きました(2回目)。
4/27~5/3の間に3回ほど蕾にだけ「ベニカXファインスプレー」(住友化学園芸)を使用。
5/4 殺菌剤散布。「殺菌剤/ジマンダイセンフロアブル(ダウ・アグロサイエンス日本)」+展着剤/アビオンE(アビオン)」。
蕾のガクが割れてきた時期に3日に1回ほど、「ベニカXファインスプレー」を一吹きかけて灰色カビ病とスリップス対策としました。
今週末は忙しいので、「ジマンダイセンフロアブル」を一足先に散布してウドンコ病への防除を行っています。
5月8日・9日の「真宙」/花の詳細
▲日陰で珊瑚色、日向でアプリコットの花色 写真提供/アスタルティ
真宙の開花から退色まで見届けたので、花の詳細をレポします。花の大きさは8~10cmくらいで、花はカップ咲きとロゼット咲きが混ざったような形をしています。
花色は日陰では珊瑚色、日向ではアプリコットカラーに見えます。上の写真は日向での花色です。
香りはかなり変わっています。ダマスクではなくフルーツ香だけど、いろんな果物の皮の香りというのがしっくりします。レモンかシナモンぽい余韻も感じますね。香りそのものは中香ですが、飽きの来ない万人に好まれるタイプですよ。
▲咲き進むとハート型になる不思議な花形 写真提供/アスタルティ
上の写真は翌5月9日の様子です。咲き進むと、こんなふうにアウトラインが1か所凹んでハートっぽくなります。「真宙」が開花した時の最初の感想が「ハ、ハート?」でした。わたしはこの咲き進んだ形が好きですね。
退色した時の色はアンバー、琥珀色です。
>>次のページでは「鉢増し・・・できず」から紹介しています。
アスタルティさん。こんばんは。 カップ咲きが綺麗な花弁ですね! そっか~!!一気に暖かくなるって言ってましたもんね。 虫たちが飛んでるのを見てたわ(笑 僕も明日、殺虫剤をまこう!!
こんばんわ、ORCAさん
うんうん、綺麗な花らしいのだけど、実はわたし今まで見たことないです~
虫については、まだ2~3週間くらい余裕がある(夜温がまだ低いので)けど
殺菌剤については若葉が展開し始める頃合いで散布するといいですよ
逆に言うと、新芽がまだ小さかったら1~2週間くらい後回しでも全然大丈夫
薔薇栽培を始めて今年の春で丸4年になります。まだまだ勉強中で、約55種を育ててい
ます。今年は本苗数本の中に真宙も迎えました。ずっと欲しかったバラです。
今日1カ所から蕾が沢山出ているのを発見して、さあ~どうする? 1本残して摘蕾した方がいいのかい? 自問自答している所です。
房咲きにするなら、このまま咲かせていいのでしょうか。
皆さんはどうしていますか? まだまだ初心者と変わりません。
舞花さん、コメントをありがとうございます。
55種類のバラを育ててらっしゃるんですか!
すごい数ですね^^
ひとつひとつバラのクセが違うのは、
初心者には難しいところであり、
何年たっても新しい気持ちで楽しめる素敵なところですよね。
ところで。
なぜか舞花さんのコメントがスパム扱いされてしまって、
気づくのが遅くなり、承認が遅くなってしまい申し訳ありません><。
最近ときどきあるようなのです。
ごめんなさいね!
アスタルティさんにコメントいただけるよう連絡しますね!
あいびー
こんばんわ、舞花さん。
コメントを有難うございます。
「真宙」は樹勢が強いので、どんな咲かせ方でもいいのですが
房咲きで咲かせるのなら、以下の方法がお勧めです。
仮に蕾が10個ある場合
① 真ん中の一番大きな蕾を切り取る
② 小さすぎる蕾も切り取る
③ ①②で蕾を2~3個間引きして、蕾の大きさをそろえる
(全体の20~30%の蕾を間引く)
わたしの場合は、ベーサルシュートの育成も考慮して
今年の春は真ん中の大きな蕾だけを残す選択を選びました。
いわゆる、折衷案ですね。
わたしはバラ栽培を始めてちょうど一年だったりするので
むしろわたしの方が初心者だったりします。
いろいろ失敗はあるかもしれませんが、温かい目で見守ってあげてください。
(隠れたところでミスはしてたりします)
一気に成長がすすんでますね! こちらも一気に成長始まって、いらない花は全てあげました。(バイト先へ持っていったのもありますけど) バラって大きくなつてしまいますもんね。 葉っぱ同士が風などでこすれて傷つかないように考えたら。けっこうな間隔をあけないとあかんし。 僕は青系バラ・・・あと2つ世亜役が来てないので。 正直なところ・・・やらかしてしもた。が、本音です(笑 それにしても詳しく紹介されているのには、頭が下がります。 僕はけっこう適当なので(笑
こんばんわ
先週は気候が良かったからか、どこもかしこも成長が進みましたね。
その代わり虫も厄介なチュウレンジハバチも出てきて、退治に一苦労してます。
青バラはコンパクトな品種が多いので、そんなにスペースは取らないでしょうから
せっかく買ったのだし大切に育ててあげましょう!
青系バラで来ていないのはあと二つかぁ・・・シュップオリジナルのバラかな?
アスタルティさん
おはようございます。のこり2種。。。ってか。追加したので。ターンブルー2苗。ブルードレス。オンディーナが一昨日に新苗がポット苗で届きました。(2カ所から購入)どれも蕾をつけていますが、もちろん1輪だけ咲かせて。他の蕾は℃ってしまう予定です。バイトですがようやく仕事が先月から始まり。53歳で肉体労働。。。 帰宅後はヘトヘトで何も出来ないので。今度の土日の休みに、そのまま鉢増しする予定です。 あ。車で20分くらいの所にちっさなバラ専門店を教えてもらい、ホームセンターでは販売していないバラ苗(大苗のみ)長尺苗も販売していました。でも、どれも1株しか置いていないので、でも。レイニーブルーが店頭で販売されているのを初めて見ました。でもどちらかと言えば。ガーデニンググッズ中心の店舗ですね。 素敵な植木鉢やアーチ、オベリスクに置物がたくさんあり。 昨日は凄くイヤな事があり。悪い事よけじゃ~!! と、ガーディアンの置物を・・・はい、衝動買いしました(笑 アーチやオベリスク。やはり現物を見て、買いたいですね。オーナメントもそうですけど。 初めて行った時にはミニフェンスを購入しました。 グリーンアイスか、先日届いたグロリオサの球根。。。どっちに使おうかな~? 昔々グロリオサは地植えで4個植えましたが発芽したのは2つだけでした(笑 事故にあったグリーンアイスは今では見事に一緒に購入したのとは成長の早さが歴然としてます。 バラ系はこれから成長に合わせて配置換えの繰り返しです。 問題は一般的なヒョロ苗さんたちが1本も枯れずに育ってしまっている事。。。あんな小さな鉢に4~6本も植えられていたら育つ訳ないので。根が絡む前に届いたら解体してプランターで5~10cm間隔、あるいは3~4号鉢に1本と植えていたのが、見事に成長して花を咲かせています(笑
こんばんわ、ORCAさん。
ブルードレスにオンディーナと、きれいな青バラを買われますね。
わたしは実物を見たことはないですが、一度はそういうバラを育ててみたくなります。
レイニーブルーは人気なのか、あちらこちらで見かけることはあります。
やっぱり人気なのか早々に無くなるので、どういう花が咲くのかは見たことはないですが。
アーチやオベリスクは、やっぱり実物を見て買われるのがいいですね。
特にアーチは大きいので、一人では設置が難しい場合がありますし。
ミニバラですが、この時期はバラにとっては心地よい気温と湿度なので
枯れることはそうそうないです。
大体6月の梅雨に入ってからが本番ですね。
梅雨に酷暑に黒星病にハダニなどなど…。