バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「リヴレス」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「リヴレス」は、こんなバラ
▲リヴレス 出展/京阪園芸
リヴレスは、京阪園芸のローズソムリエ・小山内健さん2020年作出の品種。青みがかった濃いピンクの中大輪花(花径8cm)を咲かせるシュラブ系統のバラです。同じく小山内健さん作出の「フィネス(2017年)の姉妹」と京阪園芸のカタログでは紹介されています。交配親が同じという意味なのか、花の雰囲気が似ているという意味なのか詳しくは分かりませんが──。
「フィネス」との違いは、「フィネス」が健康的な印象なのに比べて「リヴレス」は優しくかわいらしい雰囲気。
花形は、咲き始めの巻きが強いカップ咲きから、咲き進むとロゼット咲きに。ややうつむき加減に咲きます。さらに咲き進むとブルーイングして青みが強くなり、とくに秋花は青みが強く出ます。
「L’ivresse」は、フランス語で「酔っ払い」「ほろ酔い」。姉妹品種の「フィネス」が、ワイン用語で「洗練されたもの」「繊細なもの」「上質なもの」という意味のネーミングなので、それと呼応させるように「リヴレス」にもワイン関連の花名をつけたのでしょうか。
花径8cm。四季咲き。フローラルダマスクの強香。樹高0.8mのシュラブ樹形。バラの家のスコアはまだ未掲載です。
今回育てる「リヴレス」の環境DATA
愛媛県の日照4~5時間の西向きの犬走の上
今年の1月にお迎えした大苗
今年の目標/姉妹品種とされる「フィネス」もあるので、違いを観察しながら、どちらも秋花を咲かせる
育てる人/アスタルティ
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
2月11日の「リヴレス」/冬の植え替えと冬剪定後
▲冬剪定後の樹高は25cmほど 写真提供/アスタルティ
京阪園芸の小山内健さんという方がいらっしゃいます。関西の人らしくとても楽しい方ですが、氏が育種したバラに「フィネス」という品種があります。「フィネス」は育てやすく香りも良く、樹形が暴れず花つきも良いということで、京阪園芸での売り上げNO.1と聞きます。その姉妹品種が「リヴレス」です。
「フィネス」と「リヴレス」は、どちらも「F&Gローズ ローズアロマティーク」ブランドに分類されています。この2品種、どこがどう違うのだろう? と、疑問に思えてしまいました。そこで、両方ともお迎えして育ててみることにしたのです。
今回は「リヴレス」のそだレポをしながら、「フィネス」との違いを観察したいと思います。
▲芽吹きの様子は「リヴレス」も「フィネス」も同じ 写真提供/アスタルティ
今年の1月に裸苗に近い形でお迎えした「リヴレス」。「New Roses」誌によると、構ってちゃんだそう。樹形が込み合いそうに思えたので、まずサックリと冬剪定をしておきました。
主幹は4本。植え替え時にすでに白根が出ていたので土をあまり落とさず、根の周りの用土を2割ほど残す形で植え替えました。鉢は、信楽鉢ネイチャーロングの9号にしました。F&Gのバラは、根腐れ対策としてすべてテラコッタ系の鉢で統一しています。がん腫の確認は、わたしはあんまり気にしません。それよりも根に負担をかけないことを重視しています。
「リヴレス」は、幹にほんの少しだけ黒いシミ(凍害の兆候か?)がありました。風の強い日は屋内に取り込み観察していましたが、どうやら大事なく済んだようです。
芽吹きの様子は「リヴレス」「フィネス」ともに同じ大きさ。おそらくですが、耐寒性や耐暑性は姉妹ともども同じなのではないかと予想しています。
2月27日の「リヴレス」/新芽膨らむ
▲新芽がふくらみ、来週には若葉が広がりそう 写真提供/アスタルティ
週中に、今季最大の寒気団が訪れたなか、少しだけ凍害の兆候(黒いシミ)があった「リヴレス」は、屋内のシクラメン棚に移動。幸い、あまり凍害は広がらずに済みました。週末の陽気で新芽も膨らんできたので、今は屋外に移動して日光を存分に浴びてもらっています。
新芽の進展状況は「フィネス」と同じ。最高気温が15度くらいになれば、芽が動くみたいですね。
▲株を真上から見たところ 写真提供/アスタルティ
「マイローズ殺菌スプレー」(住友化学園芸)で、新芽中心に消毒をしました。水やりは、1回1リットルを週2回くらいあげていますが、若葉が展開すれば回数を増やします。
ベーサルシュートになりそうな芽が株元にチラホラ見えます。
3月20日の「リヴレス」/若葉が展開・芽かき
▲3/19に芽かき済み。これから伸びるってかんじ 写真提供/アスタルティ
ようやく若葉が展開し始めたので、すべてのバラに芽かきを行っています。「リヴレス」は枝が細いので、枝1本につき若芽をひとつだけ残しました。だいぶスッキリしましたね。
▲左が「リヴレス」、右が姉妹品種の「フィネス」 写真提供/アスタルティ
「リヴレス」と、姉妹品種の「フィネス」の若葉を比較してみました。どちらも形や大きさは同じ印象。「リヴレス」の方がやや赤みを帯びているように見えますね。
この時期の手入れ
3/13 殺菌剤散布。「STダコニール1000(住友化学園芸)+STサプロール乳剤(住友化学園芸)」。「ダコニール」は気温が高いと薬害が出るし、治療効果のない予防薬なので、早いめにどんどん使います。5月くらいまで使えたらOKかな。
3/15 ユーキリン(リン酸肥料/相原バラ園)+ミラクル(アミノ酸肥料/相原バラ園)を一掴みずつ芽出し肥として撒きました。
3/19 ベニカXガード粒剤(住友化学園芸)10gを、株周りに円を描いて撒きました。芽かきもこのころ終わらせました。
液肥は未使用。天候をみながら来週あたりから使おうかと考えています。
4月10日の「リヴレス」/ベーサルシュート伸びる・発蕾・芽かき・摘蕾・薬剤散布など
▲樹高45cm、1週間前に摘蕾済み 写真提供/アスタルティ
かまってちゃんバラの「リヴレス」は、枝1本につき芽を1~2本だけ伸ばしているのですが、枝のあちこちから新芽が出てきました。そのまま放っておくと細い枝が密集してしまうので、芽かきで不要な新芽を取り除いています。
1番花の蕾は全部取りつつ、蒸れを防ぐために余計な葉っぱをカット。虫も出現し始めたので、パトロールを強化しています。
▲ベーサルシュートは10cmほどの長さに 写真提供/アスタルティ
「リヴレス」のベーサルシュートがジワジワと大きくなってきました。長さ20~30cmほどになればソフトピンチします。
先週・今週と液肥を与えて株の生育を促しています。気温が高くなってきたので(23度くらい)水やりを2日に1回へ増やしました。
この時期の手入れ
3/27 「殺菌剤+殺虫剤」の散布。「殺菌剤/ジマンダイセンフロアブル(ダウ・アグロサイエンス日本)」+殺虫剤/コロマイト乳剤(三井化学アグロ)+展着剤/アビオンE(アビオン)」。
4/3・9 「有機プラス液肥トップワン」(花ごころ)をバラの規定倍率100倍に希釈して株元に散布しました。
4/10 「殺菌剤+殺虫剤」の散布。「殺菌剤/フルピカフロアブル(クミアイ化学工業)」+「殺虫剤/プレオフロアブル(住友化学)」+「展着剤/アビオンE(アビオン)」。
来週から雨が降るみたいなので「耐雨性」を重視して散布しました。フルピカフロアブル+プレオフロアブルだと効果が落ちないですしね。
4月24日の「リヴレス」/2番花の発蕾
▲芽かきを繰り返し、樹高はようやく50cmに 写真提供/アスタルティ
芽かき、芽かき、芽かきと・・・ひたすら芽かきを続けてきた「リヴレス」ですが、ようやく芽が出る速度が落ち着いてきました。樹高はようやく50cmに到達です。
前回出ていたベーサルシュートは、ソフトピンチをして育成中。ウドンコ病などの病気にはなっていません。
「リヴレス」にはアブラムシはあんまりつかないようです。姉の「フィネス」にもアブラムシはついていないので、あんまり好かれないみたい。
▲株元のベーサルシュートとサイドシュート 写真提供/アスタルティ
新たにベーサルシュートやサイドシュートが出てきました。ベーサルシュートは合計4本、サイドシュートは1本です。
▲リヴレスの蕾。まだ小さいです 写真提供/アスタルティ
リヴレスから蕾が出てきました。房咲きになりそうだったので、側蕾をカットして主蕾だけにしています。
この時期の手入れ
4/17 「有機プラス液肥トップワン」(花ごころ)をバラの規定倍率100倍に希釈して株元に散布しました。また、ユーキリン(リン酸肥料/相原バラ園)+ミラクル(アミノ酸肥料/相原バラ園)を一掴みずつ追肥として撒きました。
4/23 殺菌剤散布。「STダコニール1000(住友化学園芸)+STサプロール乳剤(住友化学園芸)」。
芽かきは、かなりの回数行いました。育てる手間はかかるけど、ベーサルシュートは出やすい品種に思えますね。
5月15日の「リヴレス」/最初の1輪が開花
▲樹高60cm。ベーサルシュートはソフトピンチ済 写真提供/アスタルティ
樹高が60cmまで上がった「リヴレス」。葉もだいぶ茂ってきたので蒸れないように内側の葉を減らしたり、芽かきをしています。
けっこうトゲがあるので葉を取るのは大変でしたが、ひとまず風通しは良くなりました。姉妹バラの「フィネス」と比べるとトゲは多めですが、枝はしっかりしています。
新しく発表された3番目の姉妹バラ「カレス」(2022年新品種)はトゲが少ないらしいのですが、どうなのでしょう?
▲雨の中、一輪だけ咲いた「リヴレス」 写真提供/アスタルティ
雨の中、最初の1輪が開花しました。ロゼット咲きで花の中央はローズピンク色、外周はタフィーピンク色です。咲き進むと、小さいイエローアイが見えるタイプでした。
香りはダマスクとフルーツの混じった「微香」。まだ株が充実してないらしく香りが弱いのですが、香りの質はスッキリとして好きなタイプでした。
▲花径8cmの中大輪花。外弁は少し白っぽい 写真提供/アスタルティ
外側の花弁が少し白っぽく、横から見るとローズピンクのグラデーション。肉眼だと優しい色合いに見えました。花の第一印象は「かわいい!」。
花首が少し曲がるので、高い台に乗せると見栄えが良くなります。
この時期の手入れ
5/1 「ベニカXガード」(住友化学園芸)を10g、株の周辺に円を描くように撒きました(2回目)。
5/4 殺菌剤散布。「殺菌剤/ジマンダイセンフロアブル(ダウ・アグロサイエンス日本)+展着剤/アビオンE(アビオン)」。
5/15 スリップス対策として「ベニカXネクストスプレー」(住友化学園芸)を蕾に吹きかけました。
病気はありませんが、スリップスが少しいたので「ベニカXネクストスプレー」を吹きかけています。天候も風速も怪しかったので、5/15の薬剤散布は取りやめました。
5月22日の「リヴレス」/開花真っ盛り
▲気温が高くなり、一気に咲き始め 写真提供/アスタルティ
最高気温が25度を超えるようになって、「リヴレス」が元気よく咲き始めました。姉妹バラの「フィネス」がまだ咲いていないので比較はできませんが、花色はほぼ同じ?
発色が良く樹形も整っているので、かなりキレイに映ります。
▲ローズピンク色の花。花の大きさは8cm 写真提供/アスタルティ
主蕾だけを残した場合、花の大きさは大体8cmくらいで安定します。
香りはやっぱり「微香」ですが、香らないわけではないので秋になれば改善するかもしれません。
▲咲き終わりの花形 写真提供/アスタルティ
「リヴレス」の花はあまり長もちしません。花びらが全開し、立ち上がりがなくなるとすぐにハラハラと散っていきます。花もちは3日ほど。
この時期の手入れ
5/22 「殺菌剤+殺虫剤」の散布。「殺菌剤/フルピカフロアブル(クミアイ化学工業)」+「殺虫剤/プレオフロアブル(住友化学)」+「展着剤/アビオンE(アビオン)」。
ユーキリン(リン酸肥料/相原バラ園)+ミラクル(アミノ酸肥料/相原バラ園)を一掴みお礼肥として投入。
来週は忙しいので、1週早くお礼肥を入れました。
殺菌+殺虫剤は1ℓ分を作って散布しています。噴霧器は使用していないので、他の人より少ない方だと思いますが病気は出ていません。
>>次のページでは「鉢増し」から紹介しています。
バラって凄く品種がありますが。考えたら。全部、受粉させて、種から作るんですよね。1品種作るとしても。きちんと固定できないとダメですしね。姉妹品種のようなのもあるんですね。固定ってより。出来たら接ぎ木か挿し木で増やすんでしょうかね? 考えた事なかった。でも、確かに品種を詳しく書いてる所には○○と△△とか。記載がありますね。 昨日は暖かい天気だったので。もう大丈夫だろうと鉢を壁沿いに。あちゃ~ 完全に鉢が多すぎる(苦笑 いくつかはミニドッグランで育てるのも考えていますが、それでも多い。早くミニドッグランに鉢を置く棚を作らないと。。。 壁沿いに鉢を置いても。ローテーションはさせてます。道路に近い方はお日様があたるけど。ミニドッグランの近くは真夏しかお日様があたらないので。。。
こんばんわ、ORCAさん
わたしは「バラ」の種から作った経験はないけど…大体
一定数の種は発芽しない(品種によってまるで発芽しないパターンも)から
スペアは作っておくのが普通でしょうね
何かの拍子に枯れるパターンもあるでしょうから
差し木は時間がかかりすぎるので、接ぎ木でしょうね、多分
真夏しか日が当たらないミニドッグランで育てるのなら、ミニバラのほうが
お勧めかなぁ
青バラって、やっぱり一定の日照量は必要でしょうし…
ミニドッグランは、道路側はお日様は当たらないのですが。道路の反対側はお日様が当たるんです。 ま。そこへ棚を作ろうかと。でも。あくまでもわんこの為に作ったミニドッグランなので。そんなに数は置けないかな?ボール遊びして。枝が折れたら困るし(笑 青系バラ。ブルーヘブンに青龍も赤い新芽がちょこっとだけです。。。ブルーグラビティーはけっこう丈夫っぽいですね。緑の葉が出てきてます。尺鉢じゃなくて。8号鉢。土が少ないので移動も楽です(笑