根頭がん腫病が見つかった「ブルーパフューム」の苗に一般的な治療をして育てる記録です。どんな経過をたどるのか、一緒に観察しましょう!
根頭がん腫病はこんな病気
バラ苗 ブルーパフューム 国産大苗6号スリット鉢ハイブリッドティー(HT) 四季咲き大輪 紫系
根頭がん腫病は、主にバラ科の植物にみられる病気です。バラ以外にも桜やボケにも発症します。根の頭(株元)や根にコブができ、放置すればじょじょに木に勢いがなくなり花数が減り、やがて枯れてしまうこともあります。
現時点では有効な特効薬がない上、感染力が強く、枝を切ったハサミから他の株にも感染するというやっかいな病気のため、初心者さんには株の廃棄処分をおすすめします。
他の株への感染を完璧に防ぐことができるなら、治療を試みることもできます。今回は、一般的な治療をほどこした根頭がん腫病感染株「ブルーパフューム」(HT)が、どんな経過をたどるのか、観察したいと思います。
▼根頭がん腫病について詳しくは、こちらの2記事をご覧ください
今回育てる根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」の環境DATA
関東の、陽当たりの良い庭
昨年の秋に購入した大苗。冬の植え替えで根頭がん腫病が発覚!
今年の目標/根頭がん腫病の治療をした苗がどうなっていくか、観察する
育てる人/天女の舞子
2月4日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」/根頭がん腫病の治療
▲根頭に大きながん腫が! 写真提供/天女の舞子
昨年秋にあったイベントで購入した「ブルーパフューム」の大苗を8号鉢に植え替えようと鉢から抜いてみたら──株元からゴロリと大きなコブが出てきました。根頭がん腫病です!
この株、治療を施してから感染しないように他のバラと離した場所で栽培してみることにします。
▲大小5つのがん腫のコブを取り除きました 写真提供/天女の舞子
がん腫のコブは一番大きなコブが株元に、少し小ぶりのものが根に、全部で大小5つありました。これらすべてを指でちぎって取り除きました。コブは指で簡単に取ることができます。
▲切り口にトップジンMペーストを塗布 写真提供/天女の舞子
コブを取り除いたところに、傷口の殺菌と癒着を促進する効果のある「トップジンMペースト」を塗布しました。
▲8号スリット鉢に植えつけ 写真提供/天女の舞子
その後、新しい培養土「マイローズ バラの培養土」を使い肥料なしでロング(縦長)の8号スリット鉢に植替えました。
3月9日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」/萌芽
▲枝は青々として元気そう 写真提供/天女の舞子
がん腫のコブを5つ取り除いた「ブルーパフューム」は、今のところ元気そうです。
▲あちこちから萌芽 写真提供/天女の舞子
赤っぽい新芽が少しずつ展開してきています。
根にきつい処理をしてしまったので、根の生育を助け、根からの水分や養分の吸収を助ける働きのある菌根菌を使ってみることにしました。鉢土の3カ所に穴を掘り、5ミリリットルずつ計15ミリリットルの菌根菌を入れて土をかぶせ、水やりしました。
菌根菌はカビやキノコの仲間ということで、根頭がん腫病の原因菌にもなにかいい働きがあればいいな──と、期待しています。
3月24日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」
▲葉が大きく広がり元気そう 写真提供/天女の舞子
葉が大きく広がり、意外と元気そうです。暖かくなってきたせいか、鉢土が乾きやすくなってきました。思ったより早く鉢増ししなければいけないようです。
3月31日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」
▲がん腫苗とは思えないほど元気! 写真提供/天女の舞子
根頭がん腫病の「ブルーパフューム」は、生長がとても早いです。青バラの上にがん腫なので、あまり長く持たないかな? と思ってましたが、ほかの病気のない健康なバラと比べても早いスピードで生長している気がします。
以前試しにがん腫のバラを2つ育てたことがありますが、「春の芽吹きさえしなかった株」「夏になる前に枯れてしまった株」と、どちらも生育が思わしくありませんでした。それに比べて今回の「ブルーパフューム」は私の予想と違う元気な育ち方なので、本当にがん腫なの? とすら思ってしまいます。
4月7日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」/発蕾
▲枝先に小さなつぼみが! 写真提供/天女の舞子
ブルーパフュームは相変わらず元気で、枝の高い方に2つ、真ん中あたりに1つつぼみが出てきています。見た目はとても元気です。がん腫苗なのがやっぱり信じられないくらい、他のバラに比べて生育がいいです。
竹酢液を薄めて土に散布しました。微生物が活性化されるそうです。
4月21日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」
▲つぼみを含めて順調そう 写真提供/天女の舞子
ブルーパフュームは、がん腫のせいなのかとても生育が旺盛です。次々つぼみを上げています。
▲ポツポツ色の抜けた斑点が 写真提供/天女の舞子
前回はなかったのですが、色の抜けた斑点が出てきています。葉を裏返すと、裏にはまったく異変はありません。初めて見る症状で、原因が特定できません。ご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたいです!
薬剤は一度も使っていないので薬害ではないし。化成肥料を混ぜずに植え込み、芽出し肥も与えていないので、肥料不足くらいしか思い当たりませんが──。しばらく様子をみようと思います。
▲一部の葉が萎れているのも気になる 写真提供/天女の舞子
風でこすれたのか、一部の葉が萎れてるのも気になります。写真で気がついたのですが、アブラムシがいますね。撮影後に退治しておきました。
4月30日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」
▲もうすぐ咲きそう! 写真提供/天女の舞子
つぼみのガクが割れ、花びらの色が見えてきました。もうすぐ咲きそうです。
▲これはもしやバラゾウムシ? 写真提供/天女の舞子
枝がすっかり黒くなり、葉は萎れて垂れ下がっているところが1枝だけありました。時期的にバラゾウムシ被害かな? と思って探してみましたが、見つけられませんでした。枯れたところは切り取りました。
5月10日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」/開花
▲最初の1輪は、少し不思議な花に 写真提供/天女の舞子
ブルーパフュームの最初の1輪が咲きました。が・・・じつは今、仕事がとても忙しくて少し水を切らしてしまったせいか、不思議な感じに咲いてきました。香りはブルー系の良い香りです。でも、「強香」というほど強くないかな? 今年は他のバラも香りが弱いように思うので、年によるバラつきかも知れませんが。
▲HTらしい、巻いたつぼみ 写真提供/天女の舞子
2輪目のつぼみも、少しほぐれてもうすぐ咲きそうです。こちらは水やりをしっかりして咲かせたいです。
5月13・14日の根頭がん腫病苗「ブルーパフューム」
▲3輪目が色のり良く開花 写真提供/天女の舞子
相次いで2輪目、3輪目が開花してきました。2輪目はやや白っぽく、3輪目が一番濃い色に形良く咲いてくれました。あんなに大きながん腫があったのに、ちゃんと咲くんですねー!
▲満開の3輪目 写真提供/天女の舞子
翌14日には、3輪目がきれいに満開になりました。HTらしい高芯がすぐにほぐれて、まるいカップ咲きに。
▲3輪すべて開いたので、撮影の後カット 写真提供/天女の舞子
3輪がすべて開いたので、撮影の後、切り戻しました。次のつぼみも控えていて、もう花びらの色が見えているものもあります。
>>つぎのページでは「2番花のつぼみ上がる」から紹介しています。