バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「レディ・エマ・ハミルトン」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「レディ・エマ・ハミルトン」は、こんなバラ
▲「レディエマハミルトン」の春花
レディエマハミルトンは、2005年イギリスのデビッド・オースチン作出のバラ(イングリッシュ・ローズ)です。
花は花びらのさほど多くないカップ型の八重咲きで、空気を含んだように軽い印象があります。花色はオレンジですが、うつむき加減に咲くことが多いので、花びらの裏側の色がよく目立ちます。花びらの裏側は黄色味を含んだ白っぽいオレンジ色──どちらかというとオレンジ寄りのアプリコットといった色目です。
ヨーロッパでは退色しないハッキリした花色を好むので、デビッド・オースチンのサイトでは輝くような濃いオレンジ色と表現されますが、実際は決して派手な色ではありません。(ヨーロッパと日本という栽培環境の違いによるものかもしれませんが)。
優しさのある控えめなオレンジ色なのでどんな植物とも相性が良く、日本人の好みにかなったバラだと思います。
樹勢が強く耐病性が高く、四季咲き性で花つきも良く、しかも素晴らしい強香品種。これだけ揃った品種なので、初心者のファーストローズにおすすめしたい優秀なバラです。
樹高1mていどのシュラブ樹形。
▼「レディエマハミルトン」についてくわしくは、こちらをどうぞ
今回育てる「レディエマハミルトン」の環境DATA
関東の東向きベランダ(日照3時間ていど)
鉢植え栽培
数年、ベランダで育てている株
今年の目標/これまで樹高を抑えて育ててきたけれど、今年からもう少し大きくして樹形を整えたい。
育てる人/あいびー
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
3月18日の「レディエマハミルトン」/若葉が展開
▲樹高は75cmていど
早春の陽気に誘われて、若葉が旺盛に展開してきました。現在の樹高は、高いところで75cmていどあります。
これまであまり大きくしないで、樹高60cmていどまでに抑えて育ててきたのですが、株がどうしてももっと大きくなりたいと言っているように思えて、今年から一回り大きく仕立てようと考えています。
置き場所は、つるバラの「ピエールドゥロンサール」と隣家との隔壁に挟まれた場所。隔壁がなければもっと日当たりがいいのですが、前面からだけしか陽が差しません。定期的に鉢を回しながら、株全体にまんべんなく陽が当たるようにしようと思います。
▲赤い縁取りのある若葉
「レディエマハミルトン」の若葉は、赤い縁取りのある緑色の葉です・・・。が、じつは数年前は真っ赤だったのです。その写真がこちら▼。
▲4年前の4月の若葉
赤いでしょ?「レディエマハミルトン」は、ダークな葉色と花のコントラストが特徴の品種です。我が家はベランダ栽培なので、冬の寒さがゆるいせいで最近、赤くならないのかなぁ~? なんて思っていますが。それとも、日照があまり良くないせいかな?
▲株元からベイサルシュートになりそうな芽が!
「レディエマハミルトン」は横張り樹形で、高さと横幅が同じくらいに広がります。
この株も横張りに育っていますが、古い中央にあった枝が枯れたため、真上から見るとドーナツのように真ん中がスカスカしているので、ここに枝を増やして、今年はドーム状にこんもりした樹形にしたいと思っています。
ちょうど内側に向かういいベイサルシュートになりそうな芽が伸びてきました。ちゃんと育ってくれるといいなぁ!
3月29日の「レディ エマ ハミルトン」/場所移動・ベニカXガード散布
▲ベランダの端に場所移動
春の嵐があるというので、枝が壁に当たらない場所に移動しました。この場所は陽当たりも良く、広いスペースが取れるのでフェンスや壁にこすれて枝先が痛むことも少ない場所です。
ただ、後ろのフェンスにつるバラを誘引しているので、どこからどこまでが「レディエマハミルトン」の枝か見えにくいので避けていたんですが。
奥の鮮やかな緑の葉がつるバラで、手前のやや沈んだ色の葉が「レディエマハミルトン」です。こうして比べると、やはり葉の色が銅色がかっていますね。
▲ベニカXガードを散布(今年1回目)
アブラムシが出たという噂をききつけ、ベニカXガードを株元に約8g散布しました。
4月16日の「レディエマハミルトン」/発蕾
▲フェンスのアンジェラが茂ってきた!
レディエマハミルトンはあまり変化がありませんが、後ろのフェンスに誘引した「アンジェラ」の明るい緑色の葉が茂り、大量の蕾が上がってきました。しばらくしたら、ピンクの小花がたくさん咲きます。
少し気になっているのですが・・・「レディエマハミルトン」の葉がとても小さいです。長さ2~3cmしかありません。同じイングリッシュローズの「デスデモーナ」の葉が、長さ6cmほどあるのに! この先、もっと葉が大きくなるんだったかな~? それとも、このまま?
▲小さな蕾を発見!
よく見ると、小さな蕾がついていました。まだ数ミリの、小さな小さな蕾です。「レディエマハミルトン」は、我が家のバラの中では少し遅咲きです。
▲ウドンコ病の治療痕
例年、この品種は病気知らずなんですが、今年は柔らかい葉に少しウドンコ病がでました。3月下旬に「ベニカXガード」を散布しましたが、それではタイミング的に遅かったような気がします。
薬剤散布を繰り返し、なんとか治療できたようで、白いウドンコの痕に黒ずみが見えています。ウドンコ病の治療痕は、こんな感じになります。
この時期の手入れ
ウドンコ病対策に、「次亜塩素酸水」と「マイローズ殺菌スプレー」を交互に散布。
光合成細菌(EM菌)を含んだ活力剤「EM1」を水やりの水に混ぜて潅水開始。少しでも日光を取り入れる手助けになればと思って使っています。
5月8日の「レディエマハミルトン」/蕾ふくらむ
▲濃い色の葉が茂っている
フェンスに誘引したピンク色のつるバラが咲いてきたので、横向きで撮影しています。レディエマハミルトンは、やや小ぶりの濃い色の葉が茂っています。
▲花のわりに蕾が小さい
蕾のガクが割れ、花びらがのぞいてきました。今のところ、濃い朱赤に見えます。花枝が短いので、葉からちょっと顔を出して咲く感じになりそうです。
蕾はほかに比べて一回り小さく、HTタイプのミニバラよりも小ぶりです。上の写真の蕾で、長さ3cm弱。
▲重曹で黒ずんだ蕾もちゃんと咲きそう
若葉にウドンコ病が出ていたので「重曹オイルスプレー」をバラには強すぎる濃度で散布した影響で、真っ黒になってしまった蕾は、どうやらちゃんと咲きそうです。黒ずみも少しやわらいできました。
蕾はぜんぶで10輪ほど確認できます。芽かきをさぼったせいで、株の割に花数は少ないめ。
5月14日・15日の「レディエマハミルトン」/開花
▲最初の1輪はパウダリーなオレンジ色
レディエマハミルトンが開花しました。かなり白っぽい、パウダリーなオレンジ色に咲きました。カーブの強いコロンとしたカップ咲きで可愛らしいです。
香りはミルラの強香。少し薬っぽい、ツンとした香りです。
▲2輪目はフレッシュなオレンジ色に
翌日にはもう1輪開花しました。こちらは最初の花よりハッキリしたオレンジ色でフレッシュな感じがします。
花径は7.5cm。枝を長く残した影響か、例年より小ぶりです。この品種は房咲きになるのですが、今年はすべて1輪咲きでした。これも枝を長く残したためでしょう。
▲レディエマハミルトンは控えめな咲き方
レディエマハミルトンの蕾は上向きにつきますが、開花が近づくにつれ横向きになり、花は横からやや下向きに咲きます。そのため花が株から飛び出したようにならず、葉の間に埋もれるように咲きます。
また、比較的鮮やかな内側のオレンジ色は見えず、外弁の控えめなオレンジ色がよく見えます。
強いオレンジ色は、やや他のバラと合わせるのが難しいところがありますが、レディエマハミルトンはマイルドな花色と咲き方の性質からあまり主張が強くなく、どんな花とも合わせやすいバラだと思います。
5月18日の「レディエマハミルトン」/咲き終わり
▲まだまだキレイなのにあっさり散る
開花から4日。レディエマハミルトンが散り始めました。花もちは4日です。花びらはまったく傷んでいないのに、あっさり散ります。花びらの付け根が弱いかんじがします。
今年はちょうど開花から4日目が風をともなった雨だったので散りやすかったと思いますが、長くても5日目には散るでしょう。
▲一番花の最盛期
最初の一輪は散りましたが、後続の花がつぎつぎ咲いてきました。咲き残りのビオラやフェンスに誘引したアンジェラと一緒に、華やかなベランダを演出してくれています。右下の濃いオレンジ色は別のバラ(ミニバラ)です。
今年の一番花は10輪ほどしかないので、これが最盛期ですね。レディエマハミルトンは通常4~5輪の房咲きなので、本来ならもう少し賑やかな感じになります。
▲ピンク×オレンジ×黒赤が最近のお気に入り
この時期、我が家のベランダはバラの最盛期です。ピンクのアンジェラと黒赤の紅玉、そしてオレンジ色のレディエマハミルトンとミニバラ。この花色の組み合わせが最近のお気に入りです^^
▲右は名前不肖の黄バラ
黄色やオレンジ色のバラは組み合わせが難しいとよく言われますが、たとえば黄色味の強いレディエマハミルトンなら、淡い黄色と合わせてシャーベットカラーみたいにしてもキレイかなぁと思います。
濃いオレンジと濃い黄色の組み合わせだとビタミンカラーで元気な感じですが、レディエマハミルトンならシャーベットカラーでふんわりさせた方が映える気がします。
5月24日の「レディエマハミルトン」/咲き終わり・切り戻し・お礼肥え
▲春花の咲き終わり
春の一番花がほぼ咲き終わりました。残るはあと2輪です。咲きがらは、5枚葉の上で切り戻ししました。
▲株の中心から出た芽はベイサルシュートにならず
そういえば、株の中心から出た新芽はどうなったかというと──。最初に出た芽はほとんど伸びずに出開きになってしまいました。その後に出た芽には蕾がつき、きれいに咲きました。
どちらもベイサルシュートにはならなかったですね。花後に出るベイサルシュートに期待しましょう!
▲鉢に沿ってバットグアノを施肥(お礼肥え)
鉢縁の表土を浅く掘り、有機質肥料(粒状バットグアノ)を撒いて埋め戻しました。コバエがわくのが嫌でずっと化成肥料を愛用していますが、バラのためを思えば肥料は微量要素の豊富な有機質肥料を選びたいところです。今回、お試しでバットグアノを使ってみます。
規定量は有機質肥料らしくアバウトで、5号鉢で5~12g。この鉢は10号鉢なので10gをお礼肥えとして施肥しました。
>>つぎのページでは「ベイサルシュートが発生」から紹介しています。
こんばんわ
新しくイングリッシュローズを二鉢ほど買ったので、レディエマの記事を読み込んで参考にさせてもらっています
かなり似てるんですよね…レディエマと特徴が
(ちなみにレディなんとかさんと最新品種さんです)
放射線状に巻いたほうがいいってことは、本当はオベリスクに巻くのが
最善なのかも
エマの秋花が綺麗に咲きましたね
アプリコットカラーが映えて美しいし、優しい香りが想像できて羨ましいです
アスタルティさん、こんにちは。
イングリッシュローズを購入されたんですね。
イングリッシュローズもいろんなタイプがあるのですが、
レディエマは、枝の更新が早いタイプのようです。
古い枝はさっさと芽つき花つきが悪くなり、どんどんベイサルシュートを上げる。
新しい枝は芽つきがいいので──というか、芽がつきすぎるので
横向きに伸びる側枝を作らず、地際から放射状になるように樹形管理するといいと思います。
横向きに伸びる側枝はブラインド芽だらけになってしまいます。
それでもブラインドはできるので、定期的にブラインド芽を取り除くといいかと。
イングリッシュローズは、可能な限り誘引しない方が花つきが良くなります。
なので、つるバラ仕立てにするのなら誘引は欠かせませんが
花つきを確保したいなら、誘引なしでも自立する高さに剪定した方がいいです。
樹形の記事を今書いているので、
参考にしてください。
2本書く予定なので、2本目の方が参考になると思います。
あいびー