枝同士の間隔を広げるために、間になにかを挟む方法があります。見るからに簡単そうに見えるこの方法、じつはとても危険です。「枝ブリッジ」のやり方と危険性、注意点を紹介します。
枝同士の間隔は適度に離れているのが理想!
▲直立樹形のバラは、枝葉が密集しがち
バラの管理に慣れ、あるていど枯らさず育てられる自信がついたら、次に考えたいのが樹形です。バラの樹形はこんもりしたドーム型が理想形。しかもどの枝も適度にバラけていれば、まんべんなく日光が当たります。
でも、剪定だけで理想形にできない株も多いですよね。とくに直立樹形のバラは枝と枝との間隔が狭く、枝葉が密集してしまいがちです。これを人為的に広げるのが「枝ブリッジ」。枝と枝との間に橋を渡すようになにか(枝など)を挟んで間隔を広げる方法です。バラの先生の動画でご覧になった方もいるでしょう。
簡単そうに見えるこの「枝ブリッジ」ですが、じつは少々危険です。慣れないうちは、大事な枝をダメにしてしまう恐れが高いんです。そのため、今回のこの記事の主目的は「枝ブリッジはやらない方がいい」と伝えることです。その理由と、それでも行う場合の注意点を紹介します。
ちなみに「枝ブリッジ」は、わたしの造語です。記事化するにあたり、固有名詞があった方が便利なので命名しました。バラの先生やほかの方は別の名称を使っているかもしれません。ご注意ください。
「枝ブリッジ」のやり方
▲枝ブリッジで、主幹同士の間を広げる
このバラは、直立樹形のパティオローズです。芽かきと同時に、主幹同士の間に別の枝を挟んで(ブリッジして)間隔を5mm広げました。
ここではブリッジにバラの枝を使っていますが、割り箸を切ったものでもなんでも構いません。
▲芽かき、「枝ブリッジ」から10日後
上の写真は、10日後の同じ株です。新芽がバラけて、のびのびとした株姿になりました。最初の写真と比べれば、その差がハッキリ分かると思います。
「枝ブリッジ」で注意したい2つのポイント!
簡単そうに見える「枝ブリッジ」ですが、絶対に守りたいポイントが2つあります。これを知らずに大事な主幹をダメにしてしまうこともあるので、必ず押さえておいてください。
ポイント1、株元から出ている主幹同士でブリッジする
▲「枝ブリッジ」は、株元から出ている枝同士で行う
ブリッジを渡して広げるのは、必ず株元から発生している主幹同士。つまり上の写真の、赤丸のような枝同士なら枝ブリッジできます。
青丸のように、枝分かれしている枝同士でブリッジするのは危険です。高確率で付け根から裂けてしまいます。裂けてしまった枝は、片方がダメになるならまだ良くて、下手をすると両方の枝に深刻なダメージを与え枯れてしまう恐れがあります。
ポイント2、絶対に無理して広げない!
▲「枝ブリッジ」で広げるのは5mm!
ポイント2は、無理して広げないということです。広げたい枝の太さが鉛筆の太さなら、少なくとも付け根から15cm以上の高さでブリッジしましょう。しかも、広げるのは5mmです。欲張ってはいけません。
写真の株はパティオローズで、右の主幹は鉛筆の太さですが左の主幹は細いので、株元から13cmのところでブリッジしています。このように主幹が細ければ15cm以下もアリですが、普通サイズのバラなら最低でも15cm以上の高さでブリッジを。
太い枝同士を無理して広げると、意外とあっけなく裂けます。裂けた枝はガクリと生長が衰え、枯れてしまう恐れもあります。十分、注意してください。
「枝ブリッジ」失敗例
▲主幹4本の状態の良い株だったのに・・・
ここまで「枝ブリッジ」が危険だと強調するのには理由があります。要するに、わたし自身が失敗してしまったからです。
上の写真は、冬にシェエラザードを植え替えたときの写真です。しっかりした鉛筆以上の太さの主幹が4本ある、とても状態の良い株です。春にはたくさんの花を咲かせてくれるはずでした。
▲枝分かれした主幹を広げようとして裂けてしまった!
ところが──。株元近くで枝分かれしている主幹の間隔が狭いのが気になって、枝ブリッジをしようと思い、両手で広げていて裂けてしまったのです。そんなに強く広げたわけでもないのに、意外とあっけなく裂けて驚きました。
一応テープで補強して様子を見ましたが、明らかに生長が衰え、芽吹きはしたものの、若葉が2枚ほど広がっただけでそれ以上生長しませんでした。
まだ若い勢いのある株なので、新しいベイサルシュートが発生することを願って、花が咲く前に泣く泣く2本の主幹を切り取りました。
▲今も主幹2本のまま
枝裂けから1年。結局、去年はベイサルシュートは発生しませんでした。以前は、あんなにしっかりした4本の主幹があったのに、なんともさみしい感じです。今年こそ1本でもいいから発生してほしいと願っています。
こんなことにならないよう、皆さまご注意ください!
まとめ
今回は、枝の間隔を広げる「枝ブリッジ」の方法を紹介しました。枝と枝の間になにかを挟んで広げる、一見して単純な方法なんですが、これがじつは危険で、安易に考えてやると失敗しやすいよ! っていうお話でした。
最後にわたしの大失敗例を掲載していますが、この春、応援レポーターの天女の舞子さんも同じような失敗をしてしまったのを見て、記事にして注意喚起しようと思い立ったのです。
「枝ブリッジ」はバラの先生の動画でもときどき登場しているので、やってみようと思う方も多いでしょうが、十分注意してください! ちょっと気になるていどなら、やらない方が無難だと思います!
▼季節ごとのバラの手入れ一覧は、こちらからどうぞ
へぇ~ こんな方法もあるんですね。歯科矯正みたい(笑 はい。僕はバッサリと切り落とすタイプなので(笑 が・・・本日。大事件が起きてしまいました...
ORCAさん、こんにちは。
枝同士が混みあっているときに、間を広げる方法です。
小山内先生の動画でときどき登場するので、
自分もやってみたいと思う方が多いのでは? と思い、
注意喚起のために記事にしました。
ネーミングは確かに歯科矯正みたいですね^^
しかし「大事件」・・・。
気になりますね。
あいびー
こんばんわ
枝が裂けたときの精神的ダメージを考えると、枝ブリッジはしないほうが良さそうですね。
特に枝が乾燥している冬は折れやすいですし。
もしするなら、芽吹いて枝に柔軟性が出てきた頃のほうがいいのかな。
さて「大事件」ですかー。
いったい何が起こったのでしょうね。
アスタルティさん、こんにちは。
「枝が裂けたときの精神的ダメージを考えると、枝ブリッジはしないほうが良さそうですね。」
その通りだと思います。
裂けてしまうリスクをおかすくらいなら、ちょっと枝の間隔が狭くても
芽の方向をしっかり調整して樹形を整えた方がいいですよね。
そうそう、冬はとくに乾燥しているから危険ですよね。
「大事件」は──わたしは教えてもらいました。
次回のグリーンアイスのそだレポをお楽しみに!
あいびー
あいびーさん、こんにちは。
枝ブリッジにこんな危険性があるとは気づいていませんでした。
昨年、いくつかの株でやっていましたが、枝が折れたり裂けたりしなかったのは運が良かっただけかもしれません。今後は気をつけようと思います。
注意喚起を記事にしていただきありがとうございました!
そだレポも楽しみにしています。
とらうさぎ
とらうさぎさん、こんにちは。
枝ブリッジ、わたしも失敗する前は結構気軽にやっていました。
だから油断して、記事のようなことになったんだと思います。
アスタルティさんも書いてらっしゃるように、
冬場は木が乾燥して裂けやすいので、春以降の葉が茂っているタイミングなら
まだ失敗しにくいと思います。
ほんと注意してくださいね!
あいびー