手入れが楽でよく咲くマリーゴールドですが、あまりに見慣れすぎて、ちょっと新鮮味がないと思っているかたも多いのでは? マリーゴールドにはおなじみのオレンジや黄色以外にも、ライムグリーンバニラホワイトなどガーデンに取り入れやすい淡い色の品種も登場しています! 日本の夏花壇に欠かせない花、マリーゴールドを紹介します。

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マリーゴールドの特徴と、コンパニオンプランツとしての使われ方

 

温多湿な日本の夏は、人間はもちろん植物にとっても厳しい環境です。マリーゴールドは日本の夏をものともせず咲く暑さに強い植物として、夏花壇になくてはならない存在。花の色は、ぱっと目を引く鮮やかなオレンジや黄色が中心です。見ていると思わず元気がわいてくる、ビタミン・カラーですね!

 

マリーゴールドはキク科、タゲテス(Tagetes)属(コウオウソウ属またはマンジュギク属ともいいます)の植物です。原産地は中央アメリカ。園芸品種には「フレンチ・マリーゴールド」や「アフリカン・マリーゴールド」などと呼ばれる種類がありますが、すべてメキシコ原産の植物です。

 

マリーゴールドは根にセンチュウ(とくにネグサレセンチュウ)の防除効果があり、さらに全草から異臭がするのでその香りでアブラムシやコナジラミを避けるとされています。畑では大根を腐らせてしまうネグサレセンチュウを減らすために大根を育てる前にマリーゴールドを植えたり、アブラムシやコナジラミ対策にトマトやナス、キュウリなどと一緒に植えられます。こういう、一緒に植えることで良い影響を与える植物をコンパニオンプランツといいますが、マリーゴールドはコンパニオンプランツに利用される代表的な植物です。

 

マリーゴールドの名前の由来

在、日本で広くマリーゴールドと呼ばれている植物の学名はTagetes英名がmarigoldです。日本では英名をそのままカタカナ表記にしているのですね。

 

和名では種類に応じて

●千寿菊(センジュギク)=アフリカン・マリーゴールド( Tagetes erecta

●紅黄草(コウオウソウ)または万寿菊(マンジュギク)または孔雀草(クジャクソウ)=フレンチ・マリーゴールド(Tagetes patula

●細葉紅黄草(ホソバコウオウソウ)または姫紅黄草(ヒメコウオウソウ)=メキシカン・マリーゴールド(Tagetes tenuifolia

と、さまざまな名称があります。

 

「マリーゴールド」という名称は、「聖母マリアの黄金の花」という意味で名づけられました。ローマ・カトリック教会が定めた「聖母マリアの祝日」で、いつもこの黄色い花が咲いていたことに由来するそうです。

 

マリーゴールドとポット・マリーゴールドは別の植物!

▲ポット・マリーゴールドとも呼ばれるキンセンカ(カレンデュラ)

 

で紹介したように、マリーゴールドの英名はmarigoldです。ところが紛らわしいことに、英名でポット・マリーゴールド(pot marigold)またはコモン・マリーゴールド(Common marigold)と呼ばれるまったく別の植物があるのです。ポット・マリーゴールドは、和名でいえばキンセンカです。学名のカレンデュラ(Calendula)の名称で呼ばれることも多くなってきていますね。

 

ハーブの世界ではキンセンカのことを通常「ポット・マリーゴールド」と呼ぶそうです。花屋で「ポット・マリーゴールドください」と言ったら「マリーゴールドはここです」と、キンセンカではなくマリーゴールドを指さされたと憤慨している方のブログを読んだことがあります。花屋さんの勉強不足ではありますが、これだけ紛らわしければ仕方ないですね!

 

シェイクスピア(1564-1616)の「冬物語」にもマリーゴールドが登場します。主人公のシチリア王リオンディーズの娘パーディタが「マリーゴールド、お日さまと一緒に寝て、お日さまと一緒に涙を流して起きる花」と言うセリフがあるのです。マリーゴールドは日が沈むと花を閉じ、日が昇ると朝露を含んで花開くという意味合いです。このマリーゴールドはポット・マリーゴルドつまりキンセンカをさします。キンセンカは1日でしぼんでしまう一日花なので、シェイクスピアはこういう表現をしたのですね。

 

マリーゴールドは16世紀初頭に中央アメリカからスペインに渡り、ヨーロッパに広まった植物です。シェイクスピアが活躍した時代のイギリスでは、まだマリーゴールドはキンセンカをさしていたようです。上で紹介した「聖母マリアの黄金の花」も、もともとはキンセンカをさしていました。それがいつの頃からか、今のマリーゴールドをさすように変化したのです。この紛らわしい状況は、ハーブ愛好家のみならず、花言葉の世界でもややこしい事体をつくりだしています。

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マリーゴールドの花言葉はいいものから悪いものまで多種多様!

 

リーゴールドには良い意味も悪い意味も、さまざまな花言葉があります。その多くがギリシア神話のアポロンの逸話からつけられたものです。もともと「マリーゴールド」という花名は今でいうキンセンカをさしていたという、ややこしい事情もあって、キンセンカの花言葉=マリーゴールドの花言葉として伝わっているものも多くあります。

 

マリーゴールド単体の花言葉としては、原産地メキシコの風習に由来する「別れの悲しみ」があてはまります。

 

マリーゴールドの悪い花言葉「嫉妬」「絶望」「悲しみ」「悲観」「下品な心」

 

リーゴールドの花言葉には「嫉妬」、「絶望」、「悲しみ」、「悲観」、「下品な心」など、暗いイメージのものが並びます。それぞれ理由がありますので、順番に紹介しましょう。

 

「嫉妬」「下品な心」などの花言葉は、アポロンと水の精霊クリュティエのギリシア神話が由来とされています。

 

水の精霊クリュティエはアポロンに恋い焦がれていました。一時は恋人になるものの、すぐにアポロンはペルシア王の娘レウコトエに心変わりしてしまいます。嫉妬に苦しんだ水の精霊クリュティエは、気性の荒いレウコトエの父にアポロンと娘のことを密告します。父王は怒り、娘を生き埋めにしてしまいます。衰弱したレウコトエをあわれに思ったアポロンは、彼女を1本の乳香の木に変えました。そして水の精霊クリュティエの弁解もきかぬまま、アポロンは彼女から去ってしまいました。哀れなクリュティエは9日間、天の太陽を見つめたまま立ち尽くし、ついに1本の花となってしまいます。それがヒマワリ(一説にはマリーゴールド)だといわれています。

 

 

「絶望」「悲しみ」「悲観」などの花言葉は、アポロンとクリムノンのギリシア神話が由来とされています。

 

シチリア島の少年クリムノンは、アポロンに恋焦がれ、アポロンを思いながら毎日、太陽を見つめていました。やがてアポロンもクリムノンの気もちに気づき、彼に愛情を感じるようになります。それを知った雲の神が嫉妬から、天を雲で覆ってクリムノンとアポロンを会わせなくしてしまいます。クリムノンは深い悲しみからついに9日目に死んでしまいます。ようやく雲から抜け出たアポロンはクリムノンの死を悼み、彼を1輪の花に変えました。それがキンセンカ(=マリーゴールド)だといわれています。

 

マリーゴールドの良い花言葉「健康」「戦士」「信じる心」「信頼」「預言」「濃厚な愛情」

出展/photo libraly

 

リーゴールドには「健康」、「戦士」、「信じる心」、「信頼」、「預言」、「濃厚な愛情」などの、良い意味の花言葉も多くあります。「健康」、「戦士」、「信じる心」、「信頼」、「預言」、これらはアポロン自身をさす言葉です。マリーゴールドが太陽(アポロン)を連想させる花なので、こういった花言葉がつけられたのでしょう。

 

「濃厚な愛情」は、アポロンに恋い焦がれたカルタの神話が由来とされています。

 

カルタは、アポロンに強く恋い焦がれ、毎日、昼は太陽を見続け、夜は家にも帰らず空を見つめてじっと朝を待っていました。次第にやせ細ったカルタの体はついに魂だけになってしまいます。カルタが立っていた場所には、1輪の花が咲きました。それがキンセンカ(=マリーゴールド)だといわれています。

 

原産地メキシコでは死者を偲ぶ花

Ofrenda para Yolanda y Ana María,  día de muertos
Ofrenda para Yolanda y Ana María, día de muertos / Yolanda Arango

 

産地メキシコでは、マリーゴールドは「死者の日」を彩る花として、大量に栽培されています。「死者の日」とは、11月1日と翌2日に行われる祝祭日で、家族や友人が集い、死者への想いをはせて語り合う日です。祭壇に故人にゆかりの品とともにマリーゴールドと骸骨のオブジェが飾られます。死者の日はラテンアメリカ全土で行われている風習で、とくにメキシコでは盛んです。日本のお盆のような風習ですが、そこはラテンアメリカです。明るく楽しいムードの祝祭日です。

 

この風習から「別れの悲しみ」という花言葉がつけられたようです。これだけはヒマワリでもカレンデュラでもないマリーゴールドに限った花言葉といえますね。

 

マリーゴールドの種類

リーゴールドには「フレンチ・マリーゴールド」「アフリカン・マリーゴールド」「メキシカン・マリーゴールド」「宿根マリーゴールド」があります。それぞれの特徴を紹介します。

 

フレンチ・マリーゴールド

 

レンチ・マリーゴールドは、タゲテス・パツラ(Tagetes patula)を親として品種改良されたグループで、日本でごく一般的にみられるマリーゴールドです。フランスのパリから広まったことからフレンチ・マリーゴールドと呼ばれます。

 

草丈は30~50cm。花径5cmくらいの花を茎の先に一つづつつけます。花色は黄色、オレンジ色、赤。一般的な八重咲きの他に一重咲きもあります。

 

花期は6~10月/一年草

 

アフリカン・マリーゴールド

 

フリカン・マリーゴルドは、タゲテス・エレクタ( Tagetes erecta)を親に品種改良されたグループです。草丈が高く、1m以上になりますが、品種改良で30cmほどの矮性品種も登場しています。フレンチ・マリーゴールドに比べて花が大きく、花径7~10cmのボリュームのあるポンポン咲きになります。

 

花色は黄色、オレンジ色の他にライムイエローやクリームホワイトがあります。

 

花期は6~10月/一年草

 

メキシカン・マリーゴールド

Red gem
Red gem / quinn.anya

キシカン・マリーゴールドはタゲテス・テヌイフォリア(Tagetes tenuifolia)を親に品種改良されたグループです。葉の細いタイプのマリーゴールドで和名では細葉孔雀草と呼ばれます。

 

草丈は低く15cmほどで、カーペット状に広がります。花径2~3cmの小さな一重咲きの花を咲かせます。花色は黄色、オレンジ、赤。暑さに弱いので寒冷地向きです。

 

宿根マリーゴールドはハーブとして流通!


ハーブの苗 「レモンマリーゴールド 9cmポット」

 

レンチ・マリーゴールドにしろアフリカン・マリーゴールドにしろ1年草なんですが、宿根タイプのマリーゴールドもあります。主な品種は「レモン・マリーゴールド」(Tagetes lemmonii)と「ミント・マリーゴールド」(Tagetes lucida)。どちらも良い香りを想像する名前ですよね。

 

レモン・マリーゴールドはじつはレモンのような匂いではなく、マリーゴールドを濃厚にしたような好き嫌いのある香りです。葉をお茶にして利用できます。

 

ミント・マリーゴールドは別名をウインター・タラゴンといい、タラゴンに似たぴりっとした辛みのある生の葉を刻んで料理に使ったり、お茶にしたりします。本当のタラゴン(エストラゴン)は日本で育てるのが難しい植物なので、その代用として使われているのです。

 


【藤田種子】メキシカンミントマリーゴールドハーブ種

 

レモン・マリーゴールドもミント・マリーゴールドも花期は9~12月。

 

ガーデンに取り入れたい淡い色のアフリカン・マリーゴールド&秋を彩る宿根マリーゴールド

 

リーゴールドといえば色鮮やかな黄色やオレンジ色を思い浮かべますよね。ちょっとインパクトが強すぎてガーデンに取り入れにくいと思う方も多いのでは? アフリカン・マリーゴールドには淡い色の品種があります。これを上手に使えば、ガーデンで大活躍してくれますよ。

 

上の写真は「国際バラとガーデニング・ショウ」2018で吉谷桂子さんが制作したガーデンの一角です。おそらく「ライムグリーン」というアフリカン・マリーゴールドを使っていると思われます。「ライムグリーン」は、咲き始めはグリーンで、咲き進むにつれライムイエローに変化していきます。はっきりした黄色い花と組み合わせることで、「ライム・グリーン」の優しい表情がうまく引き出されていますね。

 

 

これも吉谷桂子さんのガーデンの一角です。ここで使われているのは「F1バニラ」という品種と思われます。F1バニラはクリームがかった白花のマリーゴールドです。とてもマリーゴールドとは思えない、ふわふわした優しい印象の花ですね。

 


【種】アフリカンマリーゴールド F1バニラ(S-33)【クーポン配布店舗】

 

淡い色のマリーゴールドは苗の流通量が少ないので、自分で種まきして育ててみてはいかがでしょう? 4~7月が種まき時期です。発芽率もよく、簡単に育てられます。

 

宿根マリーゴールドは、秋の彩りとしてガーデンに取り入れて!

Tagetes lucida, the Sweetscented Marigold
Tagetes lucida, the Sweetscented Marigold / Dick Culbert

 

宿根マリーゴールドのレモン・マリーゴールドもミント・マリーゴールドも、どちらもガーデンを彩る観賞用植物というより、ハーブの苗として流通することが多い植物です。花期は9~12月なので、花の少ない時期に咲く、じょうぶな宿根草としてガーデンに取り入れてみてください。上の写真はミント・マリーゴールド(Tagetes lucida)の花です。

 

マリーゴールドの育て方

Golden Glow
Golden Glow / harefoot1066

 

リーゴールドは種からでも苗からでも容易に育てることができます。種の発芽適温は20~25度くらい。こぼれ種でも育つほど発芽率は高く、ポットに仮植えして大きくしてから庭に定植しても、直播きでもだいじょうぶです。

 

ただし「F1」と表記されている品種は、種ができなかったり、たとえ種ができてもその種から咲く花は親と異なることが多いので、毎年、種を購入して育てます。

 

マリーゴールドの苗は、堆肥や腐葉土などの有機肥料を花壇の土に混ぜて植えるか、鉢植えなら有機肥料の入った土で植えます。病虫害はあまりありません。とても育てやすい植物です。ときどき、夏にハダニ被害に遭うことがあるので、葉の裏に水をかけて予防し、被害が出たら殺ダニ剤で駆除します。

 

フレンチ・マリーゴールドはやや暑さに弱く、30度ほどで花が咲くのを一休みします。アフリカン・マリーゴールドは暑さに強く咲き続けます。通常のマリーゴールドは1年草です。花が終わったら処分します。宿根マリーゴールドは、レモン・マリーゴールドで-10度ていどまで、ミント・マリーゴールドで-5度ていどまでなら耐えます。冬に花が終わったら地際から30cmほどのところで短くカットしておけば、翌春また芽吹いてきます。

 

まとめ

夏花壇に定番の花、マリーゴールドについて紹介しました。じつはこの記事を書こうと思い立ったのが、「国際バラとガーデニング・ショウ」2018で吉谷桂子さんが造られたガーデンで見た淡い色のマリーゴールドが素敵だったからです。

 

マリーゴールドって色がきつくて他の花と合わせにくいし、学校や公園の花壇でおなじみすぎてロザリアンの皆さまには食指の動かない花だと思うのですね。でも、淡い色のマリーゴールドなら上手に活用できるんじゃないかと。だから当初の予定では、主に淡い色のマリーゴールドを紹介するだけのつもりだったんです。

 

ところが調べてみると、キンセンカと混同されがちなところや、ハーブとして利用される宿根マリーゴールドまで、話題満載になってしまいました。

 

マリーゴールドの花言葉は暗いイメージのものが多いのですが、じつはほとんどがキンセンカの花言葉と同じなんです。太陽に恋い焦がれる花というイメージがあるんでしょうね。ところがアフリカン・マリーゴールドの「F1バニラ」の紹介ページをみると花言葉は「友情」と書いてありました。切り花で流通しているマリーゴールドには、良い花言葉がついていますから、花束にも安心して使えます。

 

日本の夏の暑さにも耐えてよく咲くじょうぶな花マリーゴールド。ガーデンで切り花で、素敵に活用してくださいね^^

 

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