ダマスク香の代表品種「カザンラク」を紹介します。ブルガリアのバラの谷で、香油を採るために栽培されている、香り高いバラです。
カザンラク
kazanlik
DATA
「カザンラク」は、バラの谷に植えられているバラの総称
ブルガリア中部の、バルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈の間の谷は、古くからバラの生産地として知られていて「バラの谷」とよばれています。ここで生産されるバラは、主に香水の原料となるローズ・オイルを採るために使われます。バラの谷の中央にある、スタラ・ザゴラ州の町カザンリクが最大の生産拠点です。
▲バラの谷で毎年6月に開催されるバラの収穫を祝うバラ祭り(出展:フリー素材屋Hoshinoさま)
カザンリクを中心とするバラの谷に植えられている香料用のバラは、通称「カザンラク」と呼ばれています。
「カザンラク」には、正確にはRosa × damascena trigintipetala(ロサ・ダマスケナ・トリギンテペタラ)、Rosa × damascena Professeur Emile Prrror(ロサ・ダマスケナ・プロフェッサー・エミール・パロー)など数種類のバラが含まれます。
ただし、日本では「カザンラク」はRosa × damascena trigintipetala(ロサ・ダマスケナ・トリギンテペタラ)一種をさします。
「カザンラク」の香りはすっきりとしたダマスク香
カザンラク(Rosa × damascena trigintipetala)は、花径7cmのクリアなピンク色の花。花形は、やや乱れた感じのロゼット咲きです。1枝に8輪ほどの房咲きになります。
香りはダマスク系の強香。
カザンラクは、香料を採るバラとして栽培されているくらいなので、ダマスク香の代表品種といえますが、他のダマスク系の強香品種と比べるととてもすっきりとした香りです。甘すぎず、フルーツやスパイスの香りも感じません。単純な香りだからこそ、調香でさまざまな香りを生み出すパフューマー(調香師)に支持されているのかもしれませんね。
日の出前の早朝がもっともよく香るそうです。
春のみの一季咲きです。
樹形はシュラブ樹形。つるバラとしても扱える
樹形は1.8~2.5mの直立ぎみのシュラブ樹形です。自然樹形で育てれば、花の重みで枝がきれいなアーチを描いて垂れます。つるバラとして、フェンスやオベリスクなどに誘引することもできます。
枝はしなやかで誘引しやすいのですが、トゲが多いので注意してください。
原種に近い品種なので、強健で育てやすいバラです。
口コミと値段の目安
バラ苗ショップからのコメント
ブルガリアでは、香水の採取に使われている芳香の高い品種です。鮮やかなピンクの花は房咲きで、質感のある花弁です。
ロザリアンの口コミ
ブルガリアローズの代表品種 カザンリクさんが咲き始めました。もうね、もうね、この子が一輪咲くだけで辺り一面とぉ〜っても良い香りに包まれます!さすが、古くから香水の原料とされてるバラさんですね。
バラ苗の値段の目安
【バラ/薔薇】秋大苗「カザンラク[Kazanlik](ダマスク)」一季咲/アンティークローズ/#濃ピンク#中#一季#アーチ#オベ#フェンス#香[20180820] 価格:1,944円 |
まとめ
香水の原料となるバラの精油(ローズオイル)を採るために、ブルガリアのバラの谷で栽培されているバラがカザンラクです。すっきりとしたダマスク系の豊かな香りがします。
ローズオイル1オンス(30ml弱)を抽出するために450gのバラの花びらが必要といわれます。450gの花びらってどれくらいでしょうね? ローズオイル1滴を抽出するためにバラ50輪ほど必要と説明されていることもあります。いずれにせよ、ローズオイルがどれだけ貴重か分かりますね。
ローズオイルを採るためにバラが栽培されているところは、ブルガリアの他にトルコやフランス南部が有名です。フランス南部のバラはケンティフォリア系統のバラが栽培されています。トルコはブルガリアと同じダマスク系統のバラを栽培していますが、ブルガリアのバラの谷のローズオイルの方が上質とされています。
どこかで実物が見たいと思っていたのですが、横浜・港の見える丘公園の大佛次郎記念館前のバラ園に植えられているのを思いがけず見つけました。バラ園の外周にたくさん植えらえているので、機会があったら足を運んでみてくださいね。カザンラクは春のみの一季咲きです。
▼港の見える丘公園について詳しくは、こちらをご覧ください。
カザンリクを育てているのですが、一度も花が咲きません
何かヒントがあれば教えてください
小谷勝彦さん、コメントありがとうございます。
カザンリクは、シュラブ樹形のオールドローズです。
けっこう大型になり、地植えだと2mくらいの大きな茂みをつくります。
これが大きすぎるからと、冬に枝を強く剪定してしまっていませんか?
通常の四季咲きバラと同じような剪定では、強すぎます。
オールドローズの多くは、弱剪定が基本になります。
もうひとつ。
肥料を与えすぎていませんか?
肥料が多いと樹ばかり生長して花が咲きにくくなるようです。
素晴らしい芳香をもつ花ですから、咲いてくれるといいですね^^
あいびー