オールド・ローズのクラシカルな花形と育てやすさ、モダン・ローズの四季咲き性と多様な花色。両方の良いところを合わせたバラ、イングリッシュ・ローズきっての名花といえばこの「グラハム・トーマス」です。詳しく紹介します。
グラハム・トーマス
Graham Thomas
DATA
バラの系統 | シュラブ【S】 |
開花のしかた | よく返り咲く 3~4輪の房咲き |
花径 | 10cm |
花形 | カップ咲き |
香り | 強香(ティー系) |
樹形 | 本来シュラブ樹形だが日本ではクライミング樹形に(3m) |
作出情報 | 2001年 イギリス/デビッド・オースチン |
備考 |
2000年 ジェームズ・メイソン・アワード賞受賞 2009年 世界バラ会議 殿堂入り |
▼イングリッシュ・ローズについて詳しくは、こちらをご覧ください。
「グラハム・トーマス」は、イングリッシュ・ローズを代表する名花
イギリスの種苗会社デビッド・オースチン・ローゼズ社が作出したバラを「イングリッシュ・ローズ」と呼んでいますが、200品種ほどもあるイングリッシュ・ローズを代表するバラがこの「グラハム・トーマス」です。
デビッド・オースチン・ローゼズ社の公式サイトでは花色を「深みのあるピュア・イエロー」と表現しています。咲き始めは、やや温かみのあるはっきりとした黄色(山吹色)で、じょじょに白っぽくクリームを混ぜたような色に退色していきます。どの段階の花色も透明感があり美しいバラです。(日本では、クリームを混ぜた山吹色というよりクリームを混ぜたレモン色に近くなるように思えます)。
10cmほどの形のよいカップ咲きの花は、しばしばロゼット咲きやクオーターロゼット咲きになります。花枝はよく枝分かれして房咲きします。花柄が細くややうなだれるように咲く様子も優し気ですね。
花のない時期でも、明るい緑色の葉がきれいです。
「グラハム・トーマス」は、イギリスのバラの栽培家でありガーデンライターでもあるグラハム・トーマス氏に捧げられたバラです。グラハム・トーマス氏はデビッド・オースチンのナーセリーに足しげく通い、励ましの言葉や貴重なアドバイスをたくさんしてくれたのだそうです。その恩に応えてデビッド・オースチンは、新しく作出したバラを彼に捧げることに決め、新品種候補のバラの中からグラハム・トーマス氏自身にこのバラを選んでもらったのだそうです。
2009年、カナダのバンクーバーで行われた世界バラ会議で「グラハム・トーマス」は、見事にバラの殿堂入りを果たしました。
日本では大型化して、つるバラになる
冷涼なイギリスではシュラブ樹形ですが、温かい日本の気候では3m(場合によっては4m)ほどまで枝先を伸ばすつるバラとなります。イングリッシュ・ローズの中でも特に大型になる品種です。イギリスと同じくらい冷涼な北海道では、あまり大型化しないそうです。
グラハム・トーマスは、つるバラとしてアーチなどに誘引すると美しいバラです。その場合は春にたっぷり咲き、それ以降はぽつりぽつりと返り咲きます。つるバラとして枝を伸ばして咲かせるなら一季咲きと割り切った方がよいと書かれているサイトもありました。
1.5mほどの高さのシュラブとして育てる場合は、夏の剪定をすることで秋にたくさん咲かせられます。
最初の2年ほどはさほど花数はないけれど、3年目になり株が充実してくるとたくさんの花を咲かせて見事です。
強健で病虫害にも強い
グラハム・トーマスを完全無農薬で育てているという方のサイトがありました。害虫は見つけしだい捕殺しているようですが、薬剤散布は一切なしだそうです。
病気はウドンコ病耐性が強く、黒点病は少し発症します。
樹勢が強く、どんどん育つので、初心者でも安心して育てられます。さすが、殿堂入りのバラといったところですね!
ちなみに、挿し木で比較的簡単に増やせるそうです。自分で増やして楽しむ分には問題ありませんが、作出者のいるバラを増やして友人に譲ったり、まして販売してはいけません!
口コミと値段の目安
バラ苗ショップからのコメント
樹高1.7~4mに生長しますが、日本では小型の強健なツルバラとして利用すると良いです。高さのあるアーチやパーゴラにも向きます。生育中は四季咲き性は弱くなりやすいので、強い剪定は控えます。シュートも良く伸びるので、早めに仮留めすると良いです。夏に剪定して切り戻すとよく咲いてくれるようになります。(花ひろば)
ロザリアンからのコメント
つるバラとして仕立てた場合、二年目以降の春に一斉開花した時の景色は本当に素晴らしいです。
夏場以降は花数が少なくなる傾向がありますね。黒点病への耐性はやや劣るので、気になる方は予防をメインとした薬剤散布を。
バラ苗の値段の目安
予約苗 バラ苗 グラハムトーマス 裸大苗黄色系 イングリッシュローズ【12月上旬順次配送】 価格:3,780円 |
まとめ
やわらかく、温かみのある黄色が美しいグラハム・トーマス。黄バラは苦手という人も、このバラだけは特別扱いで、誰にも好かれるバラのようです。はっきりした黄色は他のバラとの配色が難しいところがあるのですが、グラハム・トーマスの優しい黄色はどんなバラとも相性がよく、合わせやすいところが人気なのでしょう。
樹勢が強く、花つきも良く、さらによく返り咲きする、なかなか育てがいのあるバラですね。ティー系の強香がするとありますが、これは条件によりけりなところがあるようです。「1番花はほとんど香らなかったけれど、2番花はよく香った」とか、「我が家のグラハムの香りはほとんど気が付かないていど」とか書いているサイトがありました。
殿堂入りのバラでもあるし、多くのロザリアンの口コミを見ても、初心者にも自信をもってすすめられるバラですね!