バラの芽吹きから冬の休眠期まで、1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか追いかける「そだレポ」企画です。今回は「ミスティパープル」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「ミスティパープル」は、こんなバラ
▲ひらひら波打つ花びらが「ミスティパープル」の特徴
ミスティパープルは、河本バラ園の河本純子さん2003年発表のバラです。
ひらひらと波打つ花びらの、淡いパープルの花を房咲きにするフロリバンダ系統の品種。四季咲きで、花径は8cm。ブルーの強香も楽しめます。樹高は1.2mていど。トゲが少なく、花もちがよく、育てやすい品種です。
2004年日本フラワー&ガーデンショウジャパンセレクション切花部門人気投票第一位を獲得しています。
バラの家のデータによると、樹勢、黒星病・ウドンコ病耐性、耐暑性は「普通」ですが、耐寒性と耐陰性が「弱い」となっています。
▲開きかけの「ミスティパープル」 写真提供/天女の舞子
これは天女の舞子家で1月に咲いた「ミスティパープル」です。まだ開き切っていないのでひらひらした印象はありませんが、中央が濃く、端にいくほど淡くなる紫のグラデーションがきれいです。
今回育てる「ミスティパープル」の環境DATA
関東の明るい半日陰(都会の住宅街のため、南向きだが狭い道路を隔てて3階建ての建物がある環境)
2年半前の夏にお迎えした株
今年の目標/元気なベイサルシュートが出てほしいです!
育てる人/天女の舞子
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
1月25日の「ミスティパープル」/冬剪定・植え替え
▲冬剪定前は樹高90cm 写真提供/天女の舞子
ミスティパープルのお迎えは2年半前の7月です。最初はあまり日当たりの良くない場所に置いていましたが、昨年から比較的日当たりの良い場所で育てています。
2本の主幹が伸びていて、真冬の1月だというのに花が咲いています。花の咲いている方は昨年に発生したベイサルシュートで、株元から90cmの樹高があります。写真左側の前からある主幹は70cmの高さです。比較的まっすぐ育つ品種なので、あまりスペースを取りません。
今日は、冬剪定と植え替え(土替え)を行います。
▲剪定後の樹高は60cm 写真提供/天女の舞子
河本バラ園のバラは「弱剪定」の方がいいそうなので、樹高60cmに冬剪定。内側に重なる枝と弱そうな枝を付け根から切り取っただけで、良い枝はあまり切っていません。とにかく「良い枝を残す」ことをイメージしました。
▲ベイサルシュート祈願で、寝かせて植えつけ 写真提供/天女の舞子
これまで植わっていた6号鉢から引き抜き根のチェックをしたところ、病虫害はなく、状態の良い根がしっかり育っていました。そこで同じ6号でも深さのある鉢(イングリッシュローズの鉢の再利用)に植え替えました。
使用した土はバラ専用の培養土「わくわくローズソイル」(緩効性化成肥料が少ない目に配合されている土)です。ニームとキトサンが入っているので、根頭がん腫病の抑制や虫害を減らす効果があればいいなと思っています。
今年も良いベイサルシュートが出るよう願って、株元に角度をつけて斜め植えにしました。さらに、バラが咲くまでの間たのしめる草花(プリムラジュリアンとフリンジパンジー)を植えました。
▲冬剪定と植え替え完了! 写真提供/天女の舞子
最後に支柱を立て、水やりの失敗を防ぐために「サスティー」(キャビノチェ株)を土に挿して、冬剪定と冬の植え替えは完了です。
3月17日の「ミスティパープル」/新芽ふくらむ・芽出し肥・薬剤散布開始
▲新芽ふくらむ 写真提供/天女の舞子
赤みの強い枝から新芽がふくらんできました。もう少しで若葉になりそうです。
▲株元の1年草が花盛り 写真提供/天女の舞子
芽出し肥として「バイオゴールド」(株タクト)6号鉢15粒のところ10粒を与えました。まだ病虫害は発生していませんが、予防のため全体にベニカXネクストスプレー(住友化学園芸)を散布しました。
4月6日の「ミスティパープル」/若葉広がる・発蕾(?)・芽かき
▲若葉広がる 写真提供/天女の舞子
新芽が長く伸び、若葉が大きく広がってきました。
▲一か所だけ芽かき 写真提供/天女の舞子
一か所、同じ場所から芽が出ているところがあり、芽かきで新芽を減らしました。大輪品種ではないので、基本的にあまり芽かきが必要ではない品種なので、初めて芽かきしました。
▲枝先の膨らみは蕾かな? 写真提供/天女の舞子
枝先に、小さな蕾(かな?)が見えてきました。
4月26日の「ミスティパープル」/蕾のガク割れ・バラゾウムシ被害
▲樹高85cm。状態は良さそうだけど・・・ 写真提供/天女の舞子
近々引っ越しをするので忙しくて、最近あまりていねいな管理ができていません。「ミスティパープル」は、樹高は85cmまで伸びていて、葉も茂り、状態は悪くなさそうです。蕾も5つ上がってきました。
▲蕾や新芽の先がそろってお辞儀 写真提供/天女の舞子
昨日、蕾や新芽の先がお辞儀しているのを見つけました。このところ連日の雨で水やりできていなかったので、水切れさせたかと思い水やりしましたが、今日になってもよくなりません。
▲バラゾウムシ被害 写真提供/天女の舞子
どうやらコレ、バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)にやられたようです。5つある蕾のうち4つが被害に遭ってしまいました。新芽がやられているところもあります。
▲これがバラゾウムシ 写真提供/天女の舞子
これがバラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)です。上の写真は、去年そだレポした「鏡花」についていたものです。バラゾウムシは蕾の下のところに産卵するので、いきなり蕾がぐったりしてしまいます。こうなると、もうこの蕾は咲けません。
残念ですが、バラゾウムシにやられた4つの蕾は摘み取りました。2番花に期待します。
▲残った1輪は、もうすぐ咲きそう 写真提供/天女の舞子
バラゾウムシ被害をまぬかれた1番花の蕾はひとつ。こちらはガク割れが始まり、うっすら紫色を帯びた花びらが見えています。
これ以上、害虫被害が広がらないよう、株元に「ベニカXガード」(住友化学園芸)を5g散布しました。一応「ロハピ」(アース製薬)もかけましたが、適用がないからあまり意味ないかも。
しかし、バラゾウムシ被害があったのはこの株だけです。ほかのバラにはまったく被害が出ていません。もしかしてバラゾウムシに好かれる品種なのかな? それとも場所の関係かな?
5月5日の「ミスティパープル」/開花・スリップス被害
▲花径7.5cm。シルバーグレーの花色 写真提供/天女の舞子
ミスティパープルの1番花が開花。花径は7.5cm。やや反り返った丸弁に咲きました。強香品種のはずですが、お昼のせいか香りは感じられませんでした。
写真では紫に写っていますが、実際に見ると赤みのないシルバーグレー。咲き始めは中心がもっと濃い色になりますが、これだけ開くと青というより白っぽい印象が強いです。
▲今年もスリップス被害 写真提供/天女の舞子
去年この場所に置いていたバラにスリップス被害がありました。今回は「ベニカXガード」を使っているし、蕾のときに何度も薬剤をかけて予防していたんですが、やっぱりスリップスがいました。農薬耐性がついているんでしょうか。
5月7日の「ミスティパープル」/花形が変化!
▲ひらひらの花形に! 写真提供/天女の舞子
全開から2日たった5月7日。花びらが波打って立ち上がり、全体にひらひらした印象の花になりました。花芯も隠れてかわいい感じの花形です。花びらの先が傷んできたのが残念ですが──。
外側の花びらが白っぽいシルバーグレーで、中心がほんのりブルーに染まっています。花形は違うけれど、ガブリエルのような花色です。
もう咲き終わりなので香りはほとんどありませんが、爽やかさのあるブルー香がほんのりします。
5月10日の「ミスティパープル」/咲き終わり・切り戻し
▲そろそろ咲き終わり 写真提供/天女の舞子
全開から5日後。花びらは散らず、花形がしぼんだように崩れてきました。これはもう咲き終わりですね。花もちは5日ていどといったところでしょうか。
撮影の後、2番花に向け切り戻しました。
6月2日の「ミスティパープル」/2番花の発蕾
▲株元の草花を抜いて、肥料と薬剤散布 写真提供/天女の舞子
引っ越しのため忙しく、あまりバラの管理ができていませんでした。
今さらながら株元のパンジーを抜きましたが、そういえば1番花の後のお礼肥えをすっかり忘れていました。「マイローズ バラの肥料」(住友化学園芸)20gと、「ベニカXガード」(住友化学園芸)5gを、株元に撒きました。
下の方の葉が黒星病にかかり黄色くなってきています。
▲2番花の蕾が2輪 写真提供/天女の舞子
2番花の蕾が2輪上がってきました。お礼肥えをしていなかったためか、蕾は少ないし小さいです。
▲蕾ふっくらと 写真提供/天女の舞子
1輪はもうすぐ咲きそう。
手入れを忘れていても、ちゃんと蕾を上げてくれるところにバラのパワーを感じます。
6月15日の「ミスティパープル」/2番花が開花
▲薄紫の波打つ花びら 写真提供/天女の舞子
2輪上がった2番花のうち、2輪目の花が開花しました。(最初の花は撮影しそこないました)。花径は7.5cmなので1番花と変わりませんが、花びらの枚数が少なくボリューム感がありません。お礼肥えをしなかったせいと、やはり気温が上がってきたからでしょう。
香りは顔を近づければ感じられるていどなので、中香だと思います。爽やかなブルーの良い香りがします。
2番花の蕾がもうひとつ上がってきました。
▲引っ越しの関係で、しばらく室内管理 写真提供/天女の舞子
じつは少し前から室内管理しています。南西の角部屋で、両方にすりガラスの窓がある場所にカーテンを引かずに置いています。1カ月ほどほかの植物を置いて様子をみましたが、光量は大丈夫そうです。
引っ越しに伴い、農園の一角にバラを置かせてもらうことになり、バラ鉢も順次移動中です。「ミスティパープル」も、花が終わったら農園にもっていくつもりです。
6月25日の「ミスティパープル」/2番花の花がらカット
▲開花から10日 写真提供/天女の舞子
6月15日の開花から10日たち、さすがにもう咲き終わりです。撮影の後、花がらをカットしました。
▲後続の2番花の蕾が! 写真提供/天女の舞子
室内管理するようになってから、2番花の蕾がたくさん上がってきました。開き始めたものからまだ小さいものまで合計6つもあります。
梅雨が終わる前に農園に持っていこうと思っていたんですが、異例の早い梅雨明けに困ってしまいました。ずっと室内に置いておくわけにも行かないので、近々、持っていくつもり。急激な環境変化になるので、どうなるか少し心配です。
>>つぎのページでは「農園に引っ越し」から紹介しています。
こんばんわ
ミスティパープルって1月にも咲くのですね
河本バラ園のバラは真冬には咲かないという、勝手なイメージを持っていたので
意外でした
お迎えしたのが二年半前でしたら、株もしっかりしてそうですね
春の綺麗な花を期待して待っています
アスタルティさんこんにちは
河本バラ園の花は何本か持ってますが
(ガン種等で失くしたのもありますが)
全体的に連続開花しやすいです
その代わり樹性が弱いと言われますね
毎回(月?)のように開花すればそれだけ体力が奪われるのでしょうね
うまくいけばミスティ・パープルは夏でも咲いてくれます
この辺りは夏場でも咲いてくれる(むしろ夏が盛り?)のルシファーにも通じるのではないでしょうか?
ミスティパープルのように
ルシファーやガブリエルも連続開花は頻繁にしますし(咲くとは断言できませんが)同じようにトゲも少ない青や青に近いバラなので
もしかしたら親も同じかもしれませんね
冬場はクリスマス前からつぼみが膨らんでいてようやく開花したので
下手したらボーリングにならないかとヒヤヒヤしてましたが無事に開花した感じです
多分毎月1つくらいは咲くと思われるので
極力こまめにレポートできるようにします
冬でも咲くんですか。 返り咲き(狂い咲き?)のように不規則に咲く品種があるのは知っていました。 知り合いの庭に地植えの薔薇(品種は知らないらしい)手入れも何もしていないけど、真冬でもたま~に咲くって言ってました。 僕は今年はまだまだ枝の生長をメインにいらない枝に、花芽はガンガン切って行く予定です(笑 綺麗な花を咲かせましょう!!
オルカさんこんにちは
自分も大したこと言えませんが
結愛やボレロのレポートとかが完結してわかりやすいかな?
細い枝にも
弱っていても花が付くんですよね
頻繁につぼみをピンチするのは大変です(^-^;
ボレロなんて、余話っていようがお構い無く花を咲くので
殆ど成長しないし
結愛は
油断してピンチのコントロール忘れたら
ベイサルシュートが出開きになってしまうし
開くから元気だとは言いきれないというのを学びました
ご存じだとは思われますが
つぼみをそれだけ付けるのは
体力が削られてしまうので
嬉しいことでも
人間が頑張りをコントロールしないといけないのでしょうね
余り咲くとベイサルシュートが出にくかったり
株が弱ったりもするし
つぼみがある分には、咲いて欲しいのですが
河本さんのバラは、常にどこかで咲こうとしまさし
弱剪定というのも、開花のサイクルが早い理由でもありそうですが
それにしても開花は結構してくれますね
わが家で剪定前につぼみがあるのはいくつかありましたが
寒さでなかなか開かなかったので
開花の時期が遅くなった感じです
青バラなのもあり
根の成長もゆっくりだし
比較的河本純子さんのバラは生育がゆっくりかな
シュクレは何となく違いますが
他のルシファーやガブリエルとかも過去にあって
枝振りはミスティパープルの感じですね
麻記子さんのは
アジュールしか持ってないので傾向としても
割とミスティパープルみたいな感じの
ほんの少しハイブリッドに寄った枝振りという印象でしょうか
剪定は毎回ドキドキしますが
個性がわかるまでは
悩みながらやるのは
きっと人とのつきあい方とおなじなんでしょうね
悩んで切らなかった年もあったけど
ミスティパープルは
枝整えながら育てるのがいいかなと思ってます
細い枝にも花がさくし
花びらの数が夏はかなり少ないので
このあたりの違いがわかるレポートにしたいです