1年をとおしてバラがどんなふうに育つのか、品種ごとの生長のしかたを追いかける「そだレポ」企画です。今回はハイブリッド・ティー系統のバラ「ベルサイユのばら」です。季節ごとに更新していくので、お楽しみに!
「ベルサイユのばら」は、こんなバラ
▲ビロード質の真紅の大輪花
フランス革命前夜を舞台に描かれた池田理代子さんの漫画「ベルサイユのばら」は、日本ではもちろんフランスでも大人気の作品です。作者・池田理代子さんは、日仏交流に寄与したとしてフランス政府より「レジョンドヌール勲章シュバリエ」を授与されました。
作品連載開始から40年を迎えた2012年、「ベルサイユのばら」を冠したバラが発表されました。作出を手がけたのは、フランスの名門ナーセリー「メイアン」です。
▲「ベルサイユのばら」登場人物オスカル(左)と、マリーアントワネット(右)
「ベルサイユのばら」は、華麗でダイナミックな作品世界全体をイメージして作出されたバラです。他に、「オスカル フランソワ」「王妃アントワネット」など、各登場人物の名前を冠するバラもあります。
「ベルサイユのばら」は、ビロードを帯びた真紅の大輪花。花径は13~14cmに達する剣弁高芯咲き・・・と、資料にはありますが、実際は半剣弁、または少し波打つ丸弁に咲く場合も多くみられます。作品のイメージ通り、とても華やかで絵になるバラです。
香りこそ微香ですが、病気に強く育てやすい。株が成熟するほどに花数が増え、やがて堂々としたバラ株に生長します。
樹形は半直立性の木立ち樹形。樹高は1.3mていど。四季咲き。ハイブリッド・ティー系統。
2012年メイアン(フランス)作出。
今回育てる「ベルサイユのばら」の環境DATA
関東の南向きの庭(陽当たり良好)
緑枝挿しからちょうど2年の株
今年の目標/今回は挿し木苗なので、挿し木でもしっかり育つということを確信出来るレポートにした
育てる人/ハナたろう
*バラの育て方は、育てる場所により、それぞれの木の状態により、また目的や好みによっても人それぞれです。ここで紹介する育て方は、一例として参考になさってください!
*「ベルサイユのばら」は、まだ種苗法により育成者権が保護されている品種です。挿し木で増やすのは、自分の庭で楽しむ範囲で行いましょう。友人に差し上げるのも好ましくありません。ましてやフリーマーケット出品は、完全に法律違反となりますので注意してください。
▼種苗法について詳しくは、こちらをご覧ください
6月1日の「ベルサイユのばら」
▲緑枝挿しから2年。枝ぶりよし 写真提供/ハナたろう
真紅の大輪花「ベルサイユのばら」は、もともとの苗の状態があまり良くなく、スペアとして緑枝挿しで挿し木苗をつくりました。現在、緑枝挿しからちょうど2年が経過しています。
これまでずっと摘蕾を続けて樹を育ててきました。今年の春花も咲かせていません。今年の秋花から本格的に咲かせるつもりです。
樹高80cm。6号角鉢に植えてあります。黒星病にかかっています。
▲鉢底から白根がのぞいている 写真提供/ハナたろう
鉢底から白根がのぞいてきています。根張りは申し分なさそうです。
病虫害対策
黒星病にかかっているので、オーソサイド・サンヨール・ゼンターリの混合液を散布しました。
6月10日の「ベルサイユのばら」/鉢増し
▲6号鉢から10号鉢へ鉢増し 写真提供/ハナたろう
前回6月1日の時点で鉢底から白根がはみ出してきていたので、6号鉢から10号鉢へ鉢増ししました。
▲黒星病は軽度でストップ 写真提供/ハナたろう
心配していた黒星病は軽症で、あまり進行していませんでした。
鉢増しの培養土
鉢増しに使用した培養土は「赤玉小粒6:腐葉土3:籾殻くん炭1にオルト
病虫害対策
6/6 オーソサイド水和剤(予防剤)・サプロール乳剤(
6/10 ジマンダイセン水和剤(予防剤)・トリフミン乳剤
7月7日の「ベルサイユのばら」
▲下葉は疲れたら枯れる 写真提供/ハナたろう
黒星病はひと段落しました。下葉がないのは、病気というより、品種の特徴だと思います。写真から、下葉が黄色いのがわかると思いますが、親株も同様で、くたびれたら枯れるみたいです。蕾は、見つけ次第ピンチしています。
7月30日の「ベルサイユのばら」
▲順調に生育ちゅう 写真提供/ハナたろう
樹高120cm。順調に育っているようですが、長梅雨で枝が徒長ぎみです。日照がたくさん欲しいところです。
9月3日の「ベルサイユのばら」/夏剪定
▲夏剪定で樹高90cmに 写真提供/ハナたろう
樹高120cmから90cmに夏剪定しました。剪定前の写真を撮り忘れましたが、7月30日の写真とそんなに変化ありません。下葉が少ないので、控えめ剪定です。
それでも鉛筆ていどの太さのところで切っているので、超大輪を咲かせられるでしょう。秋花は超大輪3~5輪を予定しています。写真左側の低い枝と真ん中の細枝は、花を諦めて光合成用です。
追肥をしない理由
これまでの経験から、冬の元肥(地植えなら寒肥)だけで十分ではないかと思い始めています。そのため、他の品種も合わせて追肥はしていません。とくに地植えは、寒肥のみでしっかり育ちます。
花数は少なくなりますが「樹の体力で咲く」のが自然な姿だと思えます。微量要素は症状が出てから与えればいいかな? という持論に固まりつつあります。
それに、肥料を控えれば、ウドンコ病にもかかりにくいです。
9月30日の「ベルサイユのばら」
▲樹高はやや伸びて95cm 写真提供/ハナたろう
夏剪定後、まだ高温期に蕾がついたのでピンチして取り除いてあります。しかし・・・今のところその後の蕾がありません。ピンチ後の枝先も動いてくれません。やはりガス欠(エネルギー切れ)したのかなぁ? まぁ、まだ親株も発蕾していないので、様子見です。
現在の樹高は95cm。
薬剤散布
オーソサイド水和剤・サプロール乳剤・アファーム乳剤の混合液を散布しました。
>>次のページでは10月の様子「ブラインド」から紹介しています。